海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Chen氏らは、 乳癌からの未治療転移性脳腫瘍 (BMBC) を有する患者を対象に、 全脳照射 (WBRT) 前の抗VEGF抗体ベバシズマブ+エトポシド+シスプラチン (BEEP) による導入治療の効果について、 多施設共同非盲検無作為化比較試験で検討した。 その結果、 BEEP併用療法後にWBRTを行った場合、 WBRT単独に比べ脳特異的無増悪生存期間 (PFS) が有意に改善した。 本研究はJAMA Oncol誌において発表された。
本研究は第II相試験ながらrandomized clinical trialとして行われています。 第III相試験ではないので結果はあくまでも探索的な意味合いとして捉えた方が良いです。
転移性乳癌患者における脳転移の発生率が増加しているものの、 脳転移に奏効する薬剤は乏しく、 治療は確立していない。 脳転移の制御には新たな治療戦略が求められている。
局所照射が不適でWBRT歴がなく、 計測可能な脳転移病変が1個以上ある20~75歳のBMBC患者 (ERBB2陽性割合54.5%)
患者を2 : 1の割合で以下の2群に無作為に割り付けた
RECIST v1.1判定基準に基づく脳特異的PFS、およびWBRT後の脳転移病変に対する他治療の開始または死亡
8週後の脳特異的奏効率 (ORR)、 8ヵ月後の脳特異的PFS率、 PFS、 全生存期間
HR 0.71 (95%CI 0.44-1.13)、 p=0.15
8週後の脳特異的客観的ORR
8週時点では両群間に差はみられなかった。
8ヵ月時点の脳特異的PFS率
BEEP併用群で有意な改善を認めた。
p=0.03
有害事象は顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 製剤の予防投与で全般的に管理可能であった。
WBRT前のBEEPによる導入治療は、 未治療BMBC患者において、 WBRT単独と比べて脳転移の制御を改善する可能性があり、 難治性脳転移および頭蓋外転移への新たな治療選択肢を示唆している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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