海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Bloomらは、 喘息の成人患者を対象に、 吸入コルチコステロイド (ICS) の用量と有害事象の発現頻度との関連を観察研究で検討した。 その結果、 中等量以上のICSの投与は主要心血管イベント (MACE)、 不整脈、 肺塞栓症、 肺炎のリスク増加と関連していたが、 頻度は低いことが示された。 本研究はAm J Respir Crit Care Med誌にて発表された。
少量ICSの場合は逆に、 有意に肺炎や不整脈のリスク減少と関連している結果となっています。
ICSは喘息治療の主要な薬剤であり、 罹患率や死亡率の改善に寄与している。
経口コルチコステロイドの副作用についての報告は多いが、 ICSについては十分な研究がなされておらず、 特に用量との関連性に関する知見は不十分である。
英国の全国的な2つのデータセット*¹に登録された成人の喘息患者16万2,202例を対象に、 ICSの新規使用を曝露とし、 低用量・中等量・高用量*²に分けて解析を行った。
評価項目は4つの有害事象 (AE: 12ヵ月間に生じたMACE、 不整脈、 肺塞栓症、 肺炎) とした。
中等量のICS投与は、 各評価項目と関連があることが確認された。 高用量では、 さらに強い関連があった。
ハザード比 (HR、95%CI) は以下の通りであった。
中等量
高用量
一方、 低用量のICS投与では各評価項目におけるリスクの増加は認められなかった。
有害必要数 (number needed to harm; NNH)*は以下の通りであった。
中等量を12ヵ月使用した場合
高用量を12ヵ月使用した場合
著者らは 「低用量ICSの短期使用は有害事象と関連しなかった。 中等度および高用量ICSの投与は、 MACE、 不整脈、 肺塞栓症、 肺炎のリスク増加と関連していたが、 その頻度は低かった。 臨床医は、 ガイドラインの推奨を遵守し、最も効果的なICSを必要最小限の量で使用することが重要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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