【NEJM】ブタ–ヒト間の腎臓異種移植を行った2症例の結果、 超急性拒絶反応は起きず
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2年前

【NEJM】ブタ–ヒト間の腎臓異種移植を行った2症例の結果、 超急性拒絶反応は起きず

【NEJM】ブタ–ヒト間の腎臓異種移植を行った2症例の結果、 超急性拒絶反応は起きず
Montgomery RAらは、 超急性拒絶反応を防ぐ目的に遺伝子改変ブタを作成し、 この腎臓を脳死のヒトレシピエント2例に移植した. 遺伝子改変ブタからの異種移植腎は、 脳死ヒトレシピエントでは54 時間は生着可能で、 機能を維持し、 拒絶反応の徴候はみられなかった. 本研究は, NEJM誌において発表された.

研究デザイン

背景

  • 遺伝子改変ブタからの異種移植は、 移植用に入手可能なヒト臓器の不足の非常に有望な解決策の一つとなっている.
  • この異種移植モデルの課題は超急性拒絶反応である. これを防ぐために、 遺伝子改変ブタを作成した.

研究方法

  • まず、 α-1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子をノックアウトし、 腎被膜下に自家胸腺組織を移植した「遺伝子改変ブタ」を作製した.
  • 「遺伝子改変ブタ」の腎臓を、 脳死のヒトレシピエント 2 例に移植した.

アウトカム

  • 腎機能と異種移植片拒絶反応を評価するため、 経時的に生検を行い、 尿量と動的推算糸球体濾過量(eGFR)をモニタリングした.
  • なお、 2 例の呼吸・循環機能は試験期間中、 人工呼吸器により維持した.

研究結果

eGFR|試験期間54時間で増加

  • Recipient 1:23→62 mL/分/1.73m²に増加
  • Recipient 2:55→109 mL/分/1.73m²に増加

血清Cre値|異種移植後にいずれも低下

  • Recipient 1:1.97→0.82 mg/dL に低下
  • Recipient 2:1.10→0.57 mg/dL に低下

尿の生成| 再灌流後すぐに尿を生成

  • 再灌流後すぐに尿を生成し始めた.
  • 試験期間を通して尿を生成し続けた.
  • 異種移植腎からの1時間尿量は、 元の腎臓からの尿量の2倍を超えていた.

拒絶反応|54時間で徴候はみられず

  • 移植後6・24・48・54時間に行った生検では、 超急性拒絶反応、 抗体関連型拒絶反応の徴候は認められなかった.

遺伝子改変ブタからの異種移植腎は、 脳死ヒトレシピエントでは54 時間は生着可能で、 機能を維持し、 拒絶反応の徴候はみられなかった.

原著

Results of Two Cases of Pig-to-Human Kidney Xenotransplantation. NEJM. 2022 May 19;386(20):1889-1898. PMID: 35584156

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