【Lancet】リサンキズマブ導入療法 「 活動性クローン病患者の治療に有効か」
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2年前

【Lancet】リサンキズマブ導入療法 「 活動性クローン病患者の治療に有効か」

【Lancet】リサンキズマブ導入療法 「 活動性クローン病患者の治療に有効か」
D'Haens Gでは、 中等度から重度の活動性クローン病患者を対象に、 IL-23 p19阻害剤リサンキズマブによる導入療法の安全性と有効性を無作為化二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相導入療法試験2件で検討した (ADVANCE試験・MOTIVATE試験). その結果、 リサンキズマブによる導入療法は、 中等度から重度の活動性クローン病患者において有効であり、 忍容性も良好であることが明らかとなった. 本研究はLancet誌において発表された.

研究デザイン

対象は中等度から重度の活動性クローン病患者. IL-23 p19阻害剤リサンキズマブによる導入療法の安全性と有効性を無作為化二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相導入療法試験2件で検討した. 0,4,8週にリサンキズマブ (600mgまたは1200mg) またはプラセボを静脈内投与するようランダムに割り付けした (ADVANCE試験では2:2:1、 MOTIVATE試験は1:1:1).

ADVANCE試験

  • 既存治療や生物学的製剤で効果不十分または不耐容などの背景を有する患者が対象.
  • 合計931名 (リサンキズマブ600mg 373名、 リサンキズマブ1200mg 372名、 プラセボ 186名)

MOTIVATE試験

  • 生物学的製剤で効果不十分または不耐容であった患者が対象.
  • 合計618名 (リサンキズマブ600mg 206名、 リサンキズマブ1200mg 205名、 プラセボ:207名)

評価項目と解析手法

  • 主要評価項目:臨床的寛解*、12週目の内視鏡的奏効率.
  • *臨床的寛解はCDAI または患者報告転帰基準 (1日の平均便通回数および腹痛スコア) により定義された.
  • 有効性については、 intention-to-treat集団を対象に解析. 安全性は、 少なくとも1回の試験薬投与を受けたすべての患者を対象に評価された.

研究結果

主要解析対象者は、 ADVANCE試験で850名、 MOTIVATE試験で569名であった. 両試験において、 リサンキズマブの両用量で12週目のすべての副次的評価項目を達成した (p値≦0.0001).

有効性評価

<ADVANCE試験>

  • CDAIに基づく臨床的寛解率
  • リサンキズマブ600mg投与群:45% (調整後差 21%、 95%CI 12~29)
  • リサンキズマブ1200mg投与群:42% (調整後差 17%、 95%CI 8~25)
  • プラセボ投与群:25%
  • 排便回数と腹痛スコアに基づく臨床的寛解
  • リサンキズマブ600mg投与群:43% (調整後差 22%、 95%CI 14~30)
  • リサンキズマブ1200mg投与群:41% (調整後差 19%、 95%CI 11~27)
  • プラセボ投与群:22%
  • 内視鏡的奏効率
  • リサンキズマブ600mg投与群:40% (調整後差 28%、 95%CI 21~35)
  • リサンキズマブ1200mg投与群:32% (調整後差 20%、 95%CI 14~27)
  • プラセボ投与群:12%

<MOTIVATE試験>

  • CDAIに基づく臨床的寛解率
  • リサンキズマブ600mg投与群:42% (調整後差 22%、 95%CI 13~31)
  • リサンキズマブ1200mg投与群:40% (調整後差 21%、 95%CI 12~29)
  • プラセボ投与群:20%
  • 排便回数と腹痛スコアに基づく臨床的寛解
  • リサンキズマブ600mg投与群:35% (調整後差 15%、 95%CI 6~24)
  • リサンキズマブ1200mg投与群:40% (調整後差 20%、 95%CI 12~29)
  • プラセボ投与群19%
  • 内視鏡的奏効率
  • リサンキズマブ600mg投与29% (調整後差 18%、 95%CI 10~25)
  • リサンキズマブ1200mg投与34% (調整後差 23%、 95%CI 15~31)
  • プラセボ投与11%

安全性評価

  • 治療上発生した有害事象の全発生率は、 両試験とも治療群間で同程度であった.
  • 導入療法中に3件の死亡が発生した.
  • ADVANCE試験:プラセボ群 2件、
  • MOTIVATE試験:リサンキズマブ1200mg投与群 1件
  • ※リサンキズマブ投与患者の死亡は、 試験薬とは無関係と判断された.

結果の解釈

リサンキズマブは、 中等度から重度の活動性を有するクローン病患者における導入療法として有効であり、 忍容性も良好であった.

原著

D'Haens G, et al, Risankizumab as induction therapy for Crohn's disease: results from the phase 3 ADVANCE and MOTIVATE induction trials. Lancet. 2022 May 28;399(10340):2015-2030. PMID: 35644154

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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