海外ジャーナルクラブ
1年前
Costeらは、 肺ムコール症の臨床像や診断ツールの寄与度、 患者の基礎疾患の影響を後ろ向きに検討。 その結果、 好中球減少と画像所見が肺ムコール症の診断に影響を与えることが示された。 本研究はChest誌において発表された。
本研究は100症例程度の稀な疾患の後ろ向き研究を行う場合に参考になる形です。 Introductionの目的の前に下記のような仮説を入れています。 We hypothesized that the contribution of diagnostic tools is influenced by the patient’s condition.このような研究の場合に仮説を書きにくいので、 参考になります。
肺ムコール症は、 生命を脅かす可能性のある重篤な侵襲性真菌感染症である。 診断が難しく、 診断の遅れから死亡率が高くなる傾向にある。
フランスの6つの教育病院における2008~19年の肺ムコール症患者114例を後ろ向きに解析。
114例のうち、 40%が播種性肺ムコール症であった。
血清定量的ポリメラーゼ連鎖反応 (qPCR) では79% (53例中42例) が陽性を示し、 気管支肺胞洗浄 (broncho-alveolar lavage:BAL) の検査では50% (96例中46例) で陽性を示した。
経胸壁的肺生検は、 BALで診断がつかない73% (11例中8例) において診断に寄与した。
好中球減少を呈する患者は、 リング状陰影などの画像所見が見られ、 播種性肺ムコール症の頻度が高かった。
血清qPCRは好中球減少を示す患者において診断の寄与度が高く (91% vs 62%、 P=0.02)、 BALは好中球減少を示さない患者において診断の寄与度が高かった (69% vs 41%、 P=0.02)。
血清qPCR陽性は早期診断 (P=0.03) および治療開始 (P=0.01) と関連していた。
好中球減少と放射線所見が肺ムコール症の診断に影響を与えることが示された。 血清qPCRは好中球減少を示す患者で、 BALは好中球減少を示さない患者での寄与度が高かった。 BALで診断がつかない場合は、 経胸壁肺生検の寄与度が高かった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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