海外ジャーナルクラブ
6日前

亀田総合病院呼吸器内科の猪島直樹氏、 主任部長・中島啓氏らの研究グループは、 小児PCV13導入後の日本人高齢者を対象に市中肺炎 (CAP) のリスク因子を年齢層別に評価する目的で、 全国多施設症例対照研究の二次解析を実施した。 その結果、 6歳以下の小児との同居がCAPの主要なリスク因子であり (調整オッズ比 6.15)、 低BMI・ADL低下も関連した。 リスク因子は年齢層で異なり、 75歳以上では、 小児との同居に加え、 COPD・喘息などの呼吸器疾患併存とADL低下がリスク因子であった。 研究結果は BMC Infect Dis誌に発表された。
本研究では、 小児PCV13導入後の日本においても、 6歳以下の小児との同居が高齢者の市中肺炎のリスク因子であることが示されました。 肺炎球菌性肺炎についても同様の関連が示唆されており、 高齢者の肺炎予防を考える際には、 年齢や基礎疾患だけでなく、 同居家族や生活環境にも目を向ける必要があります。
本研究で臨床的に最も興味深いと感じたのは、 全体解析では明確ではなかったCOPDや喘息が、 75歳以上ではリスク因子として浮かび上がった点です。 高齢者を一括りにするのではなく、 年齢層ごとに肺炎リスクの背景を考えることが重要だと感じます。
今回の結果は、 ワクチン接種に加え、 呼吸器疾患そのものの管理を含めた肺炎予防の重要性も示唆していると考えます。 高齢COPD患者では吸入ステロイド薬 (ICS) の適応を定期的に見直し、 不要なICSは中止を検討すること、 喘息患者では良好なコントロールを維持しながら、 ICSを必要最小限の用量に調整することも大切です。 また、 6歳以下の小児との同居や接触が多い高齢者では、 肺炎球菌、 インフルエンザ、 RSウイルスなどのワクチン接種歴と適応を確認し、 接種を積極的に検討する視点が重要だと考えています。
【解説】最新知見に基づく肺炎予防 「ワクチン接種、 3つの要点」
市中肺炎 (CAP) は世界的に主要な死因の1つであり続けている。 小児への13価肺炎球菌結合型ワクチン (PCV13) 導入は小児の肺炎球菌感染症の疫学を変化させたが、 高齢者におけるCAPのリスク因子は十分に検討されていない。 さらに65~74歳と75歳以上でリスクを比較した研究はほとんどない。
本研究では、 日本人高齢者におけるCAPのリスク因子を年齢別に評価した。
本研究は、 2016年10月~2019年12月に実施された全国多施設症例対照研究データの二次解析である。 症例は65歳以上のCAP患者とし、 対照は性別・年度年齢・受診日でマッチングさせ、 1症例あたり最大5例を設定した。 解析対象は、 症例142例と対照596例であった。
臨床・生活習慣データは質問票に基づき収集し、 全体および年齢層 (65~74歳と75歳以上) 別に調整オッズ比 (aOR) を条件付きロジスティック回帰で算出した。
全体解析では、 CAPリスクは6歳以下小児との同居、 低BMI (18.5kg/m²未満)、 ADL低下と関連した。 一方で、 高BMI (25.0kg/m²以上) はリスク低下と関連した。
調整オッズ比 (aOR)
65~74歳では、 6歳以下の小児との同居がリスク因子であり、 高BMIと消化器疾患がリスク低下と関連した。
調整オッズ比 (aOR) : 65-74歳
75歳以上ではCOPD、 喘息、 6歳以下の小児との同居、 ADL低下がリスク因子であった。
調整オッズ比 (aOR) : 75歳以上
肺炎球菌性CAPでは、 6歳以下の小児との同居のみが有意であった (aOR 7.22 [95%CI 1.23-42.34])。
著者らは、 「6歳以下の小児との同居は小児PCV13導入後も高齢者のCAPの主要なリスク因子であった。 ただしリスク因子は年齢で異なり、 75歳以上では呼吸器疾患の併存と身体機能低下がCAPの主要な要因であった。 予防戦略は年齢ごとのリスク因子を考慮すべきである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。