【NEJM】手術部位感染、予防効果が高い術前皮膚消毒薬は?
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海外ジャーナルクラブ

8ヶ月前

【NEJM】手術部位感染、予防効果が高い術前皮膚消毒薬は?

【NEJM】手術部位感染、予防効果が高い術前皮膚消毒薬は?
Spragueらは、 四肢骨折の患者を対象に、 手術前の皮膚消毒薬としてヨウ素ポバクリレックスまたはクロルヘキシジンを含むアルコール溶液の効果について、 クラスター無作為化クロスオーバー試験PREP-ITで比較検討した。 その結果、 閉鎖骨折に対するヨウ素ポバクリレックスによる消毒はクロルヘキシジンによる消毒に比べ、 手術部位感染(SSI) の割合が低いことが明らかになった。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Skin Antisepsis before Surgical Fixation of Extremity Fractures. N Engl J Med. 2024 Feb 1;390(5):409-420. PMID: 38294973

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

ヨウ素ポバクリレックスの方がクロルヘキシジンよりも手術部位感染を有意に減少させる結果なのですが、 テキストの最後にhospitals will need to continue to stock both interventions.とわざわざ書くところに少し切れ味の悪さを感じます。

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アルコール溶液の効果は既報では相反する結果に

特に四肢骨折を修復する手術において、 術後合併症の1つであるSSIの予防が重要である。 従来、 術前の皮膚消毒にはヨウ素ポバクリレックスまたはクロルヘキシジンを含むアルコール溶液が使用されてきたが、 各溶液の効果については相反する結果が報告されている。

ヨード vs クロルヘキシジン

対象は四肢骨折患者 : 8,485例

米国とカナダの25の病院における18際以上の四肢骨折患者

(閉鎖骨折または開放骨折)

無作為化後は使用薬を2ヵ月毎に入れ替え

病院を以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付け、 使用する薬は2ヵ月ごとに入れ替えた。

  • ヨウ素群 (閉鎖骨折3,360例、 開放骨折854例)
0.7%ヨウ素ポバクリレックスを74%イソプロピルアルコールに溶解した溶液を消毒薬に使用
  • クロルヘキシジン群 (閉鎖骨折3,425例、 開放骨折846例)
2%クロルヘキシジンを70%イソプロピルアルコールに溶解した溶液を消毒薬に使用

術後患者のSSI割合を評価

主要評価項目 : SSI割合

(30日以内の皮膚表層切開創感染、 90日以内の深層切開創感染または臓器/体腔感染)

副次評価項目 : 骨折治癒合併症による予定外の再手術率

閉鎖骨折のSSIはヨウ素群で少ない

SSI割合

閉鎖骨折集団

  • ヨウ素群 : 2.4% (77例)
  • クロルヘキシジン群 : 3.3% (108例)
OR 0.74 (95%CI 0.55-1.00、 p=0.049)

開放骨折集団

両群間で有意差は認められなかった。

  • ヨウ素群 : 6.5% (54例)
  • クロルヘキシジン群:7.3% (60例)
OR 0.86 (95%CI 0.58-1.27、 p=0.45)

骨折治癒合併症による予定外の再手術率

予定外の再手術、 1年転帰、 重篤な有害事象の頻度は両群で同様であった。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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