海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
Hantouliらは、 妊娠中の急性胆嚢炎患者を対象に、 胆嚢摘出術の頻度と有害妊娠転帰 (APO) の発生率を後ろ向きの集団ベースのコホート研究で検討した。 その結果、 胆嚢摘出術はすべての妊娠期において急性胆嚢炎患者のAPOリスクの低下と関連しており、 特に妊娠第3期において有益であった。 本研究は、 JAMA Surg誌において発表された。
米国のガイドラインでは、 妊娠第1期から第3期まで、 どの時期でも胆嚢摘出術を推奨していますのでその前提でガイドライン遵守が求められています。
妊娠中の急性胆嚢炎の管理においては、 手術の有無に関わらず、 妊娠喪失や早産といったAPOのリスクとのバランスをとることが求められる。 ガイドラインでは、 妊娠期を問わず胆嚢摘出術が推奨されているが、 急性胆嚢炎のリスクとその管理に関する妊娠期別のエビデンスは不足している。
2007年1月1日~2019年12月31日に登録されていた妊婦の中から、 急性胆嚢炎の病歴が記録されている妊婦と、 胆嚢炎を経験していない妊婦の対照群をコホートに組み入れた。
胆嚢摘出術およびAPO (早産および妊娠喪失) のリスク
急性胆嚢炎を発症し1年間追跡した妊娠患者3,426例のうち、 34.5% (1182例) が妊娠中に胆嚢摘出術を受けた。
妊娠中に急性胆嚢炎を経験した患者は対照群と比較し、 すべての妊娠期においてAPOのリスクが高かった。
保存療法と比較し、 胆嚢摘出術の実施はすべての妊娠期間においてAPOの低下と関連していた。
胆嚢摘出術は妊娠中の急性胆嚢炎患者のAPOリスクを低減し、 特に妊娠第3期において最も有益であった。 しかし、 実際の手術実施率は低く、 全体で34.5%、 妊娠第3期では12.0%に過ぎなかった。 これらの所見は、 妊娠中の胆嚢摘出術を推奨するガイドラインを支持するものであり、 意思決定の議論に役立つものである。 特に妊娠第3期におけるガイドラインの遵守と手術の実施率の向上は、 妊娠中の急性胆嚢炎患者の転帰を改善する好機となるかもしれない。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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