海外ジャーナルクラブ
1年前
Ohnoらは、 2型糖尿病の基盤である「インスリン抵抗性」に関連する特徴的な腸内細菌および糞便代謝物を特定。 その結果、 糞便中の果糖、 ガラクトースなどの単糖類がインスリン抵抗性に関連し、 Alistipes属の腸内細菌、 特にAlistipes indistinctusにインスリン抵抗性の改善効果および腸管内単糖類の減少効果があることが確認された。 本研究は、 Nature誌において発表された。
理化学研究所の研究でNatureに発表されています。 プレスリリースとしてYouTubeに解説動画が掲載されており、 社会実装に向けた活動も素晴らしいです。
東京大学病院予防医学センターを受診した日本人:306人
身長、 体重、 生化学検査 (コレステロール、 血糖、 HbA1cなど) の一般的な検診項目とともに、 糞便、 血液を追加採取した。
検体を基に、 糞便細菌叢解析、 糞便メタゲノム解析、 糞便メタボローム解析、 血液メタボローム解析、 血液サイトカイン解析、 末梢血単核細胞CAGE解析を組み合わせた「統合オミクス解析」を実施した。
腸内細菌の統合オミクス解析により、 腸管内の単糖類がインスリン抵抗性に強く関連すること、 また特定の腸内細菌種とその遺伝子機能がこれら単糖類と関連することが確認された。 また、 Alistipes属の代表株であるAlistipes indistinctusが、 マウスのインスリン抵抗性を改善させることが明らかとなった。
本研究は、 腸内細菌とインスリン抵抗性をつなぐ機序を解明し、 腸内細菌および腸管内単糖類が治療標的になり得ることを示した。 今後、 本成果を基に、 新しいプロバイオティクスやインスリン抵抗性の治療薬が創出されるものと期待される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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