【Nature】インスリン抵抗性に関連する腸内細菌と糞便代謝物を特定
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Nature】インスリン抵抗性に関連する腸内細菌と糞便代謝物を特定

【Nature】インスリン抵抗性に関連する腸内細菌と糞便代謝物を特定
Ohnoらは、 2型糖尿病の基盤である「インスリン抵抗性」に関連する特徴的な腸内細菌および糞便代謝物を特定。 その結果、 糞便中の果糖、 ガラクトースなどの単糖類がインスリン抵抗性に関連し、 Alistipes属の腸内細菌、 特にAlistipes indistinctusにインスリン抵抗性の改善効果および腸管内単糖類の減少効果があることが確認された。 本研究は、 Nature誌において発表された。

📘原著論文

Gut microbial carbohydrate metabolism contributes to insulin resistance. Nature. 2023 Aug 30. PMID: 37648852

👨‍⚕️監修医師のコメント

理化学研究所の研究でNatureに発表されています。 プレスリリースとしてYouTubeに解説動画が掲載されており、 社会実装に向けた活動も素晴らしいです。

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HOMA-IR

インスリン抵抗性の評価法

研究デザイン

対象

東京大学病院予防医学センターを受診した日本人:306人

  • 肥満の人 (BMI:25kg/m²以上)
  • 前糖尿病の指標を満たす人 (空腹時血糖:110mg/dL以上、 もしくはHbA1c:6.0%以上)
  • それ以外の人

方法

身長、 体重、 生化学検査 (コレステロール、 血糖、 HbA1cなど) の一般的な検診項目とともに、 糞便、 血液を追加採取した。

検体を基に、 糞便細菌叢解析、 糞便メタゲノム解析、 糞便メタボローム解析、 血液メタボローム解析、 血液サイトカイン解析、 末梢血単核細胞CAGE解析を組み合わせた「統合オミクス解析」を実施した。

研究結果

  • 糞便中の果糖、 ガラクトースなどの単糖類がインスリン抵抗性に関連していた。
  • 腸内細菌のうちAlistipes属はインスリン抵抗性、 単糖類ともに負の相関を示した。
  • Alistipes indistinctusをインスリン抵抗性モデルマウスに投与した結果、 この細菌株にインスリン抵抗性の改善効果および腸管内単糖類の減少効果があることが認められた。

結論

腸内細菌の統合オミクス解析により、 腸管内の単糖類がインスリン抵抗性に強く関連すること、 また特定の腸内細菌種とその遺伝子機能がこれら単糖類と関連することが確認された。 また、 Alistipes属の代表株であるAlistipes indistinctusが、 マウスのインスリン抵抗性を改善させることが明らかとなった。

本研究は、 腸内細菌とインスリン抵抗性をつなぐ機序を解明し、 腸内細菌および腸管内単糖類が治療標的になり得ることを示した。 今後、 本成果を基に、 新しいプロバイオティクスやインスリン抵抗性の治療薬が創出されるものと期待される。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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