海外ジャーナルクラブ
18時間前
Cinciripiniらは、 癌と診断された喫煙患者を対象に、 診断後の禁煙が生存転帰に与える影響を前向きコホート研究で検討した。 その結果、 癌診断後6ヵ月以内に禁煙治療を開始した患者は、 そうでない患者に比べ生存期間が延長していたことが示された。 本研究は、 JAMA Oncol誌にて発表された。
本研究のような壮大なテーマの研究の際には、 腫瘍のstageなどが不明のことが多いのですが、 単施設研究の強みが出てデータがきちんと採られています。
癌患者における喫煙は、 総死亡率および2次癌のリスクを増加させる。 これまで禁煙治療の重要性は認識されてきたが、 治療開始時期が生存利益に与える影響については十分に解明されていない。
2006年1月1日~2022年3月3日に米・MD Anderson Cancer CenterのTobacco Research and Treatment Programを利用した4,526例の患者データを基に、 禁煙治療が癌診断後3ヵ月後、 6ヵ月後~5年以内、 5年後以降の生存転帰について解析を行った。
禁煙治療は、 6~8回の認知行動カウンセリングと10~12週間の薬物療法から構成され、 カウンセリングの95%以上はリモートで実施された。
同センターに登録された生存記録を基に、 死亡の調整ハザード比 (aHR) および喫煙者と禁煙者の75パーセンタイル生存期間が調査された。
喫煙者と比較した禁煙者の15年の死亡のaHRは以下の通りであった。
喫煙者と禁煙者の75パーセンタイル生存期間は以下の通りであった。 診断後6ヵ月~5年以内に禁煙治療を開始した患者でも生存期間は延長したが、 6ヵ月以内の介入ほど顕著ではなかった。
診断3ヵ月以内
診断6ヵ月以内
診断後6ヵ月~5年以内
著者らは、 「本研究は、 癌診断後6ヵ月以内にエビデンスに基づく禁煙治療を開始することが生存利益を最大化することを示唆している。 本結果は、 癌診断後の早期の臨床介入として禁煙が重要であることを示している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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