インタビュー
1年前
「がんを切り口に、 全人的なチーム医療を実践しませんか?」
新潟県立がんセンター新潟病院は、 がん専門病院ならではの 「重点コース」 を設けています。 その特徴などについて、 副院長の小林正明先生に聞きました。
新潟県立がんセンター新潟病院は、 年間のがん新規症例数(2020年)が約3400に上り、 県内拠点病院全体の2割を占めています。 手術件数は年4000〜5000件で推移しています。 がんの5年生存率では大腸、 胃、 肺、 乳の各分野において、 いずれも全国平均より高い実績を残しています。
「がん治療の4本柱『手術療法』『放射線治療』『薬物療法』『緩和療法』のすべてにおいてエキスパートが数多く在籍し、 診療レベルも高い。 だからこそ、 研修医にとっても有意義な研修プログラムを提供できています」
小林先生はこう強調します。 コースは以下の4つです。
「がん患者の高齢化などでニーズが増えつつある緩和ケアですが、 研修プログラムに入れている病院は全国でも珍しいと思います。 がんに興味があれば、 自分の学びたいことを最初から学べる環境で、 県外からも多くの志望があります。 実際、 今年の研修医2人はいずれも県外で、 緩和ケアに関心のある先生です」
あわせて、 必然的に多職種連携について学ぶ機会が多いといいます。
「がんは様々な併存症をもった人が多いです。 エキスパートとはいえ医師1人の対応には限界があり、 看護師や薬剤師、 放射線技師、 医療ソーシャルワーカーなどを含めた診療科横断的なチーム医療体制の充実が不可欠となります。 日々の研修で実際にチーム医療に加わることで得られるものは多いはずです」
「新潟県が設置するイノベーター育成コースにも参加できます。 MBA取得の医師や、 起業を経験した経営・変革のプロフェッショナル講師、 国内外でチャレンジし続けるイノベーターをメンターに迎え、 研修医の成長をサポートします」
がん治療のプログラムが充実している一方、 病院の特性から「救急外来や一次診療ができないのではないか、 という懸念を持つ医学生もいる」 といいます。
「初期研修病院として、 対象疾患や診療内容に偏った面があることは否めませんが、 県内・県外病院とのたすきがけなどで対応できます」
県外では、 内科・救急外来は岸和田徳洲会病院 (大阪) 、 ジェネラルスキルは福岡徳洲会病院 (福岡) と連携しています。
研修以外の生活環境や病院の雰囲気はどうなのでしょう。
「救急が多くないこともあり、 定時の出退勤も多いです。 当直の義務はなく、 入りたい場合は自主的に手を挙げるスタイルでやっています。 休日や夜間も呼び出しもほとんどありません。 ガツガツやりたい人には物足りないかもしれませんが、 自分の時間を確保したい人には適していると思います」
「指導も厳しいわけではなく、 勉強になりそうな症例や手技があれば、 他の科で研修している研修医に声をかけることもよくあります。 興味とやる気があれば、 やりたいことがどんどんできる環境です」
同病院は、 新潟駅から1駅、 最寄り駅から徒歩1分と交通アクセスは抜群です。 すぐ近くに信濃川が流れていて、 ランニングコースもあります。
「県外の人には驚かれますが、 新潟市内は冬の積雪が多いわけではなく、 日常生活への影響はそんなにありません。 田舎すぎず、 都会すぎず、 夜に飲みに行ける店も多い。 生活するにはもってこいの環境ですね」
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。