【OlympiA】BRCA陽性乳癌への術後オラパリブ、 10年時もIDFS、 DDFS、 OSを改善
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HOKUTO編集部

27日前

【OlympiA】BRCA陽性乳癌への術後オラパリブ、 10年時もIDFS、 DDFS、 OSを改善

【OlympiA】BRCA陽性乳癌への術後オラパリブ、 10年時もIDFS、 DDFS、 OSを改善
BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳癌における、 術前または術後療法後のPARP阻害薬オラパリブの術後投与の有効性について、 プラセボを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験OlympiAの結果より、最初の患者登録から10年経過後の観察期間中央値6.1年 (最長9.6年) においても、 IDFS、 DDFS、 OSの持続的改善が示された。 米・Dana-Farber Cancer InstituteのJudy E. Garber氏が発表した。

背景

中間解析でIDFS、 DDFS、 OSの改善効果は報告済み

OlympiA試験においては、 既に報告された1回目の中間解析で、 オラパリブが浸潤性疾患のない生存期間 (IDFS) および無遠隔転移生存 (DDFS) を有意に改善し、 2回目の中間解析で全生存期間 (OS) の改善も認められた。 今回、 追跡期間中央値6.1年 (最長9.6年) の解析結果が報告された。

試験の概要

対象はBRCA1/2変異陽性HER2陰性の高リスク早期乳癌

根治的局所治療および術前または術後療法を完了した、 生殖細胞系列BRCA1/2変異陽性の再発高リスクHER2陰性のStageⅡ~Ⅲ乳癌患者1,836例を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた。

  • オラパリブ群 : 921例
(オラパリブ300mgを1日2回、 1年間投与) 
  • プラセボ群 : 915例
(プラセボを1日2回、 1年間投与)

主要評価はIDFS

主要評価項目はIDFSだった。 副次的評価項目はDDFSとOS、 BRCA1/2関連癌の出現、 QOL、 安全性であった。

試験の結果

患者背景は両群で概ね一致

年齢中央値、 BRCA変異、閉経の有無などの患者背景は両群間で概ねバランスが取れていた。

層別因子であるホルモン受容体の状態においては、 トリプルネガティブ乳癌 (TNBC) がオラパリブ群81.5%、 プラセボ群82.8%であった。 また術後療法の実施割合はオラパリブ群50.1%、 プラセボ群49.7%で、 プラチナ製剤の投与歴はそれぞれ26.8%、 26.0%であった。

6年IDFS率は79.6%、 術後オラパリブでの改善が継続

今回、 2024年6月5日のデータカットオフ時点におけるIDFS、 DDFSおよびOSの3回目の中間解析結果が報告された。

6年IDFS率はオラパリブ群79.6%、 プラセボ群70.3%、 両群間差は9.4%㌽ (95%CI 5.1-12.7%㌽)、 HR 0.65(同 0.53-0.78) であり、 登録開始から10年の長期観察でも改善効果は維持されていた。

IDFSサブグループ解析の結果、事前に規定された全サブグループにおいて、 オラパリブ群のプラセボ群に対する優位性が一貫して認められた。

特にTNBC (HR 0.652、 95%CI 0.526-0.805)、 エストロゲン受容体患者 (ER) またはプロゲステロン受容体陽性患者 (HR 0.681、 同 0.437-1.051) のいずれにおいてもオラパリブ群で良好な結果が示された。

DDFS、 OSも引き続き改善

6年DDFS率は、 オラパリブ群83.5%、 プラセボ群75.7%で、 両群間差は7.8%㌽ (95%CI 3.8-11.5%㌽)、 HR 0.65 (同 0.53-0.81) だった。

6年OS率はオラパリブ群87.5%、 プラセボ群83.2%、 HRは0.72 (95%CI 0.56-0.93)とOSも持続的な改善を認めた。

DDFSサブグループ解析、 OSサブグループ解析のいずれの結果でも、事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 オラパリブ群のプラセボ群に対する優位性が一貫して認められた。

新たな安全性シグナルはなし

データカットオフ時点で死亡に至った症例は、 オラパリブ群107例 (11.6%)、 プラセボ群143例 (15.6%) であり、 主な原因は両群とも乳癌再発であった。

特に注目すべき有害事象 (AESIs) の発現率は、 オラパリブ群6.3%、 プラセボ群9.3%であり、 治療中に出現したAESIsはそれぞれ1.5% / 3.1%、 最終投与から30日以降に出現したAESIsはそれぞれ4.8% / 6.3%であった。

骨髄異形成症候群または急性骨髄性白血病を発症した患者の割合はそれぞれ0.4% / 0.7%、 肺炎は1.0% / 1.4%、 新規悪性腫瘍の出現割合は4.9% / 7.5%であった。

オラパリブ群で新規原発癌の発生率は少ない傾向

また追跡期間中に報告された新規の対側浸潤性乳癌は、 オラパリブ群34例、 プラセボ群42例、 対側非浸潤乳癌はそれぞれ3例 / 4例であった。 新規の卵巣癌または卵管癌は、 それぞれ5例 / 14例で報告された。

結論

標準治療としての術後オラパリブを支持

Garber氏は 「BRCA変異陽性HER2陰性の高リスク早期乳癌患者において、 術前または術後療法後にオラパリブを12ヵ月間投与することで、 IDFSとDDFS、 OSの臨床的意義のある持続的な改善が示された。 また新たな安全性シグナルは検出されなかった。 この結果は、 BRCA変異陽性HER2陰性の高リスク乳癌に対する標準治療としての術後オラパリブ投与を引き続き支持する結果である」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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