HOKUTO編集部
16日前
切除不能肝細胞癌 (HCC) に対するTACE+抗PD-1抗体camrelizumab+VEGFR-2チロシンキナーゼ阻害薬rivoceranib併用の有効性について、 TACE単独を対照に検証した第Ⅱ相無作為化比較試験CARES-005の結果より、 PFSが有意に改善した。 中国・Zhongda HospitalのGao-Jun Teng氏が発表した。
肝動脈化学塞栓療法 (TACE) は、 塞栓療法の適応となるHCCの標準治療として確立されているが、 長期生存には限界がある。 また免疫療法で奏効する患者も限られており、 アンメットニーズが存在する。 そのような中で、 免疫療法とTACEを組み合わせることにより免疫系を活性化し、 抗腫瘍効果を高める可能性が期待されている。
肝外転移がなく、 Child-Pugh分類がAの切除不能なHCC患者200例を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた。
治療はTACE施行が不可能な病勢進行が認められる、 または許容できない毒性が出現するまで継続された。
主要評価項目は無増悪生存期間 (PFS) *だった。 副次評価項目は、 mRECIST評価によるPFS、 TACE不可能な進行までの期間 (TTUP)、 奏効率 (ORR)、 病勢コントロール率 (DCR)、 奏効期間 (DoR)、 全生存期間 (OS)、 安全性だった。
年齢中央値、 性別、 微小血管浸潤の有無、 門脈腫瘍塞栓の状態などの患者背景は両群間で概ねバランスが取れていた。
TACE治療歴がない患者はTACE+C+R群が75.0%、 TACE群が76.0%であり、 チロシンキナーゼ阻害薬の投与歴がある患者はそれぞれ、 2.0%、 3.0%であった。
2024年10月16日をデータカットオフとした、 追跡期間中央値14.3ヵ月 (範囲 0.8-41.5ヵ月) のITT集団におけるPFS中央値は、 TACE群の3.2ヵ月(95%CI 2.4-4.2ヵ月)に対してTACE+C+R群で10.8ヵ月(同 8.8-13.7ヵ月)と有意な改善を示した(HR 0.34 [同 0.24-0.50]、p<0.0001)。
3年PFS率は、 TACE+C+R群70.8%、 TACE群31.5%とTACE+C+R群で良好な結果を示した。
またPFSサブグループ解析では、 事前に規定された全てのサブグループにおいて、TACE+C+R群のTACE群に対する優位性が一貫して認められた。
mRECIST評価によるPFS中央値も、 TACE+C+R群8.8ヵ月 (95%CI 6.2-10.8ヵ月)、 TACE群3.1ヵ月 (同 2.3-4.2ヵ月) と、 TACE+C+R群で良好な結果であった (HR 0.43 [同 0.30-0.62] )。
ITT集団におけるOS中央値は、 TACE+C+R群が24.0ヵ月 (95%CI 18.7-30.1ヵ月)、 TACE群が21.5ヵ月 (同 15.6ヵ月-NR) であり、 データはimmatureな状態だったがTACE+C+R群でより良好な傾向がみられた(HR 0.87 [同 0.57-1.32])。
RECICL評価によるORRは、 TACE+C+R群が65.0% (95%CI 54.8-74.3%)、 TACE群が29.0%(同 20.4-38.9%) であり、 DCRはそれぞれ87.0%(同 78.8-92.9%)、 63.0%(同 52.8-72.4%) と、 どちらもTACE+C+R群で良好な結果となった。
DoR中央値はTACE+C+R群が11.4ヵ月 (95%CI 9.0-17.5ヵ月)、 TACE群が6.9ヵ月 (同 4.3-9.8ヵ月)、 TTUP中央値はそれぞれ13.7ヵ月 (95%CI 10.7-19.6ヵ月)、 3.9ヵ月 (同 2.5-5.7ヵ月)と、 DoRとTTUPに関してもTACE+C+R群で改善が見られた。
10%以上の症例で報告されたGrade3以上の治療関連有害事象 (TRAE) は以下の通りとなった。
TACE+C+R群
TACE群
Teng氏は 「切除不能HCCにおいて、 TACE+camrelizumab+rivoceranib併用療法はPFSを有意に改善し、 安全性は管理可能であることが示された。 CARES-005試験では腫瘍負荷の大きい進行症例が含まれているにもかかわらず、 EMERALD-1試験、 LEAP-012試験と同様に、 TACEと免疫療法に基づく全身療法が有望な有効性を示した」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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