世界には様々な病院食があり、 患者から不評なものや人気なものと様々です。 今回は珍しい病院食について紹介します。
病院 (給食施設) で運営される「入院時食事療養」のことです。 給食は特定多数の人に食事を提供することで、 厚生労働省が定める栄養管理が必要な施設のことを特定給食施設と呼びます。 病院はこれに該当し、 学校や社員食堂、 福祉施設、 刑務所なども含まれます。
病院食は医師の診断をもとに管理栄養士が患者の年齢や性、 病状などに合わせて個別に栄養管理計画を立て、 アレルギーや嗜好を考慮して提供します。 病院食は医療保険関連法により、 全国一律で1食640円と決まっています。 患者が負担する分が460円で、 残りは保険者が支払います。
世界の病院食に目を向けると、 特色のある献立が並びます。 基本は各国の主食をベースにしたものになりますが、 日本と異なり高カロリーな病院食も提供されているようです。
病院食は患者の病状に合わせて提供されるもので、 各国同じメニューになるわけではありません。 パンが中心だったり、 チーズを多く使ったりと、 各国の食文化による違いは興味深い点です。 とはいえ、 スイスのジュネーブ大学病院では、 1700名の入院患者を対象に病院食の調査が行われ、 3人に1人が入院中に栄養失調になったという結果が出ました。
原因は病院食で「おいしくない」「冷めていて、 食欲がわかない」といった声があったそうで、 病院食が味気ないのは各国共通なのかもしれません。
世界には様々な病院食がある一方で、 日本ではオシャレな病院食が一時話題になりました。 東京・お茶の水にある井上眼科病院では、 まるで料亭のような病院食が提供され、 Twitterユーザーの投稿をきっかけに話題になりました。
病院食はちらし寿司や刺身、 煮物、 デザートなど彩りのある料理が並び、 投稿者のコメント欄には「料亭かなと思った」「羨ましい」といった返信がありました。
病院食には一般食、 嚥下力に合わせた食事、 特別治療食といった種類があります。 一般食はごはん、 汁物、 おかずといった代表的なものです。 嚥下力に合わせた食事は、 ゼリー食や流動食など咀嚼ができなかったり、 胃腸が弱っていたりする患者向けのものです。
特別治療食は糖尿病や腎臓病向けの患者のため、 肉類の脂分が少なく食物繊維が多い食事や塩分を抑えたんぱく質控える食事など工夫して提供されるものです。
日本病院会は入院時食事療法 (1食640円) の金額見直しを重点項目とし、 2022年度の次期診療報酬改定に向けた要望書を厚生労働省に提出しました。 金額を人件費や委託費に見合う水準に引き上げるように要望したものです。
病院食は患者の健康をサポートするものです。 それは医師の診断をもとに管理栄養士の高度な栄養管理によって行われます。 普段の診断が病院食に与える影響は大きく、 適切なメニューを患者に提供できるよう、 入院時食事療法の知識を蓄えておく必要があるでしょう。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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