HOKUTO編集部
3ヶ月前

大腸癌 (CRC) の1次予防におけるGLP-1受容体作動薬 (GLP-1RA) の有効性および安全性を、 標準的な予防薬であるアスピリンを対照に直接比較評価した初のリアルワールド研究の結果から、 GLP-1RAがCRCの発症リスク低下と関連することが示された。 米・The University of Texas Health Science CenterのColton Frisco Jones氏が発表した。
アスピリンは、 CRC予防の目的で長年研究されてきたが、 その有効性は限定的であり、 出血リスクが課題である。 一方で、 GLP-1RAはPI3K/Akt/mTOR経路の阻害を通じて、 大腸癌細胞株において抗炎症および抗腫瘍作用を持つ可能性が示唆されている。
米国のTriNetXデータベース (106の医療機関、 1億5,000万例の患者データ) を用いて、 2000年1月1日~24年1月1日に解析が行われた。
GLP-1RA使用者とアスピリン使用者を対象に、 交絡因子を調整した傾向スコアマッチングを用いて、 GLP-1RA群とアスピリン群を1 : 1で構成した。 アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) 服用者や、 GLP-1RA以外の血糖降下薬の使用患者などは除外された。
主要評価項目はCRCの発症率だった。 副次評価項目は、 GLP-1RAおよびアスピリンに関連する有害事象 (AE) の発現率だった。
傾向スコアマッチング後、 解析対象は各群14万828例、 計28万1,656例となった。 年齢、 性別などの患者背景は、 両群間でバランスが保たれていた。
GLP-1RA群はアスピリン群と比較し、 CRCの発症リスクを約36%低減した (HR 0.643 [95%CI 0.531-0.778])。
サブグループ解析においても、 多くの集団でGLP-1RA群に有利な結果が示された。 特に、 高リスク患者 (HR 0.579 [95%CI 0.401-0.837])、 BMI 29以下の集団 (HR 0.438 [同 0.298-0.643]) で顕著なリスク低減が認められた。
薬剤別では、 リラグルチド (HR 0.436 [95%CI 0.220-0.861]) やデュラグルチド (HR 0.471 [同 0.358-0.618]) で特にリスク減少効果が高かった。
有害事象の発現率は、 GLP-1RA群では、 消化管出血 (2% vs 2.1%、 p=0.018) や胃潰瘍 (0.5% vs 0.55%、 p=0.038)、 急性腎障害 (1.15% vs 2.8%、 p=0.0001) が、 アスピリン群と比較して有意に低かった。
一方で、 腹痛 (19% vs 16.3%、 p=0.0001) や下痢 (6.8% vs 5.4%、 p=0.0001) などの消化器症状の頻度は、 GLP-1RA群で高かった。
Jones氏は 「GLP-1RAはアスピリンと比較して良好な安全性プロファイルを有しており、 公衆衛生上の大きなインパクトを与える可能性がある。 今後、 無作為化比較試験によるさらなる検証が必要である」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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