HOKUTO編集部
6日前

米国臨床腫瘍学会 (ASCO) 2026年次総会が、 2026年5月29日 (金) ~6月2日 (火) に米・シカゴで開催される。 本稿では編集部が事前選定した注目演題のうち、 呼吸器腫瘍 (肺癌) に関する7題を、 Plenary/Oral/Rapid Oralの順で紹介する。
ASCOで最も注目される本会のメインセッション。 今年は全4題中、 呼吸器腫瘍から2題がピックアップされた。
完全切除されたstage IB-IIIA期のRET融合遺伝子陽性NSCLCに対する術後セルペルカチニブの第Ⅲ相プライマリ結果。 EGFR (ADAURA) ・ALK (ALINA) に続き、 RET陽性NSCLCにもTKI補助療法の選択肢が加わるかが焦点。 EFSのハザード比とハイリスクサブグループへのインパクト、 さらに 「補助療法はいつまで続けるべきか」 を巡る議論にも一石を投じる内容となりそう。
PD-1×VEGF二重特異性抗体ivonescimabと既存PD-1抗体チスレリズマブを 「化学療法併用」 の土俵で直接比較した第Ⅲ相OS結果。 二重特異性抗体がPD-1単独抗体を上回るか、 扁平NSCLC 1次治療のレジメン選択に直結する重要試験。 既にHARMONi-2 (NSCLC 1L IO単剤対決) でivonescimabがペムブロリズマブにPFSで勝利したことを踏まえ、 OSという臨床的に最も重要な指標で結果を出せるかが注目される。
未治療ALK陽性NSCLCに対するロルラチニブ vs クリゾチニブの第Ⅲ相CROWN試験。 5年時点でPFS中央値未到達という前例のない長期効果を示した同試験の7年アップデート。 1次治療のロルラチニブが 「実質的に再発させない治療」 となり得るのか、 PFS/OS/頭蓋内病勢進行に関する更新値に注目。 長期治療における安全性・忍容性 (CNS有害事象、 脂質異常など) の蓄積データも、 薬剤選択の重要な判断材料となる。
PD-L1陽性進行NSCLCの1次治療において、 TROP2-ADCのsacituzumab tirumotecanとペムブロリズマブの併用 vs ペムブロリズマブ単剤を比較した第Ⅲ相RCT。 化学療法を介さない 「ADC+IO」 レジメンが、 PD-L1高発現例の1次治療標準を塗り替え得るか、 PFS/ORRと忍容性プロファイル (特に間質性肺疾患・好中球減少) が焦点。 ダトポタマブ デルクステカンら他のTROP2-ADCとの位置付けも議論の対象に。
抗PD-L1抗体benmelstobart+化学療法+抗血管新生薬anlotinibの3剤併用を1次治療として評価した第Ⅲ相。 既存のIO+化学療法レジメンを上回るベネフィットが示されれば、 非扁平上皮NSCLC 1次治療のレジメン選択に新たな選択肢が加わる。 一方、 抗血管新生薬の上乗せによる毒性 (高血圧、 蛋白尿、 出血リスク) が許容範囲かも臨床応用に向けた重要ポイント。
EGFR L858R変異陽性の未治療進行・再発NSCLCに対し、 エルロチニブ+ラムシルマブ併用 vs オシメルチニブ単剤を直接比較したWJOG主導の第Ⅲ相。 L858Rはdel19と比べてオシメルチニブの効果が相対的に弱いことが知られており、 「L858R特化型の1次治療レジメンは何か」 は世界的にも未解決の臨床課題。
小型末梢NSCLCに対する縮小手術と葉切除を比較したJCOG0802/WJOG4607L試験のpost-hoc補足解析。 日本人データをもとに、 複雑区域切除の安全性と腫瘍学的妥当性を検証した。 実臨床で区域切除の適応が広がる中、 本解析は適応最適化に直結する重要なデータとなる。 特に、 これまで明確な結論が得られていなかった 「単純区域切除」 と 「複雑区域切除」 の予後や術後合併症の差について、 臨床判断の手がかりを与える内容として注目される。
今年のASCOは、 呼吸器腫瘍領域として Plenaryに2題 (LIBRETTO-432/HARMONi-6) が並ぶ年。 RET陽性NSCLCの補助療法という新たな患者集団のプラクティスチェンジ候補と、 扁平NSCLC 1次治療における二重特異性抗体BsAbの真価を問う直接比較の両者で、 結果次第では即座にガイドラインへの反映が議論されるレベルのインパクトが見込まれる。
Oral Abstract Sessionでは、 長期フォローのCROWN 7年でロルラチニブの 「治療成績の天井」 がより明確になり、 OptiTROP-Lung05ではTROP2-ADCを軸にIOと組み合わせる新パラダイムが示される。 さらにRapid OralのJCOG0802/WJOG4607L補助解析は、 日本の現場で増えている区域切除の適応最適化に直結する。
ASCO 2026における肺癌の注目演題は、 和歌山県立医科大学の赤松弘朗先生および国立がん研究センター中央病院呼吸器内科医長の吉田達哉先生にご解説いただく予定です。


HOKUTOでは各演題レポートを順次公開予定。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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