【J Clin Oncol】HR+HER2-高リスク早期乳癌へのエベロリムス追加は有益性示さず
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2ヶ月前

【J Clin Oncol】HR+HER2-高リスク早期乳癌へのエベロリムス追加は有益性示さず

【J Clin Oncol】HR+HER2-高リスク早期乳癌へのエベロリムス追加は有益性示さず
Chavez-MacGregorらは、 エストロゲン受容体 (ER) および/またはプロゲステロン受容体 (PR) 陽性HER2陰性の高リスク早期乳癌を対象に、 内分泌療法 (ET) +エベロリムス追加投与の有効性について、 第III相プラセボ対照無作為化比較試験で検討した。 その結果、 対象患者全体の評価では、 ETにエベロリムスを追加しても転帰は改善しなかった。 本研究はJ Clin Oncolにて発表された。 

📘原著論文

Phase III Randomized, Placebo-Controlled Trial of Endocrine Therapy ± 1 Year of Everolimus in Patients With High-Risk, Hormone Receptor-Positive, Early-Stage Breast Cancer. J Clin Oncol. 2024 Sep 1;42(25):3012-3021. PMID: 38833643.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Abstractの結論には、 「サブグループ解析の結果として、 閉経前患者ではmTOR阻害が有効である可能性が示唆された」 と記載されています。 しかし、 本文の結論にはそのような記載はなく、 著者らがうまく記載を使い分けているように思われます。

注)本稿は論文抄録を基にまとめを作成しております。可能であれば本文の議論事項や結論もご確認ください

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BioMedicine. 2024 Jun:104:105141.

ER+/HER2- 閉経後乳癌に対するエベロリムス+エキセメスタン

BOLERO-2試験

背景

高リスク例への術後エベロリムス投与の有効性は不明

エベロリムスは内分泌療法との併用で、 ホルモン受容体陽性転移性乳癌の無増悪生存期間 (PFS) を改善する効果が確認されている。 しかし、 高リスク早期乳癌に対する術後療法としての同薬の有効性は明らかにされていない。

研究デザイン

対象をリスク群で層別化し、 無浸潤生存期間を評価

ERおよび/またはPR陽性HER2陰性の高リスク早期乳癌1,939例を対象に、 以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。 無作為割当は、 4つのリスク群*別に層別化された。

  • エベロリムス群 : 971例
エベロリムス10mgを1日1回1年間経口投与+ET
  • プラセボ群 : 968例
プラセボ+ET : 968例
*4つのリスク群
1) pN0またはpN1miで腫瘍サイズ≥2cm、 かつOncotype DX再発スコア (RS) >25またはMammaPrint (MP)高リスク
2) 陽性リンパ節転移陽性が1~3個かつRS>25またはMP高リスク、 あるいは組織学的Grade3
3) 陽性リンパ節が4個以上
4) 術前療法後にリンパ節転移陽性が1個以上

主要評価項目は無浸潤生存期間 (IDFS)、 副次評価項目には全生存期間 (OS) と安全性が設定された。

* 「無作為化から最初の浸潤性再発 (局所・領域・遠隔)、 2回目の浸潤性原発癌 (乳癌またはそれ以外)、 またはあらゆる原因による死亡 (STEEP定義) までの時間」 と定義された。

研究結果

全体ではIDFS・OSに有意差は認められず

追跡期間中央値55ヵ月の調査の結果、 エベロリムス群193件、 プラセボ群では211件のIDFSイベントが発生した。 両群間でIDFSに有意差は認められなかった。

HR 0.94 (95% CI 0.77-1.14)、 log-rank p= 0.52

OSも両群間で有意差は示されず、 エベロリムスの有益性は認められなかった。

HR 0.97 (95%CI 0.75-1.26)、 log-rank p=0.84

閉経前患者に限るとDFS・OSは有意に改善

閉経後患者1,221例を対象としたサブグループ解析では、 IDFS・OSともに両群間で有意差がみられなかった。

IDFS : HR 1.08 (95%CI 0.86‐1.36)
OS : HR 1.19 (0.89‐1.60)

一方で閉経前患者571例では、 エベロリムス群でIDFS およびOSの有意な改善が示された。

IDFS : HR 0.64 (95%CI 0.44-0.94)
OS : HR 0.49 (95%CI 0.28-0.86)

Grade3/4のAE発現率は35%

エベロリムス群はプラセボ群に比べてGrade3および4の有害事象(AE)発現率が高かった (35% vs 7%)。

結論

エベロリムスはHR+HER2-高リスク早期乳癌にメリットなし

著者らは 「ER陽性/PR陽性の早期乳癌患者に対し、 ET+1年間のエベロリムス投与を行っても、 患者の全転帰は改善しなかった。 しかし、 サブグループ解析の結果から、 閉経前患者ではmTOR阻害が有効である可能性が示唆された」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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