海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Chavez-MacGregorらは、 エストロゲン受容体 (ER) および/またはプロゲステロン受容体 (PR) 陽性HER2陰性の高リスク早期乳癌を対象に、 内分泌療法 (ET) +エベロリムス追加投与の有効性について、 第III相プラセボ対照無作為化比較試験で検討した。 その結果、 対象患者全体の評価では、 ETにエベロリムスを追加しても転帰は改善しなかった。 本研究はJ Clin Oncolにて発表された。
Abstractの結論には、 「サブグループ解析の結果として、 閉経前患者ではmTOR阻害が有効である可能性が示唆された」 と記載されています。 しかし、 本文の結論にはそのような記載はなく、 著者らがうまく記載を使い分けているように思われます。
高リスク早期乳癌への術後タモキシフェン、 内服時期とDFSが関連
ER+/HER2- 閉経後乳癌に対するエベロリムス+エキセメスタン
エベロリムスは内分泌療法との併用で、 ホルモン受容体陽性転移性乳癌の無増悪生存期間 (PFS) を改善する効果が確認されている。 しかし、 高リスク早期乳癌に対する術後療法としての同薬の有効性は明らかにされていない。
ERおよび/またはPR陽性HER2陰性の高リスク早期乳癌1,939例を対象に、 以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。 無作為割当は、 4つのリスク群*別に層別化された。
主要評価項目は無浸潤生存期間 (IDFS)、 副次評価項目には全生存期間 (OS) と安全性が設定された。
追跡期間中央値55ヵ月の調査の結果、 エベロリムス群193件、 プラセボ群では211件のIDFSイベントが発生した。 両群間でIDFSに有意差は認められなかった。
OSも両群間で有意差は示されず、 エベロリムスの有益性は認められなかった。
閉経後患者1,221例を対象としたサブグループ解析では、 IDFS・OSともに両群間で有意差がみられなかった。
一方で閉経前患者571例では、 エベロリムス群でIDFS およびOSの有意な改善が示された。
エベロリムス群はプラセボ群に比べてGrade3および4の有害事象(AE)発現率が高かった (35% vs 7%)。
著者らは 「ER陽性/PR陽性の早期乳癌患者に対し、 ET+1年間のエベロリムス投与を行っても、 患者の全転帰は改善しなかった。 しかし、 サブグループ解析の結果から、 閉経前患者ではmTOR阻害が有効である可能性が示唆された」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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