海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Longらは、 BRAF V600変異陽性でstageⅢの悪性黒色種患者を対象に、 ダブラフェニブ+トラメチニブによる術後療法の効果を第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化試験COMBI-ADで検討した。 その結果、 ダブラフェニブ+トラメチニブによる術後療法は、 プラセボと比較して無再発生存期間 (RFS) および無遠隔転移生存期間 (DMFS) を改善した。 本研究は、 NEJM誌にて発表された。
本研究は中間、最終解析結果ともにNEJMに掲載されるという、 意義のある研究です。 近年、 中間解析が5大医学雑誌に、 最終解析が少し格下の雑誌に掲載されることが多い傾向にあります。
BRAF V600変異陽性のstageⅢ悪性黒色種患者へのBRAF阻害薬ダブラフェニブ+MEK阻害薬トラメチニブによる術後療法は、プラセボよりもRFSおよびDMFSを延長することが、 本試験の5年結果で示されている¹⁾。
本論文では、 最終解析結果として、 8年超の全生存期間 (OS) に関するデータをはじめ、 RMS、 DMFS、 安全性などの長期成績が報告された。
患者は1 : 1の割合で無作為に割り付けられた (併用群 438例、 プラセボ群 432例)
主要評価項目はRFS、 副次評価項目は長期成績におけるOSであった。
ダブラフェニブ+トラメチニブはRFSとDMFSを有意に改善させた。 プラセボ群と比較したそれぞれのHRは以下のとおりであった。
- RFS : 0.52 (95%CI 0.43-0.63)
- DMFS : 0.56 (95%CI 0.44-0.71)
また、 8年OS*は併用群 71%、 プラセボ群 65%であった (死亡のHR 0.80 (95%CI 0.62-1.01、 p=0.06))。 *Kaplan-Meier推定値
事前に規定されたサブグループ解析の結果、 併用療法の生存ベネフィットが一貫して示された。 また、 BRAF V600E変異陽性のサブグループでは、 全集団と同様の死亡リスク低減効果が示された (死亡のHR 0.75 [95%CI 0.58-0.96])。
なお、 安全性評価に関する新たな懸念は報告されなかった。
著者らは、 「ダブラフェニブ+トラメチニブによる術後療法は、 stageⅢの黒色腫患者においてRFSとDMFSを改善することが示された。 OSの解析では、 併用療法により死亡リスクが20%低減したが、 両群に統計学的な有意差は示されなかった。 さらにBRAF V600E変異を有する患者では、 併用療法により死亡リスクが25%低減していた」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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