HOKUTO編集部
7ヶ月前

BCG投与歴のない高リスクの筋層非浸潤性膀胱癌 (NMIBC) に対する抗PD-1抗体sasanlimab+BCG導入・維持併用療法の有効性および安全性について、 BCG導入・維持療法単独を対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験CRESTの結果より、 EFSが有意に改善した。 米・Carolina Urologic Reaearch CenterのNeal Shore氏が発表した。
高リスクNMIBCの標準治療は、 膀胱腫瘍経尿道的切除術 (TURBT) とBCG膀胱内投与による導入・維持療法である。 しかし再発や進行をきたす症例が多く、 特に上皮内癌 (CIS) においては持続的な病勢制御が困難である。
BCG+抗PD-1併用療法はBCG治療後にPD-1発現が増加した症例に対して支持されており、 sasanlimabは他の進行癌においても持続的な抗腫瘍効果と安全性が報告されている。
今回は、 高リスクNMIBCに対するsasanlimab+BCG併用療法の有効性について、 BCG単剤療法を対照に評価した第Ⅲ相CREST試験の1次解析結果が報告された。
対象は、 BCG未治療で、 過去に抗PD-(L)1、 PD-L2、 CTLA-4抗体や免疫賦活薬による治療歴がない高リスク*NMIBCだった。
1,055例を以下の3群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けた。 今回はA群 vs C群の結果が報告された。
主要評価項目はA群 vs C群の無イベント生存期間 (EFS) で、 高異型度癌の再発、 進行、 CISの持続、 死亡のいずれかまでの期間と定義された。
主要副次評価項目はB群 vs C群のEFS、 全生存期間 (OS) だった。 選択的副次評価項目として、 CIS患者の完全奏効 (CR) 率とCR持続期間、 安全性、 QoLが設定された。
A群/C群間において、 年齢、 性別、 人種などの患者背景は概ねバランスが取れていた。 T1の割合は58.0% / 55.3%、 CIS±TaまたはT1は25.0% / 25.1%、 CIS単独は14.8% / 14.2%だった。
2024年12月2日のデータカットオフ時点における治療完遂率は、 A群のsasanlimabが46.3%/BCG-Mが48.6%、 C群のBCG-Mが57.8%だった。 主な治療中止の原因としては、 有害事象 (AE) がA群の31.8%(sasanlimab中止)/21.9%(BCG-M中止)、 C群が9.7%(BCG-M中止)で、 効果不十分がA群で8.0%/9.1%、 C群で15.4%だった。
追跡期間中央値36.3ヵ月における、 A群/C群の24ヵ月時EFS率は84.7% / 79.9%、 36ヵ月EFS率は82.1% / 74.8%とA群で有意に改善した(HR 0.68 [95%CI 0.49-0.94]、 片側p=0.0095)。 EFSイベントのうち、 高異型度癌の再発はA群の7.4%、 C群の15.1%に認められ、 A群でおよそ半減した。
EFSサブグループ解析の結果、 事前に規定された全てのサブグループにおいて、 A群のC群に対する優位性が一貫して認められた。 特にCISまたはT1を有する患者において、 A群がC群と比較し明らかに優れた結果であることが示された (CISを有する患者のHR 0.53 [同 0.29-0.98]、 T1を有する患者のHR 0.63 [同 0.41-0.96])。
また追跡期間中央値36.3ヵ月における、 B群/C群の24ヵ月時EFS率は75.5% / 79.9%、 36ヵ月EFS率は71.5% / 74.8%と、 両群間に差は認められなかった(HR 1.16 [同 0.87-1.55]、 片側p=0.8439)。
追跡期間中央値40.9ヵ月における、 A群/C群のOSイベント数は32件(9.1%) / 29件(8.3%)で有意差を認めなかった(HR 1.13 [95%CI 0.68-1.87]、 片側p=0.6791)。
A群/C群のCIS患者におけるCR率は89.8%/85.2%(片側p=0.1878)で、 CRの持続期間は12ヵ月間が97.3% / 90.3%、 24ヵ月が93.2% / 84.7%、 36ヵ月が91.7% / 67.7%だった。
EORTC-QLQ-C30 Global QoLの評価において、 sasanlimab+BCG-I+M療法によるQoLは維持されていた。
A群におけるsasanlimabの投与期間中央値は80.3週(範囲 4.0-103.9週)で、 BCG-Mの投与期間中央値はA群が98.1週(同 2.0-125.1週)、 C群が98.9週(同 2.0-110.0週)だった。
A群/C群におけるGrade3/4の治療関連有害事象 (TRAE) の発現率は29.1% / 6.3%で、 重篤なTRAEの発現率は17.7% / 1.4%だった。 死亡に至るTRAEは両群とも認めなかった。
またBCGにsasanlimabを併用しても、 免疫介在性有害事象の発生率と重症度に大きな影響を及ぼさなかった。
Shore氏は 「sasanlimab+BCG導入・維持併用療法は、 BCG単独療法と比較し、 高リスクNMIBC患者のEFSを有意に改善した。 特にCISを有する患者では、 CRの持続率が有意に高かった。 同併用療法の安全性プロファイルは、 各薬剤単独での既知の安全性プロファイルと概ね一致していた」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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