HOKUTO編集部
20日前
大阪公立大学の前田夏美氏らの研究グループは、 大腸内視鏡検査を受ける患者を対象に、 ポリエチレングリコール+アスコルビン酸 (PEG-Asc) 1Lに補助薬として慢性便秘症治療薬リナクロチド0.5mgを併用する大腸内視鏡前処置法 (BP) の腸管洗浄効果および有害事象・忍容性について、 補助薬として刺激性下剤センナ24mgを併用するBPを対照に国内多施設共同内視鏡医盲検化無作為化比較試験Appleで比較評価した。 その結果、 PEG-Asc 1Lへのリナクロチド併用はセンナ併用に比べて優れた洗浄効果を示し、 有害事象・忍容性に大きな差は認められなかった。 本研究はAm J Gastroenterol誌において発表された。
従来のBPでは十分な洗浄効果を得るために大量の腸管洗浄剤が必要である。 一般的に、 ポリエチレングリコール腸管洗浄剤 (PEG) 4Lか、 PEG-Asc 2Lを服用し、 腸管を洗浄する方法が用いられてきたが、 どちらも服用量が多く、 患者負担が大きいことが課題になっている。
過去の研究において、 PEG-Ascに補助薬としてセンナを併用することで、 PEG-Ascの必要量を2Lから1Lに減らせることが証明されたものの、 腹痛を感じる患者の割合が多く、 便秘症に対する洗浄効果も乏しかった。
そこで本研究では、 PEG-Asc 1Lへのリナクロチド併用による腸管洗浄効果、 有害事象および忍容性を、 無作為化比較試験Appleで上記PEG-Asc 1L+センナと比較評価した。
国内の5施設で、 大腸内視鏡検査を予定している外来患者1,464例が以下2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はボストンスケール (BBPS) *を用いて評価した適切なBP (合計スコアが6以上かつ各セグメントスコアが2以上と定義) であった。 解析はBP不良の低リスク患者と高リスク患者に層別化して行われた。
1L-PEG/AL群は1L-PEG/AS群と比べて適切なBP達成率が有意に高かった (92% vs 86%、 p=0.001)。
BP不良の高リスク患者892例では、 1L-PEG/AL群において適切なBP達成率が有意に高かった (94% vs 86% 、 p<0.001) 一方で、 低リスク患者539例では両群に有意差は認められなかった (94% vs 94%、 p=0.66)。
両群で有害事象の発現率は類似しており、 いずれも再度のBPへの同意率が高かった (83% vs 81%、 p=0.49)。
著者らは 「PEG-Asc 1Lへのリナクロチド併用は、 忍容性を低下させることなく、 センナ併用と比べて腸管洗浄効果を向上させた。 BP不良高リスク患者でも有効であり、 今後、 BPの有望な選択肢となる可能性がある」 と報告している。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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