【DOACまとめ】4剤の最新適応と腎機能別用量を比較!
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19日前

【DOACまとめ】4剤の最新適応と腎機能別用量を比較!

【DOACまとめ】4剤の最新適応と腎機能別用量を比較!
2025年2月、 リクシアナ®錠が慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する適応追加の承認を取得した。 DOAC (直接作用型経口抗凝固薬) として、 本疾患に対する適応取得は初となる。 本記事では、 最新のDOAC4剤に関する適応、 用法・用量、 使用時のポイントを整理する。 
⚠免責事項:本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません. 参考情報とし、 実際に使用においては、 個々の患者の病態や、 最新の薬剤情報、 ガイドラインを確認の上、 必ず利用者の判断と責任でご利用ください.

DOACの適応

【DOACまとめ】4剤の最新適応と腎機能別用量を比較!

DOAC用法・用量

主に腎機能別の用法・用量を整理した。 腎機能低下以外の禁忌事項は薬剤ごとに異なるため、 必ず添付文書を参照すること。

① NVAFの塞栓症予防

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② VTEの治療/再発抑制

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エリキュース®は、 2025年3月に適応追加された 「アミバンタマブ+ラゼルチニブ療法に伴うVTE発症抑制」 として、 治療開始後4ヵ月間、 1回2.5mgを1日2回経口投与する。 

③ 術後VTEの予防

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④ PAD術後の塞栓症予防

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⑤ CTEPHの塞栓症予防

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⑥ 小児VTEの治療/予防

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⑦ 小児Fontan術後の塞栓症予防

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要点解説

① NVAFの塞栓症予防

「不整脈薬物治療ガイドライン (2020年改訂版) 」 では、 NVAFに対しCHADS₂スコア1点以上で抗凝固療法が推奨されており、 DOACが第一選択とされている。 ただし、 僧帽弁狭窄症や機械弁置換術後では、 ワルファリンが推奨されている。

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近年、 非弁膜症性心房細動患者において、 長期の抗凝固療法が困難な症例に対する代替治療として、 左心耳閉鎖 (LAAC : Left Atrial Appendage Closure) 術が注目されている。 LAAC後の抗血栓療法は、 デバイス関連血栓予防を目的に施行されるが、 現時点で明確なエビデンスに基づく標準レジメンは存在しない。 (低用量) DOACが使用されることがある¹⁾が、 日本では保険適応外であることに留意が必要である。

② VTEの治療/再発抑制

「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、 予防に関するガイドライン (2017年改訂版) 」 では、 血行動態が安定している急性PE (肺塞栓症) および中枢型DVT (深部静脈血栓症) に対しDOACが推奨されている。 大規模臨床試験の結果、 ヘパリン・ワルファリンに対してVTE再発の非劣性が示されており、 出血性合併症は有意に少ない。

リクシアナ®は非経口抗凝固薬 (ヘパリン等) による初期治療後に投与開始となる。 一方、 イグザレルト®およびエリキュース®は初期治療から使用可能である。

エリキュース®は、 抗癌薬治療中のVTE予防に対する適応を有する。 ただし、 この適応は、 非小細胞肺癌に対するアミバンタマブ+ラゼルチニブ療法で高頻度に認められるVTEの予防に限定されたものであることに留意が必要である。

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📝 CA-VTE : DOAC注意点 >>復習する

③ 術後VTEの予防

リクシアナ® (60mg錠を除く) のみの適応である。 他の適応症と異なり、 CCr 30mL/min未満が禁忌である。

④ PAD術後の塞栓症予防

イグザレルト®2.5mg錠のみが本適応を有しており、 用法や禁忌基準が他適応と異なる。 アスピリン (81~100mg/日) との併用が前提である。

VOYAGER PAD試験において、 「アスピリン+低用量リバーロキサバン」 は 「アスピリン+プラセボ」 と比較して、 急性下肢虚血・血管疾患による大切断術・心筋梗塞・虚血性脳卒中・心血管死の推定発生率を低下させたと報告されている。

⑤ CTEPHの塞栓症予防

リクシアナ®のみの適応である。 承認根拠となったKABUKI試験では、 再灌流療法後の安定期CTEPH患者において、 エドキサバンはワルファリンと比較して肺血管抵抗の悪化抑制に対して非劣性を示した。 症候性VTEや臨床的悪化は両群で認められず、 出血リスクも同程度であった。

⑥ 小児VTEの治療/予防

イグザレルト® (2.5mg錠を除く) のみが適応を有しており、 非経口抗凝固薬 (ヘパリン等) による初期治療を5日以上施行後に投与を開始する。

⑦ 小児Fontan術後の塞栓症予防

イグザレルト®のみの適応である。 承認根拠となったUNIVERSE試験では、 Fontan術後の小児において、 リバーロキサバンはアスピリンと比較して血栓予防効果・安全性ともに同程度であることが示された。 年齢と体重に応じた用量設計のもと、 薬物動態の妥当性も確認されている。

出典

  1. Thromb Haemost. 2024 (オンライン版)

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💊 薬剤添付文書

イグザレルト®︎錠 / 2.5mg / ドライシロップ

リクシアナ®︎ エリキュース®︎ プラザキサ®︎

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最終更新 : 2025年4月10日
監修 : 聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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