【Gastroenterology】肥満クローン病への時間制限食、 排便4割減・疾患活動性も改善
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3日前

【Gastroenterology】肥満クローン病への時間制限食、 排便4割減・疾患活動性も改善

【Gastroenterology】肥満クローン病への時間制限食、 排便4割減・疾患活動性も改善
Haskeyらは、 過体重または肥満を有する寛解期の成人クローン病 (CD) 患者を対象に、 時間制限食 (TRF) *が臨床的疾患活動性、 体組成、 全身性炎症に及ぼす影響を無作為化比較試験で検討した。 その結果、 TRFは臨床的疾患活動性を低下させるだけでなく、 BMIおよび内臓脂肪 (VAT) の低下を通じて体組成を有意に改善し、 それに伴い、 炎症促進性サイトカインおよびアディポカインに好ましい変化をもたらす可能性が示された。 本研究はGastroenterology誌において発表された。
*食事摂取を一定の時間帯 (8時間) に制限し、 残りの時間 (16時間) は断食する断続的断食の一形態

📘原著論文

Time-Restricted Feeding Reduces Body Mass Index, Visceral Adiposity, Systemic Inflammation, and Clinical Disease Activity in Adults With Crohn's Disease: A Randomized Controlled Study. Gastroenterology. 2026 May;170(5):1051-1054. PMID: 41661119

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

TRFの効果が体重減少そのものによる影響か、 独立した免疫・代謝調節作用によるものかを十分に区別できておらず、 今後はより大規模な多施設研究や、 カロリー制限・薬物療法との比較検討が必要です。

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背景

IBD患者を対象にTRFを評価した対照研究は未実施

CD患者の約40%は過体重または肥満を有しており、 特にVATは代謝異常や全身性炎症に加え、 生物学的製剤への反応低下、 疾患活動性の増大、 生活の質 (QOL) の低下、 外科的合併症リスクの増加などの不良な臨床転帰に関与する。 一方で、 炎症性腸疾患 (IBD) において、 脂肪蓄積や代謝機能障害を標的とした生活習慣介入に関する知見は限られている。

また、 一般集団では、 TRFを含む断続的断食により、 カロリー制限とは独立してVATの減少、 インスリン抵抗性の改善、 循環サイトカインの低下など、 代謝改善効果および抗炎症効果が示されているものの、 慢性炎症、 免疫調節異常、 腸内細菌叢の変化を特徴とするIBD患者を対象に、 TRFを評価した対照研究はこれまで行われていない。

研究デザイン

過体重・肥満を有する寛解期CD成人患者を対象にTRFの有用性を検討

過体重または肥満を有する寛解期のCD成人患者を対象に、 TRFが臨床的疾患活動性、 体組成、 全身性炎症に及ぼす影響を12週間の無作為化比較試験で評価した。

35例が以下の2群に無作為に割り付けられた。

  • TRF群 : 20例
週6日、 1日16時間連続して断食し、 8時間の食事時間帯内で通常の食事を摂取
  • 対照群 : 15例
制限のない通常の食事パターンを継続

体重および身長を測定し、 BMIを算出した。 便サンプルを採取して便中カルプロテクチンおよび腸内細菌叢の解析を行い、 血清サンプルを用いてベースライン時および12週時に免疫代謝バイオマーカーを評価した。

結果

TRF群でBMIが有意に低下、 カロリー制限とは独立した可能性

TRF群における遵守率は平均±標準偏差で95%±8%であった。

12週時において、 TRF群は対照群と比べてBMIが有意に低下した (Δ -0.9±0.03kg/m² vs +0.6±0.3kg/m²、 p<0.001)。

エネルギー摂取量および食事の質 (地中海式食事指数) において、 群間差または経時的変化は認められず、 BMI低下がカロリー制限および食事の質とは独立して生じた可能性が示唆された。

TRF群で臨床的疾患活動性が有意に改善、 排便回数・腹部不快感も軽減

Harvey-Bradshaw Indexで測定した臨床的疾患活動性がTRF群で有意に改善した (Δ -2±4 vs -0.5±2、 p=0.02)。

また、 TRF群では排便回数が40%減少し、 腹部不快感が50%軽減したものの、 対照群では同様の変化が認められなかった。

TRF群でアディポカインおよびVATが有意に減少

TRF群では対照群と比べて、 レプチン、 プラスミノーゲン活性化抑制因子-1 (PAI-1)、 アディプシンを含む血清アディポカインが有意に減少した (いずれもp<0.05)。 肥満および炎症のマーカーであるレプチンは、 TRF群で有意に低下した (p<0.001)。 脂肪組織リモデリングおよび免疫調節に関連するPAI-1およびアディプシンも、 介入後に有意に低値を示した (いずれもp<0.05)。

また、 二重エネルギーX線吸収測定法のデータが得られた参加者サブセットでは、 TRF群でVATが減少した一方、 対照群では増加し、 群間で有意差が認められた (p<0.05)。

BMI低下幅は抗炎症性・炎症促進性サイトカインの双方と正の相関

炎症反応の異質性を探索するため、 TRF群のうちBMIが1単位超低下した患者を対象に、 サイトカインプロファイルを解析した結果、 BMI低下幅が大きいほど、 抗炎症性サイトカイン (IL-1RA、 IL-4、 r=0.78) および炎症促進性サイトカイン (IL-2、 IL-12p40、 IL-12p70、 r=0.83-0.90) の双方と正の相関を示した。

推測の域を出ないものの、 抗炎症性サイトカインと炎症促進性サイトカインが同時に増加したことは、 免疫再調整の進行過程と整合する可能性がある。

一方で、 12週時点でCRPおよび便中カルプロテクチンに群間差は認められなかった。

TRF群で腸内細菌叢の多様性が増加傾向、 短鎖脂肪酸産生菌が増加

TRF群の腸内細菌叢解析では、 微生物多様性の増加傾向 (Fisher α、 p=0.06) と、 Butyricimonas synergisticaOdoribacter splanchnicusBlautia schinkiiを含む短鎖脂肪酸産生菌群の増加が認められた。 Bacteroides ovatusおよびEscherichia/Shigella種はBMI低下と逆相関し、 Clostridium ramosumAnaerococcus vaginalisPeptoniphilus coxiiは正の相関を示した (p<0.05)。

これらの関連は多重検定補正後に有意性を維持しなかったものの、 TRFに関連した腸内細菌叢の変化が、 脂肪蓄積および免疫調節の改善に伴う、 あるいは促進する可能性が示唆された。

結論

TRFが実行可能な補助的栄養戦略となる可能性

著者らは 「本無作為化比較試験により、 過体重または肥満を有する寛解期のCD患者において、 TRFは臨床的疾患活動性を低下させるだけでなく、 BMIおよびVATの低下を通じて体組成を有意に改善し、 それに伴い、 炎症促進性サイトカインおよびアディポカインに好ましい変化をもたらす可能性が示された。 CRPおよび便中カルプロテクチンはおおむね安定していたことから、 臨床的改善は活動性炎症の消退というより、 症状の最適化や生理的恒常性の向上を反映している可能性がある。 小規模・短期間のパイロット研究であり一般化には限界があるものの、 TRFは肥満を有するCD患者における実行可能な補助的栄養戦略となり得る。 今後は、 体重に依存しない機序と長期的有効性を検証するため、 より大規模な多施設共同コホート研究を実施すべきである」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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