海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前
Chiaらは、 アジアおよび中東地域の大腸癌患者を対象に、 標準術後療法終了後の低用量アスピリン投与による二次予防効果について国際多施設共同第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照試験ASCOTで評価した。 その結果、 アスピリン投与による忍容性は良好であったものの、 5年無病生存期間 (DFS) 率の改善は示されなかった。 本研究は、 Lancet Gastroenterol Hepatol誌にて発表された。
まだまだアスピリン万能薬説は根強く医学会にはあります。
不健康な生活習慣の人ほどアスピリンによる大腸癌予防効果が高い
アスピリンは簡便かつ入手が容易な薬剤であり、 大腸癌の発症率を減少させることが知られている。
本研究では、 標準術後療法終了後の大腸癌患者の二次予防を目的としたアスピリン投与について、 有効性および安全性を第Ⅲ相プラセボ対照試験ASCOTで評価した。
11ヵ国と地域 (アジア太平洋地域10ヵ所、 中東1ヵ所) の66施設における3ヵ月にわたる標準術後療法終了後の大腸癌*患者 (18歳以上) 1,550例が、 以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
アスピリンおよびプラセボは3年間投与され、 5年間追跡された。
試験施設、 腫瘍部位と病期、 術後療法におけるオキサリプラチンの有無によって層別化され、 層別化Coxモデルを用い、 全イベントが解析された。
主要評価項目は5年時のDFS率であった。
データカットオフ時の追跡期間中央値は59.2ヵ月 (IQR 36.7-60.0) であった。
主要評価項目である5年DFS率は、 アスピリン群が77.0% (95%CI 73.6-80.0%)、 プラセボ群が74.8% (同71.3-77.9%) であり、 両群で有意差は示されなかった (HR 0.91[95%CI 0.73-1.13]、 p=0.38)。
重篤な有害事象は、 アスピリン群が95例 (12%)、 プラセボ群が107例 (14%) であった。 両群で治療に関連した死亡例は報告がなかった。
特記すべき有害事象として、 急性心筋梗塞はアスピリン群が0例、 プラセボ群が2例、 虚血性脳血管障害はアスピリン群が0例、 プラセボ群が2例、 大腸出血はアスピリン群が3例、 プラセボ群が1例であった。
著者らは 「標準術後療法終了後の大腸癌患者におけるアスピリン投与について、 忍容性は良好であったが、 5年DFS率の改善は示されなかった。 現在、 アスピリン感受性バイオマーカーを用いたトランスレーショナルスタディが進行中であり、 今後の結果が待たれる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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