海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
Atiaらは、 小児の炎症性腸疾患 (IBD) 患者を対象に、 ベドリズマブの寛解維持療法における長期的な有効性および安全性を海外多施設共同前向きコホート研究VEDOKIDSで検討した。 その結果、 ベドリズマブは有用であり、 特に潰瘍性大腸炎 (UC) 患者において高い有効性を示すことが明らかになった。 本研究は、 Lancet Gastroenterol Hepatol誌にて発表された。
完全寛解率は、 クローン病 (CD) が25%、 UCおよび分類不能が47%と大きく異なるため、 プラセボ群があると有効性がより明らかになると思います。
欧米において、 小児のIBD患者に対して現時点で承認されている生物学的製剤はインフリキシマブとアダリムマブ*のみであり、 他は適応外で処方されている。 また、 ベドリズマブは処方されているにもかかわらず、 小児における前向きのエビデンスは寛解導入療法の短期的な成績に限定されている。
そこで本研究では、 小児のIBD患者におけるベドリズマブの寛解維持療法における長期的な有効性および安全性について評価した。
イスラエル、 米国、 イタリア、 アイルランド、 デンマーク、 スロベニアの6ヵ国、 17施設においてベドリズマブの静脈内投与を開始した18歳未満のIBD患者137例 (CD64例、 UC64例、 分類不能な9例はUCとして解析) を対象として、 54週にわたり追跡した。 ベドリズマブの投与量およびスケジュールは標準化されておらず、 他の薬剤との併用も許可された。
主要評価項目は54週時点の完全寛解であり、 「完全寛解」 は以下のように定義された。
主要評価項目である54週時点の完全寛解率は、 CDが25%、 UCおよび分類不能が47%であった。
CD患者では、 wPCDAI中央値は、 ベースライン時の35点 (IQR 18-49点) から54週時点には13点 (IQR 0-25点) に改善した (差の中央値 -14㌽[95%CI -33-0㌽])。
UC患者では、 PUCAIスコア中央値は、 ベースライン時の25点 (IQR 15-50点) から54週目には5点 (IQR 0-25点) に改善した (差の中央値 -10㌽[95%CI -30-0㌽])。
6週時点まで疾患活動性の有意な改善が示されたが、 それ以降は認められなかった。
137例中29例 (21%) に38件のベドリズマブに関連する有害事象が認められた。 主な有害事象は頭痛 (7例)、 筋肉痛 (4例)、 発熱 (4例) であり、 いずれも重篤ではなかった。
著者らは 「ベドリズマブの寛解維持療法は小児のIBD患者に対して有効かつ安全であり、 特にUC患者において高い有効性を示した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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