【Lancet Gastroenterol Hepatol】小児IBD、特にUCで小児適応外のベドリズマブ維持療法が有用
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海外ジャーナルクラブ

1ヶ月前

【Lancet Gastroenterol Hepatol】小児IBD、特にUCで小児適応外のベドリズマブ維持療法が有用

【Lancet Gastroenterol Hepatol】小児IBD、特にUCで小児適応外のベドリズマブ維持療法が有用
Atiaらは、 小児の炎症性腸疾患 (IBD) 患者を対象に、 ベドリズマブの寛解維持療法における長期的な有効性および安全性を海外多施設共同前向きコホート研究VEDOKIDSで検討した。 その結果、 ベドリズマブは有用であり、 特に潰瘍性大腸炎 (UC) 患者において高い有効性を示すことが明らかになった。 本研究は、 Lancet Gastroenterol Hepatol誌にて発表された。

📘原著論文

Maintenance treatment with vedolizumab in paediatric inflammatory bowel disease (VEDOKIDS): 54-week outcomes of a multicentre, prospective, cohort study. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025 Jan 6:S2468-1253(24)00319-4. Online ahead of print. PMID: 39788134

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

完全寛解率は、 クローン病 (CD) が25%、 UCおよび分類不能が47%と大きく異なるため、 プラセボ群があると有効性がより明らかになると思います。

背景

現時点で前向きのエビデンスは導入療法の短期的成績に限定

欧米において、 小児のIBD患者に対して現時点で承認されている生物学的製剤はインフリキシマブとアダリムマブ*のみであり、 他は適応外で処方されている。 また、 ベドリズマブは処方されているにもかかわらず、 小児における前向きのエビデンスは寛解導入療法の短期的な成績に限定されている。

そこで本研究では、 小児のIBD患者におけるベドリズマブの寛解維持療法における長期的な有効性および安全性について評価した。

*本邦において小児への投与は承認されていない

研究デザイン

主要評価項目は54週時点の完全寛解

イスラエル、 米国、 イタリア、 アイルランド、 デンマーク、 スロベニアの6ヵ国、 17施設においてベドリズマブの静脈内投与を開始した18歳未満のIBD患者137例 (CD64例、 UC64例、 分類不能な9例はUCとして解析) を対象として、 54週にわたり追跡した。 ベドリズマブの投与量およびスケジュールは標準化されておらず、 他の薬剤との併用も許可された。

主要評価項目は54週時点の完全寛解であり、 「完全寛解」 は以下のように定義された。

  • 手術、 完全経腸栄養、 ステロイドを必要としない
  • CRP濃度が基準値上限 (ULN) 0.5mg/dLの1.5倍未満である
  • 臨床的寛解を達成
  • CD : 小児のCD活動指数 (wPCDAI) が12.5未満
  • UC : 小児のUC活動指数 (PUCAI) が10未満

研究結果

54週時点の完全寛解率はCDで25%、 UCでは47%に

主要評価項目である54週時点の完全寛解率は、 CDが25%、 UCおよび分類不能が47%であった。

CD患者では、 wPCDAI中央値は、 ベースライン時の35点 (IQR 18-49点) から54週時点には13点 (IQR 0-25点) に改善した (差の中央値 -14㌽[95%CI -33-0㌽])。

UC患者では、 PUCAIスコア中央値は、 ベースライン時の25点 (IQR 15-50点) から54週目には5点 (IQR 0-25点) に改善した (差の中央値 -10㌽[95%CI -30-0㌽])。

6週時点まで疾患活動性の有意な改善が示されたが、 それ以降は認められなかった。

安全性プロファイルは良好

137例中29例 (21%) に38件のベドリズマブに関連する有害事象が認められた。 主な有害事象は頭痛 (7例)、 筋肉痛 (4例)、 発熱 (4例) であり、 いずれも重篤ではなかった。

結論

ベドリズマブの維持療法は小児のIBD、 特にUCで有用

著者らは 「ベドリズマブの寛解維持療法は小児のIBD患者に対して有効かつ安全であり、 特にUC患者において高い有効性を示した」 と報告している。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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