大腸がんTME術前でのFOLFOX療法併用の非劣性を証明:PROSPECT
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HOKUTO編集部

1年前

大腸がんTME術前でのFOLFOX療法併用の非劣性を証明:PROSPECT

大腸がんTME術前でのFOLFOX療法併用の非劣性を証明:PROSPECT

局所進行直腸癌に対する直腸間膜全切除(TME)の術前補助療法において、 FOLFOX療法+選択的CRT併用のCRT単独群に対する非劣性を検証する多施設共同非盲検第Ⅲ相ランダム化比較試験PROSPECTの結果から、 無病生存期間(DFS)における非劣性が示された。

2023年6月2~6日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)において、 米・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのDeborah Schrag氏が発表した。 同試験の詳細は、 NEJM(2023年6月4日オンライン版)に同時掲載された。

PROSPECT試験の概要

対象と方法

局所進行直腸癌(cT2N+、 cT3N-、 cT3N+)患者1,194例(うち1,128例が治療開始)を、 以下の2つの群に1:1でランダムに割り付けた。

  • FOLFOX療法群:585例

FOLFOX(5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン)療法を6サイクル後、以下ならCRT施行

  1. 原発腫瘍の退縮が20%未満
  2. FOLFOX療法に不耐性
  • CRT群:543例

骨盤内照射(5,040cGy)+カペシタビンまたは5-FU併用(5.5週)

評価項目

  • 主要評価項目:無病生存期間(DFS)
  • 副次評価項目:局所再発(time-to-event解析)、 全生存期間(OS)、 完全切除(R0)率、 病理学的完全奏効、 毒性、 QOL

ROSPECT試験の結果

追跡期間中央値58カ月

患者背景

  • 年齢中央値57歳。 女性34.5%。 臨床的リンパ節転移陽性61.9%。
  • アジア人は3~5%。
  • FOLFOX群の58例(9.1%)が術前CRTを、 8例(1.4%)が術後CRTを受けた。

DFS

5年DFS率(95%CI)

  • FOLFOX療法群:80.8%(77.9-83.7%)
  • CRT群:78.6%(75.4-81.8%)

HR 0.92(90.2%CI 0.74-1.14)、 P=0.005

事前に設定された非劣性マージンは1.29。

※ 年齢およびリンパ節転移の有無を調整後のHR 0.90(90.2%CI 0.73-1.13)

大腸がんTME術前でのFOLFOX療法併用の非劣性を証明:PROSPECT

無局所再発生存期間 (local recurrence free)

5年無局所再発生存率

  • FOLFOX療法群:98.2%
  • CRT群:98.4%

HR 1.18、 95%CI 0.44-3.16

OS

5年OS率

  • FOLFOX療法群:89.5%
  • CRT群:90.2%

  HR 1.04、95%CI 0.74-1.44

有害事象 (AE)

術前補助療法関連のAE、 また術後補助療法関連のAE(いずれもグレード3以上)の発現率は以下の通り。

  • FOLFOX療法群:41%、 25%
  • CRT群:23%、 39%

Schrag氏らの結論

TMEが適応となる局所進行直腸癌に対し、 術前のFOLFOX療法+選択的CRTは、 安全かつ有効な治療オプションとなりうる。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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