海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Liらは、 急性脳梗塞の患者を対象に、 reteplaseとアルテプラーゼの有効性と安全性について無作為化比較試験で検討した。 その結果、 良好な機能的転帰を得られる割合はreteplase群のほうがアルテプラーゼ群よりも高かった。 本研究はNEJMにおいて発表された。
本研究では、 非劣性どころかreteplaseの優越性が証明されています。 症例数が担保される研究であればこのような研究デザインが理想かもしれません。 今後の使用拡大が期待されます。
アルテプラーゼは、 早期再灌流療法に用いられる標準的な薬剤であるが、 投与が複雑で時間がかかることなどのデメリットから代替となる血栓溶解薬が必要とされている。 急性脳梗塞患者におけるreteplaseの、 アルテプラーゼと比較した有効性および安全性はこれまで明らかになっていなかった。
発症後4.5時間以内の急性脳梗塞患者 1,412例をいずれかの群に1:1で無作為に割り付けた。
- reteplaseダブルボーラス投与群 : 707例
- 従来のアルテプラーゼ投与群 : 705例
主要評価項目は、 非常に良好な機能的転帰として、 90日時点の🔢修正Rankinスケールのスコアが0 (全く症候がない)または1 (症候はあっても明らかな障害はない)と定義した。
また、 安全性の主要評価項目として、 症状発現後36時間以内の症候性頭蓋内出血を評価した。
結果、 非常に良好な機能的転帰を得た割合は、 reteplase群では79.5%、 アルテプラーゼ群では70.4%であった (リスク比 : 1.13 [95%CI 1.05-1.21]、 非劣性のp<0.001、 優越性のp=0.002)。
症状発現後36時間以内の症候性頭蓋内出血が認められた割合は、 reteplase群では2.4% (17/700例)、 アルテプラーゼ群では2.0% (14/699例) であった (リスク比 : 1.21 [95%CI 0.54-2.75] )。
また、 90日時点での頭蓋内出血発生率は、 reteplase群では7.7%と、 アルテプラーゼ群における4.9%に比べて高かった (リスク比 : 1.59 [95%CI 1.00-2.51] )。
有害事象の発現率は、 reteplase群では91.6%と、 アルテプラーゼ群における82.4%に比べて有意に高かった (リスク比 1.11 [95%CI 1.03-1.20])。
著者らは結論にて 「発症後4.5時間以内の急性脳梗塞患者においては、 アルテプラーゼよりもreteplaseのほうが非常に良好な機能的転帰をもたらす可能性が高い」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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