海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前

Menichelliらは、 癌を合併した心房細動 (AF) 患者を対象に、 直接作用型経口抗凝固薬 (DOAC) とビタミンK拮抗薬 (VKA) の臨床アウトカムを全国規模のイタリア抗凝固患者レジストリ START2を用いた傾向スコアマッチング解析で比較した。 その結果、 DOAC使用例ではVKA使用例と比べて全死亡および心血管イベントのリスクが有意に低かった。 一方、 出血リスクは概ね同程度であった。 研究結果はCancerに発表された。
STARTレジストリには癌の病期、 二分類以上の詳細な癌活動性、 抗癌治療の内容といった詳細な情報が含まれていません。 これらの因子は予後に大きく影響し、 治療選択や転帰にも影響を及ぼした可能性があります。
癌を合併したAF患者では、 VKAが用いられることが多い。 しかし、 高リスク集団である癌合併AF患者におけるVKAを用いた抗凝固管理の質に応じたDOACの有益性は検討されていなかった。
本研究はイタリアの抗凝固療法患者レジストリ START2に登録された癌合併AF患者を対象とした観察研究である。
本研究では傾向スコアマッチングを行いてDOAC使用者とVKA使用者を比較した。 VKA使用者は至適治療域内時間 (TTR)が70%未満または70%以上で層別化し、 DOAC使用者と比較した。
主要評価項目は全死亡であった。 また、 心血管イベント、 出血リスクも評価した。 全死亡はHR、 心血管イベントと出血リスクは競合リスクを考慮したサブディストリビューションハザード比 (sHR)を用いて評価した。 治療必要数 (NNT) と有害必要数 (NNH) も算出した。
解析には計1,605例 (年齢中央値78歳、 女性44.7%) が組み入れられた。 その結果、 平均729.8日の追跡期間中に死亡が153例、 心血管イベントが177例、 出血が90例発生した。 傾向スコアマッチング後、 DOAC使用はVKA使用と比べて全死亡リスクの低下に関連していた (HR 0.37, p<0.001)。
DOAC使用は、 心血管イベントのリスクの低下にも関連していた (sHR 0.58, p=0.005)。 出血リスクはVKAと概ね同程度であった。NNTは24ヵ月時点で最小となり、 死亡の予防では28.2人、 心血管イベントの予防では37.8人であった。 一方で、 NNHは有意でなかった。
TTR70%未満の患者では、 DOAC使用は死亡および心血管イベントのリスクの低下に関連していた。 一方、 TTR70%以上の患者では、 DOAC使用と死亡リスクの低下に関連が認められたものの、心血管イベントのリスクはVKA使用と同程度で、 出血リスクはVKAと比べて高かった。
著者らは、 「DOACは癌合併AF患者においてTTRにかかわらず死亡リスクを低下させる可能性がある。 一方で、 TTRが良好で出血リスクが高い癌合併AF患者ではDOACは慎重に使用すべきである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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