HOKUTO編集部
4ヶ月前
米国臨床腫瘍学会 (ASCO 2024) の肺癌領域における注目演題について、 和歌山県立医科大学附属病院呼吸器内科・腫瘍内科准教授の赤松弘朗先生先生にご解説いただきました。
いよいよCOVIDの影響も薄れ、 日本からは参加者数のみならず、 発表者数も大幅に増えた今年のASCOでした。 個人調べですが、 肺癌領域ではオーラル・ポスターとも全体の13%前後で日本人筆頭による発表がなされました (8演題に1つ)。
一方で存在感を出したのはやはり中国からの発表です。 自前での第Ⅲ相試験・新規薬剤開発が多く発表されていました。 Tony Mok先生・James Yang先生といったアジアのオピニオンリーダーも健在ではありましたが、 全体的に世代交代のフェーズに入りつつある印象を受けました。
癌腫別に見ますと、 今年は肺癌・乳癌を中心に大きな発表がありました。
肺癌ではPlenary session5つのうち3つが肺癌関連で、 中でも局所進行小細胞肺癌 (LD-SCLC) に初めての免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 導入を行ったADRIATIC試験、EGFR遺伝子変異陽性局所進行非小細胞肺癌 (NSCLC) に対するオシメルチニブの維持療法 (LAURA試験) では会場がスタンディングオベーションに包まれました。 ただし後者については日本の先生の間では賛否両論といった印象です。
ドライバー陽性の中では、 ALK陽性NSCLCに対して脅威の5年PFS率をたたき出したCROWN試験が印象的でした。
ICI関連は大きな発表は少なかったものの、 周術期治療については従来の第Ⅲ相試験のアップデート (CheckMate 816試験) や、 サブセット解析としてN2やdown stagingについて検討したもの (AEGEAN試験、 CM77T試験) など実地臨床に反映できるデータは豊富であったように思います。
ネガティブな結果で印象的だったのはドセタキセルと抗Trop-2抗体薬物複合体 (ADC) サシツズマブ ゴビテカンとの第III相試験EVOKE-01でした。 乳癌と異なった結果で苦労している肺癌でのADC開発は患者選択の必要性も含め、 今後より検討が必要と思われます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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