インタビュー
12日前

横浜市立みなと赤十字病院 (横浜市中区) は2026年秋より、 病院や診療所、 介護施設などが患者の医療・介護情報を共有し、 地域全体で連携するICTシステム 「サルビアねっと」 を導入する。 大川淳院長に、 導入のきっかけやメリット、 現段階で予想される課題を聞いた。

病床数624床、 標榜診療科36科。 「断らない救急」 を掲げ、 重篤な救急患者も24時間体制で受け入れる。 2025年度の救急車受け入れ実績は1万2,000台超。 JMIP (外国人患者受入れ医療機関認証制度) 認証を取得し、 外国人患者の診療にも積極的に対応する。
―― 「サルビアねっと」 の導入経緯を教えてください。
「サルビアねっとは、 済生会横浜市東部病院 (横浜市鶴見区) が2019年に始めた地域ネットワークのシステムです。 急性期の中核となる病院だけではなく、 2次救急病院や診療所、 介護施設や薬局まで含めて、 患者さんの情報をその地域で共有する仕組みです。 参加施設の規模や電子カルテの導入有無を問わず、 双方向の情報連携が可能です」
「コロナ禍の影響で、 一時的にネットワーク対象地域の拡張が停滞してしまいましたが、 2024年、 横須賀市・鎌倉市・逗子市・三浦市・葉山町の病院が中心となり、 『さくらネット』という新たなシステムを始めました。 さくらネットが横浜市の南部、 横須賀市や湘南までをカバーする中、 横浜市の中央部に空白ができると危惧していた矢先、 『サルビアねっとがエリアの拡張を考えている』という話を聞き、 中区に位置する当院も導入したいとお願いしました」
――サルビアねっとの導入にあたり、 期待することを教えてください。
「地域全体で1つの病院のような形になることが目標です。 リハビリテーションや安定期における処理、 身体のケアなどは他の医療機関で受けてもらい、 当院は急性期病院として、 患者さんの生命に危険が及ぶような時期に、 集中的に医療を提供することに注力したいと考えています」

「患者情報は現状、 FAXや紙媒体での共有が主流です。 サルビアねっとを導入すれば、 急性期病院から薬局までの情報が全て1つのサーバー上に共有され、 情報を瞬時に閲覧できます。 情報量・スピード感ともに、 これまで以上の効果が見込めるでしょう」
――新たなシステムを導入することで、 懸念されるデメリットや課題はありますか。
「患者さんから承諾を得ることが第1の関門です。 自分の個人情報を公の場に登録することに抵抗感を覚える人は多いです。 第2の関門は、 地域の医療機関や介護施設の参加数が伸びるかという点です」
「システム導入にあたり、 月額の維持費用が発生します。 医療機関の規模により額は異なりますが、 経営環境が厳しくなる中、 出費を抑えたいというのが本音でしょう」
「これらの関門をクリアするためにも、 まずはサルビアねっとのメリットについて周知・説明に力を入れているところです。 年に1回ほど、 周辺の病院や診療所の医師と、 対面でコミュニケーションを取れる場を設けており、 そちらでもネットへの参加を呼びかけています」


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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