【ALINA】ALK陽性NSCLCへの術後アレクチニブ、 日本人にも有望
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HOKUTO編集部

3ヶ月前

【ALINA】ALK陽性NSCLCへの術後アレクチニブ、 日本人にも有望

【ALINA】ALK陽性NSCLCへの術後アレクチニブ、 日本人にも有望
IB~IIIA期のALK融合遺伝子陽性進行NSCLCを対象に、 術後療法におけるALK阻害薬アレクチニブの有効性と安全性を検証する第Ⅲ相試験ALINAの日本人集団の解析結果が報告され、 全集団と同様のDFSの改善と薬物動態が示された。 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長の堀之内秀仁氏が発表した。

背景

既報から、 術後アレクチニブは既に承認

ALINA試験は、 日本を含む26ヵ国で実施された第Ⅲ相国際共同試験であり、 病理病期IB-IIIA期の ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌 (NSCLC) の術後補助療法としてのアレクチニブの有効性と安全性を評価した。

中間解析では、 アレクチニブが化学療法と比較し、 再発・死亡リスクを76%低下することが報告され、 この結果に基づき、 現在アレクチニブ600mgの1日2回投与 (600mg BID) が日本を含む世界各国で承認されている¹⁾。

今回、 日本人サブグループ解析におけるアレクチニブの有効性と安全性の解析結果が報告された。

試験の概要

対象はIB-IIIA期のALK陽性NSCLC

対象は試験参加の1~3ヵ月前に切除手術を受けた、 病理病期 IB (≧4cm) -IIIA 期 (肺癌取扱い規約第7版) のALK融合遺伝子陽性NSCLCであり、 ECOG PS 0~1、 プラチナ製剤適格で、 癌に対する全身療法歴のない患者が適格とされた。

35例を対象に、 DFS、 PK、 安全性を評価

ALINA試験全体では合計257例(アレクチニブ群130例、 化学療法群127例) が登録され、 うち35例が日本人患者で、 15例がアレクチニブ600mg IBD、 20 例が化学療法による治療を受けた。

主要評価項目は無病生存期間 (DFS) で、 無作為化から再発または新規病変の出現、 死亡のいずれかが起こるまでの期間と定義された。 副次的評価項目は中枢神経系DFS (CNS-DFS)、 薬物動態 (PK)、 安全性だった。

試験の結果

患者背景は日本人集団も両群で概ね一致

年齢、 性別、 喫煙歴などの患者背景は両群間で概ねバランスが取れており、 日本人集団と全集団間でも概ね一致していた。

DFSのHRは0.47、 全集団と同様にアレクチニブ群で良好な結果

2023年6月26日をデータカットオフとした、 追跡期間中央値36.2ヵ月における日本人集団のDFSは、 イベント数がアレクチニブ群 4件 (27%)、 化学療法群 7件 (35%) であり、 全集団と同様の有益性が示された (HR 0.47 [95%CI 0.13-1.67])。

PKは日本人と非日本人で同程度

PKは、 第Ⅲ相無作為化比較試験ALEX²⁾³⁾の非日本人患者のデータと比較評価された。

日本人患者のアレクチニブのPKはTmax 7.69時間 (範囲 1.97-8.07時間)、 Cmax 724ng/mL 、 AUC0-8H 4,700ng*h/mLであり、 ALEX試験の非日本人患者のデータ (Tmax 4.02時間 [範囲 2.00-8.00時間]、 Cmax 717ng/mL、 AUC0-8H 5,030ng*h/mL) と比較し有意差は認められなかった。

またALINA試験における日本人患者のM4代謝物のPKは、 Cmax 304ng/mL 、 AUC0-8H 1,990ng*h/mLであり、 ALEX試験の非日本人患者のデータ (Cmax 321ng/mL、 AUC0-8H 2,230ng*h/mL) と比較し、 有意差は指摘されなかった。

アレクチニブ 600mg BIDの、 服薬前の最低血中濃度 (Ctrough) 中央値は、 日本人と非日本人で同等の結果だった (700ng/mL vs 652ng/mL)。

新たな安全性所見は認められず

治療期間中央値は、 アレクチニブ群 24ヵ月、 化学療法群 2ヵ月であり、 用量強度の中央値はそれぞれ75% (範囲 50-100%)、 100% (同 97-100%)だった。

Grade3~4の有害事象 (AE) 発現率はそれぞれ33%、 40%で、 全集団と概ね同様だった (30%、 31%)。 減量に至ったAEは、 それぞれ53%、 25%で報告されたが、 アレクチニブ群の日本人患者で治療中止に至ったAEは認められなかった。

結論

術後アレクチニブ600mg BIDが新たな治療選択肢に

堀之内氏は 「ALK融合遺伝子陽性NSCLCの日本人患者において、 アレクチニブ 600mg BIDの有効性は、 全集団と同様であることが示唆された。 また、 新たな安全性の懸念は認められなかった。 アレクチニブ 600mg BIDを2年間投与する治療レジメンは、 日本においても、 ALK融合遺伝子陽性NSCLCに対する新たな術後療法の選択肢となる」 と報告した。

(田中理子)

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出典

¹⁾ N Engl J Med. 2024 Apr 11;390(14):1265-1276.

²⁾ N Engl J Med. 2017 Aug 31;377(9):829-838.

³⁾ Ann Oncol. 2020 Aug;31(8):1056-1064.


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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