HOKUTO編集部
2年前
HOKUTOユーザーの医師232名に聞きました
アンケート結果:免疫抑制薬のミコフェノール酸モフェチルが最多で、 次点はTNFα阻害薬のインフリキシマブとなりました。
国立がん研究センター 中央病院
頭頸部・食道内科
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、 悪性黒色腫での治療開発を皮切りに、 現在では幅広いがん腫で有効性が証明されている薬剤であるが、 免疫系の調整に関与する薬剤であることから、 時に自己免疫疾患に類似した免疫関連有害事象(irAE)を引き起こす事が知られている。
irAEの好発臓器として、 皮膚や消化器、 肺、 内分泌系が挙げられ、 抗PD-1抗体薬単剤であればGrade3以上のirAEの発生頻度は約10%と報告されている¹⁾²⁾。
irAEの一つである肝障害の発生頻度は数%で、 Grade3以上のケースは約1%にとどまる¹⁾²⁾が、 時に致命的な病態に陥る事があるため、 適切な対応が必要である。
日本臨床腫瘍学会が中心となって作成された、 『がん免疫療法ガイドライン』においては、 Grade3以上の場合は、 ICIの投与を中止の上、 静注のメチルプレドニゾロンで1.0〜2.0mg/kg/日での投与を検討するよう記載されている。 しかし症状が3〜5日を超えても改善しない場合や悪化する場合は、 全身性エリテマトーデスで用いられる免疫抑制薬であるミコフェノール酸モフェチルの投与を検討する³⁾。
インフリキシマブはirAEでは肺障害や大腸炎で時に用いられるが、 肝障害が有害事象として報告されている薬剤であることから、 irAEの肝障害時には用いない。
免疫グロブリン大量療法は、 irAEでは筋炎や重症筋無力症、 心筋炎で検討される治療法であり、 免疫抑制薬であるトシリズマブはサイトカイン放出症候群などで検討される薬剤である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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