海外ジャーナルクラブ
1年前
Martelliらは、 切除術を受けた BRCA1/2遺伝子変異陽性の乳癌患者を対象に、 予防的卵管卵巣摘出術 (prophylactic salpingo-oophorectomy:PSO) が癌特異的死亡リスクの低下に関連するかどうかを後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 PSOは死亡リスクの低下に有意に関連していた。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。
47年間にもわたる観察期間で患者を誰一人としてフォローアップでロストしていないのは本研究の最大の強みと言えます。
BRCA1またはBRCA2変異を有する切除歴のある乳癌患者に対するPSOや予防的乳房切除 (prophylactic mastectomy:PM) の効果に関する研究はほとんどない。
1972~2019年に外科的治療を受けた浸潤乳癌の連続患者:480例
乳癌手術後にPSO、 PM、 またはその両方を受けた患者と受けなかった患者がいた。
カプラン・マイヤー法で評価した全生存期間 (OS)
PSOを受けた患者において、 死亡リスクが有意に低下していた。
HR 0.40 (95%CI 0.25-0.64、 p<0.001)
死亡リスクの低下は、 BRCA1変異を有する患者、 トリプルネガティブ乳癌患者、 浸潤乳管癌患者において特に顕著であった。
BRCA1変異を有する患者:HR 0.35 (95%CI 0.20-0.63、 p=0.001)
トリプルネガティブ乳癌患者:HR 0.21(95%CI 0.09-0.46、 p=0.002)
浸潤乳管癌患者:HR 0.51 (95%CI 0.31-0.84、 p=0.008)
PSOは、 対側乳癌または同側乳房腫瘍再発のリスクとは関連していなかった。
本研究は、治癒目的で乳癌手術を受けたBRCA1またはBRCA2変異を有する乳癌患者には、 PSOを提供すべきであることを示唆している。 特に、 BRCA1変異を有する患者には特に強く推奨されることが示された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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