未治療の転移性直腸結腸癌患者の1次治療において、 FOLFIRI (フルオロウラシル、 レボホリナート、 イリノテカン)+Bmab(ベバシズマブ) のFOLFOX(フルオロウラシル、 レボホリナート、 オキサリプラチン)+Bmab に対する非劣性が、 無増悪生存期間 (PFS) を指標として証明された。
原著論文
▼解析結果
Randomized phase III study of bevacizumab plus FOLFIRI and bevacizumab plus mFOLFOX6 as first-line treatment for patients with metastatic colorectal cancer (WJOG4407G). Ann Oncol. 2016 Aug;27(8):1539-46. PMID: 27177863
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WJOG4407G試験の概要
対象
未治療で転移性直腸結腸癌の日本人患者
オキサリプラチンを含まない術後補助化学療法を完遂後、 180日以上経過した再発例を含む
方法
395例を以下の2群に1:1で割り付けた。
フルオロウラシル400mg/m² 急速静注をDay1+2400mg/m² 持続静注をDay1~3、 レボホリナート200mg/m² 点滴をDay1、 イリノテカン150mg/m² 点滴をDay1、 ベバシズマブ5mg/kg 点滴をDay1、 2週毎に繰り返す
フルオロウラシル400mg/m² 急速静注をDay1+2400mg/m² 持続静注をDay1~3、 レボホリナート200mg/m² 点滴をDay1、オキサリプラチン85mg/m² 点滴をDay1、 ベバシズマブ5mg/kg 点滴をDay1、 2週毎に繰り返す
評価項目
主要評価項目:PFS
副次評価項目:全生存期間 (OS) 、 治療成功期間 (TTF) 、 奏効率、 治癒切除を受けた患者の割合、 QOL、 有害事象
WJOG4407G試験の結果
患者背景 (FOLFIRI+Bmab群、FOLFOX+Bmab群)
- 年齢中央値 :63歳、62歳
- 65歳以上:43%、40%
- ECOG PS0:81%、78%
PS0、 1のみが適格
- 術後再発:70%、67%
- 術後補助化学療法歴あり:17%、16%
- KRAS変異あり:34%、36%
- KRAS野生型:52%、49%
PFS中央値
- FOLFIRI+Bmab群:12.1ヵ月
- FOLFOX+Bmab群:10.7ヵ月
HR 0.905 (95%CI 0.723-1.133)、 p=0.003
非劣性マージンは0.25に設定 (HR1.25)
OS中央値
- FOLFIRI+Bmab群:31.4ヵ月
- FOLFOX+Bmab群:30.1ヵ月
HR 0.990 (95%CI 0.785-1.249)、 p=0.730
TTF中央値
- FOLFIRI+Bmab群:8.5ヵ月
- FOLFOX+Bmab群:7.3ヵ月
奏効率
- FOLFIRI+Bmab群:64%
- FOLFOX+Bmab群:62%
p=0.757
治癒切除を受けた患者の割合
- FOLFIRI+Bmab群:10%
- FOLFOX+Bmab群:9%
p=0.736
疾患特異的QOL尺度
FACT-C (TOI-PFC) 、 FACT/GOG-Ntxともに、 18ヵ月の観察期間を通してFOLFIRI+Bmab群で良好であった。
有害事象 (AE)
- Grade3以上の好中球減少はFOLFIRI+Bmab群で多かった (46% vs 35%、 p=0.03)。
- Grade3以上の末梢神経障害はFOLFOX+Bmab群で多かった (22% vs 0%、 p<0.001)。
- そのほかの全グレードのAE(FOLFIRI+Bmab群 vs FOLFOX+Bmab群)として、 下痢 (54% vs 37%) 、 発熱性好中球減少症 (5% vs 2%) 、 静脈血栓症 (9% vs 5%) 、 過敏反応 (2% vs 18%) などが認められた。
著者らの結論
未治療の転移性直腸結腸癌患者の1次治療として、 FOLFIRI+BmabのPFSはFOLFOX+Bmabと比較して非劣性であり、 QOLはより良好である可能性が示された。