HOKUTO編集部
2ヶ月前

欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2025) では、 肺癌領域における現在のクリニカル・プラクティスを考える上で重要な臨床試験の結果 (サブ解析を含む) が複数報告される。 今回は特に注目すべき6つの演題を紹介する。

HER2遺伝子変異陽性非小細胞肺癌 (NSCLC) に対するHER2特異的チロシンキナーゼ阻害薬ゾンゲルチニブを評価した第Ib相Beamion LUNG 1試験の新たな治療成績が報告される*。 同薬は最近、 既治療例を対象として承認されたばかりの薬剤であり、 今回は未治療例における有効性および安全性を初めて評価した結果が発表される。
現在、 HER2遺伝子変異陽性NSCLCに対しては、 抗HER2抗体トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) およびゾンゲルチニブの2剤が承認されており、 どちらの薬剤を先に使用するべきかが新たなクリニカル・クエスチョン (CQ) となっている。
また現在、 未治療のHER2遺伝子変異陽性NSCLC患者を対象として、 ゾンゲルチニブと標準治療を比較する第Ⅲ相試験も進行中であり、 今後の治療戦略の確立に向けて重要なデータが得られると期待される。
未治療EGFR遺伝子変異NSCLCに対する第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬オシメルチニブ+化学療法併用を評価した第Ⅲ相FLAURA2試験から、 FLAURA2レジメン (オシメルチニブ+プラチナ製剤+ペメトレキセド) の詳細なOS解析結果が報告される*。
今年の世界肺癌学会 (WCLC 2025) では、 同試験において、 FLAURA2レジメンがオシメルチニブ単剤と比較して有意に全生存期間 (OS) を延長したことが報告されたが、 どのような患者群で同レジメンがより有効であるかは依然として明らかでない。
本報告では、 予後不良因子を有する患者における探索的な解析が行われる予定であり、 今後の治療選択において重要なデータが得られる可能性がある。
未治療進行ALK遺伝子変異陽性NSCLCへの第2世代ALK阻害薬アレクチニブと第1世代ALK阻害薬クリゾチニブを比較評価した第Ⅲ相ALEX試験の最終OS解析結果が発表される*。
昨年の米国臨床腫瘍学会 (ASCO 2024) では、 第Ⅲ相CROWN試験の長期成績において、 第3世代ALK阻害薬ロルラチニブの5年無増悪生存 (PFS) 率が60%を超えるという極めて良好な結果が報告された。 一方で、第2世代ALK阻害薬であるアレクチニブも、 ALK変異陽性NSCLCに対する標準治療の1つとして位置付けられている。
今回のALEX試験の最終OS結果は、 ALK変異陽性NSCLCの長期予後を把握し、 今後の治療開発を考える上で極めて重要である。 また、 今後登場が期待されるNVL-655などの新規ALK阻害薬の開発戦略を考える上でも、 アレクチニブの最終成績は貴重な比較データとなる。
進行小細胞肺癌 (SCLC) に対するDLL3・CD3二重特異性T細胞誘導抗体タルラタマブの有効性および安全性を評価した第Ⅲ相DeLLphi-304試験において、 詳細な解析結果が2件報告される*。
ASCO 2025では、 第Ⅲ相DeLLPhi-304試験において、 タルラタマブが標準的化学療法と比較して有意にOSを延長することが示されたが、 今回のESMO 2025では安全性の詳細解析に加え、 前治療歴や化学療法フリー期間 (CFI) による治療効果の違いが検討される。 同薬はすでに本邦でも3次治療以降の標準治療として承認されており、 これらのデータは今後の治療戦略の最適化に大きく貢献すると考えられる。
PD-L1高発現 (TPS ≥50%) の未治療進行NSCLCにおける抗PD-1抗体ペムブロリズマブ単剤療法と、 ペムブロリズマブ+化学療法併用を直接比較評価した第Ⅲ相PAULIEN試験の結果が報告される*。
現在、 PD-L1高発現 (TPS ≥50%) 集団に対しては上記の両レジメンが標準治療として用いられているが、 化学療法を併用すべきかどうかは臨床現場で依然として議論が続いている。 本試験は、 その疑問に明確なエビデンスを提供する可能性があり、 今後の治療方針決定において極めて重要な試験結果となるかもしれない。
HER2陽性進行NSCLCへのゾンゲルチニブ、 ORRは71%
未治療EGFR変異NSCLCへのオシメルチニブ併用療法、mOSが約10ヵ月延長
SCLCの2次治療にタルラタマブでOS改善、 死亡リスク40%低減
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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