HOKUTO編集部
3ヶ月前
未治療のPD-L1陽性進行NSCLCに対する抗PD-1/VEGF二重特異性抗体ivonescimabの有効性および安全性について、 抗PD-1抗体ペムブロリズマブを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験HARMONi-2の中間解析の結果より、 主要評価項目のPFSにおける有意な改善が示された。 中国・Tongji University School of MedicineのC. Zhou氏が発表した。
ivonescimabは第Ib/Ⅱ相試験において、 PD-L1陽性進行NSCLC患者への1~2次治療として有望な結果が示された¹⁾。 第Ⅲ相HARMONi-2試験は、 1次治療としてのivonescimab単剤療法とペムブロリズマブ単剤療法を比較することを目的にした試験であり、 今回中間解析の結果が報告された。
EGFR/ALK陰性、 ECOG PS 0~1、 PD-L1TPS ≧ 1%の患者398例を対象とした。
患者は以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は独立画像評価委員会 (IRRC) の審査によるRECISTv1.1に基づく無増悪生存期間 (PFS) だった。
副次的評価項目は、全生存期間 (OS)、 奏効率(ORR)、 奏効期間 (DoR)、 安全性などだった。 また、 探索的評価項目としてQOLが検証された。
患者全体で、 65歳以上は54.3%、 男性割合は83.7%、 ECOG PS 0は12.8%を占めていた。
病期、 病理組織型、 PD-L1発現度の層別因子では、 cStage ⅢB/Cは7.8%、 Ⅳは92.2%、 扁平上皮癌は45.5%、 PD-L1 TPS≧50%は42.2%だった。
追跡期間中央値8.67ヵ月において、 ivonescimab群はペムブロリズマブ群に比べてPFSの有意な改善を示した。
PFS中央値
HR 0.51 (95%CI 0.38-0.69)、 p<0.0001
9ヵ月時PFS率はivonescimab群が56%、 ペムブロリズマブ群が40%だった。
事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 ivonescimab群のペムブロリズマブ群に対する優位性が示された。 PFS改善効果は、 PD-L1発現度、 病理組織型に関わらず認められていた。
PD-L1発現度別のPFS改善効果
TPS 1-49% : HR 0.54、 95%CI 0.37-0.79
TPS≧50% : HR 0.46、 95%CI 0.28-0.75
病理組織型別のPFS改善効果
扁平上皮癌 : HR 0.48、 95%CI 0.31-0.74
非扁平上皮癌 : HR 0.54、 95%CI 0.36-0.82
ORR、 DoR、 QOLにおいてもivonescimab群はペムブロリズマブ群に比べて良好な結果を認めた。
ORR
病勢コントロール率
DoR中央値
QOL中央値
HR 0.92 (95%CI 0.63-1.33)
Grade3以上の治療関連有害事象 (TRAE発現率) はivonescimab群がペムブロリズマブ群に比べて高かったが、 概ね既報と一致しており、 新たな安全性シグナルは認められなかった。 安全性は扁平上皮癌においても同様に管理可能だった。
TRAE発現率
irAE発現率
この他、 Grade3以上のVEGF関連有害事象の発現率はivonescimab群が10.2%、 ペムブロリズマブ群が1.0%と、 ivonescimab群で高かった。
Zhou氏は 「HARMONi-2試験は、 PD-L1陽性進行NSCLC患者において、 新規薬剤であるivonescimabがペムブロリズマブと比較して臨床的意義のある改善を示した初の第Ⅲ相無作為化比較試験である。 本試験の結果は、 PD-L1陽性進行NSCLCへの新たな1次治療の選択肢としてivonescimab単剤療法を支持するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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