海外ジャーナルクラブ
1年前
Schragらは、 多癌早期検出 (multicancer early detection:MCED) 血液検査を用いた癌スクリーニングの実行可能性を前向きコホート研究PATHFINDERで検討した。 その結果、 MCED血液検査による癌スクリーニングは実行可能であり、 今後、 臨床的有用性に関するさらなる研究の必要性があることが示された。 本研究は、 Lancet誌において発表された。
ある程度の有用性が確認されたので、 今後はいかに一般化できるかが重要となります。 コストと画像・血液検査へのアクセスが問題なくできるようになる環境がより重要となります。
MCED血液検査は、 腫瘍から循環血中に排出された遊離DNA (cell-free DNA:cfDNA) の癌特異的DNAメチル化パターンを検出し、 癌のシグナルを検出することができる。
50歳以上で、 癌の徴候や症状がなく、 MCED血液検査に同意した集団:6,621例
MCED検査を行い、 血液からcfDNAの解析を実施。 癌を示唆するメチル化シグネチャー検出時には、 予想されるcancer signal origin (CSO) を伝えた。
MCED血液検査で陽性になった後、 癌の有無の確定診断までの期間と実施した検査の範囲
登録された6,621例中92例 (1.4%) で癌シグナルを検出し、 そのうち38% (92例中35例) が癌と診断された真陽性、 62% (92例中57例) が偽陽性であった。
MCED血液検査の結果が報告される前に診断のための評価が開始された2人の参加者を除くと、 診断が確定するまでの期間の中央値は79日 (IQR 37-219) であった
癌シグナルを検出した参加者の多くが臨床検査 (真陽性:79%、 偽陽性:88%) と画像診断 (真陽性:91%、 57人中53人[93%]が偽陽性) を受けていた。
非外科的または外科的な処置を受けた参加者の割合は、 真陽性者 (82%) に比べ、 偽陽性者 (30%) の方が少なく、 外科的な処置を受けた参加者はほとんどいなかった (真陽性:3例、 偽陽性:1例)。
MCED血液検査による癌スクリーニングの実行可能性を支持するとともに、 この検査の臨床的有用性を検証するさらなる研究の必要性を強調するものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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