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2ヶ月前

Wenzl氏らは、 がんを合併した急性冠症候群 (ACS) 患者を対象に、全死亡、 重大出血、 虚血性イベントのリスクを同時に評価する新たなリスクスコアの開発と検証を行った。 その結果、 機械学習に基づくONCO-ACSスコアは6ヵ月予後の予測において良好な性能を示した。 これらの結果はLancet誌に発表された。
📘原著論文
大規模急性冠症候群コホートにおいて、 がんの主要な特徴を考慮した研究としては本研究は初期かつ包括的なものの一つとなります。
がん合併ACS患者において、 死亡、 出血、 アテローム血栓性イベントのリスクを正確に評価することは、 個別化された治療戦略に有用である。 しかし、 これらを同時に評価できる標準化されたツールは存在しなかった。
本研究は、 がん合併ACS患者を対象に、 死亡、 出血、 虚血性イベントのリスクを予測する臨床で使用可能なリスクスコアの開発と検証を目的とした。
本研究はモデル開発および検証研究である。 2004年1月1日~2023年8月8日に、 イングランド、 スウェーデン、 スイスでACSを発症した101万7,759例のデータが用いられ、 このうちがん合併例は4万7,236例であった。
イングランドのがん合併ACS患者を対象に6ヵ月を予測期間とし、 競合リスクモデルを用いて全死亡、 重大出血、および虚血性イベント (心血管死、 心筋梗塞、 虚血性脳卒中の複合エンドポイント) を予測する機械学習モデル (ONCO-ACSスコア) を構築した。
ONCO-ACSスコアは、イングランド中部、 スウェーデン、 スイスの地理的に独立したデータセットで外部検証された。
がん合併ACS患者では6ヵ月以内の全死亡27.8% (95%CI 27.3–28.3)、 重大出血7.3% (95%CI 7.0–7.5)、 虚血性イベント16.1% (95%CI 15.7–16.4) と発生率が高く、 特有のリスクプロファイルを示した。
ONCO-ACSスコアは、 下記の変数セットに基づいて構築された。
- 腫瘍の種類 - がん診断からの期間
- 転移の有無 - 年齢
- ヘモグロビン値 - 心拍数
- 推算糸球体濾過量 - BMI
- Killip分類 - 心停止
- 過去6ヵ月の重大出血
内部検証における6ヵ月時点の時間依存ROC曲線下面積は、 全死亡で0.84 (95%CI 0.83–0.85)、 重大出血で0.70 (95%CI 0.68–0.73)、 虚血性イベントで0.79 (95%CI 0.78–0.81) であった。 外部検証においても同様に良好な予測能を示した。
また、 ONCO-ACSスコアは良好なキャリブレーションを示し、 Decision Curve Analysisにより臨床的有用性が示唆された。
ONCO-ACSスコアを既存ガイドラインに適用すると、 多くのがん合併ACS患者が侵襲的治療およびクロピドグレルを用いた長期二重抗血小板療法の適応となる可能性が示唆された。
著者らは 「ONCO-ACSスコアは、 がん合併ACS患者における死亡、 出血、 虚血性リスクを予測するための検証済みで実用的なツールである。 競合するアウトカムリスクを統合的に評価することで、 治療による利益と害のバランスをとった意思決定を支援できる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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