【GL委員会コメント】切除不能大腸癌へのフルキンチニブ後方治療を 「推奨」
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HOKUTO編集部

1日前

【GL委員会コメント】切除不能大腸癌へのフルキンチニブ後方治療を 「推奨」

【GL委員会コメント】切除不能大腸癌へのフルキンチニブ後方治療を 「推奨」
大腸癌研究会は12月5日、 『大腸癌治療ガイドライン医師用2024年版』における『切除不能進行・再発大腸癌に対する薬物療法』に追記すべき薬剤として、 切除不能進行・再発大腸癌に対するフルキンチニブ療法を挙げ、 ガイドライン委員会のコメントを発表。 フルキンチニブが切除不能大腸癌に対する後方治療として推奨される治療に位置付けられるとの見解を示した。 

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※大腸癌研究会の公式サイトに遷移します

FRESCO-2試験の概要

VEGFR1/2/3に対する選択的経口チロシンキナーゼ阻害薬であるフルキンチニブ (商品名フリュザクラ) は2024年9月に本邦で承認された。 同承認は、 国際共同第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験FRESCO-2の結果に基づく¹⁾。

FRESCO-2試験では、 前治療歴を有する切除不能進行・再発大腸癌患者を対象に、 フルキンチニブのプラセボに対する優越性が検証された。 主な結果は以下の通り。

主要評価項目 : 全生存期間 (OS) 中央値

フルキンチニブ群において有意な延長が示された。

  • フルキンチニブ群 : 7.4ヵ月
  • プラセボ群 : 4.8ヵ月
HR 0.66 (95%CI 0.55-0.80、 p<0.0001) 

副次評価項目

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

フルキンチニブ群において統計学的に有意な延長が示された。

  • フルキンチニブ群 : 3.7ヵ月
  • プラセボ群 : 1.8ヵ月
HR 0.32 (95%CI 0.27-0.39、 p<0.0001) 

奏効割合 (ORR)

  • フルキンチニブ群 : 2%
  • プラセボ群 : 0%

病勢制御割合 (DCR)

  • フルキンチニブ群 : 56%
  • プラセボ群 : 16%

有害事象の発現割合

  • フルキンチニブ群 : 99% (Grade 3以上 : 63%)
  • プラセボ群 : 93% (Grade 3以上 : 50%)

ガイドライン委員会のコメント

FRESCO-2試験およびそれに先立って中国で実施されたプラセボ対照の第Ⅲ相試験 (FRESCO試験) においてFTD/TPIやレゴラフェニブの治療歴がない患者に対しても、 フルキンチニブのOS延長効果が示された²⁾ことを受け、 ガイドライン委員会からは以下のようなコメントがなされた。
  • 大腸癌治療ガイドライン医師用2024年版では、 「CQ24 : 切除不能大腸癌に対する後方治療は推奨されるか?」において後方治療として、 トリフルリジン/チピラシル塩酸塩 (FTD/TPI) +抗VEGF阻害薬ベバシズマブ (推奨度1) やマルチキナーゼ阻害薬レゴラフェニブ (推奨度2)、 FTD/TPI (推奨度2) が推奨されている。 これに加えてフルキンチニブも 「FRESCO-2試験、 およびFRESCO試験の結果から、 後方治療において推奨される治療に位置付けられる」
  • フルキンチニブで注意が必要な副作用として、 高血圧、 手足症候群、 蛋白尿、 甲状腺機能低下症等が挙げられ、 日本人で頻度が高いことから留意すべきである。
  • 後方治療におけるフルキンチニブの最適な使い分け、 治療シークエンスについては現時点では不明であり、 今後の検討が期待される。

なお、 「切除不能進行・再発大腸癌に対する薬物療法のアルゴリズム」 中における位置づけ等の詳細については、 次回のガイドライン改訂の際にガイドライン内で解説される予定だという。

フルキンチニブについて

フルキンチニブはFRESCO-2試験の結果を基に、 2024年9月に 「癌化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」 を効能・効果として国内承認された。

効能・効果に関連する注意として、 添付文書には以下の点が記載されている。

  • 以下の薬剤による治療歴のない患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない (フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、 オキサリプラチン、 イリノテカン及び抗VEGFタンパク製剤)
  • レゴラフェニブ又はFTD/TPIのいずれの治療歴もない患者では、 これらの薬剤による治療が困難な患者を対象とすること
  • 本剤の術後療法における有効性及び安全性は確立していない

出典

¹⁾ Lancet 2023; 402: 41-53

²⁾ JAMA. 2018; 319: 2486-2496.

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【解説】大腸癌に対するVEGFR阻害薬フルキンチニブが国内承認

解説医師 : 廣瀬俊晴先生

難治転移性大腸癌へのフルキンチニブでOS延長 : 第Ⅲ相FRESCO-2

Lancet. 2023 Jul 1;402(10395):41-53.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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