HOKUTO編集部
2ヶ月前
1ライン以上の前治療歴を有する再発・難治性多発性骨髄腫 (R/R MM) 患者に対する装着型オンボディ・インジェクター (OBI) を介した抗CD38抗体イサツキシマブ皮下注+ポマリドミド+デキサメタゾン併用療法の有効性および薬物動態について、 イサツキシマブ静注併用療法を対照に評価した第III相多施設共同無作為化比較試験IRAKLIAの結果から、 全奏効率 (ORR) および薬物動態の非劣性が示された。 米・Mayo ClinicのSikander Ailawadhi氏が発表した。
イサツキシマブ併用療法はR/R MMに対する標準治療であるが、 同薬の静脈内投与においては医療資源や患者・介護者の負担が課題とされている。 現在、 投与時間の短縮などが期待される新たな方法として、 ハンズフリーの装着型OBIを用いた同薬の皮下投与が開発中である。
レナリドミドおよびプロテアソーム阻害薬を含む1ライン以上の前治療歴を有するRRMM患者531例が以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はORRおよび定常状態におけるイサツキシマブのトラフ濃度 (Ctrough)だった。
患者背景は両群で概ねバランスが取れていた。 年齢中央値は両群ともに66歳、 前治療歴の中央値は両群ともに2だった。
追跡期間中央値12ヵ月におけるORRは、 Isa OBI群71.1%、 Isa IV群70.5%だった (相対リスク[RR] 1.008、 95%CI 0.903-1.126)。 信頼区間の下限値が事前に規定された非劣性マージン (0.839) を上回ったことから、 Isa OBI群のIsa IV群に対する非劣性が示された。
トラフ濃度 (Ctrough) 平均値はそれぞれ499μg/mL、 340μg/mLであり、 有意に非劣性が確認された。
PFSデータは未熟であったものの、 12ヵ月PFS率は両群で同様だった (66.1% vs 65.1%、 HR 0.985)。
またInfusion Reaction発現率は、 Isa IV群の25.0%に対し、 Isa OBI群では1.5%と顕著に低かった (RR 0.061[95%CI 0.022-0.164]、 p<0.0001)。
Grade 3以上の治療関連有害事象の発現率は、 Isa OBI群で81.7%、 Isa IV群で76.1%だった。 皮下投与に伴う注射部位反応は、 全注射回数の0.4%と極低頻度で、 かつほとんどがGrade 1-2だった。
Ailawadhi氏らは 「IRAKLIA試験は、 骨髄腫瘍の治療においてOBIの使用を報告した初の第III相試験であり、 OBIを介したイサツキシマブ皮下投与はR/R MMに対する新たな治療選択肢となり得る」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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