薬効分類 | 腹膜透析液 |
一般名 | 腹膜透析液 (8−1) |
薬価 | 2307円 |
メーカー | テルモ |
最終更新 | 2024年03月改訂(第1版) |
腹膜透析治療において1日1回のみ使用すること。通常、成人には1日3〜5回交換のうち1回の交換において本剤1.5〜2Lを腹腔内に注入し、8〜12時間滞液し、効果期待後に排液除去すること。本剤以外の交換にはブドウ糖含有腹膜透析液を用いること。なお、注入量及び滞液時間は、症状、血液生化学値、体液平衡、年齢、体重等を考慮し適宜増減する。注入及び排液速度は、通常300mL/分以下とする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 1日1回のみ使用とすること。
7.2. 本剤は低濃度及び中濃度ブドウ糖含有腹膜透析液使用時に比べ、限外濾過量が増加するため、脱水症状を起こすことがないよう、本剤処方時は本剤と組み合わせて使用するブドウ糖含有腹膜透析液のブドウ糖濃度を併せて見直すこと。
慢性腎不全患者における腹膜透析。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤及びブドウ糖含有腹膜透析液それぞれの貯留時間と除水量の関係を十分理解し、透析液を選択及び処方すること。ただし、本剤の使用は1日1回のみである。
5.2. CAPD用腹膜透析液における用法・用量の範囲で適正に処方し、溢水と透析不足の原因となる食事内容やカテーテルトラブル等を排除した上で症状が改善されない患者に本剤を適用するときは、必ず腹膜平衡試験(PET)等必要な検査を行いCAPD治療中止対象患者でないことを確認すること。また、本剤適用後も定期的に腹膜平衡試験(PET)を実施し、必要に応じCAPDの一時中止等の処置をとること。この際、「日本透析医学会、腹膜透析ガイドライン2019」が参考になる。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心・血管障害:急激な脱水による循環血液量減少(脱水症として1.9%)、低血圧(3.2%)、ショック(頻度不明)等があらわれた場合には、投与を中止し、輸血、生理食塩液、昇圧剤の投与等適切な処置を行うこと。
11.1.2. 被嚢性腹膜硬化症(EPS)(頻度不明)〔8.6参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(5%未満)筋痙攣、浮動性めまい、錯感覚、味覚消失、頭痛、構語障害、運動過多、不安、神経過敏、思考異常。
2). 消化器:(5%未満)口内乾燥、腹痛、口渇、腹膜炎、血性排液、下痢、消化不良、悪心、嘔吐、便秘、胃腸障害、鼓腸、腹部膨満、胃炎、腸閉塞、胃潰瘍。
3). 循環器:(5%未満)頻脈、心臓血管疾患、低血圧、高血圧。
4). 呼吸器:(5%未満)肺水腫、呼吸困難、肺障害、咳嗽増悪、しゃっくり。
5). 血液:(5%未満)貧血、白血球増加症、好酸球増加症。
6). 内分泌系:(5%未満)副甲状腺障害。
7). 皮膚:(5%以上)発疹、(5%未満)皮膚障害、皮膚乾燥、皮膚潰瘍、湿疹、皮膚そう痒症、剥脱性皮膚炎、爪障害、乾癬、水疱性皮膚炎、顔面浮腫。
8). 肝臓:(5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇。
9). 腎臓:(5%未満)腎臓痛、尿量減少。
10). 代謝・栄養:(5%未満)低ナトリウム血症、低クロール血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低蛋白血症、高血糖、食欲不振、脱水、循環血液量減少、循環血液量増加、低血糖症。
11). その他:(5%未満)筋痛、頚部痛、耳鳴、無力症、胸痛、疼痛、浮腫、末梢性浮腫、倦怠感、発熱、せつ、感染、損傷、カテーテル機能不全、β2ミクログロブリン増加、血液浸透圧上昇、体重減少、体重増加。
2.1. トウモロコシデンプン由来物質に対し過敏症の既往のある患者。
2.2. 糖原病の患者[マルターゼが欠損していることがあり、イコデキストリンの分解物であるマルトース等の血中濃度が上昇するおそれがある]。
2.3. 横隔膜欠損のある患者[胸腔へ移行し、呼吸困難が誘発されるおそれがある]。
2.4. 腹部挫滅傷又は腹部熱傷のある患者[挫滅傷又は熱傷の治癒を妨げるおそれがある]。
2.5. 高度腹膜癒着のある患者[腹膜の透過効率が低下しているため、期待する透析効果が得られないおそれがある]。
2.6. 尿毒症に起因する以外の出血性素因のある患者[出血により蛋白喪失が亢進し、全身状態が悪化するおそれがある]。
2.7. 乳酸代謝障害の疑いのある患者[乳酸アシドーシスが誘発されるおそれがある]。
8.1. 注入液、排液の出納に注意すること。
8.2. 本剤の投与初期は、水分摂取量及び透析液の組合せによる除水量の管理に十分注意すること。
8.3. 本剤の投与開始は、医療機関において医師により、又は医師の直接の監督により実施すること。通院、自己投与は、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を施した後、医師自らの管理指導の下に実施すること。
8.4. 本剤使用時に発疹等の皮膚反応が生じ、症状が継続もしくは悪化する場合には、本剤の使用を中止し、副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
8.5. 腹膜炎を合併することがあるので、本剤の投与にあたっては特に清潔な環境下で無菌的操作により行うとともに次のことに注意すること。
8.5.1. 腹膜カテーテルの管理及び腹膜カテーテル出口部分の状態には十分注意すること。
8.5.2. 腹膜炎が発生すると排液が濁るので、その早期発見のために、毎排液後、液の混濁状態を確認すること(腹膜炎発生時の液の混濁状態は正常排液2000mLに対して牛乳1mLを添加した液の混濁状態を参考とすることができる)。排液の混濁が認められた場合、直ちに医師に報告し、医師は抗菌薬投与の必要性を考慮すること。
8.5.3. 本剤使用時に原因不明の排液混濁が認められた場合、直ちに本剤の使用を中止し、使用中止により排液混濁が消失した場合、注意深い観察下においてのみ使用を再開すること(再開後に、再び原因不明の排液混濁が認められる場合は、本剤の使用を中止し、再投与しないこと)。
8.6. 長期の腹膜透析実施において被嚢性腹膜硬化症(EPS)を合併することがあるので、発症が疑われたら直ちにCAPDを中止し、血液透析に変更し、発症後は、経静脈的高カロリー輸液を主体とした栄養補給を行い、腸管の安静を保つ(嘔吐がある場合は胃チューブにより胃液を持続吸引する)、本症は必ずイレウス症状を伴うが、診断には次の臨床症状、血液検査所見及び画像診断が参考になる〔11.1.2参照〕[1)臨床症状:低栄養、るいそう、下痢、便秘、微熱、血性排液、局所性腹水貯留もしくはびまん性腹水貯留、腸管ぜん動音低下、腹部における塊状物触知、除水能低下、腹膜透過性亢進、2)血液検査所見:末梢白血球数増加、CRP陽性、低アルブミン血症、エリスロポエチン抵抗性貧血、高エンドトキシン血症、3)画像診断:X線検査、超音波検査、CT検査]。
8.7. 定期的に血液生化学検査及び血液学的検査等を実施すること(特に、本剤使用時には血清ナトリウム値低下及び血清クロール値低下並びにアルカリホスファターゼ値上昇が認められるので注意すること)。
8.8. 本剤を投与されている患者の血糖値の測定には、イコデキストリンやマルトースの影響を受ける旨電子添文に記載されている血糖測定用試薬及び測定器は使用しないこと(イコデキストリンやマルトースの影響を受ける旨電子添文に記載されている血糖測定用試薬及び測定器の使用で偽高値を示すことがあり、インスリン投与が必要な患者においては、インスリンの過量投与につながり低血糖を来すおそれがある)〔12.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患の疑いのある患者:腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患が悪化する又は誘発されるおそれがある。
9.1.2. 腹部手術直後の患者:手術部位の治癒を妨げるおそれがある。
9.1.3. 大動脈部位における人工血管使用患者:細菌感染を起こすおそれがある。
9.1.4. 重篤な肺疾患のある患者:腹圧上昇により肺機能低下が起こるおそれがある。
9.1.5. 食事摂取不良の患者:栄養状態が悪化するおそれがある。
9.1.6. 腹部ヘルニアのある患者:腹部ヘルニアが悪化するおそれがある。
9.1.7. 腰椎障害のある患者:腰椎障害が悪化するおそれがある。
9.1.8. 憩室炎のある患者:憩室炎が腹膜炎合併の原因となるおそれがある。
9.1.9. 人工肛門使用患者:細菌感染を起こすおそれがある。
9.1.10. 高度換気障害のある患者:腹腔内透析液貯留により胸腔が圧迫され、換気障害が悪化するおそれがある。
9.1.11. 高度低蛋白血症のある患者:低蛋白血症が悪化するおそれがある。
9.1.12. ステロイド服用患者及び免疫不全患者:易感染性であるため、細菌性腹膜炎等を誘発するおそれがある。
10.2. 併用注意:
1). ジギタリス製剤(ジゴキシン等)〔14.2.3参照〕[ジギタリス中毒が誘発されるおそれがある(本剤はカリウムを含まないため、血清カリウム値が低下する可能性があり、ジギタリス中毒を起こすおそれがある)]。
2). 利尿剤(フロセミド等)[水及び電解質異常が誘発されるおそれがある(本剤には除水効果があるため、併用により、脱水症状や電解質異常を起こすおそれがある)]。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
12.1. 本剤の代謝物が血清アミラーゼの測定を妨害し低値を示すので、本剤を使用中又は使用中止後2週間以内に膵機能検査を行う場合、血清アミラーゼ以外の血清リパーゼ等の検査を行うこと。
12.2. グルコース脱水素酵素(GDH)法を用いた血糖測定法ではマルトースや本剤に含まれるイコデキストリン代謝物が測定結果に影響を与え、実際の血糖値よりも高値を示す場合があることが報告されているため、血糖測定用試薬・測定器の血糖測定値に対する影響について事前に血糖測定用試薬・測定器の製造販売業者から情報を入手する(交差反応はグルコース脱水素酵素(GDH)法の中でもGDH−PQQ法で報告されている)。
GDH−PQQ法:補酵素としてピロロキノリンキノンを使用した方法。
24時間以内に2回以上投与した際に、血漿中総デキストリン濃度増加及び血漿中イコデキストリン代謝物濃度増加(血漿中マルトース濃度増加等)が現れると考えられるので、この場合には、イコデキストリンを含まない腹膜透析液又は血液透析等で対処すること。
また、24時間以内に2回以上投与した際に、脱水症状が認められた場合には、水分の補給を行う等の適切な処置をすること。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤調製時の注意
14.1.1. 使用前に隔壁を開通させ、大室液と小室液をよく混合すること。
14.1.2. バッグが破損するおそれがあるので、容器に強い衝撃を加えて、隔壁を開通させないこと。
14.1.3. 他の薬剤を配合する際は、隔壁開通後に行い、よく転倒混和すること(また、配合変化に注意すること)。
14.1.4. 透析液の流路をふさぐ場合があるので、クリックチップは確実に切断すること。
14.2. 薬剤投与時の注意
14.2.1. 静脈内に投与しないこと。
14.2.2. 下痢、腹痛、悪寒等の予防のため、本剤をあらかじめ体温程度に温めてから注入すること。
14.2.3. カリウムを含まないため、血清カリウム値が正常あるいは血清カリウム値が低値の場合、またジギタリス治療中の患者では症状に応じて本剤中のカリウム濃度が1〜4mEq/Lになるように補正して使用すること〔10.2参照〕。
14.2.4. インスリン依存性糖尿病の患者は本剤投与開始後、インスリンの用量の変更が必要となることがある(血糖値の定期的なモニターを行い、インスリンの用量を必要に応じて調整すること)。
14.3. 薬剤交付時の注意
患者に対し次の点に注意するよう指導すること。
・ バッグの交換操作は使用する医療機器の取扱説明書に従うこと。
・ 非常事態の処置法は、次に従うこと。
1). 隔壁を開通せずに使用した場合:直ちに排液を行い、医師又はスタッフに連絡し、指示を受ける。
2). 液漏れに気がつかずに使用した場合:直ちに医師又はスタッフに連絡し、指示を受ける。
・ トラブル発生時は、取扱説明書の対処法を確認し、医師又はスタッフに連絡すること。
(取扱い上の注意)
20.1. 外箱開封後は直射日光を避け保存すること。
20.2. 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.3. 冬期等の低温下ではバッグが破損しやすくなるので、注意すること。
20.4. 次の場合は使用しないこと。
・ 外袋が破損している場合は使用しないこと。
・ 容器から薬液が漏れている場合は使用しないこと。
・ 薬液に混濁・浮遊物等の異常が認められる場合は使用しないこと。
・ キャップが外れている場合は使用しないこと。
・ 隔壁を開通する前に既に隔壁が開通している場合は使用しないこと。
・ 隔壁開通操作により液漏れが生じた場合は使用しないこと。
・ バッグを押して漏れの有無を確認した際に液漏れが生じた場合は使用しないこと。
15.1. 臨床使用に基づく情報
本剤の長時間貯留により、腹腔内圧が上昇し腰痛増悪・腹部ヘルニアの発症等の可能性があるため、限外濾過量の増加に注意を払うこと〔18.1参照〕。
(保管上の注意)
室温保存。
薬効分類 | 腹膜透析液 |
一般名 | 腹膜透析液 (8−1) |
薬価 | 2307円 |
メーカー | テルモ |
最終更新 | 2024年03月改訂(第1版) |
腹膜透析治療において1日1回のみ使用すること。通常、成人には1日3〜5回交換のうち1回の交換において本剤1.5〜2Lを腹腔内に注入し、8〜12時間滞液し、効果期待後に排液除去すること。本剤以外の交換にはブドウ糖含有腹膜透析液を用いること。なお、注入量及び滞液時間は、症状、血液生化学値、体液平衡、年齢、体重等を考慮し適宜増減する。注入及び排液速度は、通常300mL/分以下とする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 1日1回のみ使用とすること。
7.2. 本剤は低濃度及び中濃度ブドウ糖含有腹膜透析液使用時に比べ、限外濾過量が増加するため、脱水症状を起こすことがないよう、本剤処方時は本剤と組み合わせて使用するブドウ糖含有腹膜透析液のブドウ糖濃度を併せて見直すこと。
慢性腎不全患者における腹膜透析。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤及びブドウ糖含有腹膜透析液それぞれの貯留時間と除水量の関係を十分理解し、透析液を選択及び処方すること。ただし、本剤の使用は1日1回のみである。
5.2. CAPD用腹膜透析液における用法・用量の範囲で適正に処方し、溢水と透析不足の原因となる食事内容やカテーテルトラブル等を排除した上で症状が改善されない患者に本剤を適用するときは、必ず腹膜平衡試験(PET)等必要な検査を行いCAPD治療中止対象患者でないことを確認すること。また、本剤適用後も定期的に腹膜平衡試験(PET)を実施し、必要に応じCAPDの一時中止等の処置をとること。この際、「日本透析医学会、腹膜透析ガイドライン2019」が参考になる。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心・血管障害:急激な脱水による循環血液量減少(脱水症として1.9%)、低血圧(3.2%)、ショック(頻度不明)等があらわれた場合には、投与を中止し、輸血、生理食塩液、昇圧剤の投与等適切な処置を行うこと。
11.1.2. 被嚢性腹膜硬化症(EPS)(頻度不明)〔8.6参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(5%未満)筋痙攣、浮動性めまい、錯感覚、味覚消失、頭痛、構語障害、運動過多、不安、神経過敏、思考異常。
2). 消化器:(5%未満)口内乾燥、腹痛、口渇、腹膜炎、血性排液、下痢、消化不良、悪心、嘔吐、便秘、胃腸障害、鼓腸、腹部膨満、胃炎、腸閉塞、胃潰瘍。
3). 循環器:(5%未満)頻脈、心臓血管疾患、低血圧、高血圧。
4). 呼吸器:(5%未満)肺水腫、呼吸困難、肺障害、咳嗽増悪、しゃっくり。
5). 血液:(5%未満)貧血、白血球増加症、好酸球増加症。
6). 内分泌系:(5%未満)副甲状腺障害。
7). 皮膚:(5%以上)発疹、(5%未満)皮膚障害、皮膚乾燥、皮膚潰瘍、湿疹、皮膚そう痒症、剥脱性皮膚炎、爪障害、乾癬、水疱性皮膚炎、顔面浮腫。
8). 肝臓:(5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇。
9). 腎臓:(5%未満)腎臓痛、尿量減少。
10). 代謝・栄養:(5%未満)低ナトリウム血症、低クロール血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低蛋白血症、高血糖、食欲不振、脱水、循環血液量減少、循環血液量増加、低血糖症。
11). その他:(5%未満)筋痛、頚部痛、耳鳴、無力症、胸痛、疼痛、浮腫、末梢性浮腫、倦怠感、発熱、せつ、感染、損傷、カテーテル機能不全、β2ミクログロブリン増加、血液浸透圧上昇、体重減少、体重増加。
2.1. トウモロコシデンプン由来物質に対し過敏症の既往のある患者。
2.2. 糖原病の患者[マルターゼが欠損していることがあり、イコデキストリンの分解物であるマルトース等の血中濃度が上昇するおそれがある]。
2.3. 横隔膜欠損のある患者[胸腔へ移行し、呼吸困難が誘発されるおそれがある]。
2.4. 腹部挫滅傷又は腹部熱傷のある患者[挫滅傷又は熱傷の治癒を妨げるおそれがある]。
2.5. 高度腹膜癒着のある患者[腹膜の透過効率が低下しているため、期待する透析効果が得られないおそれがある]。
2.6. 尿毒症に起因する以外の出血性素因のある患者[出血により蛋白喪失が亢進し、全身状態が悪化するおそれがある]。
2.7. 乳酸代謝障害の疑いのある患者[乳酸アシドーシスが誘発されるおそれがある]。
8.1. 注入液、排液の出納に注意すること。
8.2. 本剤の投与初期は、水分摂取量及び透析液の組合せによる除水量の管理に十分注意すること。
8.3. 本剤の投与開始は、医療機関において医師により、又は医師の直接の監督により実施すること。通院、自己投与は、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を施した後、医師自らの管理指導の下に実施すること。
8.4. 本剤使用時に発疹等の皮膚反応が生じ、症状が継続もしくは悪化する場合には、本剤の使用を中止し、副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
8.5. 腹膜炎を合併することがあるので、本剤の投与にあたっては特に清潔な環境下で無菌的操作により行うとともに次のことに注意すること。
8.5.1. 腹膜カテーテルの管理及び腹膜カテーテル出口部分の状態には十分注意すること。
8.5.2. 腹膜炎が発生すると排液が濁るので、その早期発見のために、毎排液後、液の混濁状態を確認すること(腹膜炎発生時の液の混濁状態は正常排液2000mLに対して牛乳1mLを添加した液の混濁状態を参考とすることができる)。排液の混濁が認められた場合、直ちに医師に報告し、医師は抗菌薬投与の必要性を考慮すること。
8.5.3. 本剤使用時に原因不明の排液混濁が認められた場合、直ちに本剤の使用を中止し、使用中止により排液混濁が消失した場合、注意深い観察下においてのみ使用を再開すること(再開後に、再び原因不明の排液混濁が認められる場合は、本剤の使用を中止し、再投与しないこと)。
8.6. 長期の腹膜透析実施において被嚢性腹膜硬化症(EPS)を合併することがあるので、発症が疑われたら直ちにCAPDを中止し、血液透析に変更し、発症後は、経静脈的高カロリー輸液を主体とした栄養補給を行い、腸管の安静を保つ(嘔吐がある場合は胃チューブにより胃液を持続吸引する)、本症は必ずイレウス症状を伴うが、診断には次の臨床症状、血液検査所見及び画像診断が参考になる〔11.1.2参照〕[1)臨床症状:低栄養、るいそう、下痢、便秘、微熱、血性排液、局所性腹水貯留もしくはびまん性腹水貯留、腸管ぜん動音低下、腹部における塊状物触知、除水能低下、腹膜透過性亢進、2)血液検査所見:末梢白血球数増加、CRP陽性、低アルブミン血症、エリスロポエチン抵抗性貧血、高エンドトキシン血症、3)画像診断:X線検査、超音波検査、CT検査]。
8.7. 定期的に血液生化学検査及び血液学的検査等を実施すること(特に、本剤使用時には血清ナトリウム値低下及び血清クロール値低下並びにアルカリホスファターゼ値上昇が認められるので注意すること)。
8.8. 本剤を投与されている患者の血糖値の測定には、イコデキストリンやマルトースの影響を受ける旨電子添文に記載されている血糖測定用試薬及び測定器は使用しないこと(イコデキストリンやマルトースの影響を受ける旨電子添文に記載されている血糖測定用試薬及び測定器の使用で偽高値を示すことがあり、インスリン投与が必要な患者においては、インスリンの過量投与につながり低血糖を来すおそれがある)〔12.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患の疑いのある患者:腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患が悪化する又は誘発されるおそれがある。
9.1.2. 腹部手術直後の患者:手術部位の治癒を妨げるおそれがある。
9.1.3. 大動脈部位における人工血管使用患者:細菌感染を起こすおそれがある。
9.1.4. 重篤な肺疾患のある患者:腹圧上昇により肺機能低下が起こるおそれがある。
9.1.5. 食事摂取不良の患者:栄養状態が悪化するおそれがある。
9.1.6. 腹部ヘルニアのある患者:腹部ヘルニアが悪化するおそれがある。
9.1.7. 腰椎障害のある患者:腰椎障害が悪化するおそれがある。
9.1.8. 憩室炎のある患者:憩室炎が腹膜炎合併の原因となるおそれがある。
9.1.9. 人工肛門使用患者:細菌感染を起こすおそれがある。
9.1.10. 高度換気障害のある患者:腹腔内透析液貯留により胸腔が圧迫され、換気障害が悪化するおそれがある。
9.1.11. 高度低蛋白血症のある患者:低蛋白血症が悪化するおそれがある。
9.1.12. ステロイド服用患者及び免疫不全患者:易感染性であるため、細菌性腹膜炎等を誘発するおそれがある。
10.2. 併用注意:
1). ジギタリス製剤(ジゴキシン等)〔14.2.3参照〕[ジギタリス中毒が誘発されるおそれがある(本剤はカリウムを含まないため、血清カリウム値が低下する可能性があり、ジギタリス中毒を起こすおそれがある)]。
2). 利尿剤(フロセミド等)[水及び電解質異常が誘発されるおそれがある(本剤には除水効果があるため、併用により、脱水症状や電解質異常を起こすおそれがある)]。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
12.1. 本剤の代謝物が血清アミラーゼの測定を妨害し低値を示すので、本剤を使用中又は使用中止後2週間以内に膵機能検査を行う場合、血清アミラーゼ以外の血清リパーゼ等の検査を行うこと。
12.2. グルコース脱水素酵素(GDH)法を用いた血糖測定法ではマルトースや本剤に含まれるイコデキストリン代謝物が測定結果に影響を与え、実際の血糖値よりも高値を示す場合があることが報告されているため、血糖測定用試薬・測定器の血糖測定値に対する影響について事前に血糖測定用試薬・測定器の製造販売業者から情報を入手する(交差反応はグルコース脱水素酵素(GDH)法の中でもGDH−PQQ法で報告されている)。
GDH−PQQ法:補酵素としてピロロキノリンキノンを使用した方法。
24時間以内に2回以上投与した際に、血漿中総デキストリン濃度増加及び血漿中イコデキストリン代謝物濃度増加(血漿中マルトース濃度増加等)が現れると考えられるので、この場合には、イコデキストリンを含まない腹膜透析液又は血液透析等で対処すること。
また、24時間以内に2回以上投与した際に、脱水症状が認められた場合には、水分の補給を行う等の適切な処置をすること。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤調製時の注意
14.1.1. 使用前に隔壁を開通させ、大室液と小室液をよく混合すること。
14.1.2. バッグが破損するおそれがあるので、容器に強い衝撃を加えて、隔壁を開通させないこと。
14.1.3. 他の薬剤を配合する際は、隔壁開通後に行い、よく転倒混和すること(また、配合変化に注意すること)。
14.1.4. 透析液の流路をふさぐ場合があるので、クリックチップは確実に切断すること。
14.2. 薬剤投与時の注意
14.2.1. 静脈内に投与しないこと。
14.2.2. 下痢、腹痛、悪寒等の予防のため、本剤をあらかじめ体温程度に温めてから注入すること。
14.2.3. カリウムを含まないため、血清カリウム値が正常あるいは血清カリウム値が低値の場合、またジギタリス治療中の患者では症状に応じて本剤中のカリウム濃度が1〜4mEq/Lになるように補正して使用すること〔10.2参照〕。
14.2.4. インスリン依存性糖尿病の患者は本剤投与開始後、インスリンの用量の変更が必要となることがある(血糖値の定期的なモニターを行い、インスリンの用量を必要に応じて調整すること)。
14.3. 薬剤交付時の注意
患者に対し次の点に注意するよう指導すること。
・ バッグの交換操作は使用する医療機器の取扱説明書に従うこと。
・ 非常事態の処置法は、次に従うこと。
1). 隔壁を開通せずに使用した場合:直ちに排液を行い、医師又はスタッフに連絡し、指示を受ける。
2). 液漏れに気がつかずに使用した場合:直ちに医師又はスタッフに連絡し、指示を受ける。
・ トラブル発生時は、取扱説明書の対処法を確認し、医師又はスタッフに連絡すること。
(取扱い上の注意)
20.1. 外箱開封後は直射日光を避け保存すること。
20.2. 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.3. 冬期等の低温下ではバッグが破損しやすくなるので、注意すること。
20.4. 次の場合は使用しないこと。
・ 外袋が破損している場合は使用しないこと。
・ 容器から薬液が漏れている場合は使用しないこと。
・ 薬液に混濁・浮遊物等の異常が認められる場合は使用しないこと。
・ キャップが外れている場合は使用しないこと。
・ 隔壁を開通する前に既に隔壁が開通している場合は使用しないこと。
・ 隔壁開通操作により液漏れが生じた場合は使用しないこと。
・ バッグを押して漏れの有無を確認した際に液漏れが生じた場合は使用しないこと。
15.1. 臨床使用に基づく情報
本剤の長時間貯留により、腹腔内圧が上昇し腰痛増悪・腹部ヘルニアの発症等の可能性があるため、限外濾過量の増加に注意を払うこと〔18.1参照〕。
(保管上の注意)
室温保存。
薬剤写真、用法用量、効能効果や後発品の情報が一度に参照でき、関連情報へ簡単にアクセスができます。
一般名、製品名どちらでも検索可能!
※ ご使用いただく際に、必ず最新の添付文書および安全性情報も併せてご確認下さい。