薬効分類 | CD19キメラ抗原受容体 (CAR) 発現生T細胞 |
一般名 | リソカブタゲンマラルユーセル |
薬価 | 35096343円 |
メーカー | BMS |
最終更新 | 2024年08月改訂(第8版) 添付文書のPDFはこちら |
6.1. 医療機関での白血球アフェレーシス〜製造施設への輸送
6.1.1. 白血球アフェレーシス:白血球アフェレーシスにより、非動員末梢血単核球を採取する。
6.1.2. 白血球アフェレーシス産物の輸送:採取した白血球アフェレーシス産物を、1〜10℃に設定された保冷輸送箱に梱包して本品製造施設へ輸送する。
6.2. 医療機関での受入れ〜投与
6.2.1. 本品の受領及び保存:凍結した状態で本品を受領し、使用直前まで液体窒素気相下(−130℃以下)で凍結保存する。
6.2.2. 投与前の前処置:血液検査等により患者の状態を確認し、本品投与の2日前から7日前までに次のリンパ球除去化学療法を行う。フルダラビンリン酸エステルとして30mg/uを1日1回3日間点滴静注及びシクロホスファミド(無水物換算)として300mg/uを1日1回3日間点滴静注する。なお、患者の状態(腎機能障害等)により適宜減量する。
6.2.3. 本品の投与:投与直前に本品を解凍する。通常、成人には、CAR発現生T細胞としてCD8陽性細胞(20×10の6乗〜50×10の6乗個)及びCD4陽性細胞(20×10の6乗〜50×10の6乗個)を、合計細胞数が体重を問わず100×10の6乗個を目標(範囲:44×10の6乗〜100×10の6乗個)に、CD8陽性細胞及びCD4陽性細胞の細胞数の比が1(範囲:0.8〜1.2)となるよう、CD8陽性細胞を静脈内投与した後にCD4陽性細胞を静脈内投与する。なお、本品の再投与はしないこと。
(用法及び用量又は使用方法に関連する注意)
7.1. 次のいずれかの状態が患者に認められた場合には、回復するまでリンパ球除去化学療法又は本品の投与を延期すること。
・ 先行する化学療法に起因する事象を含む重篤な有害事象の持続(先行する化学療法に起因する事象を含む重篤な肺障害の持続、先行する化学療法に起因する事象を含む重篤な心障害の持続、先行する化学療法に起因する事象を含む重篤な低血圧の持続等)が患者に認められた場合には、回復するまでリンパ球除去化学療法又は本品の投与を延期すること。
・ コントロール不良な活動性感染症、コントロール不良な活動性炎症性疾患が患者に認められた場合には、回復するまでリンパ球除去化学療法又は本品の投与を延期すること。
・ 活動性移植片対宿主病(活動性GVHD)が患者に認められた場合には、回復するまでリンパ球除去化学療法又は本品の投与を延期すること。
7.2. 前処置
移植細胞の生着促進等の目的で、DNA合成阻害作用等の殺細胞作用、あるいはリンパ球減少に伴う免疫抑制作用を有する化学療法剤を投与した後、本品の投与を行う。臨床試験における前処置の実施については、「17.臨床成績」の項を参照すること〔17.1.1−17.1.5参照〕。
7.3. 本品の投与
7.3.1. 本品の投与約30〜60分前に、infusion reactionのリスクを抑えるため、アセトアミノフェン及びジフェンヒドラミン又はその他のヒスタミンH1受容体拮抗薬を投与すること(生命を脅かす緊急時を除き、副腎皮質ステロイド剤は使用しないこと)。また、アナフィラキシー等の投与に伴う重度の事象が発現した場合に備え、救急措置の準備をしておくこと〔11.1.6参照〕。
7.3.2. サイトカイン放出症候群の緊急時に備えて、トシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと〔1.2、8.4、11.1.1参照〕。
1). 次の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫:再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、再発又は難治性の形質転換低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、再発又は難治性の高悪性度B細胞リンパ腫(ただし、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る)。
2). 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(ただし、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る)。
(効能、効果又は性能に関連する注意)
臨床試験に組み入れられた患者の組織型、前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1−17.1.5参照〕。
次の副作用・不具合があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. サイトカイン放出症候群(46.1%):発熱、低血圧、頻脈、悪寒、低酸素症等の異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理アルゴリズム等に従い、適切な処置を行うこと。また、血球貪食性リンパ組織球症(0.8%)が報告されている〔1.2、7.3.2、8.4参照〕。
11.1.2. 神経系事象(32.6%):錯乱状態(8.2%)、脳症(3.7%)、失語症(6.8%)、振戦(10.0%)、譫妄(1.3%)、浮動性めまい(5.8%)、頭痛(10.3%)、痙攣発作(0.5%)等の神経系事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)を含む)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する神経系事象管理アルゴリズム等に従い、適切な処置を行うこと〔1.3、8.5、8.10参照〕。
11.1.3. 感染症(5.8%):細菌、真菌及びウイルス等による日和見感染を含む重度感染症(敗血症、肺炎等)があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されており、また、発熱性好中球減少症(5.0%)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、抗生物質の投与等の適切な処置を行うこと。また、進行性多巣性白質脳症(PML)が報告されていることから、神経症状があらわれた場合は鑑別のための適切な検査(脳脊髄液検査やMRIによる画像診断等)を行うこと〔8.6、8.7、9.1.1−9.1.3参照〕。
11.1.4. 血球減少(34.1%):本品投与後28日目までに回復しない重度血小板減少(26.5%)、投与後28日目までに回復しない重度好中球減少(21.1%)、投与後28日目までに回復しない重度貧血(6.8%)等があらわれることがある〔8.8参照〕。
11.1.5. 低γグロブリン血症(6.1%):異常が認められた場合には適切な処置(免疫グロブリン補充療法を定期的に行う等)を行うとともに、感染症の徴候等に対する観察を十分に行うこと。
11.1.6. Infusion reaction(0.6%):ショック、アナフィラキシーを含むinfusion reactionがあらわれることがある〔7.3.1参照〕。
11.1.7. 腫瘍崩壊症候群(0.2%):異常が認められた場合には適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うこと〔8.9参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 血液及びリンパ系障害:(1〜10%)白血球減少、リンパ球減少、低フィブリノゲン血症、(1%未満)凝血異常。
2). 代謝及び栄養障害:(1〜10%)食欲減退、低カリウム血症、脱水、(1%未満)低リン血症、低ナトリウム血症。
3). 精神障害:(1〜10%)激越、精神状態変化、失見当識、(1%未満)不眠症、不安。
4). 神経系障害:(1〜10%)傾眠、嗜眠、運動失調、構語障害、記憶障害、認知障害、意識レベル低下、注意力障害、(1%未満)健忘、味覚異常、顔面麻痺、脳浮腫、小脳症候群、末梢性ニューロパチー、脳血管発作。
5). 心臓障害:(1〜10%)洞性頻脈、頻脈、(1%未満)動悸、心筋症、不整脈。
6). 血管障害:(1〜10%)低血圧、(1%未満)起立性低血圧、高血圧、血栓症。
7). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1〜10%)呼吸困難、咳嗽、(1%未満)低酸素症。
8). 胃腸障害:(1〜10%)悪心、下痢、嘔吐、腹痛、便秘、(1%未満)胃腸出血。
9). 筋骨格系及び結合組織障害:(1〜10%)筋肉痛、筋力低下、関節痛、(1%未満)背部痛、運動機能障害。
10). 腎及び尿路障害:(1%未満)腎機能障害、尿失禁。
11). その他:(10%以上)疲労、発熱、(1〜10%)無力症、悪寒、発疹、ALT増加、AST増加、疼痛、(1%未満)体重減少、歩行障害、浮腫、視覚障害。
1.1. 本品は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍及び造血幹細胞移植の治療に対して十分な知識・経験を持ち、かつ製造販売業者による本品に関する必要な説明を受けた医師のもとで、本品の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2. 重度サイトカイン放出症候群があらわれることがあり、死亡に至る又は生命を脅かす可能性があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理アルゴリズム等に従い、適切な処置を行うこと〔7.3.2、8.4、11.1.1参照〕。
1.3. 重度神経系事象又は生命を脅かす神経系事象があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する神経系事象管理アルゴリズム等に従い、適切な処置を行うこと〔8.5、8.10、11.1.2参照〕。
(禁忌・禁止)
2.1. 再使用禁止。
2.2. 本品の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.3. 原材料として用いる非動員末梢血単核球を採取した患者本人以外に投与しないこと。
8.1. 本品の使用にあたっては、疾病の治療における本品の必要性とともに、有効性及び安全性その他本品の適正な使用のために必要な事項について、患者又はその家族に文書をもって説明し、同意を得てから本品を使用すること。
8.2. 本品はヒト・動物由来の原材料を使用して製造されている。ヒト・動物由来の原材料については安全性確保のためウイルス試験等を実施しているが、ヒト・動物由来の原材料に起因する感染症伝播のリスクを完全には排除することはできないため、本品の使用に際しては臨床上の必要性を十分に検討すること。
8.3. 白血球アフェレーシスを実施する際には、当該白血球の使途等について患者又はその家族に文書をもって説明し、同意を得ること。
8.4. サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、血液検査を行う等、発熱、低血圧、頻脈、悪寒、低酸素症、血球貪食性リンパ組織球症等の臨床症状について、観察を十分に行うこと〔1.2、7.3.2、11.1.1参照〕。
8.5. 神経系事象があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、脳症、失語症、振戦、譫妄、浮動性めまい、頭痛等の臨床症状について、観察を十分に行うこと〔1.3、8.10、11.1.2参照〕。
8.6. 感染症があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、臨床症状等を確認し、観察を十分に行うこと〔9.1.1、11.1.3参照〕。
8.7. 白血球アフェレーシスを実施する前に、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス及びHIV感染の有無を確認すること〔9.1.2、9.1.3、11.1.3参照〕。
8.8. 本品投与後数週間以上にわたり、血小板減少、好中球減少、貧血等の骨髄抑制があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.4参照〕。
8.9. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、血清中電解質濃度の測定及び腎機能検査を行う等、観察を十分に行うこと〔11.1.7参照〕。
8.10. 精神状態変化や痙攣発作等の神経系事象があらわれることがあるので、本品投与後の患者には、自動車運転や危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること〔1.3、8.5、11.1.2参照〕。
8.11. CAR発現T細胞を含有する再生医療等製品において、製品投与後にCAR陽性T細胞を起源とするリンパ系腫瘍の発現が報告されている。製品との因果関係は明確ではないが、T細胞を起源とするリンパ系腫瘍の発現には注意すること。
8.12. 製品が規格を満たさない等の理由により、本品が提供されない可能性があることについて、事前に患者に対して説明すること〔17.1.1−17.1.5参照〕。
8.13. 患者の細胞採取から本品の投与に至るまでの一連の手順の詳細は、製造販売業者が提供するマニュアル等を参照すること。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 感染症を合併している患者:骨髄抑制等により感染症が増悪するおそれがある〔8.6、11.1.3参照〕。
9.1.2. B型肝炎ウイルスキャリア又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎又はC型肝炎既往感染者:本品を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行う等、B型肝炎ウイルス再活性化やC型肝炎悪化の徴候や症状の発現に注意すること(肝炎ウイルス再活性化される可能性があり、ウイルスの再活性化による肝炎悪化があらわれる可能性がある)〔8.7、11.1.3参照〕。
9.1.3. HIV感染者:ウイルス増加する可能性があり、ウイルスの増加による悪化があらわれる可能性がある〔8.7、11.1.3参照〕。
(生殖能を有する者)
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本品投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
10.2. 併用注意:
1). 生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥BCG等)[接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行うこと(免疫抑制下で生ワクチンを接種すると病原性をあらわす可能性がある)]。
2). 抗EGFRモノクローナル抗体(セツキシマブ<遺伝子組換え>、パニツムマブ<遺伝子組換え>、ネシツムマブ<遺伝子組換え>等)[本品投与後に抗EGFRモノクローナル抗体を投与すると、本品が除去され本品の抗腫瘍効果が減弱するおそれがある(本品は、生物活性を惹起しない部分型ヒト上皮増殖因子受容体(EGFRt)を細胞表面上でCD19特異的CARと共発現しているため、本品投与後に抗EGFRモノクローナル抗体を投与することにより、本品が除去されるおそれがある)]。
一般に生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(妊婦)
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
12.1. 血清学的検査への影響
本品の製造に使用されるレンチウイルスベクターにはHIV−1の遺伝子配列(RNA)が一部含まれるため、HIV核酸増幅検査(NAT)で偽陽性になるおそれがある。
(適用上の注意)
14.1. 調製時の注意
14.1.1. 本品の輸送容器と出荷証明書の患者識別情報が患者と一致しているかを確認すること。
14.1.2. 予め投与する時間を確認し、患者の準備ができた時点で本品を投与できるように、本品の解凍開始時間を調整すること。
14.1.3. 本品の解凍時に、外箱及び全てのバイアルの患者識別情報が患者と一致しているかを確認すること。また、CD8陽性細胞及びCD4陽性細胞の2種のバイアル(最大各4本)を同時に解凍すること。
14.1.4. 室温で完全に融解してから本品を投与すること(また、凍結保存条件下からバイアルを取り出してから2時間以内に本品の投与を完了させること)。融解後の再凍結は行わないこと。
14.1.5. CD8陽性細胞及びCD4陽性細胞の2種のバイアルは、別々に扱うこと。
14.1.6. CD8陽性細胞のシリンジから調製すること。各バイアルの出荷証明書に記載されている量を確認し、各バイアル用の適切なサイズのシリンジを準備し、シリンジラベルとバイアルラベルの患者識別情報が一致しているかを確認し、それぞれのシリンジにシリンジラベルを貼付する。各バイアルの内容物を各シリンジで採取し、採取した量が出荷証明書に記載されている量と一致していることを確認すること。
14.1.7. 本品への放射線照射は行わないこと。
14.2. 投与時の注意
14.2.1. 本品に損傷や漏れ等が認められた場合、本品を投与しないこと。
14.2.2. 本品の投与では、白血球除去フィルターを使用しないこと。
14.2.3. 本品の投与時には、シリンジの患者識別情報が患者と一致しているかを確認すること。
14.2.4. 本品は、CD8陽性細胞から投与すること。
14.2.5. 本品は、約0.5mL/分の速度で静脈内投与すること。
14.2.6. 本品には、複製能のない自己不活性化レンチウイルスベクターを用いて遺伝子操作したヒト血液細胞が含まれるので、本品の残液は各医療機関の手順に従って感染性物質として廃棄すること。
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. 本品による治療を受けた患者は、移植のために血液、臓器、組織及び細胞を提供しないよう指導すること。
15.1.2. 臨床試験において、本品投与後に悪性腫瘍の発現が報告されている(本品の投与後は長期間経過を観察すること)。
(貯蔵方法及び有効期間等)
19.1. 貯蔵方法
液体窒素気相下(−130℃以下)。
薬効分類 | CD19キメラ抗原受容体 (CAR) 発現生T細胞 |
一般名 | リソカブタゲンマラルユーセル |
薬価 | 35096343円 |
メーカー | BMS |
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6.1. 医療機関での白血球アフェレーシス〜製造施設への輸送
6.1.1. 白血球アフェレーシス:白血球アフェレーシスにより、非動員末梢血単核球を採取する。
6.1.2. 白血球アフェレーシス産物の輸送:採取した白血球アフェレーシス産物を、1〜10℃に設定された保冷輸送箱に梱包して本品製造施設へ輸送する。
6.2. 医療機関での受入れ〜投与
6.2.1. 本品の受領及び保存:凍結した状態で本品を受領し、使用直前まで液体窒素気相下(−130℃以下)で凍結保存する。
6.2.2. 投与前の前処置:血液検査等により患者の状態を確認し、本品投与の2日前から7日前までに次のリンパ球除去化学療法を行う。フルダラビンリン酸エステルとして30mg/uを1日1回3日間点滴静注及びシクロホスファミド(無水物換算)として300mg/uを1日1回3日間点滴静注する。なお、患者の状態(腎機能障害等)により適宜減量する。
6.2.3. 本品の投与:投与直前に本品を解凍する。通常、成人には、CAR発現生T細胞としてCD8陽性細胞(20×10の6乗〜50×10の6乗個)及びCD4陽性細胞(20×10の6乗〜50×10の6乗個)を、合計細胞数が体重を問わず100×10の6乗個を目標(範囲:44×10の6乗〜100×10の6乗個)に、CD8陽性細胞及びCD4陽性細胞の細胞数の比が1(範囲:0.8〜1.2)となるよう、CD8陽性細胞を静脈内投与した後にCD4陽性細胞を静脈内投与する。なお、本品の再投与はしないこと。
(用法及び用量又は使用方法に関連する注意)
7.1. 次のいずれかの状態が患者に認められた場合には、回復するまでリンパ球除去化学療法又は本品の投与を延期すること。
・ 先行する化学療法に起因する事象を含む重篤な有害事象の持続(先行する化学療法に起因する事象を含む重篤な肺障害の持続、先行する化学療法に起因する事象を含む重篤な心障害の持続、先行する化学療法に起因する事象を含む重篤な低血圧の持続等)が患者に認められた場合には、回復するまでリンパ球除去化学療法又は本品の投与を延期すること。
・ コントロール不良な活動性感染症、コントロール不良な活動性炎症性疾患が患者に認められた場合には、回復するまでリンパ球除去化学療法又は本品の投与を延期すること。
・ 活動性移植片対宿主病(活動性GVHD)が患者に認められた場合には、回復するまでリンパ球除去化学療法又は本品の投与を延期すること。
7.2. 前処置
移植細胞の生着促進等の目的で、DNA合成阻害作用等の殺細胞作用、あるいはリンパ球減少に伴う免疫抑制作用を有する化学療法剤を投与した後、本品の投与を行う。臨床試験における前処置の実施については、「17.臨床成績」の項を参照すること〔17.1.1−17.1.5参照〕。
7.3. 本品の投与
7.3.1. 本品の投与約30〜60分前に、infusion reactionのリスクを抑えるため、アセトアミノフェン及びジフェンヒドラミン又はその他のヒスタミンH1受容体拮抗薬を投与すること(生命を脅かす緊急時を除き、副腎皮質ステロイド剤は使用しないこと)。また、アナフィラキシー等の投与に伴う重度の事象が発現した場合に備え、救急措置の準備をしておくこと〔11.1.6参照〕。
7.3.2. サイトカイン放出症候群の緊急時に備えて、トシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと〔1.2、8.4、11.1.1参照〕。
1). 次の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫:再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、再発又は難治性の形質転換低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、再発又は難治性の高悪性度B細胞リンパ腫(ただし、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る)。
2). 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(ただし、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る)。
(効能、効果又は性能に関連する注意)
臨床試験に組み入れられた患者の組織型、前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1−17.1.5参照〕。
次の副作用・不具合があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. サイトカイン放出症候群(46.1%):発熱、低血圧、頻脈、悪寒、低酸素症等の異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理アルゴリズム等に従い、適切な処置を行うこと。また、血球貪食性リンパ組織球症(0.8%)が報告されている〔1.2、7.3.2、8.4参照〕。
11.1.2. 神経系事象(32.6%):錯乱状態(8.2%)、脳症(3.7%)、失語症(6.8%)、振戦(10.0%)、譫妄(1.3%)、浮動性めまい(5.8%)、頭痛(10.3%)、痙攣発作(0.5%)等の神経系事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)を含む)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する神経系事象管理アルゴリズム等に従い、適切な処置を行うこと〔1.3、8.5、8.10参照〕。
11.1.3. 感染症(5.8%):細菌、真菌及びウイルス等による日和見感染を含む重度感染症(敗血症、肺炎等)があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されており、また、発熱性好中球減少症(5.0%)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、抗生物質の投与等の適切な処置を行うこと。また、進行性多巣性白質脳症(PML)が報告されていることから、神経症状があらわれた場合は鑑別のための適切な検査(脳脊髄液検査やMRIによる画像診断等)を行うこと〔8.6、8.7、9.1.1−9.1.3参照〕。
11.1.4. 血球減少(34.1%):本品投与後28日目までに回復しない重度血小板減少(26.5%)、投与後28日目までに回復しない重度好中球減少(21.1%)、投与後28日目までに回復しない重度貧血(6.8%)等があらわれることがある〔8.8参照〕。
11.1.5. 低γグロブリン血症(6.1%):異常が認められた場合には適切な処置(免疫グロブリン補充療法を定期的に行う等)を行うとともに、感染症の徴候等に対する観察を十分に行うこと。
11.1.6. Infusion reaction(0.6%):ショック、アナフィラキシーを含むinfusion reactionがあらわれることがある〔7.3.1参照〕。
11.1.7. 腫瘍崩壊症候群(0.2%):異常が認められた場合には適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うこと〔8.9参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 血液及びリンパ系障害:(1〜10%)白血球減少、リンパ球減少、低フィブリノゲン血症、(1%未満)凝血異常。
2). 代謝及び栄養障害:(1〜10%)食欲減退、低カリウム血症、脱水、(1%未満)低リン血症、低ナトリウム血症。
3). 精神障害:(1〜10%)激越、精神状態変化、失見当識、(1%未満)不眠症、不安。
4). 神経系障害:(1〜10%)傾眠、嗜眠、運動失調、構語障害、記憶障害、認知障害、意識レベル低下、注意力障害、(1%未満)健忘、味覚異常、顔面麻痺、脳浮腫、小脳症候群、末梢性ニューロパチー、脳血管発作。
5). 心臓障害:(1〜10%)洞性頻脈、頻脈、(1%未満)動悸、心筋症、不整脈。
6). 血管障害:(1〜10%)低血圧、(1%未満)起立性低血圧、高血圧、血栓症。
7). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1〜10%)呼吸困難、咳嗽、(1%未満)低酸素症。
8). 胃腸障害:(1〜10%)悪心、下痢、嘔吐、腹痛、便秘、(1%未満)胃腸出血。
9). 筋骨格系及び結合組織障害:(1〜10%)筋肉痛、筋力低下、関節痛、(1%未満)背部痛、運動機能障害。
10). 腎及び尿路障害:(1%未満)腎機能障害、尿失禁。
11). その他:(10%以上)疲労、発熱、(1〜10%)無力症、悪寒、発疹、ALT増加、AST増加、疼痛、(1%未満)体重減少、歩行障害、浮腫、視覚障害。
1.1. 本品は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍及び造血幹細胞移植の治療に対して十分な知識・経験を持ち、かつ製造販売業者による本品に関する必要な説明を受けた医師のもとで、本品の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2. 重度サイトカイン放出症候群があらわれることがあり、死亡に至る又は生命を脅かす可能性があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理アルゴリズム等に従い、適切な処置を行うこと〔7.3.2、8.4、11.1.1参照〕。
1.3. 重度神経系事象又は生命を脅かす神経系事象があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する神経系事象管理アルゴリズム等に従い、適切な処置を行うこと〔8.5、8.10、11.1.2参照〕。
(禁忌・禁止)
2.1. 再使用禁止。
2.2. 本品の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.3. 原材料として用いる非動員末梢血単核球を採取した患者本人以外に投与しないこと。
8.1. 本品の使用にあたっては、疾病の治療における本品の必要性とともに、有効性及び安全性その他本品の適正な使用のために必要な事項について、患者又はその家族に文書をもって説明し、同意を得てから本品を使用すること。
8.2. 本品はヒト・動物由来の原材料を使用して製造されている。ヒト・動物由来の原材料については安全性確保のためウイルス試験等を実施しているが、ヒト・動物由来の原材料に起因する感染症伝播のリスクを完全には排除することはできないため、本品の使用に際しては臨床上の必要性を十分に検討すること。
8.3. 白血球アフェレーシスを実施する際には、当該白血球の使途等について患者又はその家族に文書をもって説明し、同意を得ること。
8.4. サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、血液検査を行う等、発熱、低血圧、頻脈、悪寒、低酸素症、血球貪食性リンパ組織球症等の臨床症状について、観察を十分に行うこと〔1.2、7.3.2、11.1.1参照〕。
8.5. 神経系事象があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、脳症、失語症、振戦、譫妄、浮動性めまい、頭痛等の臨床症状について、観察を十分に行うこと〔1.3、8.10、11.1.2参照〕。
8.6. 感染症があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、臨床症状等を確認し、観察を十分に行うこと〔9.1.1、11.1.3参照〕。
8.7. 白血球アフェレーシスを実施する前に、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス及びHIV感染の有無を確認すること〔9.1.2、9.1.3、11.1.3参照〕。
8.8. 本品投与後数週間以上にわたり、血小板減少、好中球減少、貧血等の骨髄抑制があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.4参照〕。
8.9. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、本品の投与にあたっては、血清中電解質濃度の測定及び腎機能検査を行う等、観察を十分に行うこと〔11.1.7参照〕。
8.10. 精神状態変化や痙攣発作等の神経系事象があらわれることがあるので、本品投与後の患者には、自動車運転や危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること〔1.3、8.5、11.1.2参照〕。
8.11. CAR発現T細胞を含有する再生医療等製品において、製品投与後にCAR陽性T細胞を起源とするリンパ系腫瘍の発現が報告されている。製品との因果関係は明確ではないが、T細胞を起源とするリンパ系腫瘍の発現には注意すること。
8.12. 製品が規格を満たさない等の理由により、本品が提供されない可能性があることについて、事前に患者に対して説明すること〔17.1.1−17.1.5参照〕。
8.13. 患者の細胞採取から本品の投与に至るまでの一連の手順の詳細は、製造販売業者が提供するマニュアル等を参照すること。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 感染症を合併している患者:骨髄抑制等により感染症が増悪するおそれがある〔8.6、11.1.3参照〕。
9.1.2. B型肝炎ウイルスキャリア又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎又はC型肝炎既往感染者:本品を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行う等、B型肝炎ウイルス再活性化やC型肝炎悪化の徴候や症状の発現に注意すること(肝炎ウイルス再活性化される可能性があり、ウイルスの再活性化による肝炎悪化があらわれる可能性がある)〔8.7、11.1.3参照〕。
9.1.3. HIV感染者:ウイルス増加する可能性があり、ウイルスの増加による悪化があらわれる可能性がある〔8.7、11.1.3参照〕。
(生殖能を有する者)
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本品投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
10.2. 併用注意:
1). 生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥BCG等)[接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行うこと(免疫抑制下で生ワクチンを接種すると病原性をあらわす可能性がある)]。
2). 抗EGFRモノクローナル抗体(セツキシマブ<遺伝子組換え>、パニツムマブ<遺伝子組換え>、ネシツムマブ<遺伝子組換え>等)[本品投与後に抗EGFRモノクローナル抗体を投与すると、本品が除去され本品の抗腫瘍効果が減弱するおそれがある(本品は、生物活性を惹起しない部分型ヒト上皮増殖因子受容体(EGFRt)を細胞表面上でCD19特異的CARと共発現しているため、本品投与後に抗EGFRモノクローナル抗体を投与することにより、本品が除去されるおそれがある)]。
一般に生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(妊婦)
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
12.1. 血清学的検査への影響
本品の製造に使用されるレンチウイルスベクターにはHIV−1の遺伝子配列(RNA)が一部含まれるため、HIV核酸増幅検査(NAT)で偽陽性になるおそれがある。
(適用上の注意)
14.1. 調製時の注意
14.1.1. 本品の輸送容器と出荷証明書の患者識別情報が患者と一致しているかを確認すること。
14.1.2. 予め投与する時間を確認し、患者の準備ができた時点で本品を投与できるように、本品の解凍開始時間を調整すること。
14.1.3. 本品の解凍時に、外箱及び全てのバイアルの患者識別情報が患者と一致しているかを確認すること。また、CD8陽性細胞及びCD4陽性細胞の2種のバイアル(最大各4本)を同時に解凍すること。
14.1.4. 室温で完全に融解してから本品を投与すること(また、凍結保存条件下からバイアルを取り出してから2時間以内に本品の投与を完了させること)。融解後の再凍結は行わないこと。
14.1.5. CD8陽性細胞及びCD4陽性細胞の2種のバイアルは、別々に扱うこと。
14.1.6. CD8陽性細胞のシリンジから調製すること。各バイアルの出荷証明書に記載されている量を確認し、各バイアル用の適切なサイズのシリンジを準備し、シリンジラベルとバイアルラベルの患者識別情報が一致しているかを確認し、それぞれのシリンジにシリンジラベルを貼付する。各バイアルの内容物を各シリンジで採取し、採取した量が出荷証明書に記載されている量と一致していることを確認すること。
14.1.7. 本品への放射線照射は行わないこと。
14.2. 投与時の注意
14.2.1. 本品に損傷や漏れ等が認められた場合、本品を投与しないこと。
14.2.2. 本品の投与では、白血球除去フィルターを使用しないこと。
14.2.3. 本品の投与時には、シリンジの患者識別情報が患者と一致しているかを確認すること。
14.2.4. 本品は、CD8陽性細胞から投与すること。
14.2.5. 本品は、約0.5mL/分の速度で静脈内投与すること。
14.2.6. 本品には、複製能のない自己不活性化レンチウイルスベクターを用いて遺伝子操作したヒト血液細胞が含まれるので、本品の残液は各医療機関の手順に従って感染性物質として廃棄すること。
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. 本品による治療を受けた患者は、移植のために血液、臓器、組織及び細胞を提供しないよう指導すること。
15.1.2. 臨床試験において、本品投与後に悪性腫瘍の発現が報告されている(本品の投与後は長期間経過を観察すること)。
(貯蔵方法及び有効期間等)
19.1. 貯蔵方法
液体窒素気相下(−130℃以下)。
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