薬剤情報
後発品
薬効分類局所麻酔薬
一般名リドカイン塩酸塩・アドレナリン (3) 注射液
薬価146
メーカーサンドファーマ
最終更新2021年09月改訂(第15版)

用法・用量

1回25mL(リドカイン塩酸塩として500mg)を基準最高用量とする。但し、いずれの場合も年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。なお、各種麻酔方法による用量は次のとおりである。()内はリドカイン塩酸塩として、<>内はアドレナリンとしての用量である。

1.硬膜外麻酔:10〜20mL(200〜400mg)<0.125〜0.25mg>。

2.伝達麻酔:2〜20mL(40〜400mg)<0.025〜0.25mg>。

3.浸潤麻酔:2〜25mL(40〜500mg)<0.025〜0.3125mg>、眼科領域麻酔には0.5〜2mL(10〜40mg)<0.00625〜0.025mg>。

4.表面麻酔:適量を塗布又は噴霧する。

効能・効果

硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、表面麻酔。

副作用

使用成績調査等の頻度が明確となる調査を実施していないため、副作用発現頻度については不明である。

重大な副作用

1.重大な副作用

1).ショック:徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、適切な処置を行う。

2).意識障害、振戦、痙攣:意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。

3).肺水腫(初期症状:血圧異常上昇):肺水腫が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

4).呼吸困難:呼吸困難が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。

5).心停止(初期症状:頻脈、不整脈、心悸亢進、胸内苦悶):心停止が現れることがあるので、初期症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

6).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)異常感覚、知覚・運動障害:注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性異常感覚が発現することがある。また、硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔時、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔では神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、膀胱直腸障害等の神経学的疾患が現れることがある。

7).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)悪性高熱:まれに原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱が現れることがあるので、本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素による過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行う(また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図る)。

その他の副作用

2.その他の副作用(頻度不明)

1).循環器:頻脈、期外収縮、血圧変動等。

2).中枢神経:眠気、不安、興奮、霧視、眩暈、頭痛等[このような症状が現れた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行う]。

3).消化器:悪心・嘔吐等[このような症状が現れた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行う]。

4).過敏症:蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等。

5).その他:結膜充血、眼痛、熱感、発汗、胸内苦悶、顔面潮紅・顔面蒼白等。

禁忌

1.本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.高血圧、動脈硬化、心不全、甲状腺機能亢進、糖尿病のある患者及び血管攣縮の既往のある患者[これらの病状が悪化する恐れがある]。

3.狭隅角や前房が浅いなど眼圧上昇素因のある患者(眼科領域等の麻酔に用いる場合)[アドレナリンにより、閉塞隅角緑内障患者の発作を誘発することがある]。

4.次の薬剤を投与中の患者:

1).ブチロフェノン系・フェノチアジン系等の抗精神病薬投与中、α遮断薬投与中。

2).イソプロテレノール等のカテコールアミン製剤投与中、アドレナリン作動薬投与中。

5.(硬膜外麻酔)大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある]。

6.(硬膜外麻酔)注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。

7.(硬膜外麻酔)敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を生じる恐れがある]。

8.(伝達麻酔・浸潤麻酔)陰茎の麻酔を目的とする患者[壊死状態になる恐れがある]。

原則禁忌

1.心室頻拍等の重症不整脈のある患者[アドレナリンのβ刺激作用により、不整脈を悪化させる恐れがある]。

2.交感神経系作動薬に対し過敏反応を示す患者[アドレナリン受容体が高い感受性を示す恐れがある]。

3.精神神経症の患者[一般に交感神経作動薬の中枢神経系の副作用として情緒不安、不眠、錯乱、易刺激性及び精神病的状態等があるので悪化する恐れがある]。

4.コカイン中毒の患者[コカインは、交感神経末端でのカテコールアミンの再取り込みを阻害するので、アドレナリンの作用が増強される恐れがある]。

慎重投与

1.高齢者。

2.全身状態不良な患者[生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある]。

3.心刺激伝導障害のある患者[症状を悪化させることがある]。

4.重篤な肝機能障害又は重篤な腎機能障害のある患者[中毒症状が発現しやすくなる]。

5.ハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔薬投与中の患者[頻脈、不整脈等を起こす恐れがある]。

6.肺気腫のある患者[アドレナリンにより、肺循環障害を増悪させ、右心系への負荷が過重となり、右心不全に陥る恐れがある]。

7.心疾患のある患者[アドレナリンのβ刺激作用により、心疾患を悪化させる恐れがある]。

8.(硬膜外麻酔)中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄に腫瘍・脊椎に腫瘍又は脊髄に結核・脊椎に結核等のある患者[硬膜外麻酔により病状が悪化する恐れがある]。

9.(硬膜外麻酔)血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者[出血しやすいため、血腫形成や脊髄障害を起こすことがあるので、やむを得ず投与する場合は観察を十分に行う]。

10.(硬膜外麻酔)脊柱に著明な変形のある患者[脊髄損傷や神経根損傷の恐れがあり、また麻酔範囲の予測も困難であるので、やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行う]。

11.(硬膜外麻酔)妊産婦。

12.(硬膜外麻酔)腹部腫瘤のある患者[仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中は更に増悪することがあるので、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う]。

13.(硬膜外麻酔)心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者[血圧低下や病状の悪化が起こりやすいので、患者の全身状態の観察を十分に行う]。

14.(伝達麻酔・浸潤麻酔(耳、指趾へ投与する場合))全身性血行障害又は末梢性血行障害のある患者、小児[壊死状態になる恐れがあるので、投与の可否を慎重に検討し、投与する場合は、必要に応じて減量など行う]、伝達麻酔で複数の指趾へ同時投与・浸潤麻酔で複数の指趾へ同時投与を行う患者[壊死状態になる恐れがあるので、投与の可否を慎重に検討し、投与する場合は、必要に応じて減量など行う]。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておく。なお、事前の静脈路確保が望ましい。

2.本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意する。

1).患者の全身状態の観察を十分に行う。

2).できるだけ薄い濃度のものを用いる。

3).できるだけ必要最少量にとどめる。

4).前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、鎮静薬、鎮痛薬等を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい(なお、高齢者、小児、全身状態不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行う)。

5).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)注射の速度はできるだけ遅くする。

6).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)注射針が、血管又はクモ膜下腔に入っていないことを確かめる。

7).(硬膜外麻酔)試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認する。

8).(硬膜外麻酔)麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意する。

9).(伝達麻酔・浸潤麻酔)血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与する。

10).(表面麻酔)気道内表面麻酔の場合には吸収が速いので、できるだけ少量を使用する。

11).(表面麻酔)外傷、糜爛、潰瘍又は炎症部位への投与は吸収が速いので注意する。

3.アドレナリンは、α受容体、β受容体それぞれに作用し、その作用は投与量、投与方法等に影響を受けやすいので注意する。

4.(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わない。

5.(伝達麻酔・浸潤麻酔・表面麻酔)眼科領域等の麻酔に用いる場合、隅角の所見が未確定のまま投与しない。

6.球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時は次の諸点に留意する。

1).(伝達麻酔・浸潤麻酔)球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時:持続性眼筋運動障害が発現する恐れがあるので、できるだけ薄い濃度で、必要最少量を用いることとし、外眼筋内への注入は避ける(また、本剤に含まれているアドレナリンにより眼筋運動障害悪化させることがあるので、注意する)。

2).(伝達麻酔・浸潤麻酔)球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時:視神経鞘内への誤注入により、一過性失明、心肺停止を起こすことがあるので、注射針はできるだけ短く、先の鈍いものを使用することが望ましい。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。

1.併用禁忌:

1).抗精神病薬(ブチロフェノン系抗精神病薬、フェノチアジン系抗精神病薬、イミノジベンジル系抗精神病薬、ゾテピン、リスペリドン等)<セレネース、トロペロン、ウインタミン、デフェクトン、ロドピン、リスパダール等>、α遮断薬(プラゾシン等)<ミニプレス等>[過度の血圧低下を起こすことがある(これらの薬剤のα受容体遮断作用により、アドレナリンのβ受容体刺激作用が優位になり、血圧低下が現れる)]。

2).カテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬<プロタノール等>[不整脈、場合により心停止が現れることがある(これらの薬剤のβ刺激作用により、交感神経興奮作用が増強すると考えられている)]。

2.併用注意:

1).ハロゲン含有吸入麻酔薬(ハロタン、イソフルラン、セボフルラン)[頻脈、不整脈、場合によっては心停止を起こすことがある(これらの薬剤は、心筋のアドレナリン受容体の感受性を亢進させる)]。

(1).ハロタン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は2.1μg/kgと報告されている(この量は60kgのヒトの場合、キシロカイン注射液0.5%、1%(10万倍希釈アドレナリン含有)12.5mLに相当し、キシロカイン注射液2%(8万倍希釈アドレナリン含有)10mLに相当する)。

(2).イソフルラン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は6.7μg/kgと報告されている(この量は60kgのヒトの場合、キシロカイン注射液0.5%、1%(10万倍希釈アドレナリン含有)40mLに相当し、キシロカイン注射液2%(8万倍希釈アドレナリン含有)32mLに相当する)。

(3).セボフルラン麻酔中、5μg/kg未満のアドレナリンを粘膜下に投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、5μg/kg〜14.9μg/kgのアドレナリンを投与した場合、1/3の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された(アドレナリン5μg/kgは60kgのヒトの場合、キシロカイン注射液0.5%、1%(10万倍希釈アドレナリン含有)30mLに相当し、キシロカイン注射液2%(8万倍希釈アドレナリン含有)24mLに相当する)。

2).三環系抗うつ薬(イミプラミン等)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>(ミルナシプラン等)、その他の抗うつ薬(マプロチリン等)、MAO阻害薬、メチルフェニデート[血圧上昇を起こすことがある(これらの薬剤は、アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させ、アドレナリン作動性神経刺激作用を増強させる)]。

3).非選択性β遮断薬(プロプラノロール等)[血管収縮、血圧上昇、徐脈を起こすことがある(これらの薬剤のβ受容体遮断作用により、アドレナリンのα受容体刺激作用が優位になり、血管抵抗性を上昇させる)]。

4).分娩促進薬(オキシトシン等)、麦角アルカロイド類(エルゴメトリン等)[血圧上昇を起こすことがある(併用により血管収縮作用が増強される)]。

5).クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強する恐れがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行う(作用が増強することが考えられる)]。

6).ジギタリス製剤[異所性不整脈が現れることがある(ともに異所性刺激能を有し、不整脈発現の可能性が高くなると考えられている)]。

7).キニジン[心室細動が現れることがある(相互に心筋に対する作用を増強すると考えられている)]。

8).甲状腺製剤(チロキシン等)[冠不全発作が現れることがある(甲状腺ホルモンは心筋のβ受容体を増加させるため、カテコールアミン感受性が亢進すると考えられている)]。

9).ブロモクリプチン[血圧上昇、頭痛、痙攣等が現れることがある(機序は明らかではないが、アドレナリンの血管収縮作用、血圧上昇作用に影響を及ぼすと考えられている)]。

10).利尿剤、チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)、チアジド系類似剤(インダパミド等)、ループ利尿剤(フロセミド等)、カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン)[アドレナリンの作用が減弱することがあるので、手術前の患者に使用する場合、利尿剤の一時休薬等を行う(併用によりアドレナリンの血管反応性を低下させることがある)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

1.高齢者では本剤に含まれているアドレナリンの作用に対する感受性が高いことがあるので、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与する。

2.(硬膜外麻酔)一般に高齢者では、麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下しているので、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与する。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

1.妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。

2.妊産婦:

1).(硬膜外麻酔)妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与する[妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中は更に増悪することがある]。

2).(伝達麻酔・浸潤麻酔)旁頚管ブロックにより胎児の徐脈を起こす恐れがある。

3).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)アドレナリンにより、胎児の酸素欠乏、分娩遅延が発現する恐れがあるので、慎重に投与する。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

小児等に対する安全性は確立していない。

過量投与

過量投与時、局所麻酔剤の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがあり、その症状は、主に中枢神経系症状及び心血管系症状として現れる。

1.徴候、症状:

1).過量投与時の中枢神経系症状:初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等が現れる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣が現れ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じる恐れがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。

2).過量投与時の心血管系症状:血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室頻拍及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等が現れる。

2.処置:過量投与時には呼吸を維持し、酸素を十分投与することが重要であり、必要に応じて人工呼吸を行う。過量投与による振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。過量投与による心機能抑制に対しては、カテコールアミン等の昇圧剤を投与する。過量投与により心停止を来した場合には直ちに心マッサージを開始する。

3.アドレナリンの過量投与により、血圧上昇、頻脈、期外収縮、脳出血、腎血管異常収縮等が現れ、また、血中の乳酸濃度が上昇し、重篤な代謝性アシドーシスが現れる恐れがある。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

使用目的:眼科<点眼>用として使用しない。

1.本剤使用前にゴム栓をアルコール綿等で清拭する。

2.本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい(なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗する)。

その他の注意

1.ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発する恐れがある。

2.因果関係は明らかでないが、外国において術後に本剤を関節内(特に肩関節)に持続投与された患者で軟骨融解を発現したとの報告がある。

保管上の注意

遮光し、凍結を避けて15℃以下に保存。

キシロカイン注射液「2%」エピレナミン(1:80,000)含有
後発品はありません
キシロカイン注射液「2%」エピレナミン(1:80,000)含有
キシロカイン注射液「2%」エピレナミン(1:80,000)含有

キシロカイン注射液「2%」エピレナミン(1:80,000)含有

局所麻酔薬
2021年09月改訂(第15版)
薬剤情報
後発品
薬効分類局所麻酔薬
一般名リドカイン塩酸塩・アドレナリン (3) 注射液
薬価146
メーカーサンドファーマ
最終更新2021年09月改訂(第15版)

用法・用量

1回25mL(リドカイン塩酸塩として500mg)を基準最高用量とする。但し、いずれの場合も年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。なお、各種麻酔方法による用量は次のとおりである。()内はリドカイン塩酸塩として、<>内はアドレナリンとしての用量である。

1.硬膜外麻酔:10〜20mL(200〜400mg)<0.125〜0.25mg>。

2.伝達麻酔:2〜20mL(40〜400mg)<0.025〜0.25mg>。

3.浸潤麻酔:2〜25mL(40〜500mg)<0.025〜0.3125mg>、眼科領域麻酔には0.5〜2mL(10〜40mg)<0.00625〜0.025mg>。

4.表面麻酔:適量を塗布又は噴霧する。

効能・効果

硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、表面麻酔。

副作用

使用成績調査等の頻度が明確となる調査を実施していないため、副作用発現頻度については不明である。

重大な副作用

1.重大な副作用

1).ショック:徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、適切な処置を行う。

2).意識障害、振戦、痙攣:意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。

3).肺水腫(初期症状:血圧異常上昇):肺水腫が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

4).呼吸困難:呼吸困難が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。

5).心停止(初期症状:頻脈、不整脈、心悸亢進、胸内苦悶):心停止が現れることがあるので、初期症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

6).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)異常感覚、知覚・運動障害:注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性異常感覚が発現することがある。また、硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔時、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔では神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、膀胱直腸障害等の神経学的疾患が現れることがある。

7).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)悪性高熱:まれに原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱が現れることがあるので、本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素による過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行う(また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図る)。

その他の副作用

2.その他の副作用(頻度不明)

1).循環器:頻脈、期外収縮、血圧変動等。

2).中枢神経:眠気、不安、興奮、霧視、眩暈、頭痛等[このような症状が現れた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行う]。

3).消化器:悪心・嘔吐等[このような症状が現れた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行う]。

4).過敏症:蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等。

5).その他:結膜充血、眼痛、熱感、発汗、胸内苦悶、顔面潮紅・顔面蒼白等。

禁忌

1.本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.高血圧、動脈硬化、心不全、甲状腺機能亢進、糖尿病のある患者及び血管攣縮の既往のある患者[これらの病状が悪化する恐れがある]。

3.狭隅角や前房が浅いなど眼圧上昇素因のある患者(眼科領域等の麻酔に用いる場合)[アドレナリンにより、閉塞隅角緑内障患者の発作を誘発することがある]。

4.次の薬剤を投与中の患者:

1).ブチロフェノン系・フェノチアジン系等の抗精神病薬投与中、α遮断薬投与中。

2).イソプロテレノール等のカテコールアミン製剤投与中、アドレナリン作動薬投与中。

5.(硬膜外麻酔)大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある]。

6.(硬膜外麻酔)注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。

7.(硬膜外麻酔)敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を生じる恐れがある]。

8.(伝達麻酔・浸潤麻酔)陰茎の麻酔を目的とする患者[壊死状態になる恐れがある]。

原則禁忌

1.心室頻拍等の重症不整脈のある患者[アドレナリンのβ刺激作用により、不整脈を悪化させる恐れがある]。

2.交感神経系作動薬に対し過敏反応を示す患者[アドレナリン受容体が高い感受性を示す恐れがある]。

3.精神神経症の患者[一般に交感神経作動薬の中枢神経系の副作用として情緒不安、不眠、錯乱、易刺激性及び精神病的状態等があるので悪化する恐れがある]。

4.コカイン中毒の患者[コカインは、交感神経末端でのカテコールアミンの再取り込みを阻害するので、アドレナリンの作用が増強される恐れがある]。

慎重投与

1.高齢者。

2.全身状態不良な患者[生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある]。

3.心刺激伝導障害のある患者[症状を悪化させることがある]。

4.重篤な肝機能障害又は重篤な腎機能障害のある患者[中毒症状が発現しやすくなる]。

5.ハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔薬投与中の患者[頻脈、不整脈等を起こす恐れがある]。

6.肺気腫のある患者[アドレナリンにより、肺循環障害を増悪させ、右心系への負荷が過重となり、右心不全に陥る恐れがある]。

7.心疾患のある患者[アドレナリンのβ刺激作用により、心疾患を悪化させる恐れがある]。

8.(硬膜外麻酔)中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄に腫瘍・脊椎に腫瘍又は脊髄に結核・脊椎に結核等のある患者[硬膜外麻酔により病状が悪化する恐れがある]。

9.(硬膜外麻酔)血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者[出血しやすいため、血腫形成や脊髄障害を起こすことがあるので、やむを得ず投与する場合は観察を十分に行う]。

10.(硬膜外麻酔)脊柱に著明な変形のある患者[脊髄損傷や神経根損傷の恐れがあり、また麻酔範囲の予測も困難であるので、やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行う]。

11.(硬膜外麻酔)妊産婦。

12.(硬膜外麻酔)腹部腫瘤のある患者[仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中は更に増悪することがあるので、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う]。

13.(硬膜外麻酔)心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者[血圧低下や病状の悪化が起こりやすいので、患者の全身状態の観察を十分に行う]。

14.(伝達麻酔・浸潤麻酔(耳、指趾へ投与する場合))全身性血行障害又は末梢性血行障害のある患者、小児[壊死状態になる恐れがあるので、投与の可否を慎重に検討し、投与する場合は、必要に応じて減量など行う]、伝達麻酔で複数の指趾へ同時投与・浸潤麻酔で複数の指趾へ同時投与を行う患者[壊死状態になる恐れがあるので、投与の可否を慎重に検討し、投与する場合は、必要に応じて減量など行う]。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておく。なお、事前の静脈路確保が望ましい。

2.本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意する。

1).患者の全身状態の観察を十分に行う。

2).できるだけ薄い濃度のものを用いる。

3).できるだけ必要最少量にとどめる。

4).前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、鎮静薬、鎮痛薬等を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい(なお、高齢者、小児、全身状態不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行う)。

5).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)注射の速度はできるだけ遅くする。

6).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)注射針が、血管又はクモ膜下腔に入っていないことを確かめる。

7).(硬膜外麻酔)試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認する。

8).(硬膜外麻酔)麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意する。

9).(伝達麻酔・浸潤麻酔)血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与する。

10).(表面麻酔)気道内表面麻酔の場合には吸収が速いので、できるだけ少量を使用する。

11).(表面麻酔)外傷、糜爛、潰瘍又は炎症部位への投与は吸収が速いので注意する。

3.アドレナリンは、α受容体、β受容体それぞれに作用し、その作用は投与量、投与方法等に影響を受けやすいので注意する。

4.(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わない。

5.(伝達麻酔・浸潤麻酔・表面麻酔)眼科領域等の麻酔に用いる場合、隅角の所見が未確定のまま投与しない。

6.球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時は次の諸点に留意する。

1).(伝達麻酔・浸潤麻酔)球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時:持続性眼筋運動障害が発現する恐れがあるので、できるだけ薄い濃度で、必要最少量を用いることとし、外眼筋内への注入は避ける(また、本剤に含まれているアドレナリンにより眼筋運動障害悪化させることがあるので、注意する)。

2).(伝達麻酔・浸潤麻酔)球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時:視神経鞘内への誤注入により、一過性失明、心肺停止を起こすことがあるので、注射針はできるだけ短く、先の鈍いものを使用することが望ましい。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。

1.併用禁忌:

1).抗精神病薬(ブチロフェノン系抗精神病薬、フェノチアジン系抗精神病薬、イミノジベンジル系抗精神病薬、ゾテピン、リスペリドン等)<セレネース、トロペロン、ウインタミン、デフェクトン、ロドピン、リスパダール等>、α遮断薬(プラゾシン等)<ミニプレス等>[過度の血圧低下を起こすことがある(これらの薬剤のα受容体遮断作用により、アドレナリンのβ受容体刺激作用が優位になり、血圧低下が現れる)]。

2).カテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬<プロタノール等>[不整脈、場合により心停止が現れることがある(これらの薬剤のβ刺激作用により、交感神経興奮作用が増強すると考えられている)]。

2.併用注意:

1).ハロゲン含有吸入麻酔薬(ハロタン、イソフルラン、セボフルラン)[頻脈、不整脈、場合によっては心停止を起こすことがある(これらの薬剤は、心筋のアドレナリン受容体の感受性を亢進させる)]。

(1).ハロタン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は2.1μg/kgと報告されている(この量は60kgのヒトの場合、キシロカイン注射液0.5%、1%(10万倍希釈アドレナリン含有)12.5mLに相当し、キシロカイン注射液2%(8万倍希釈アドレナリン含有)10mLに相当する)。

(2).イソフルラン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は6.7μg/kgと報告されている(この量は60kgのヒトの場合、キシロカイン注射液0.5%、1%(10万倍希釈アドレナリン含有)40mLに相当し、キシロカイン注射液2%(8万倍希釈アドレナリン含有)32mLに相当する)。

(3).セボフルラン麻酔中、5μg/kg未満のアドレナリンを粘膜下に投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、5μg/kg〜14.9μg/kgのアドレナリンを投与した場合、1/3の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された(アドレナリン5μg/kgは60kgのヒトの場合、キシロカイン注射液0.5%、1%(10万倍希釈アドレナリン含有)30mLに相当し、キシロカイン注射液2%(8万倍希釈アドレナリン含有)24mLに相当する)。

2).三環系抗うつ薬(イミプラミン等)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>(ミルナシプラン等)、その他の抗うつ薬(マプロチリン等)、MAO阻害薬、メチルフェニデート[血圧上昇を起こすことがある(これらの薬剤は、アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させ、アドレナリン作動性神経刺激作用を増強させる)]。

3).非選択性β遮断薬(プロプラノロール等)[血管収縮、血圧上昇、徐脈を起こすことがある(これらの薬剤のβ受容体遮断作用により、アドレナリンのα受容体刺激作用が優位になり、血管抵抗性を上昇させる)]。

4).分娩促進薬(オキシトシン等)、麦角アルカロイド類(エルゴメトリン等)[血圧上昇を起こすことがある(併用により血管収縮作用が増強される)]。

5).クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強する恐れがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行う(作用が増強することが考えられる)]。

6).ジギタリス製剤[異所性不整脈が現れることがある(ともに異所性刺激能を有し、不整脈発現の可能性が高くなると考えられている)]。

7).キニジン[心室細動が現れることがある(相互に心筋に対する作用を増強すると考えられている)]。

8).甲状腺製剤(チロキシン等)[冠不全発作が現れることがある(甲状腺ホルモンは心筋のβ受容体を増加させるため、カテコールアミン感受性が亢進すると考えられている)]。

9).ブロモクリプチン[血圧上昇、頭痛、痙攣等が現れることがある(機序は明らかではないが、アドレナリンの血管収縮作用、血圧上昇作用に影響を及ぼすと考えられている)]。

10).利尿剤、チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)、チアジド系類似剤(インダパミド等)、ループ利尿剤(フロセミド等)、カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン)[アドレナリンの作用が減弱することがあるので、手術前の患者に使用する場合、利尿剤の一時休薬等を行う(併用によりアドレナリンの血管反応性を低下させることがある)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

1.高齢者では本剤に含まれているアドレナリンの作用に対する感受性が高いことがあるので、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与する。

2.(硬膜外麻酔)一般に高齢者では、麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下しているので、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与する。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

1.妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。

2.妊産婦:

1).(硬膜外麻酔)妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与する[妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中は更に増悪することがある]。

2).(伝達麻酔・浸潤麻酔)旁頚管ブロックにより胎児の徐脈を起こす恐れがある。

3).(硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔)アドレナリンにより、胎児の酸素欠乏、分娩遅延が発現する恐れがあるので、慎重に投与する。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

小児等に対する安全性は確立していない。

過量投与

過量投与時、局所麻酔剤の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがあり、その症状は、主に中枢神経系症状及び心血管系症状として現れる。

1.徴候、症状:

1).過量投与時の中枢神経系症状:初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等が現れる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣が現れ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じる恐れがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。

2).過量投与時の心血管系症状:血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室頻拍及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等が現れる。

2.処置:過量投与時には呼吸を維持し、酸素を十分投与することが重要であり、必要に応じて人工呼吸を行う。過量投与による振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。過量投与による心機能抑制に対しては、カテコールアミン等の昇圧剤を投与する。過量投与により心停止を来した場合には直ちに心マッサージを開始する。

3.アドレナリンの過量投与により、血圧上昇、頻脈、期外収縮、脳出血、腎血管異常収縮等が現れ、また、血中の乳酸濃度が上昇し、重篤な代謝性アシドーシスが現れる恐れがある。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

使用目的:眼科<点眼>用として使用しない。

1.本剤使用前にゴム栓をアルコール綿等で清拭する。

2.本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい(なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗する)。

その他の注意

1.ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発する恐れがある。

2.因果関係は明らかでないが、外国において術後に本剤を関節内(特に肩関節)に持続投与された患者で軟骨融解を発現したとの報告がある。

保管上の注意

遮光し、凍結を避けて15℃以下に保存。

後発品はありません
薬剤情報

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