薬剤情報
後発品
薬効分類腹膜透析液
一般名腹膜透析液 (8−1)
薬価1424
メーカーバクスター
最終更新2014年12月改訂(第3版)

用法・用量

腹膜透析治療において1日1回のみ使用する。1日3〜5回交換のうち1回の交換において本剤1.5〜2Lを腹腔内に注入し、8〜12時間滞液し、効果期待後に排液除去する。本剤以外の交換にはブドウ糖含有腹膜透析液を用いる。なお、注入量及び滞液時間は、症状、血液生化学値、体液平衡、年齢、体重等を考慮し適宜増減する。注入及び排液速度は、300mL/分以下とする。

用法・用量(補足)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1.1日1回のみ使用とする。

2.本剤は1.36及び2.27%ブドウ糖含有腹膜透析液使用時に比べ、限外濾過量が増加するため、脱水症状を起こすことがないよう、本剤処方時は本剤と組み合わせて使用するブドウ糖含有腹膜透析液のブドウ糖濃度を併せて見直す。

効能・効果

慢性腎不全患者における腹膜透析。

効能・効果(補足)

<効能・効果に関連する使用上の注意>

1.本剤及びブドウ糖含有腹膜透析液それぞれの貯留時間と除水量の関係を十分理解し、透析液を選択及び処方する。但し、本剤の使用は1日1回のみである。

2.CAPD用腹膜透析液における用法・用量の範囲で適正に処方し、溢水と透析不足の原因となる食事内容やカテーテルトラブル等を排除した上で症状が改善されない患者に本剤を適用するときは、必ず腹膜平衡試験(PET)等必要な検査を行いCAPD治療中止対象患者でないことを確認する(また、本剤適用後も定期的に腹膜平衡試験(PET)を実施し、必要に応じCAPDの一時中止等の処置をとる)。この際、「硬化性被嚢性腹膜炎(SEP)予防のためのCAPD中止基準指針」が参考になる。

副作用

副作用等発現状況の概要:海外臨床試験を含む対象537例(国内44例、海外493例)中、135例(25.1%)に臨床検査値の変動を含む副作用が報告された。その主なものは、発疹27例(5.0%)、低血圧17例(3.2%)、高血圧14例(2.6%)、血液浸透圧上昇13例(2.4%)、脱水10例(1.9%)、浮動性眩暈9例(1.7%)、腹痛8例(1.5%)、剥脱性皮膚炎8例(1.5%)、そう痒症8例(1.5%)、低クロル血症4例(0.7%)等であった(承認時)。

使用成績調査対象377例中、72例(19.1%)に臨床検査値の変動を含む副作用が報告された。その主なものは、Al−P上昇11例(2.9%)、低ナトリウム血症8例(2.1%)、低クロル血症6例(1.6%)、低カリウム血症5例(1.3%)、腹膜炎5例(1.3%)、そう痒症4例(1.1%)、LDH上昇4例(1.1%)等であった(再審査終了時)。

重大な副作用

1.重大な副作用

1).心・血管障害:急激な脱水による循環血液量減少、低血圧、ショック等が現れることがあるので、このような場合には本剤の投与を中止し、輸血、生理食塩液、昇圧剤の投与等適切な処置を行う。

2).被嚢性腹膜硬化症(EPS):被嚢性腹膜硬化症(EPS)が現れる恐れがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用:副作用が認められた場合には、投与の中止等必要に応じて適切な処置を行う。

1).精神神経系:(5%未満)筋痙攣、浮動性眩暈、錯感覚、味覚消失、頭痛、構語障害、運動過多、不安、神経過敏、思考異常。

2).消化器:(5%未満)口内乾燥、腹痛、口渇、腹膜炎、血性排液、下痢、消化不良、悪心、嘔吐、便秘、胃腸障害、鼓腸、腹部膨満、胃炎、腸閉塞、胃潰瘍。

3).循環器:(5%未満)頻脈、心臓血管疾患、低血圧、高血圧。

4).呼吸器:(5%未満)肺水腫、呼吸困難、肺障害、咳嗽増悪、しゃっくり。

5).血液:(5%未満)貧血、白血球増加症、好酸球増加症。

6).内分泌系:(5%未満)副甲状腺障害。

7).皮膚:(5%以上)発疹、(5%未満)皮膚障害、皮膚乾燥、皮膚潰瘍、湿疹、皮膚そう痒症、剥脱性皮膚炎、爪障害、乾癬、水疱性皮膚炎、顔面浮腫。

8).肝臓:(5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇。

9).腎臓:(5%未満)腎臓痛、尿量減少。

10).代謝・栄養:(5%未満)低ナトリウム血症、低クロル血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低蛋白血症、高血糖、食欲不振、脱水、循環血液量減少、循環血液量増加、低血糖症。

11).その他:(5%未満)筋痛、頚部痛、耳鳴、無力症、胸痛、疼痛、浮腫、末梢性浮腫、倦怠感、発熱、せつ、感染、損傷、カテーテル機能不全、β2ミクログロブリン増加、血液浸透圧上昇、体重減少、体重増加。

禁忌

1.トウモロコシデンプン由来物質に対し過敏症の既往のある患者[本剤に含まれるイコデキストリンは、トウモロコシデンプンから得られた物質であるため]。

2.糖原病の患者[マルターゼ欠損のため]。

3.横隔膜欠損のある患者[胸腔へ移行し、呼吸困難が誘発される恐れがある]。

4.腹部挫滅傷又は腹部熱傷のある患者[挫滅又は熱傷の治癒を妨げる恐れがある]。

5.高度腹膜癒着のある患者[腹膜の透過効率が低下しているため]。

6.尿毒症に起因する以外の出血性素因のある患者[出血により蛋白喪失が亢進し、全身状態が悪化する恐れがある]。

7.乳酸代謝障害の疑いのある患者[乳酸アシドーシスが誘発される恐れがある]。

慎重投与

1.腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患の疑いのある患者[腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患が悪化又は誘発される恐れがある]。

2.腹部手術後の患者[手術部位の治癒を妨げる恐れがある]。

3.ジギタリス治療中の患者[ジギタリス中毒が誘発される恐れがある]。

4.食事摂取不良の患者[栄養状態が悪化する恐れがある]。

5.腹部ヘルニアのある患者[腹部ヘルニアが悪化する恐れがある]。

6.腰椎障害のある患者[腰椎障害が悪化する恐れがある]。

7.憩室炎のある患者[憩室炎が腹膜炎合併の原因となる恐れがある]。

8.人工肛門使用患者[細菌感染を起こす恐れがある]。

9.利尿剤投与中の患者[水及び電解質異常が誘発される恐れがある]。

10.高度換気障害のある患者[胸腔圧迫により換気障害が悪化する恐れがある]。

11.高度低蛋白血症のある患者[低蛋白血症が悪化する恐れがある]。

12.ステロイド服用患者及び免疫不全患者[易感染性であるため]。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.注入液、排液の出納に注意する。

2.本剤の投与初期は、水分摂取量及び透析液の組合せによる除水量の管理に十分注意する。

3.本剤の投与開始は、医療機関において医師により、又は医師の直接の監督により実施する。通院、自己投与は、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を施したのち、医師自らの管理指導の下に実施する。

4.本剤使用時に発疹等の皮膚反応が生じ、症状が継続もしくは悪化する場合には、本剤の使用を中止し、副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤の投与等の適切な処置を行う。

5.腹膜炎を合併することがあるので、本剤の投与にあたっては特に清潔な環境下で無菌的操作により行うと共に次のことに注意する。

1).腹膜カテーテルの管理及び腹膜カテーテル出口部分の状態には十分注意する。

2).腹膜炎が発生すると排液が濁るので、その早期発見のために、毎排液後、液の混濁状態を確認する(腹膜炎発生時の液の混濁状態は正常排液2000mLに対して牛乳1mLを添加した液の混濁状態を参考とすることができる)。排液の混濁が認められた場合、直ちに医師に報告し、医師は抗菌薬投与の必要性を考慮する。

3).本剤使用時に原因不明の排液混濁が認められた場合、本剤の使用を直ちに中止し、使用中止により排液混濁が消失した場合、注意深い観察下においてのみ使用を再開する(再開後に、再び原因不明の排液混濁が認められる場合は、本剤の使用を中止し、再投与しない)。

6.長期の腹膜透析実施において被嚢性腹膜硬化症(EPS)を合併することがあるので、発症が疑われたら直ちにCAPDを中止し、血液透析に変更し、発症後は、経静脈的高カロリー輸液を主体とした栄養補給を行い、腸管の安静を保つ(嘔吐がある場合は胃チューブにより胃液を持続吸引する)、本症は必ずイレウス症状を伴うが、診断には次の臨床症状、血液検査所見及び画像診断が参考になる[1)臨床症状:低栄養、るいそう、下痢、便秘、微熱、血性排液、局所性腹水貯留又はびまん性腹水貯留、腸管蠕動音低下、腹部における塊状物触知、除水能低下、腹膜透過性亢進、2)血液検査所見:末梢白血球数増加、CRP陽性、低アルブミン血症、エリスロポエチン抵抗性貧血、高エンドトキシン血症、3)画像診断:X線検査、超音波検査、CT検査]。

7.定期的に血液生化学検査及び血液学的検査等を実施する(特に、本剤使用時には血清ナトリウム値低下及び血清クロル値低下並びにアルカリホスファターゼ値上昇が認められるので注意する)。

8.本剤を投与されている患者の血糖値の測定には、イコデキストリンやマルトースの影響を受ける旨添付文書に記載されている血糖測定用試薬及び測定器は使用しない[イコデキストリンやマルトースの影響を受ける旨添付文書に記載されている血糖測定用試薬及び測定器の使用で偽高値を示すことがあり、インスリン投与が必要な患者においては、インスリンの過量投与につながり低血糖を来す恐れがある]。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦又は授乳婦に対する安全性は確立されていないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、あるいは授乳婦には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立されていない。

臨床検査結果に及ぼす影響

(臨床検査に及ぼす影響)

1.本剤の代謝物が血清アミラーゼの測定を妨害し低値を示すので、本剤を使用中又は使用中止後2週間以内に膵機能検査を行う場合、血清アミラーゼ以外の血清リパーゼ等の検査を行う。

2.グルコース脱水素酵素(GDH)法を用いた血糖測定法ではマルトースや本剤に含まれるイコデキストリン代謝物が測定結果に影響を与え、実際の血糖値よりも高値を示す場合があることが報告されているため、血糖測定用試薬・測定器の血糖測定値に対する影響について事前に血糖測定用試薬・測定器の製造販売業者から情報を入手する(交差反応はグルコース脱水素酵素(GDH)法の中でもGDH−PQQ法で報告されている)。

GDH−PQQ法:補酵素としてピロロキノリンキノンを使用した方法。

過量投与

24時間以内に2回以上投与した際に、血漿中総デキストリン濃度増加及び血漿中イコデキストリン代謝物濃度増加(血漿中マルトース濃度増加等)が現れると考えられるので、この場合には、イコデキストリンを含まない腹膜透析液又は血液透析等で対処する。また、24時間以内に2回以上投与した際に、脱水症状が認められた場合には、水分の補給を行う等の適切な処置をする。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

1.静脈内に投与しない。

2.下痢、腹痛、悪寒等の予防のため、本剤をあらかじめ体温程度に温めてから注入する。

3.本剤はカリウムを含まないため、血清カリウム値が正常あるいは血清カリウム値が低値の場合、またジギタリス治療中の患者では症状に応じて本剤中のカリウム濃度が1〜4mEq/Lになるように補正して使用する。

4.インスリン依存性糖尿病の患者は本剤投与開始後、インスリンの用量の変更が必要となることがある(血糖値の定期的なモニターを行い、インスリンの用量を必要に応じて調整する)。

5.インスリンの投与経路として腹腔内投与は認められておらず、本剤との混合によりインスリンの力価が変動するため、インスリンを本剤と混合して投与しない。

1.誤用を避けるため、他の外箱カートンへ入れ替えない。

2.幼児の手の届かないところへ保管する。

3.外袋は水蒸気の過度の透過を防ぐためのものであるため、万一破れている場合は使用しない。

4.外袋内に水滴が観察されるが、蒸気滅菌のためであり、液漏れによるものではない。

5.フランジブルシールは折れやすいので取扱いに注意し、また、使用前に折れている場合は使用しない。

6.ポートやチューブをバッグからはがす時に、バッグを破り液漏れを起こす恐れがあるので丁寧にはがす。

7.バッグにスパイクを挿入する際には、ポートを突き破ることがないように注意して行う。

8.低温で注液をすると腹痛を起こす恐れがあるため、製品は専用の医療用加温器を用いて、体温程度に用時加温する。

9.注液準備手順及びツインバッグ操作方法の概略(操作手順については必ず対象医療機器の取扱い説明書及び操作手順マニュアルを参照のこと)。

1).交換準備がすべて整ってから、外袋を破って開封し、本剤を取り出す。

2).液が無色〜微黄色の澄明で異常が認められないこと、及び各部の接合が完全であることを確認する(そうでない場合は無菌性が損なわれている恐れがあるので使用しない)。

3).バッグを強く押して漏れの有無を調べ、また、同時にチューブに亀裂がないか確認する(万一漏れやチューブの亀裂がみられる場合には無菌性が損なわれている恐れがあるので使用しない)。

4).容器下部の注入口から保護キャップを取り除き、患者側チューブ又は対象医療機器の注・排液セットと接続する。

5).バッグ上部の穴を用いて、容器をつり下げ注液する。

6).ツインバッグの注・排液方法は次のとおり行う。患者側の接続チューブ先端のキャップを外す。本品の接続チューブコネクターを患者側の接続チューブ先端と接続する。腹腔内貯留液を本品の排液側チューブ経由で排液バッグに排出する。排出後、患者側の接続チューブをクランプし、本品の薬液充填バッグの液流出口のフランジブルシールを開放し、新しい透析液で回路内を洗浄し、排液側チューブ経由で排液バッグに流す。新しい透析液で回路内を洗浄し、排液側チューブ経由で排液バッグに流す際、チューブの亀裂や漏れがみられる場合には、使用を中止し、医師又はその他医療従事者に連絡する。次に、本品の排液側チューブをクランプし、患者側の接続チューブのクランプを外して、新しい透析液を腹腔内に注入する。注入後患者側の接続チューブと本品の接続チューブコネクターとの接続を外す。患者側の接続チューブ先端にキャップを取り付けて交換操作を完了する。

10.在宅医療にて本品を使用する場合は次の注意事項を参考にする。

1).在宅医療にて本品を使用する場合は、バッグの交換操作はマニュアルに従って行わせる。

2).トラブル発生時の対処法は、次を参考にする。

(1).在宅医療にて本品を使用時、フランジブルシール開放後の透析液バッグ及びチューブの亀裂又は液漏れが発生した場合:直ちにクランプを閉め、新しいキャップをして、医師又はその他医療従事者に連絡し、指示を受ける。

(2).在宅医療にて本品を使用時、接続部及びチューブの亀裂又は液漏れが発生した場合:直ちに亀裂又は液漏れの発生部分より患者側に近い接続チューブを2又は3ヵ所しばり、医師又はその他医療従事者に連絡し指示を受ける。

その他の注意

本剤の長時間貯留により、腹腔内圧が上昇し腰痛増悪・腹膜壁ヘルニアの発症等の可能性があるため、限外濾過量の増加に注意を払う。

保管上の注意

直射日光を避ける。また、バッグを破る恐れがあるので凍結を起こさない場所で保存する。

エクストラニール腹膜透析液
エクストラニール腹膜透析液

エクストラニール腹膜透析液

腹膜透析液
2014年12月改訂(第3版)
薬剤情報
後発品
薬効分類腹膜透析液
一般名腹膜透析液 (8−1)
薬価1424
メーカーバクスター
最終更新2014年12月改訂(第3版)

用法・用量

腹膜透析治療において1日1回のみ使用する。1日3〜5回交換のうち1回の交換において本剤1.5〜2Lを腹腔内に注入し、8〜12時間滞液し、効果期待後に排液除去する。本剤以外の交換にはブドウ糖含有腹膜透析液を用いる。なお、注入量及び滞液時間は、症状、血液生化学値、体液平衡、年齢、体重等を考慮し適宜増減する。注入及び排液速度は、300mL/分以下とする。

用法・用量(補足)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1.1日1回のみ使用とする。

2.本剤は1.36及び2.27%ブドウ糖含有腹膜透析液使用時に比べ、限外濾過量が増加するため、脱水症状を起こすことがないよう、本剤処方時は本剤と組み合わせて使用するブドウ糖含有腹膜透析液のブドウ糖濃度を併せて見直す。

効能・効果

慢性腎不全患者における腹膜透析。

効能・効果(補足)

<効能・効果に関連する使用上の注意>

1.本剤及びブドウ糖含有腹膜透析液それぞれの貯留時間と除水量の関係を十分理解し、透析液を選択及び処方する。但し、本剤の使用は1日1回のみである。

2.CAPD用腹膜透析液における用法・用量の範囲で適正に処方し、溢水と透析不足の原因となる食事内容やカテーテルトラブル等を排除した上で症状が改善されない患者に本剤を適用するときは、必ず腹膜平衡試験(PET)等必要な検査を行いCAPD治療中止対象患者でないことを確認する(また、本剤適用後も定期的に腹膜平衡試験(PET)を実施し、必要に応じCAPDの一時中止等の処置をとる)。この際、「硬化性被嚢性腹膜炎(SEP)予防のためのCAPD中止基準指針」が参考になる。

副作用

副作用等発現状況の概要:海外臨床試験を含む対象537例(国内44例、海外493例)中、135例(25.1%)に臨床検査値の変動を含む副作用が報告された。その主なものは、発疹27例(5.0%)、低血圧17例(3.2%)、高血圧14例(2.6%)、血液浸透圧上昇13例(2.4%)、脱水10例(1.9%)、浮動性眩暈9例(1.7%)、腹痛8例(1.5%)、剥脱性皮膚炎8例(1.5%)、そう痒症8例(1.5%)、低クロル血症4例(0.7%)等であった(承認時)。

使用成績調査対象377例中、72例(19.1%)に臨床検査値の変動を含む副作用が報告された。その主なものは、Al−P上昇11例(2.9%)、低ナトリウム血症8例(2.1%)、低クロル血症6例(1.6%)、低カリウム血症5例(1.3%)、腹膜炎5例(1.3%)、そう痒症4例(1.1%)、LDH上昇4例(1.1%)等であった(再審査終了時)。

重大な副作用

1.重大な副作用

1).心・血管障害:急激な脱水による循環血液量減少、低血圧、ショック等が現れることがあるので、このような場合には本剤の投与を中止し、輸血、生理食塩液、昇圧剤の投与等適切な処置を行う。

2).被嚢性腹膜硬化症(EPS):被嚢性腹膜硬化症(EPS)が現れる恐れがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用:副作用が認められた場合には、投与の中止等必要に応じて適切な処置を行う。

1).精神神経系:(5%未満)筋痙攣、浮動性眩暈、錯感覚、味覚消失、頭痛、構語障害、運動過多、不安、神経過敏、思考異常。

2).消化器:(5%未満)口内乾燥、腹痛、口渇、腹膜炎、血性排液、下痢、消化不良、悪心、嘔吐、便秘、胃腸障害、鼓腸、腹部膨満、胃炎、腸閉塞、胃潰瘍。

3).循環器:(5%未満)頻脈、心臓血管疾患、低血圧、高血圧。

4).呼吸器:(5%未満)肺水腫、呼吸困難、肺障害、咳嗽増悪、しゃっくり。

5).血液:(5%未満)貧血、白血球増加症、好酸球増加症。

6).内分泌系:(5%未満)副甲状腺障害。

7).皮膚:(5%以上)発疹、(5%未満)皮膚障害、皮膚乾燥、皮膚潰瘍、湿疹、皮膚そう痒症、剥脱性皮膚炎、爪障害、乾癬、水疱性皮膚炎、顔面浮腫。

8).肝臓:(5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇。

9).腎臓:(5%未満)腎臓痛、尿量減少。

10).代謝・栄養:(5%未満)低ナトリウム血症、低クロル血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低蛋白血症、高血糖、食欲不振、脱水、循環血液量減少、循環血液量増加、低血糖症。

11).その他:(5%未満)筋痛、頚部痛、耳鳴、無力症、胸痛、疼痛、浮腫、末梢性浮腫、倦怠感、発熱、せつ、感染、損傷、カテーテル機能不全、β2ミクログロブリン増加、血液浸透圧上昇、体重減少、体重増加。

禁忌

1.トウモロコシデンプン由来物質に対し過敏症の既往のある患者[本剤に含まれるイコデキストリンは、トウモロコシデンプンから得られた物質であるため]。

2.糖原病の患者[マルターゼ欠損のため]。

3.横隔膜欠損のある患者[胸腔へ移行し、呼吸困難が誘発される恐れがある]。

4.腹部挫滅傷又は腹部熱傷のある患者[挫滅又は熱傷の治癒を妨げる恐れがある]。

5.高度腹膜癒着のある患者[腹膜の透過効率が低下しているため]。

6.尿毒症に起因する以外の出血性素因のある患者[出血により蛋白喪失が亢進し、全身状態が悪化する恐れがある]。

7.乳酸代謝障害の疑いのある患者[乳酸アシドーシスが誘発される恐れがある]。

慎重投与

1.腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患の疑いのある患者[腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患が悪化又は誘発される恐れがある]。

2.腹部手術後の患者[手術部位の治癒を妨げる恐れがある]。

3.ジギタリス治療中の患者[ジギタリス中毒が誘発される恐れがある]。

4.食事摂取不良の患者[栄養状態が悪化する恐れがある]。

5.腹部ヘルニアのある患者[腹部ヘルニアが悪化する恐れがある]。

6.腰椎障害のある患者[腰椎障害が悪化する恐れがある]。

7.憩室炎のある患者[憩室炎が腹膜炎合併の原因となる恐れがある]。

8.人工肛門使用患者[細菌感染を起こす恐れがある]。

9.利尿剤投与中の患者[水及び電解質異常が誘発される恐れがある]。

10.高度換気障害のある患者[胸腔圧迫により換気障害が悪化する恐れがある]。

11.高度低蛋白血症のある患者[低蛋白血症が悪化する恐れがある]。

12.ステロイド服用患者及び免疫不全患者[易感染性であるため]。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.注入液、排液の出納に注意する。

2.本剤の投与初期は、水分摂取量及び透析液の組合せによる除水量の管理に十分注意する。

3.本剤の投与開始は、医療機関において医師により、又は医師の直接の監督により実施する。通院、自己投与は、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を施したのち、医師自らの管理指導の下に実施する。

4.本剤使用時に発疹等の皮膚反応が生じ、症状が継続もしくは悪化する場合には、本剤の使用を中止し、副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤の投与等の適切な処置を行う。

5.腹膜炎を合併することがあるので、本剤の投与にあたっては特に清潔な環境下で無菌的操作により行うと共に次のことに注意する。

1).腹膜カテーテルの管理及び腹膜カテーテル出口部分の状態には十分注意する。

2).腹膜炎が発生すると排液が濁るので、その早期発見のために、毎排液後、液の混濁状態を確認する(腹膜炎発生時の液の混濁状態は正常排液2000mLに対して牛乳1mLを添加した液の混濁状態を参考とすることができる)。排液の混濁が認められた場合、直ちに医師に報告し、医師は抗菌薬投与の必要性を考慮する。

3).本剤使用時に原因不明の排液混濁が認められた場合、本剤の使用を直ちに中止し、使用中止により排液混濁が消失した場合、注意深い観察下においてのみ使用を再開する(再開後に、再び原因不明の排液混濁が認められる場合は、本剤の使用を中止し、再投与しない)。

6.長期の腹膜透析実施において被嚢性腹膜硬化症(EPS)を合併することがあるので、発症が疑われたら直ちにCAPDを中止し、血液透析に変更し、発症後は、経静脈的高カロリー輸液を主体とした栄養補給を行い、腸管の安静を保つ(嘔吐がある場合は胃チューブにより胃液を持続吸引する)、本症は必ずイレウス症状を伴うが、診断には次の臨床症状、血液検査所見及び画像診断が参考になる[1)臨床症状:低栄養、るいそう、下痢、便秘、微熱、血性排液、局所性腹水貯留又はびまん性腹水貯留、腸管蠕動音低下、腹部における塊状物触知、除水能低下、腹膜透過性亢進、2)血液検査所見:末梢白血球数増加、CRP陽性、低アルブミン血症、エリスロポエチン抵抗性貧血、高エンドトキシン血症、3)画像診断:X線検査、超音波検査、CT検査]。

7.定期的に血液生化学検査及び血液学的検査等を実施する(特に、本剤使用時には血清ナトリウム値低下及び血清クロル値低下並びにアルカリホスファターゼ値上昇が認められるので注意する)。

8.本剤を投与されている患者の血糖値の測定には、イコデキストリンやマルトースの影響を受ける旨添付文書に記載されている血糖測定用試薬及び測定器は使用しない[イコデキストリンやマルトースの影響を受ける旨添付文書に記載されている血糖測定用試薬及び測定器の使用で偽高値を示すことがあり、インスリン投与が必要な患者においては、インスリンの過量投与につながり低血糖を来す恐れがある]。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦又は授乳婦に対する安全性は確立されていないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、あるいは授乳婦には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立されていない。

臨床検査結果に及ぼす影響

(臨床検査に及ぼす影響)

1.本剤の代謝物が血清アミラーゼの測定を妨害し低値を示すので、本剤を使用中又は使用中止後2週間以内に膵機能検査を行う場合、血清アミラーゼ以外の血清リパーゼ等の検査を行う。

2.グルコース脱水素酵素(GDH)法を用いた血糖測定法ではマルトースや本剤に含まれるイコデキストリン代謝物が測定結果に影響を与え、実際の血糖値よりも高値を示す場合があることが報告されているため、血糖測定用試薬・測定器の血糖測定値に対する影響について事前に血糖測定用試薬・測定器の製造販売業者から情報を入手する(交差反応はグルコース脱水素酵素(GDH)法の中でもGDH−PQQ法で報告されている)。

GDH−PQQ法:補酵素としてピロロキノリンキノンを使用した方法。

過量投与

24時間以内に2回以上投与した際に、血漿中総デキストリン濃度増加及び血漿中イコデキストリン代謝物濃度増加(血漿中マルトース濃度増加等)が現れると考えられるので、この場合には、イコデキストリンを含まない腹膜透析液又は血液透析等で対処する。また、24時間以内に2回以上投与した際に、脱水症状が認められた場合には、水分の補給を行う等の適切な処置をする。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

1.静脈内に投与しない。

2.下痢、腹痛、悪寒等の予防のため、本剤をあらかじめ体温程度に温めてから注入する。

3.本剤はカリウムを含まないため、血清カリウム値が正常あるいは血清カリウム値が低値の場合、またジギタリス治療中の患者では症状に応じて本剤中のカリウム濃度が1〜4mEq/Lになるように補正して使用する。

4.インスリン依存性糖尿病の患者は本剤投与開始後、インスリンの用量の変更が必要となることがある(血糖値の定期的なモニターを行い、インスリンの用量を必要に応じて調整する)。

5.インスリンの投与経路として腹腔内投与は認められておらず、本剤との混合によりインスリンの力価が変動するため、インスリンを本剤と混合して投与しない。

1.誤用を避けるため、他の外箱カートンへ入れ替えない。

2.幼児の手の届かないところへ保管する。

3.外袋は水蒸気の過度の透過を防ぐためのものであるため、万一破れている場合は使用しない。

4.外袋内に水滴が観察されるが、蒸気滅菌のためであり、液漏れによるものではない。

5.フランジブルシールは折れやすいので取扱いに注意し、また、使用前に折れている場合は使用しない。

6.ポートやチューブをバッグからはがす時に、バッグを破り液漏れを起こす恐れがあるので丁寧にはがす。

7.バッグにスパイクを挿入する際には、ポートを突き破ることがないように注意して行う。

8.低温で注液をすると腹痛を起こす恐れがあるため、製品は専用の医療用加温器を用いて、体温程度に用時加温する。

9.注液準備手順及びツインバッグ操作方法の概略(操作手順については必ず対象医療機器の取扱い説明書及び操作手順マニュアルを参照のこと)。

1).交換準備がすべて整ってから、外袋を破って開封し、本剤を取り出す。

2).液が無色〜微黄色の澄明で異常が認められないこと、及び各部の接合が完全であることを確認する(そうでない場合は無菌性が損なわれている恐れがあるので使用しない)。

3).バッグを強く押して漏れの有無を調べ、また、同時にチューブに亀裂がないか確認する(万一漏れやチューブの亀裂がみられる場合には無菌性が損なわれている恐れがあるので使用しない)。

4).容器下部の注入口から保護キャップを取り除き、患者側チューブ又は対象医療機器の注・排液セットと接続する。

5).バッグ上部の穴を用いて、容器をつり下げ注液する。

6).ツインバッグの注・排液方法は次のとおり行う。患者側の接続チューブ先端のキャップを外す。本品の接続チューブコネクターを患者側の接続チューブ先端と接続する。腹腔内貯留液を本品の排液側チューブ経由で排液バッグに排出する。排出後、患者側の接続チューブをクランプし、本品の薬液充填バッグの液流出口のフランジブルシールを開放し、新しい透析液で回路内を洗浄し、排液側チューブ経由で排液バッグに流す。新しい透析液で回路内を洗浄し、排液側チューブ経由で排液バッグに流す際、チューブの亀裂や漏れがみられる場合には、使用を中止し、医師又はその他医療従事者に連絡する。次に、本品の排液側チューブをクランプし、患者側の接続チューブのクランプを外して、新しい透析液を腹腔内に注入する。注入後患者側の接続チューブと本品の接続チューブコネクターとの接続を外す。患者側の接続チューブ先端にキャップを取り付けて交換操作を完了する。

10.在宅医療にて本品を使用する場合は次の注意事項を参考にする。

1).在宅医療にて本品を使用する場合は、バッグの交換操作はマニュアルに従って行わせる。

2).トラブル発生時の対処法は、次を参考にする。

(1).在宅医療にて本品を使用時、フランジブルシール開放後の透析液バッグ及びチューブの亀裂又は液漏れが発生した場合:直ちにクランプを閉め、新しいキャップをして、医師又はその他医療従事者に連絡し、指示を受ける。

(2).在宅医療にて本品を使用時、接続部及びチューブの亀裂又は液漏れが発生した場合:直ちに亀裂又は液漏れの発生部分より患者側に近い接続チューブを2又は3ヵ所しばり、医師又はその他医療従事者に連絡し指示を受ける。

その他の注意

本剤の長時間貯留により、腹腔内圧が上昇し腰痛増悪・腹膜壁ヘルニアの発症等の可能性があるため、限外濾過量の増加に注意を払う。

保管上の注意

直射日光を避ける。また、バッグを破る恐れがあるので凍結を起こさない場所で保存する。

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