クマリン系血液凝固阻止薬
薬効分類 | クマリン系血液凝固阻止薬 |
一般名 | ワルファリンカリウム錠 |
薬価 | 9.8円 |
メーカー | 武田テバファーマ |
最終更新 | 2019年01月改訂(第20版) |
本剤は、血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)の検査値に基づいて、本剤の投与量を決定し、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する薬剤である。
初回投与量を1日1回経口投与した後、数日間かけて血液凝固能検査で目標治療域に入るように用量調節し、維持投与量を決定する。
ワルファリンに対する感受性には個体差が大きく、同一個人でも変化することがあるため、定期的に血液凝固能検査を行い、維持投与量を必要に応じて調節する。
抗凝固効果の発現を急ぐ場合には、初回投与時ヘパリン等の併用を考慮する。
初回投与量は、ワルファリンカリウムとして、1〜5mg1日1回である。
小児における維持投与量(mg/kg/日)の目安を次に示す。
12カ月未満:0.16mg/kg/日。
1歳以上15歳未満:0.04〜0.10mg/kg/日。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)等に基づき投与量を決定し、治療域を逸脱しないように、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する。
2.プロトロンビン時間及びトロンボテストの検査値は、活性(%)以外の表示方法として、一般的にINR(International Normalized Ratio:国際標準比)が用いられている。INRを用いる場合、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にし、年齢、疾患及び併用薬等を勘案して治療域を決定する。
3.維持投与量は1日1回1〜5mg程度となることが多い。
血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用(頻度不明)
1).出血:脳出血等の臓器内出血、粘膜出血、皮下出血等を生じることがあるので、このような場合には、本剤の減量又は休薬、あるいはビタミンK製剤投与、プロトロンビン複合体の静注又は新鮮凍結血漿の輸注等の適切な処置を行い、また、同時に血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)を行うことが望ましい。
2).皮膚壊死:本剤投与開始による早期にプロテインC活性の急速な低下が原因で、一過性の過凝固状態となることがあり、その結果、微小血栓を生じ皮膚壊死に至る可能性があるので、投与前にプロテインC活性を確認することが望ましい。
3).カルシフィラキシス:周囲に有痛性紫斑を伴う有痛性皮膚潰瘍、皮下脂肪組織の小〜中動脈の石灰化又は真皮の小〜中動脈の石灰化を特徴とするカルシフィラキシスが現れ、敗血症に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
4).肝機能障害、黄疸:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al−P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤を減量又は休薬するなど、適切な処置を行う。
2.その他の副作用(頻度不明)
1).過敏症:発疹、そう痒症、紅斑、蕁麻疹、皮膚炎、発熱[このような場合には投与を中止する]。
2).肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等。
3).消化器:悪心・嘔吐、下痢。
4).皮膚:脱毛。
5).その他:抗甲状腺作用。
本剤とカペシタビンとの併用により、本剤の作用が増強し出血が発現し死亡に至ったとの報告があるので、併用する場合には血液凝固能検査を定期的に行い、必要に応じ適切な処置を行う。
1.出血している患者(血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の血液凝固障害、月経期間中、手術時、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産褥婦、頭蓋内出血の疑いのある患者等)[本剤を投与するとその作用機序より出血を助長することがあり、ときには致命的になることもある]。
2.出血する可能性のある患者(内臓腫瘍、消化管憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、重症高血圧症、重症糖尿病の患者等)[出血している患者同様に血管や内臓等の障害箇所に出血が起こることがある]。
3.重篤な肝障害・重篤な腎障害のある患者[ビタミンK依存性凝固因子は肝臓で産生されるので、これが抑制され出血することがあり、また、本剤の代謝・排泄の遅延で出血することがある]。
4.中枢神経系の手術後日の浅い又は外傷後日の浅い患者[出血を助長することがあり、ときには致命的になることもある]。
5.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
6.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
7.骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤投与中(メナテトレノン)の患者。
8.イグラチモド投与中の患者。
9.ミコナゾール<ゲル剤・注射剤・錠剤>投与中の患者。
1.肝炎、下痢、脂肪吸収不全、慢性アルコール中毒、うっ血性心不全、敗血症、遷延性低血圧症のある患者及び新生児のビタミンK欠乏時等[本剤の作用が増強されることがある]。
2.ビタミンK摂取時等[本剤の作用が減弱されることがある]。
3.悪性腫瘍の患者[悪性腫瘍の患者では、血液凝固能の亢進により血栓傾向となる一方で、腫瘍関連出血を生じることがあり、また、全身状態や摂食状況の変化に伴う血液凝固能の変動を生じることがある]。
4.産褥婦[出血しやすく、出血量が多くなることがある]。
5.甲状腺機能亢進症、又は甲状腺機能低下症の患者[甲状腺機能異常の患者では、病態の変化又は治療過程で甲状腺機能が正常化し、血液凝固能が変化することがあり、その結果として本剤の作用が見かけ上減弱、又は増強する恐れがある]。
6.新生児。
(重要な基本的注意)
1.併用注意の薬剤との併用により、本剤の作用が増強し、重篤な出血に至ったとの報告があるので、本剤の作用増強が進展あるいは持続しないように十分注意し、適切な治療域へ用量調節する。一方、本剤の作用減弱の場合も同様に作用減弱が進展あるいは持続しないように十分注意する。
2.急に投与を中止した場合、血栓を生じる恐れがあるので徐々に減量する。
3.出血等の副作用のため本剤の抗凝固作用を急速に減少する必要がある場合には投与を中止するとともに、ビタミンK製剤の投与を要することがある。なお、脳出血等の重篤な出血を発現した場合には、必要に応じて、プロトロンビン複合体の静注又は新鮮凍結血漿の輸注等の適切な処置も考慮する。これらの場合にも血栓再発に対し十分注意する。
4.ビタミンK製剤を投与中の患者には本剤の効果が発現しないので、本剤の治療を要する場合は、止血目的以外のビタミンK製剤を投与しない。
5.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない。また、妊娠する可能性のある婦人に投与する場合には、事前に本剤による催奇形性、胎児の出血傾向に伴う死亡、分娩時の母体の異常出血の危険性について十分説明する。
6.小児に本剤を使用する場合、小児の抗凝固薬療法に精通した医師が監督する。
7.新生児への投与に関する安全性は確立していないので、新生児には、有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
他の薬剤との相互作用は、可能な全ての組合せについて検討されているわけではない。抗凝固薬療法施行中に、新たに他剤を併用したり、休薬する場合には、血液凝固能の変動に注意する。なお、本剤(光学異性体のS体)は、主として肝薬物代謝酵素CYP2C9によって代謝される。
1.併用禁忌:
1).骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤(メナテトレノン<骨粗鬆症治療用><グラケー>)[本剤の効果を減弱するので、患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤の投与を中止する(ビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子の生合成阻害作用と拮抗する)]。
2).イグラチモド<ケアラム、コルベット>[本剤の作用を増強することがあるので、患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、イグラチモドを投与しない(機序不明)]。
3).ミコナゾール<ゲル剤・注射剤・錠剤><フロリードゲル経口用、フロリードF注、オラビ錠口腔用>[本剤の作用を増強することがあり、また、併用中止後も本剤の作用が遷延し出血やINR上昇に至ったとの報告もあるので、患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、ミコナゾール(ゲル剤・注射剤・錠剤)を投与しない(ミコナゾールが本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
2.併用注意:
1).催眠鎮静剤:
(1).バルビツール酸系薬剤及びチオバルビツール酸系薬剤(フェノバルビタール等)[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する)]。
(2).抱水クロラール、トリクロホスナトリウム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の活性代謝物が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
2).抗てんかん剤:
(1).カルバマゼピン、プリミドン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する)]。
(2).フェニトイン[本剤の作用を減弱又は増強することがあり、また、フェニトインの作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動及びフェニトインの中毒症状又は血中濃度の上昇に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導し、本剤の作用を減弱する;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進し、本剤の作用を増強する;本剤が相手薬剤の肝薬物代謝酵素を阻害し、相手薬剤の作用を増強する)]。
(3).ホスフェニトインナトリウム水和物[本剤の作用を減弱又は増強することがあり、また、フェニトインの作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動及びフェニトインの中毒症状又は血中濃度の上昇に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導し、本剤の作用を減弱する;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進し、本剤の作用を増強する;本剤が相手薬剤の肝薬物代謝酵素を阻害し、相手薬剤の作用を増強する)]。
(4).エトトイン[本剤の作用を増強することがあり、また、エトトインの作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動及びエトトインの中毒症状又は血中濃度の上昇に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する;本剤が相手薬剤の肝代謝を阻害する)]。
(5).バルプロ酸ナトリウム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が血液凝固因子(フィブリノゲン)の肝生合成を減弱させる;相手薬剤の血小板凝集抑制作用による;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
3).解熱鎮痛消炎剤:
(1).アセトアミノフェン、トラマドール塩酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(2).セレコキシブ[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある)]。
(3).ブコローム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する)]。
(4).メロキシカム、ロルノキシカム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する;相手薬剤の血小板凝集抑制作用による;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
(5).アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、インドメタシン ファルネシル、エトドラク、ケトプロフェン、サリチル酸類、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、メフェナム酸、モフェゾラク、ロキソプロフェンナトリウム水和物等[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の血小板凝集抑制作用による;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
4).精神神経用剤:
(1).トラゾドン塩酸塩[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(2).メチルフェニデート塩酸塩、モノアミン酸化酵素阻害剤[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(3).三環系抗うつ剤(アミトリプチリン塩酸塩等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(4).選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(パロキセチン塩酸塩水和物、フルボキサミンマレイン酸塩等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる;また、フルボキサミンマレイン酸塩は、本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(5).セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>(デュロキセチン塩酸塩等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる)]。
5).不整脈用剤:
(1).アミオダロン塩酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する;相手薬剤の甲状腺機能異常の副作用により甲状腺機能が亢進すると本剤の作用が増強される)]。
(2).プロパフェノン塩酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(3).キニジン硫酸塩水和物[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
6).高脂血症用剤:
(1).コレスチラミン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が腸管内で本剤を吸着し本剤の吸収を阻害する;相手薬剤が本剤の腸肝循環を妨げる)]。
(2).シンバスタチン、フルバスタチンナトリウム、ロスバスタチンカルシウム、フィブラート系高脂血症用剤(クリノフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(3).フィブラート系高脂血症用剤(ベザフィブラート)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の作用部位への親和性を増加させる)]。
(4).デキストラン硫酸エステルナトリウム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の抗凝固(抗トロンビン)作用による)]。
7).消化性潰瘍用剤:
(1).オメプラゾール[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(2).シメチジン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4等を阻害する)]。
8).鎮吐剤:アプレピタント、ホスアプレピタントメグルミン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を誘導する)]。
9).ホルモン剤:
(1).副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン等)[本剤の作用を減弱又は増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が血液凝固能を亢進させ、本剤の作用を減弱する;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある)]。
(2).甲状腺製剤(レボチロキシンナトリウム水和物等)[甲状腺機能低下症の患者に相手薬剤を投与し甲状腺機能が正常化すると血液凝固能が低下し見かけ上本剤の作用が増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤がビタミンK依存性血液凝固因子の異化を促進する)]。
(3).抗甲状腺製剤:
①.抗甲状腺製剤(チアマゾール等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には病態の変化に応じて血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の副作用である低プロトロンビン血症が出血傾向を助長することがある)]。
②.抗甲状腺製剤(チアマゾール等)[甲状腺機能亢進症の患者に相手薬剤を投与し甲状腺機能が正常化すると血液凝固能が亢進し見かけ上の本剤の作用が減弱することがあるので、併用する場合には病態の変化に応じて血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(甲状腺機能が亢進すると血液凝固因子の合成及び代謝亢進により本剤の作用が増強することがあるが、相手薬剤投与で甲状腺機能が正常化すると、増強されていた本剤の効果が減弱することがある)]。
(4).グルカゴン、蛋白同化ステロイド(ナンドロロンデカン酸エステル等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(5).ダナゾール[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の作用部位への親和性を増加させる;相手薬剤がビタミンK依存性凝固因子の異化を促進する;相手薬剤が抗凝固能を亢進するとの報告がある)]。
(6).男性ホルモン(メチルテストステロン等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤がビタミンK依存性凝固因子の合成抑制あるいは分解を促進する)]。
10).痔疾用剤:トリベノシド、トリベノシド・リドカイン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
11).ビタミン剤:ビタミンK製剤<骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤以外>及びビタミンK含有製剤<骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤以外>(フィトナジオン(ビタミンK1)、メナテトレノン<骨粗鬆症治療用以外>(ビタミンK2<骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤以外>)、ビタミンK含有経腸栄養剤、ビタミンK含有高カロリー輸液用総合ビタミン剤等)[本剤の作用を減弱するので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(ビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子生合成阻害作用と拮抗する)]。
12).抗血栓剤:
(1).血液凝固阻止剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム)[相互に抗凝固作用・出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子阻害作用による)]。
(2).血液凝固阻止剤(低分子量ヘパリン(ダルテパリンナトリウム等)、ヘパリノイド(ダナパロイドナトリウム))[相互に抗凝固作用・出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(第10a因子等)阻害作用による)]。
(3).血液凝固阻止剤(10a阻害剤(フォンダパリヌクスナトリウム、エドキサバントシル酸塩水和物、リバーロキサバン、アピキサバン))[相互に抗凝固作用・出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(第10a因子)阻害作用による)]。
(4).血液凝固阻止剤(抗トロンビン剤(アルガトロバン水和物、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩))[相互に抗凝固作用・出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(トロンビン)阻害作用による)]。
(5).血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の血小板凝集抑制作用による;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
(6).血小板凝集抑制作用を有する薬剤(イコサペント酸エチル、オザグレルナトリウム、クロピドグレル硫酸塩、サルポグレラート塩酸塩、シロスタゾール、チカグレロル、チクロピジン塩酸塩、プラスグレル塩酸塩、ベラプロストナトリウム、リマプロスト アルファデクス等)[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血小板凝集抑制作用による)]。
(7).血栓溶解剤(ウロキナーゼ、アルテプラーゼ、モンテプラーゼ等)[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤のフィブリン溶解作用による)]。
(8).アンチトロンビン製剤[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子の活性阻害作用による)]。
(9).乾燥濃縮人活性化プロテインC[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(トロンビン)生成阻害作用による)]。
(10).トロンボモデュリン アルファ[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤のプロテインC活性促進を介したトロンビン生成阻害作用による)]。
(11).バトロキソビン[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(フィブリノゲン)分解作用による)]。
13).痛風治療剤:
(1).アロプリノール[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(2).プロベネシド[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の腎尿細管分泌を阻害し尿中排泄を低下させる)]。
(3).ベンズブロマロン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する)]。
14).酵素製剤:プロナーゼ、ブロメライン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤のフィブリン溶解作用による)]。
15).糖尿病用剤:スルホニル尿素系糖尿病用剤(グリベンクラミド、グリメピリド、クロルプロパミド、トルブタミド等)[本剤の作用を増強することがあり、また、相手薬剤の血糖降下作用を増強し低血糖症状が現れることがあるので、併用する場合には相手薬剤の作用増強及び血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害し、本剤の作用を増強する;本剤が相手薬剤の肝代謝を阻害し、相手薬剤の作用を増強する)]。
16).抗リウマチ剤:
(1).オーラノフィン[動物実験でオーラノフィンの急性毒性を増強したとの報告があるので、併用に注意する(機序不明)]。
(2).レフルノミド[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の活性代謝物が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する)]。
17).抗腫瘍剤:
(1).アザチオプリン、メルカプトプリン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与し、なお、相手薬剤が本剤の作用を増強したとの報告もある(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する;本剤の作用増強については、機序不明である)]。
(2).タモキシフェンクエン酸塩、トレミフェンクエン酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(3).ゲフィチニブ、フルタミド、フルオロウラシル系製剤及びフルオロウラシル系製剤配合剤(フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する。また、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムでは、併用中止後も本剤の作用が遷延し出血やINR上昇に至ったとの報告もあるので、十分注意する(機序不明)]。
(4).エルロチニブ塩酸塩[INR増加、胃腸出血等の報告があるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(5).フルオロウラシル系製剤及びフルオロウラシル系製剤配合剤(カペシタビン)、イマチニブメシル酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する)]。
18).アレルギー用薬:
(1).トラニラスト[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(2).オザグレル塩酸塩水和物[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の血小板凝集抑制作用による)]。
19).抗生物質製剤:
(1).アミノグリコシド系抗生物質製剤、クロラムフェニコール系抗生物質製剤、セフェム系抗生物質製剤、テトラサイクリン系抗生物質製剤、ペニシリン系抗生物質製剤[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の腸内細菌抑制作用によりビタミンK産生が抑制される)]。
(2).マクロライド系抗生物質製剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(3).マクロライド系抗生物質製剤(アジスロマイシン、テリスロマイシン等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
20).抗結核剤:
(1).リファンピシン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する)]。
(2).アミノサリチル酸類(パラアミノサリチル酸カルシウム水和物等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(3).イソニアジド[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
21).化学療法剤:
(1).キノロン系抗菌剤(ナリジクス酸)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
(2).キノロン系抗菌剤(オフロキサシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン水和物等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(3).サルファ剤及びサルファ剤配合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム、サラゾスルファピリジン等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
22).抗真菌剤:
(1).グリセオフルビン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する)]。
(2).アゾール系抗真菌剤<ミコナゾールゲル剤・注射剤・錠剤以外>(イトラコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール硝酸塩<膣坐剤・クリーム剤>等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
23).抗HIV薬:
(1).ネビラピン[本剤の作用を変化させることがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP3Aに影響する)]。
(2).サキナビル、サキナビルメシル酸塩、デラビルジンメシル酸塩、ホスアンプレナビルカルシウム水和物[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(3).アタザナビル硫酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(4).リトナビル、ロピナビル・リトナビル配合剤[本剤の作用を変化させることがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
24).抗原虫剤:
(1).キニーネ塩酸塩水和物[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が肝の血液凝固因子合成を阻害する)]。
(2).メトロニダゾール[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
25).その他の医薬品:
(1).ボセンタン水和物[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9、CYP3A4を誘導する)]。
(2).納豆菌含有製剤[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(納豆が本剤の抗凝固作用を減弱するとの報告がある)]。
(3).インターフェロン、ジスルフィラム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝代謝を阻害する)]。
(4).イプリフラボン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
26).飲食物:
(1).アルコール[本剤の作用を減弱又は増強することがあるので、本剤服用中の飲酒には注意する(アルコールの慢性的摂取により、本剤の薬物代謝酵素を誘導し、本剤の作用を減弱する;アルコールによる肝機能の低下が本剤の作用を増強する)]。
(2).セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9、CYP3A4を誘導する)]。
(3).ビタミンK含有食品(納豆、クロレラ食品、青汁)[本剤の作用を減弱するので、これらの食品を避けるよう、患者に十分説明する(これらの食品に含まれるビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子生合成阻害作用と拮抗する)]。
(4).ビタミンK含有食品<納豆・クロレラ食品・青汁以外>[一時的に大量摂取すると本剤の作用を減弱することがあるので、患者に十分説明する(これらの食品に含まれるビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子生合成阻害作用と拮抗する)]。
(高齢者への投与)
本剤は、血漿アルブミンとの結合率が高く、高齢者では血漿アルブミンが減少していることが多いため、遊離の薬物の血中濃度が高くなる恐れがあるので、用量に留意し慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[本剤は胎盤を通過し、点状軟骨異栄養症等の軟骨形成不全、神経系異常、胎児の出血傾向に伴う死亡の報告があり、また、分娩時母体の異常出血が現れることがある]。
2.本剤投与中の授乳婦には授乳を避けさせる[ヒト母乳中に移行し、新生児に予期しない出血が現れることがある]。
(小児等への投与)
新生児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
本剤過量投与による出血には、ビタミンK製剤の静脈内投与が奏効し、一般的には数時間以内で回復する。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
安定性試験結果の概要:加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、ワルファリンK錠0.5mg「NIG」及びワルファリンK錠1mg「NIG」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
開封後遮光・防湿。
(本剤使用に当って)
1.患者への注意:使用上の注意記載内容の他、次の事項について患者へ必要と考えられるアドバイスを行う。
1).必ず指示された通りに服用する(服用を忘れた時の対応の仕方も併せて)。
2).定期的に診察を受け、血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)を必ずしてもらう。
3).手術や抜歯をする時は、事前に主治医に相談する。
4).創傷を受けやすい仕事に従事しない。
5).納豆、クロレラ食品及び青汁は本剤の抗凝固作用を減弱させるので避けることが望ましい。
2.他院や他科に受診の際は、本剤の服用を医師、歯科医師、又は薬剤師に知らせる。
3.患者用説明書、患者携帯用の抗凝固薬療法手帳を用意してあるので、必要に応じ、適宜これを用いることができる。
薬効分類 | クマリン系血液凝固阻止薬 |
一般名 | ワルファリンカリウム錠 |
薬価 | 9.8円 |
メーカー | 武田テバファーマ |
最終更新 | 2019年01月改訂(第20版) |
本剤は、血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)の検査値に基づいて、本剤の投与量を決定し、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する薬剤である。
初回投与量を1日1回経口投与した後、数日間かけて血液凝固能検査で目標治療域に入るように用量調節し、維持投与量を決定する。
ワルファリンに対する感受性には個体差が大きく、同一個人でも変化することがあるため、定期的に血液凝固能検査を行い、維持投与量を必要に応じて調節する。
抗凝固効果の発現を急ぐ場合には、初回投与時ヘパリン等の併用を考慮する。
初回投与量は、ワルファリンカリウムとして、1〜5mg1日1回である。
小児における維持投与量(mg/kg/日)の目安を次に示す。
12カ月未満:0.16mg/kg/日。
1歳以上15歳未満:0.04〜0.10mg/kg/日。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)等に基づき投与量を決定し、治療域を逸脱しないように、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する。
2.プロトロンビン時間及びトロンボテストの検査値は、活性(%)以外の表示方法として、一般的にINR(International Normalized Ratio:国際標準比)が用いられている。INRを用いる場合、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にし、年齢、疾患及び併用薬等を勘案して治療域を決定する。
3.維持投与量は1日1回1〜5mg程度となることが多い。
血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用(頻度不明)
1).出血:脳出血等の臓器内出血、粘膜出血、皮下出血等を生じることがあるので、このような場合には、本剤の減量又は休薬、あるいはビタミンK製剤投与、プロトロンビン複合体の静注又は新鮮凍結血漿の輸注等の適切な処置を行い、また、同時に血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)を行うことが望ましい。
2).皮膚壊死:本剤投与開始による早期にプロテインC活性の急速な低下が原因で、一過性の過凝固状態となることがあり、その結果、微小血栓を生じ皮膚壊死に至る可能性があるので、投与前にプロテインC活性を確認することが望ましい。
3).カルシフィラキシス:周囲に有痛性紫斑を伴う有痛性皮膚潰瘍、皮下脂肪組織の小〜中動脈の石灰化又は真皮の小〜中動脈の石灰化を特徴とするカルシフィラキシスが現れ、敗血症に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
4).肝機能障害、黄疸:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al−P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤を減量又は休薬するなど、適切な処置を行う。
2.その他の副作用(頻度不明)
1).過敏症:発疹、そう痒症、紅斑、蕁麻疹、皮膚炎、発熱[このような場合には投与を中止する]。
2).肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等。
3).消化器:悪心・嘔吐、下痢。
4).皮膚:脱毛。
5).その他:抗甲状腺作用。
本剤とカペシタビンとの併用により、本剤の作用が増強し出血が発現し死亡に至ったとの報告があるので、併用する場合には血液凝固能検査を定期的に行い、必要に応じ適切な処置を行う。
1.出血している患者(血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の血液凝固障害、月経期間中、手術時、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産褥婦、頭蓋内出血の疑いのある患者等)[本剤を投与するとその作用機序より出血を助長することがあり、ときには致命的になることもある]。
2.出血する可能性のある患者(内臓腫瘍、消化管憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、重症高血圧症、重症糖尿病の患者等)[出血している患者同様に血管や内臓等の障害箇所に出血が起こることがある]。
3.重篤な肝障害・重篤な腎障害のある患者[ビタミンK依存性凝固因子は肝臓で産生されるので、これが抑制され出血することがあり、また、本剤の代謝・排泄の遅延で出血することがある]。
4.中枢神経系の手術後日の浅い又は外傷後日の浅い患者[出血を助長することがあり、ときには致命的になることもある]。
5.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
6.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
7.骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤投与中(メナテトレノン)の患者。
8.イグラチモド投与中の患者。
9.ミコナゾール<ゲル剤・注射剤・錠剤>投与中の患者。
1.肝炎、下痢、脂肪吸収不全、慢性アルコール中毒、うっ血性心不全、敗血症、遷延性低血圧症のある患者及び新生児のビタミンK欠乏時等[本剤の作用が増強されることがある]。
2.ビタミンK摂取時等[本剤の作用が減弱されることがある]。
3.悪性腫瘍の患者[悪性腫瘍の患者では、血液凝固能の亢進により血栓傾向となる一方で、腫瘍関連出血を生じることがあり、また、全身状態や摂食状況の変化に伴う血液凝固能の変動を生じることがある]。
4.産褥婦[出血しやすく、出血量が多くなることがある]。
5.甲状腺機能亢進症、又は甲状腺機能低下症の患者[甲状腺機能異常の患者では、病態の変化又は治療過程で甲状腺機能が正常化し、血液凝固能が変化することがあり、その結果として本剤の作用が見かけ上減弱、又は増強する恐れがある]。
6.新生児。
(重要な基本的注意)
1.併用注意の薬剤との併用により、本剤の作用が増強し、重篤な出血に至ったとの報告があるので、本剤の作用増強が進展あるいは持続しないように十分注意し、適切な治療域へ用量調節する。一方、本剤の作用減弱の場合も同様に作用減弱が進展あるいは持続しないように十分注意する。
2.急に投与を中止した場合、血栓を生じる恐れがあるので徐々に減量する。
3.出血等の副作用のため本剤の抗凝固作用を急速に減少する必要がある場合には投与を中止するとともに、ビタミンK製剤の投与を要することがある。なお、脳出血等の重篤な出血を発現した場合には、必要に応じて、プロトロンビン複合体の静注又は新鮮凍結血漿の輸注等の適切な処置も考慮する。これらの場合にも血栓再発に対し十分注意する。
4.ビタミンK製剤を投与中の患者には本剤の効果が発現しないので、本剤の治療を要する場合は、止血目的以外のビタミンK製剤を投与しない。
5.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない。また、妊娠する可能性のある婦人に投与する場合には、事前に本剤による催奇形性、胎児の出血傾向に伴う死亡、分娩時の母体の異常出血の危険性について十分説明する。
6.小児に本剤を使用する場合、小児の抗凝固薬療法に精通した医師が監督する。
7.新生児への投与に関する安全性は確立していないので、新生児には、有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
他の薬剤との相互作用は、可能な全ての組合せについて検討されているわけではない。抗凝固薬療法施行中に、新たに他剤を併用したり、休薬する場合には、血液凝固能の変動に注意する。なお、本剤(光学異性体のS体)は、主として肝薬物代謝酵素CYP2C9によって代謝される。
1.併用禁忌:
1).骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤(メナテトレノン<骨粗鬆症治療用><グラケー>)[本剤の効果を減弱するので、患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤の投与を中止する(ビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子の生合成阻害作用と拮抗する)]。
2).イグラチモド<ケアラム、コルベット>[本剤の作用を増強することがあるので、患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、イグラチモドを投与しない(機序不明)]。
3).ミコナゾール<ゲル剤・注射剤・錠剤><フロリードゲル経口用、フロリードF注、オラビ錠口腔用>[本剤の作用を増強することがあり、また、併用中止後も本剤の作用が遷延し出血やINR上昇に至ったとの報告もあるので、患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、ミコナゾール(ゲル剤・注射剤・錠剤)を投与しない(ミコナゾールが本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
2.併用注意:
1).催眠鎮静剤:
(1).バルビツール酸系薬剤及びチオバルビツール酸系薬剤(フェノバルビタール等)[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する)]。
(2).抱水クロラール、トリクロホスナトリウム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の活性代謝物が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
2).抗てんかん剤:
(1).カルバマゼピン、プリミドン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する)]。
(2).フェニトイン[本剤の作用を減弱又は増強することがあり、また、フェニトインの作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動及びフェニトインの中毒症状又は血中濃度の上昇に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導し、本剤の作用を減弱する;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進し、本剤の作用を増強する;本剤が相手薬剤の肝薬物代謝酵素を阻害し、相手薬剤の作用を増強する)]。
(3).ホスフェニトインナトリウム水和物[本剤の作用を減弱又は増強することがあり、また、フェニトインの作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動及びフェニトインの中毒症状又は血中濃度の上昇に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導し、本剤の作用を減弱する;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進し、本剤の作用を増強する;本剤が相手薬剤の肝薬物代謝酵素を阻害し、相手薬剤の作用を増強する)]。
(4).エトトイン[本剤の作用を増強することがあり、また、エトトインの作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動及びエトトインの中毒症状又は血中濃度の上昇に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する;本剤が相手薬剤の肝代謝を阻害する)]。
(5).バルプロ酸ナトリウム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が血液凝固因子(フィブリノゲン)の肝生合成を減弱させる;相手薬剤の血小板凝集抑制作用による;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
3).解熱鎮痛消炎剤:
(1).アセトアミノフェン、トラマドール塩酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(2).セレコキシブ[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある)]。
(3).ブコローム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する)]。
(4).メロキシカム、ロルノキシカム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する;相手薬剤の血小板凝集抑制作用による;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
(5).アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、インドメタシン ファルネシル、エトドラク、ケトプロフェン、サリチル酸類、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、メフェナム酸、モフェゾラク、ロキソプロフェンナトリウム水和物等[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の血小板凝集抑制作用による;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
4).精神神経用剤:
(1).トラゾドン塩酸塩[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(2).メチルフェニデート塩酸塩、モノアミン酸化酵素阻害剤[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(3).三環系抗うつ剤(アミトリプチリン塩酸塩等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(4).選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(パロキセチン塩酸塩水和物、フルボキサミンマレイン酸塩等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる;また、フルボキサミンマレイン酸塩は、本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(5).セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>(デュロキセチン塩酸塩等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる)]。
5).不整脈用剤:
(1).アミオダロン塩酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する;相手薬剤の甲状腺機能異常の副作用により甲状腺機能が亢進すると本剤の作用が増強される)]。
(2).プロパフェノン塩酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(3).キニジン硫酸塩水和物[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
6).高脂血症用剤:
(1).コレスチラミン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が腸管内で本剤を吸着し本剤の吸収を阻害する;相手薬剤が本剤の腸肝循環を妨げる)]。
(2).シンバスタチン、フルバスタチンナトリウム、ロスバスタチンカルシウム、フィブラート系高脂血症用剤(クリノフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(3).フィブラート系高脂血症用剤(ベザフィブラート)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の作用部位への親和性を増加させる)]。
(4).デキストラン硫酸エステルナトリウム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の抗凝固(抗トロンビン)作用による)]。
7).消化性潰瘍用剤:
(1).オメプラゾール[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(2).シメチジン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4等を阻害する)]。
8).鎮吐剤:アプレピタント、ホスアプレピタントメグルミン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を誘導する)]。
9).ホルモン剤:
(1).副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン等)[本剤の作用を減弱又は増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が血液凝固能を亢進させ、本剤の作用を減弱する;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある)]。
(2).甲状腺製剤(レボチロキシンナトリウム水和物等)[甲状腺機能低下症の患者に相手薬剤を投与し甲状腺機能が正常化すると血液凝固能が低下し見かけ上本剤の作用が増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤がビタミンK依存性血液凝固因子の異化を促進する)]。
(3).抗甲状腺製剤:
①.抗甲状腺製剤(チアマゾール等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には病態の変化に応じて血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の副作用である低プロトロンビン血症が出血傾向を助長することがある)]。
②.抗甲状腺製剤(チアマゾール等)[甲状腺機能亢進症の患者に相手薬剤を投与し甲状腺機能が正常化すると血液凝固能が亢進し見かけ上の本剤の作用が減弱することがあるので、併用する場合には病態の変化に応じて血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(甲状腺機能が亢進すると血液凝固因子の合成及び代謝亢進により本剤の作用が増強することがあるが、相手薬剤投与で甲状腺機能が正常化すると、増強されていた本剤の効果が減弱することがある)]。
(4).グルカゴン、蛋白同化ステロイド(ナンドロロンデカン酸エステル等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(5).ダナゾール[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の作用部位への親和性を増加させる;相手薬剤がビタミンK依存性凝固因子の異化を促進する;相手薬剤が抗凝固能を亢進するとの報告がある)]。
(6).男性ホルモン(メチルテストステロン等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤がビタミンK依存性凝固因子の合成抑制あるいは分解を促進する)]。
10).痔疾用剤:トリベノシド、トリベノシド・リドカイン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
11).ビタミン剤:ビタミンK製剤<骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤以外>及びビタミンK含有製剤<骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤以外>(フィトナジオン(ビタミンK1)、メナテトレノン<骨粗鬆症治療用以外>(ビタミンK2<骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤以外>)、ビタミンK含有経腸栄養剤、ビタミンK含有高カロリー輸液用総合ビタミン剤等)[本剤の作用を減弱するので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(ビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子生合成阻害作用と拮抗する)]。
12).抗血栓剤:
(1).血液凝固阻止剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム)[相互に抗凝固作用・出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子阻害作用による)]。
(2).血液凝固阻止剤(低分子量ヘパリン(ダルテパリンナトリウム等)、ヘパリノイド(ダナパロイドナトリウム))[相互に抗凝固作用・出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(第10a因子等)阻害作用による)]。
(3).血液凝固阻止剤(10a阻害剤(フォンダパリヌクスナトリウム、エドキサバントシル酸塩水和物、リバーロキサバン、アピキサバン))[相互に抗凝固作用・出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(第10a因子)阻害作用による)]。
(4).血液凝固阻止剤(抗トロンビン剤(アルガトロバン水和物、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩))[相互に抗凝固作用・出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(トロンビン)阻害作用による)]。
(5).血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の血小板凝集抑制作用による;本剤が相手薬剤の副作用である消化管出血を助長することがある;相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
(6).血小板凝集抑制作用を有する薬剤(イコサペント酸エチル、オザグレルナトリウム、クロピドグレル硫酸塩、サルポグレラート塩酸塩、シロスタゾール、チカグレロル、チクロピジン塩酸塩、プラスグレル塩酸塩、ベラプロストナトリウム、リマプロスト アルファデクス等)[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血小板凝集抑制作用による)]。
(7).血栓溶解剤(ウロキナーゼ、アルテプラーゼ、モンテプラーゼ等)[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤のフィブリン溶解作用による)]。
(8).アンチトロンビン製剤[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子の活性阻害作用による)]。
(9).乾燥濃縮人活性化プロテインC[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(トロンビン)生成阻害作用による)]。
(10).トロンボモデュリン アルファ[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤のプロテインC活性促進を介したトロンビン生成阻害作用による)]。
(11).バトロキソビン[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、相手薬剤の用量を調節するなど十分注意しながら投与する(相手薬剤の血液凝固因子(フィブリノゲン)分解作用による)]。
13).痛風治療剤:
(1).アロプリノール[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(2).プロベネシド[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の腎尿細管分泌を阻害し尿中排泄を低下させる)]。
(3).ベンズブロマロン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する)]。
14).酵素製剤:プロナーゼ、ブロメライン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤のフィブリン溶解作用による)]。
15).糖尿病用剤:スルホニル尿素系糖尿病用剤(グリベンクラミド、グリメピリド、クロルプロパミド、トルブタミド等)[本剤の作用を増強することがあり、また、相手薬剤の血糖降下作用を増強し低血糖症状が現れることがあるので、併用する場合には相手薬剤の作用増強及び血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害し、本剤の作用を増強する;本剤が相手薬剤の肝代謝を阻害し、相手薬剤の作用を増強する)]。
16).抗リウマチ剤:
(1).オーラノフィン[動物実験でオーラノフィンの急性毒性を増強したとの報告があるので、併用に注意する(機序不明)]。
(2).レフルノミド[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の活性代謝物が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する)]。
17).抗腫瘍剤:
(1).アザチオプリン、メルカプトプリン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与し、なお、相手薬剤が本剤の作用を増強したとの報告もある(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する;本剤の作用増強については、機序不明である)]。
(2).タモキシフェンクエン酸塩、トレミフェンクエン酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(3).ゲフィチニブ、フルタミド、フルオロウラシル系製剤及びフルオロウラシル系製剤配合剤(フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する。また、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムでは、併用中止後も本剤の作用が遷延し出血やINR上昇に至ったとの報告もあるので、十分注意する(機序不明)]。
(4).エルロチニブ塩酸塩[INR増加、胃腸出血等の報告があるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(5).フルオロウラシル系製剤及びフルオロウラシル系製剤配合剤(カペシタビン)、イマチニブメシル酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9を阻害する)]。
18).アレルギー用薬:
(1).トラニラスト[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(2).オザグレル塩酸塩水和物[相互に出血傾向を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の血小板凝集抑制作用による)]。
19).抗生物質製剤:
(1).アミノグリコシド系抗生物質製剤、クロラムフェニコール系抗生物質製剤、セフェム系抗生物質製剤、テトラサイクリン系抗生物質製剤、ペニシリン系抗生物質製剤[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤の腸内細菌抑制作用によりビタミンK産生が抑制される)]。
(2).マクロライド系抗生物質製剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(3).マクロライド系抗生物質製剤(アジスロマイシン、テリスロマイシン等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
20).抗結核剤:
(1).リファンピシン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する)]。
(2).アミノサリチル酸類(パラアミノサリチル酸カルシウム水和物等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(3).イソニアジド[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
21).化学療法剤:
(1).キノロン系抗菌剤(ナリジクス酸)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の血漿蛋白からの遊離を促進する)]。
(2).キノロン系抗菌剤(オフロキサシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン水和物等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(3).サルファ剤及びサルファ剤配合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム、サラゾスルファピリジン等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
22).抗真菌剤:
(1).グリセオフルビン[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する)]。
(2).アゾール系抗真菌剤<ミコナゾールゲル剤・注射剤・錠剤以外>(イトラコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール硝酸塩<膣坐剤・クリーム剤>等)[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
23).抗HIV薬:
(1).ネビラピン[本剤の作用を変化させることがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP3Aに影響する)]。
(2).サキナビル、サキナビルメシル酸塩、デラビルジンメシル酸塩、ホスアンプレナビルカルシウム水和物[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
(3).アタザナビル硫酸塩[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
(4).リトナビル、ロピナビル・リトナビル配合剤[本剤の作用を変化させることがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
24).抗原虫剤:
(1).キニーネ塩酸塩水和物[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が肝の血液凝固因子合成を阻害する)]。
(2).メトロニダゾール[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素を阻害する)]。
25).その他の医薬品:
(1).ボセンタン水和物[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9、CYP3A4を誘導する)]。
(2).納豆菌含有製剤[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(納豆が本剤の抗凝固作用を減弱するとの報告がある)]。
(3).インターフェロン、ジスルフィラム[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝代謝を阻害する)]。
(4).イプリフラボン[本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(機序不明)]。
26).飲食物:
(1).アルコール[本剤の作用を減弱又は増強することがあるので、本剤服用中の飲酒には注意する(アルコールの慢性的摂取により、本剤の薬物代謝酵素を誘導し、本剤の作用を減弱する;アルコールによる肝機能の低下が本剤の作用を増強する)]。
(2).セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)[本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与する(相手薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素CYP2C9、CYP3A4を誘導する)]。
(3).ビタミンK含有食品(納豆、クロレラ食品、青汁)[本剤の作用を減弱するので、これらの食品を避けるよう、患者に十分説明する(これらの食品に含まれるビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子生合成阻害作用と拮抗する)]。
(4).ビタミンK含有食品<納豆・クロレラ食品・青汁以外>[一時的に大量摂取すると本剤の作用を減弱することがあるので、患者に十分説明する(これらの食品に含まれるビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子生合成阻害作用と拮抗する)]。
(高齢者への投与)
本剤は、血漿アルブミンとの結合率が高く、高齢者では血漿アルブミンが減少していることが多いため、遊離の薬物の血中濃度が高くなる恐れがあるので、用量に留意し慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[本剤は胎盤を通過し、点状軟骨異栄養症等の軟骨形成不全、神経系異常、胎児の出血傾向に伴う死亡の報告があり、また、分娩時母体の異常出血が現れることがある]。
2.本剤投与中の授乳婦には授乳を避けさせる[ヒト母乳中に移行し、新生児に予期しない出血が現れることがある]。
(小児等への投与)
新生児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
本剤過量投与による出血には、ビタミンK製剤の静脈内投与が奏効し、一般的には数時間以内で回復する。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
安定性試験結果の概要:加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、ワルファリンK錠0.5mg「NIG」及びワルファリンK錠1mg「NIG」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
開封後遮光・防湿。
(本剤使用に当って)
1.患者への注意:使用上の注意記載内容の他、次の事項について患者へ必要と考えられるアドバイスを行う。
1).必ず指示された通りに服用する(服用を忘れた時の対応の仕方も併せて)。
2).定期的に診察を受け、血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)を必ずしてもらう。
3).手術や抜歯をする時は、事前に主治医に相談する。
4).創傷を受けやすい仕事に従事しない。
5).納豆、クロレラ食品及び青汁は本剤の抗凝固作用を減弱させるので避けることが望ましい。
2.他院や他科に受診の際は、本剤の服用を医師、歯科医師、又は薬剤師に知らせる。
3.患者用説明書、患者携帯用の抗凝固薬療法手帳を用意してあるので、必要に応じ、適宜これを用いることができる。
薬剤写真、用法用量、効能効果や後発品の情報が一度に参照でき、関連情報へ簡単にアクセスができます。
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※ ご使用いただく際に、必ず最新の添付文書および安全性情報も併せてご確認下さい。