薬効分類 | 三環系抗うつ薬 |
一般名 | ドスレピン塩酸塩錠 |
薬価 | 8.2円 |
メーカー | 科研製薬 |
最終更新 | 2023年03月改訂(第1版) 添付文書のPDFはこちら |
通常、成人にはドスレピン塩酸塩として、1日75〜150mgを2〜3回分割経口投与する。
なお、年齢及び症状により適宜増減する。
うつ病及びうつ状態。
(効能又は効果に関連する注意)
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.2−8.5、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. Syndrome malin(悪性症候群)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、他の三環系抗うつ剤の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
11.1.2. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等があらわれるとの報告があるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
11.1.3. 無顆粒球症(頻度不明):異常(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある)が認められた場合には投与を中止すること〔8.7参照〕。
11.1.4. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することが報告されているので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
11.2. その他の副作用
1). 循環器:(0.1%未満)動悸、血圧低下、頻脈、心電図異常。
2). 精神神経系:(0.1〜5%未満)眠気、めまい・ふらつき・立ちくらみ、睡眠障害、頭痛・頭重、振戦、躁転、性欲減退、不穏、記憶障害、しびれ感、構音障害、せん妄、発汗、幻覚、(0.1%未満)いらいら感、知覚障害、運動失調、痙攣、興奮、アカシジア。
3). 抗コリン作用:(5%以上)口渇、(0.1〜5%未満)便秘、視調節障害、排尿困難、(0.1%未満)鼻閉。
4). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹。
5). *血液:(0.1〜5%未満)白血球減少。
6). 肝臓:(0.1〜5%未満)ALT上昇、AST上昇、LDH上昇、Al−P上昇。
7). 消化器:(0.1〜5%未満)食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、胃部不快感、(0.1%未満)腹痛、口内苦味感。
8). 長期投与:(0.1%未満)口周部不随意運動等の不随意運動。
9). その他:(0.1〜5%未満)倦怠感。
*)〔8.7参照〕。
2.1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
2.2. 三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者。
2.3. 心筋梗塞の回復初期の患者[血圧降下、血圧上昇、頻脈、不整脈、心ブロック等があらわれることがある]。
2.4. 尿閉(前立腺疾患等)のある患者[抗コリン作用により、症状を悪化させることがある]。
2.5. モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤投与中(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)あるいはモノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤投与中止後2週間以内の患者〔10.1参照〕。
8.1. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.2. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.3−8.5、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。
8.3. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.4、8.5、9.1.6−9.1.9、15.1.1参照〕。
8.4. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.3、8.5、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。
8.5. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.4、9.1.6−9.1.9、15.1.1参照〕。
8.6. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
8.7. 無顆粒球症、白血球減少があらわれるとの報告があるので、定期的に血液検査を行うことが望ましい〔11.1.3、11.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 排尿困難のある患者:抗コリン作用により、症状を悪化させることがある。
9.1.2. 開放隅角緑内障又は眼内圧亢進のある患者:抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.1.3. 心不全・心筋梗塞<回復初期を除く>・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患<心筋梗塞の回復初期を除く>のある患者:循環器系に影響を及ぼすことがあり、これらの症状を悪化させるおそれがある。
9.1.4. 甲状腺機能亢進症の患者:循環器系に影響を及ぼすことがあり、症状を悪化させるおそれがある。
9.1.5. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある。
9.1.6. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.9、15.1.1参照〕。
9.1.7. 脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.8参照〕。
9.1.8. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.7参照〕。
9.1.9. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.6、15.1.1参照〕。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 重篤な腎障害のある患者:代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 重篤な肝障害のある患者:代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。
本剤の代謝には主として肝薬物代謝酵素CYP2D6が関与している。
10.1. 併用禁忌:
モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.5参照〕[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがあるので、MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からMAO阻害剤に切り替えるときには2〜3日間の間隔をおくことが望ましい(次のような機序が考えられている:1)MAO阻害剤が肝ミクロソーム酵素を阻害する、2)三環系抗うつ剤がMAO阻害剤によって蓄積したアミン類のアドレナリン受容体に対する感受性を増大させる)]。
10.2. 併用注意:
1). アルコール(飲酒)[相互に中枢神経抑制作用を増強することがある(いずれも中枢神経抑制作用を有するため)]。
2). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[相互に中枢神経抑制作用を増強することがある(いずれも中枢神経抑制作用を有するため、また、三環系抗うつ剤はバルビツール酸誘導体の代謝に関する酵素を阻害し、作用を増強すると考えられている)]。
3). 抗コリン作動薬[相互に抗コリン作用を増強することがある(いずれも抗コリン作用を有するため)]。
4). アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン等)[特にアドレナリン、ノルアドレナリンの心血管作用を増強することがある(三環系抗うつ剤はアドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている)]。
5). 降圧剤(グアネチジン硫酸塩等)[降圧剤の作用を減弱することがある(三環系抗うつ剤がアドレナリン作動性ニューロンでの降圧剤(グアネチジン硫酸塩等)の取り込みを阻害するためと考えられる)]。
6). スルファメトキサゾール・トリメトプリム<ST合剤>、リファンピシン[本剤の作用が減弱することがある(これら薬剤が肝代謝酵素チトクロームP−450を誘導し、三環系抗うつ剤の代謝が促進されると考えられている)]。
7). シメチジン、キニジン[本剤の作用が増強することがある(これら薬剤がチトクロームP−450を阻害し、三環系抗うつ剤の代謝を遅延させるためと考えられている)]。
8). 選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(フルボキサミン、パロキセチン)[本剤の血中濃度が上昇し本剤の作用が増強するおそれがある(これら薬剤は肝薬物代謝酵素CYP2D6を阻害するため、本剤の代謝が抑制されると考えられる)]。
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(薬物動態試験で、高い血中濃度が持続することが認められており、また、起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい)〔16.1.1参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(三環系抗うつ剤には動物実験で催奇形作用が報告されているものがある)。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(母乳中へ移行することが報告されている)。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(取扱い上の注意)
分包した場合は遮光して保存すること。
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.6、9.1.9参照〕。
15.1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
(保管上の注意)
室温保存。
薬効分類 | 三環系抗うつ薬 |
一般名 | ドスレピン塩酸塩錠 |
薬価 | 8.2円 |
メーカー | 科研製薬 |
最終更新 | 2023年03月改訂(第1版) 添付文書のPDFはこちら |
通常、成人にはドスレピン塩酸塩として、1日75〜150mgを2〜3回分割経口投与する。
なお、年齢及び症状により適宜増減する。
うつ病及びうつ状態。
(効能又は効果に関連する注意)
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.2−8.5、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. Syndrome malin(悪性症候群)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、他の三環系抗うつ剤の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
11.1.2. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等があらわれるとの報告があるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
11.1.3. 無顆粒球症(頻度不明):異常(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある)が認められた場合には投与を中止すること〔8.7参照〕。
11.1.4. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することが報告されているので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
11.2. その他の副作用
1). 循環器:(0.1%未満)動悸、血圧低下、頻脈、心電図異常。
2). 精神神経系:(0.1〜5%未満)眠気、めまい・ふらつき・立ちくらみ、睡眠障害、頭痛・頭重、振戦、躁転、性欲減退、不穏、記憶障害、しびれ感、構音障害、せん妄、発汗、幻覚、(0.1%未満)いらいら感、知覚障害、運動失調、痙攣、興奮、アカシジア。
3). 抗コリン作用:(5%以上)口渇、(0.1〜5%未満)便秘、視調節障害、排尿困難、(0.1%未満)鼻閉。
4). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹。
5). *血液:(0.1〜5%未満)白血球減少。
6). 肝臓:(0.1〜5%未満)ALT上昇、AST上昇、LDH上昇、Al−P上昇。
7). 消化器:(0.1〜5%未満)食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、胃部不快感、(0.1%未満)腹痛、口内苦味感。
8). 長期投与:(0.1%未満)口周部不随意運動等の不随意運動。
9). その他:(0.1〜5%未満)倦怠感。
*)〔8.7参照〕。
2.1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
2.2. 三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者。
2.3. 心筋梗塞の回復初期の患者[血圧降下、血圧上昇、頻脈、不整脈、心ブロック等があらわれることがある]。
2.4. 尿閉(前立腺疾患等)のある患者[抗コリン作用により、症状を悪化させることがある]。
2.5. モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤投与中(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)あるいはモノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤投与中止後2週間以内の患者〔10.1参照〕。
8.1. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.2. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.3−8.5、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。
8.3. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.4、8.5、9.1.6−9.1.9、15.1.1参照〕。
8.4. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.3、8.5、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。
8.5. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.4、9.1.6−9.1.9、15.1.1参照〕。
8.6. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
8.7. 無顆粒球症、白血球減少があらわれるとの報告があるので、定期的に血液検査を行うことが望ましい〔11.1.3、11.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 排尿困難のある患者:抗コリン作用により、症状を悪化させることがある。
9.1.2. 開放隅角緑内障又は眼内圧亢進のある患者:抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.1.3. 心不全・心筋梗塞<回復初期を除く>・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患<心筋梗塞の回復初期を除く>のある患者:循環器系に影響を及ぼすことがあり、これらの症状を悪化させるおそれがある。
9.1.4. 甲状腺機能亢進症の患者:循環器系に影響を及ぼすことがあり、症状を悪化させるおそれがある。
9.1.5. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある。
9.1.6. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.9、15.1.1参照〕。
9.1.7. 脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.8参照〕。
9.1.8. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.7参照〕。
9.1.9. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.6、15.1.1参照〕。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 重篤な腎障害のある患者:代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 重篤な肝障害のある患者:代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。
本剤の代謝には主として肝薬物代謝酵素CYP2D6が関与している。
10.1. 併用禁忌:
モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.5参照〕[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがあるので、MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からMAO阻害剤に切り替えるときには2〜3日間の間隔をおくことが望ましい(次のような機序が考えられている:1)MAO阻害剤が肝ミクロソーム酵素を阻害する、2)三環系抗うつ剤がMAO阻害剤によって蓄積したアミン類のアドレナリン受容体に対する感受性を増大させる)]。
10.2. 併用注意:
1). アルコール(飲酒)[相互に中枢神経抑制作用を増強することがある(いずれも中枢神経抑制作用を有するため)]。
2). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[相互に中枢神経抑制作用を増強することがある(いずれも中枢神経抑制作用を有するため、また、三環系抗うつ剤はバルビツール酸誘導体の代謝に関する酵素を阻害し、作用を増強すると考えられている)]。
3). 抗コリン作動薬[相互に抗コリン作用を増強することがある(いずれも抗コリン作用を有するため)]。
4). アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン等)[特にアドレナリン、ノルアドレナリンの心血管作用を増強することがある(三環系抗うつ剤はアドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている)]。
5). 降圧剤(グアネチジン硫酸塩等)[降圧剤の作用を減弱することがある(三環系抗うつ剤がアドレナリン作動性ニューロンでの降圧剤(グアネチジン硫酸塩等)の取り込みを阻害するためと考えられる)]。
6). スルファメトキサゾール・トリメトプリム<ST合剤>、リファンピシン[本剤の作用が減弱することがある(これら薬剤が肝代謝酵素チトクロームP−450を誘導し、三環系抗うつ剤の代謝が促進されると考えられている)]。
7). シメチジン、キニジン[本剤の作用が増強することがある(これら薬剤がチトクロームP−450を阻害し、三環系抗うつ剤の代謝を遅延させるためと考えられている)]。
8). 選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(フルボキサミン、パロキセチン)[本剤の血中濃度が上昇し本剤の作用が増強するおそれがある(これら薬剤は肝薬物代謝酵素CYP2D6を阻害するため、本剤の代謝が抑制されると考えられる)]。
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(薬物動態試験で、高い血中濃度が持続することが認められており、また、起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい)〔16.1.1参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(三環系抗うつ剤には動物実験で催奇形作用が報告されているものがある)。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(母乳中へ移行することが報告されている)。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(取扱い上の注意)
分包した場合は遮光して保存すること。
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.6、9.1.9参照〕。
15.1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
(保管上の注意)
室温保存。
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