薬剤情報
後発品
薬効分類血液凝固阻止薬 > ヘパリン剤
一般名ヘパリンナトリウム注射液
薬価391
メーカーニプロ
最終更新2024年07月改訂(第3版)

用法・用量

本剤は、通常、次記の各投与法によって投与されるが、それらは症例または適応領域、目的によって決定される。

通常、本剤投与後、全血凝固時間(Lee−White法)または全血活性化部分トロンボプラスチン時間(WBAPTT)が正常値の2〜3倍になるように年齢、症状に応じて適宜用量をコントロールする。

〈静脈内点滴注射法〉

10000〜30000単位を5%ブドウ糖注射液、生理食塩液、リンゲル液1000mLで希釈し、最初1分間30滴前後の速度で、続いて全血凝固時間またはWBAPTTが投与前の2〜3倍になれば1分間20滴前後の速度で、静脈内に点滴注射する。

〈静脈内間歇注射法〉

1回5000〜10000単位を4〜8時間ごとに静脈内注射する。

注射開始3時間後から、2〜4時間ごとに全血凝固時間またはWBAPTTを測定し、投与前の2〜3倍になるようにコントロールする。

〈皮下注射・筋肉内注射法〉

1回5000単位を4時間ごとに皮下注射または筋肉内注射する。なお、筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響をさけるため、次記の点に配慮すること。

1. 筋肉内注射時神経走行部位をさけるように注意すること。

2. 筋肉内注射時、繰り返し注射する場合には、注射部位をかえ、たとえば左右交互に注射するなど行うこと。なお、乳・幼・小児には筋肉内注射を連用しないことが望ましい。

3. 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

〈体外循環時(血液透析・人工心肺)における使用法〉

1. 人工腎では各患者の適切な使用量を透析前に各々のヘパリン感受性試験の結果に基づいて算出するが、全身ヘパリン化法の場合、通常、透析開始に先だって、1000〜3000単位を投与し、透析開始後は、1時間当たり、500〜1500単位を持続的に、または1時間ごとに500〜1500単位を間歇的に追加する。局所ヘパリン化法の場合は、1時間当たり、1500〜2500単位を持続注入し、体内灌流時にプロタミン硫酸塩で中和する。

2. 術式・方法によって多少異なるが、人工心肺灌流時には、150〜300単位/kgを投与し、さらに体外循環時間の延長とともに必要に応じて適宜追加する。体外循環後は、術後出血を防止し、ヘパリンの作用を中和するためにプロタミン硫酸塩を用いる。

〈輸血及び血液検査の際の血液凝固防止法〉

輸血の際の血液凝固の防止には、通常、血液100mLに対して400〜500単位を用いる。血液検査の際の血液凝固の防止にもほぼ同様に、血液20〜30mLに対して100単位を用いる。

効能・効果

1). 汎発性血管内血液凝固症候群の治療。

2). 血液透析・人工心肺その他の体外循環装置使用時の血液凝固の防止。

3). 血管カテーテル挿入時の血液凝固の防止。

4). 輸血及び血液検査の際の血液凝固の防止。

5). 血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症の治療及び予防、手術中・手術後の血栓塞栓症等)の治療及び予防。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):血圧低下、意識低下、呼吸困難、チアノーゼ、蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11.1.2. 出血(頻度不明):脳出血、消化管出血、肺出血、硬膜外血腫、後腹膜血腫、腹腔内出血、術後出血、刺入部出血等、重篤な出血があらわれることがある〔8.1、8.4、9.1.1−9.1.3参照〕。

11.1.3. 血小板減少(頻度不明)、HIT等に伴う血小板減少・血栓症(頻度不明):著明な血小板減少があらわれることがあり、HITはヘパリン−血小板第4因子複合体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した病態であり、著明な血小板減少と脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓症やシャント閉塞、回路内閉塞等を伴う。また、投与終了数週間後に、HITが遅延して発現したとの報告もあるので、著明な血小板数減少や血栓症を疑わせる異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.5、9.1.5、15.1.2参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 過敏症:(頻度不明)そう痒感、蕁麻疹、悪寒、発熱、鼻炎、気管支喘息、流涙等。

2). 皮膚:(頻度不明)脱毛、白斑、出血性皮膚壊死等。

3). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇等。

4). 長期投与:(頻度不明)骨粗鬆症、低アルドステロン症。

5). 投与部位:(頻度不明)局所疼痛性血腫(皮下又は筋肉内注射時)。

重要な基本的注意

8.1. 血液凝固能検査等、出血管理を十分に行いつつ使用すること〔11.1.2参照〕。

8.2. 脊椎・硬膜外麻酔との併用あるいは腰椎穿刺との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあるので、併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。

8.3. 急に投与を中止した場合、血栓を生じるおそれがあるので徐々に減量すること。

8.4. 本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要がある場合にはプロタミン硫酸塩を投与すること(特に血液透析、人工心肺による血液体外循環終了時に抗凝固作用を中和する場合には反跳性出血があらわれることがある)〔11.1.2参照〕。

8.5. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin−induced thrombocytopenia)があらわれることがあるので、本剤投与後は血小板数を測定すること〔9.1.5、11.1.3、15.1.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 出血している患者:血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の血液凝固障害[汎発性血管内血液凝固症候群<DIC>を除く]、月経期間中、手術時、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産褥婦、頭蓋内出血の疑いのある患者等には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(出血を助長することがあり、ときには致命的になるおそれがある)〔11.1.2参照〕。

9.1.2. 出血する可能性のある患者:内臓腫瘍、消化管憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、重症高血圧症、重症糖尿病の患者等には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(血管や内臓の障害箇所に出血が起こるおそれがある)〔11.1.2参照〕。

9.1.3. 中枢神経系の手術後日の浅い又は外傷後日の浅い患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(出血を助長することがあり、ときには致命的になるおそれがある)〔11.1.2参照〕。

9.1.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

9.1.5. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin−induced thrombocytopenia)の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと、投与が必要な場合は、本剤投与後は血小板数を測定すること(HITがあらわれることがある)〔8.5、11.1.3、15.1.2参照〕。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重篤な腎障害のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(排泄が障害され、本剤の作用が持続するおそれがある)。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝障害のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(凝固因子やアンチトロンビン3の産生が低下していることがあるので、本剤の作用が変動(増強又は減弱)するおそれがある)。

相互作用

10.2. 併用注意:

1). 抗凝固剤[本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある(本剤の抗凝固作用と血液凝固因子の生合成阻害作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

2). 血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t−PA製剤等)[本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある(本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

3). 血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン塩酸塩等)[本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

4). テトラサイクリン系抗生物質、強心配糖体(ジギタリス製剤)、ニトログリセリン製剤[本剤の作用が減弱するおそれがある(機序は不明である)]。

5). 筋弛緩回復剤(スガマデクスナトリウム)[本剤の抗凝固作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察するとともに血液凝固に関する検査値に注意すること(作用機序は不明であるが、スガマデクスナトリウム4mg/kgと抗凝固剤の併用中に活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)又はプロトロンビン時間(PT)の軽度で一過性の延長が認められている)]。

6). アンデキサネット アルファ<遺伝子組換え>[本剤の抗凝固作用が減弱しヘパリン抵抗性を示すことがある(In vitroデータから、アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)がヘパリン−アンチトロンビン3複合体に作用し、本剤の抗凝固作用を減弱させることが示唆されている)]。

高齢者

出血の危険性が高まるおそれがある。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与後の注意

外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は遮光して保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. コレステロール結晶塞栓症(CCE)は、大動脈内に存在する粥状硬化巣が崩壊・流失し、微細なコレステロール結晶が全身臓器の塞栓を起こすことによって発症するとされており、その主な原因は血管内カテーテル操作であるとされているが、ヘパリン等の抗凝固療法が誘因となり発症することも報告されている。

15.1.2. HIT発現時に出現するHIT抗体は100日程度で消失〜低下するとの報告がある〔8.5、9.1.5、11.1.3参照〕。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

ヘパリンナトリウム注1万単位/10mL「ニプロ」
ヘパリンナトリウム注1万単位/10mL「ニプロ」

ヘパリンナトリウム注1万単位/10mL「ニプロ」

血液凝固阻止薬 > ヘパリン剤
2024年07月改訂(第3版)
薬剤情報
後発品
薬効分類血液凝固阻止薬 > ヘパリン剤
一般名ヘパリンナトリウム注射液
薬価391
メーカーニプロ
最終更新2024年07月改訂(第3版)

用法・用量

本剤は、通常、次記の各投与法によって投与されるが、それらは症例または適応領域、目的によって決定される。

通常、本剤投与後、全血凝固時間(Lee−White法)または全血活性化部分トロンボプラスチン時間(WBAPTT)が正常値の2〜3倍になるように年齢、症状に応じて適宜用量をコントロールする。

〈静脈内点滴注射法〉

10000〜30000単位を5%ブドウ糖注射液、生理食塩液、リンゲル液1000mLで希釈し、最初1分間30滴前後の速度で、続いて全血凝固時間またはWBAPTTが投与前の2〜3倍になれば1分間20滴前後の速度で、静脈内に点滴注射する。

〈静脈内間歇注射法〉

1回5000〜10000単位を4〜8時間ごとに静脈内注射する。

注射開始3時間後から、2〜4時間ごとに全血凝固時間またはWBAPTTを測定し、投与前の2〜3倍になるようにコントロールする。

〈皮下注射・筋肉内注射法〉

1回5000単位を4時間ごとに皮下注射または筋肉内注射する。なお、筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響をさけるため、次記の点に配慮すること。

1. 筋肉内注射時神経走行部位をさけるように注意すること。

2. 筋肉内注射時、繰り返し注射する場合には、注射部位をかえ、たとえば左右交互に注射するなど行うこと。なお、乳・幼・小児には筋肉内注射を連用しないことが望ましい。

3. 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

〈体外循環時(血液透析・人工心肺)における使用法〉

1. 人工腎では各患者の適切な使用量を透析前に各々のヘパリン感受性試験の結果に基づいて算出するが、全身ヘパリン化法の場合、通常、透析開始に先だって、1000〜3000単位を投与し、透析開始後は、1時間当たり、500〜1500単位を持続的に、または1時間ごとに500〜1500単位を間歇的に追加する。局所ヘパリン化法の場合は、1時間当たり、1500〜2500単位を持続注入し、体内灌流時にプロタミン硫酸塩で中和する。

2. 術式・方法によって多少異なるが、人工心肺灌流時には、150〜300単位/kgを投与し、さらに体外循環時間の延長とともに必要に応じて適宜追加する。体外循環後は、術後出血を防止し、ヘパリンの作用を中和するためにプロタミン硫酸塩を用いる。

〈輸血及び血液検査の際の血液凝固防止法〉

輸血の際の血液凝固の防止には、通常、血液100mLに対して400〜500単位を用いる。血液検査の際の血液凝固の防止にもほぼ同様に、血液20〜30mLに対して100単位を用いる。

効能・効果

1). 汎発性血管内血液凝固症候群の治療。

2). 血液透析・人工心肺その他の体外循環装置使用時の血液凝固の防止。

3). 血管カテーテル挿入時の血液凝固の防止。

4). 輸血及び血液検査の際の血液凝固の防止。

5). 血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症の治療及び予防、手術中・手術後の血栓塞栓症等)の治療及び予防。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):血圧低下、意識低下、呼吸困難、チアノーゼ、蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11.1.2. 出血(頻度不明):脳出血、消化管出血、肺出血、硬膜外血腫、後腹膜血腫、腹腔内出血、術後出血、刺入部出血等、重篤な出血があらわれることがある〔8.1、8.4、9.1.1−9.1.3参照〕。

11.1.3. 血小板減少(頻度不明)、HIT等に伴う血小板減少・血栓症(頻度不明):著明な血小板減少があらわれることがあり、HITはヘパリン−血小板第4因子複合体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した病態であり、著明な血小板減少と脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓症やシャント閉塞、回路内閉塞等を伴う。また、投与終了数週間後に、HITが遅延して発現したとの報告もあるので、著明な血小板数減少や血栓症を疑わせる異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.5、9.1.5、15.1.2参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 過敏症:(頻度不明)そう痒感、蕁麻疹、悪寒、発熱、鼻炎、気管支喘息、流涙等。

2). 皮膚:(頻度不明)脱毛、白斑、出血性皮膚壊死等。

3). 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇等。

4). 長期投与:(頻度不明)骨粗鬆症、低アルドステロン症。

5). 投与部位:(頻度不明)局所疼痛性血腫(皮下又は筋肉内注射時)。

重要な基本的注意

8.1. 血液凝固能検査等、出血管理を十分に行いつつ使用すること〔11.1.2参照〕。

8.2. 脊椎・硬膜外麻酔との併用あるいは腰椎穿刺との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあるので、併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。

8.3. 急に投与を中止した場合、血栓を生じるおそれがあるので徐々に減量すること。

8.4. 本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要がある場合にはプロタミン硫酸塩を投与すること(特に血液透析、人工心肺による血液体外循環終了時に抗凝固作用を中和する場合には反跳性出血があらわれることがある)〔11.1.2参照〕。

8.5. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin−induced thrombocytopenia)があらわれることがあるので、本剤投与後は血小板数を測定すること〔9.1.5、11.1.3、15.1.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 出血している患者:血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の血液凝固障害[汎発性血管内血液凝固症候群<DIC>を除く]、月経期間中、手術時、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産褥婦、頭蓋内出血の疑いのある患者等には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(出血を助長することがあり、ときには致命的になるおそれがある)〔11.1.2参照〕。

9.1.2. 出血する可能性のある患者:内臓腫瘍、消化管憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、重症高血圧症、重症糖尿病の患者等には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(血管や内臓の障害箇所に出血が起こるおそれがある)〔11.1.2参照〕。

9.1.3. 中枢神経系の手術後日の浅い又は外傷後日の浅い患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(出血を助長することがあり、ときには致命的になるおそれがある)〔11.1.2参照〕。

9.1.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

9.1.5. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin−induced thrombocytopenia)の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと、投与が必要な場合は、本剤投与後は血小板数を測定すること(HITがあらわれることがある)〔8.5、11.1.3、15.1.2参照〕。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重篤な腎障害のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(排泄が障害され、本剤の作用が持続するおそれがある)。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝障害のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(凝固因子やアンチトロンビン3の産生が低下していることがあるので、本剤の作用が変動(増強又は減弱)するおそれがある)。

相互作用

10.2. 併用注意:

1). 抗凝固剤[本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある(本剤の抗凝固作用と血液凝固因子の生合成阻害作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

2). 血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t−PA製剤等)[本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある(本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

3). 血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン塩酸塩等)[本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

4). テトラサイクリン系抗生物質、強心配糖体(ジギタリス製剤)、ニトログリセリン製剤[本剤の作用が減弱するおそれがある(機序は不明である)]。

5). 筋弛緩回復剤(スガマデクスナトリウム)[本剤の抗凝固作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察するとともに血液凝固に関する検査値に注意すること(作用機序は不明であるが、スガマデクスナトリウム4mg/kgと抗凝固剤の併用中に活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)又はプロトロンビン時間(PT)の軽度で一過性の延長が認められている)]。

6). アンデキサネット アルファ<遺伝子組換え>[本剤の抗凝固作用が減弱しヘパリン抵抗性を示すことがある(In vitroデータから、アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)がヘパリン−アンチトロンビン3複合体に作用し、本剤の抗凝固作用を減弱させることが示唆されている)]。

高齢者

出血の危険性が高まるおそれがある。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与後の注意

外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は遮光して保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. コレステロール結晶塞栓症(CCE)は、大動脈内に存在する粥状硬化巣が崩壊・流失し、微細なコレステロール結晶が全身臓器の塞栓を起こすことによって発症するとされており、その主な原因は血管内カテーテル操作であるとされているが、ヘパリン等の抗凝固療法が誘因となり発症することも報告されている。

15.1.2. HIT発現時に出現するHIT抗体は100日程度で消失〜低下するとの報告がある〔8.5、9.1.5、11.1.3参照〕。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

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