トリアジン系抗てんかん薬
薬効分類 | トリアジン系抗てんかん薬 |
一般名 | ラモトリギン錠 |
薬価 | 37.4円 |
メーカー | 東和薬品 |
最終更新 | 2022年02月改訂(第7版) |
1.てんかん患者に用いる場合:
1).成人:
(1).単剤療法の場合(部分発作(二次性全般化発作を含む)及び強直間代発作に用いる場合):ラモトリギンとして最初の2週間は1日25mgを1日1回経口投与し、次の2週間は1日50mgを1日1回経口投与し、5週目は1日100mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大100mgずつ漸増する。維持用量は1日100〜200mgとし、1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
(2).バルプロ酸ナトリウムを併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1回25mgを隔日に経口投与し、次の2週間は1日25mgを1日1回経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として25〜50mgずつ漸増する。維持用量は1日100〜200mgとし、1日2回に分割して経口投与する。
(3).バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合*:
①.本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日50mgを1日1回経口投与し、次の2週間は1日100mgを1日2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大100mgずつ漸増する。維持用量は1日200〜400mgとし、1日2回に分割して経口投与する。
②.①以外の薬剤※※を併用する場合:単剤療法の場合に従う。
本剤は主としてグルクロン酸転移酵素で代謝される。
*:本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従う。
※:本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤。
※※:本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤:アリピプラゾール、オランザピン、ゾニサミド、ガバペンチン、シメチジン、トピラマート、プレガバリン、リチウム、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミド。
2).小児:
(1).単剤療法の場合(定型欠神発作に用いる場合):ラモトリギンとして最初の2週間は1日0.3mg/kgを1日1回又は2回に分割して経口投与し、次の2週間は1日0.6mg/kgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大0.6mg/kgずつ漸増する。維持用量は1日1〜10mg/kgとし、1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大0.6mg/kgずつ、1日用量は最大200mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
(2).バルプロ酸ナトリウムを併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日0.15mg/kgを1日1回経口投与し、次の2週間は1日0.3mg/kgを1日1回経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大0.3mg/kgずつ漸増する。維持用量は、バルプロ酸ナトリウムに加えて本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用する場合は1日1〜5mg/kgとし、本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用していない場合は1日1〜3mg/kgとし、1日2回に分割して経口投与する。なお、1日用量は最大200mgまでとする。
(3).バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合*:
①.本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日0.6mg/kgを1日2回に分割して経口投与し、次の2週間は1日1.2mg/kgを1日2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大1.2mg/kgずつ漸増する。維持用量は1日5〜15mg/kgとし、1日2回に分割して経口投与する。なお、1日用量は最大400mgまでとする。
②.①以外の薬剤※※を併用する場合:バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。
本剤は主としてグルクロン酸転移酵素で代謝される。
*:本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従う。
※:本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤。
※※:本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤:アリピプラゾール、オランザピン、ゾニサミド、ガバペンチン、シメチジン、トピラマート、プレガバリン、リチウム、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミド。
2.双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に用いる場合:
1).単剤療法の場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日25mgを1日1回経口投与、次の2週間は1日50mgを1日1回又は2回に分割して経口投与し、5週目は1日100mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。6週目以降は維持用量として1日200mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
2).バルプロ酸ナトリウムを併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1回25mgを隔日に経口投与、次の2週間は1日25mgを1日1回経口投与し、5週目は1日50mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。6週目以降は維持用量として1日100mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大50mgずつ、1日用量は最大200mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
3).バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合*:
(1).本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日50mgを1日1回経口投与、次の2週間は1日100mgを1日2回に分割して経口投与し、5週目は1日200mgを1日2回に分割して経口投与する。
6週目は1日300mgを1日2回に分割して経口投与し、7週目以降は維持用量として1日300〜400mgを1日2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日2回に分割して経口投与する。
(2).(1)以外の薬剤※※を併用する場合:単剤療法の場合に従う。
本剤は主としてグルクロン酸転移酵素で代謝される。
*:本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従う。
※:本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤。
※※:本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤:アリピプラゾール、オランザピン、ゾニサミド、ガバペンチン、シメチジン、トピラマート、プレガバリン、リチウム、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミド。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.発疹等の皮膚障害の発現率は、定められた用法・用量を超えて投与した場合に高いことが示されているので、併用する薬剤の組み合わせに留意して、「用法・用量」を遵守する。なお、体重換算等により調節した用量に一致する錠剤の組み合わせがない場合には、調節した用量に最も近く、かつ超えない用量になるよう錠剤を組み合わせて投与する。
2.併用する薬剤については次のとおり分類されるので留意する。なお、本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従う。
1).本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤。
2).本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤:アリピプラゾール、オランザピン、ゾニサミド、ガバペンチン、シメチジン、トピラマート、プレガバリン、リチウム、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミド。
3.本剤による発疹等の皮膚症状のために投与を中止した場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合以外は再投与しない。再投与にあたっては、いかなる理由で投与を中止した患者においても、維持用量より低い用量から漸増する。なお、投与中止から本剤の消失半減期の5倍の期間を経過(バルプロ酸ナトリウムを併用した時は投与中止から約350時間を経過、バルプロ酸ナトリウムを併用せず本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用した時は投与中止から約65時間を経過(いずれも外国人のデータ)、バルプロ酸ナトリウムも本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤も併用しなかった時は投与中止から約170時間を経過)している場合は、初回用量から「用法・用量」に従って再開することが推奨される。
4.本剤を定型欠神発作以外の小児てんかん患者に用いる場合には、他の抗てんかん薬と併用して使用する[定型欠神発作以外の国内臨床試験において、本剤単独投与での使用経験はない]。
5.小児てんかん患者へ投与する場合に、投与初期(1〜2週)に体重換算した1日用量が1〜2mgの範囲内であった場合は2mg錠を隔日に1錠服用する。体重換算した1日用量が1mg未満の場合は本剤を服用してはならない。小児てんかん患者へ本剤投与中は、体重変化を観察し、必要に応じ適切に用量の変更を行う。なお、2〜6歳の小児てんかんの場合は維持用量の上限付近の用量が必要な場合がある。
6.本剤投与中に、本剤のグルクロン酸抱合を阻害あるいは誘導する薬剤を投与開始又は投与中止する場合には、本剤の用量調節を考慮する。
7.経口避妊薬等の本剤のグルクロン酸抱合に影響を与える薬剤を併用する際には、本剤の用量調節を考慮する。
8.肝機能障害患者では、肝機能障害の程度に応じて、本剤のクリアランスが低下するため、本剤の投与にあたっては減量を考慮する。
1.てんかん患者の次記発作に対する単剤療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、定型欠神発作。
2.他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の次記発作に対する抗てんかん薬との併用療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、Lennox−Gastaut症候群における全般発作。
3.双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
1.定型欠神発作に用いる場合:15歳以上の定型欠神発作患者における有効性及び安全性については確立していないため、15歳未満で本剤の治療を開始した患者において、15歳以降も継続して本剤を使用する場合には、患者の状態を十分観察し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
2.双極性障害に用いる場合:双極性障害の気分エピソードの急性期治療に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用(頻度不明)
1).中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形紅斑:中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形紅斑が現れることがあるので、観察を十分に行い、発熱、眼充血、顔面腫脹、口唇糜爛・口腔粘膜糜爛や陰部糜爛、皮膚水疱や粘膜水疱、紅斑、咽頭痛、そう痒、全身倦怠感等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
2).薬剤性過敏症症候群:薬剤性過敏症症候群の症状として、発疹、発熱等が初期にみられることがあり、更にリンパ節腫脹、顔面浮腫、血液障害(好酸球増多、白血球増加、異型リンパ球出現)及び臓器障害(肝機能障害等)の種々の全身症状が現れることがある(薬剤性過敏症症候群の徴候又は症状は遅発性に発現する)ので、薬剤性過敏症症候群の徴候が認められた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行う(また、ヒトヘルペスウイルス6再活性化(HHV−6再活性化)等のウイルス再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがある)、なお、過敏症の初期症状は、発疹を伴わないこともあるので、発疹以外の症状(発熱又はリンパ節腫脹等)の発現にも注意が必要である。
3).再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症:再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
4).血球貪食症候群:血球貪食症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、発熱、発疹、神経症状、脾腫、リンパ節腫脹、血球減少、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、肝機能障害、血液凝固障害等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
5).肝炎、肝機能障害、黄疸:肝炎、肝機能障害及び黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
6).無菌性髄膜炎:無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐又は意識混濁等の症状を伴う)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。ラモトリギン製剤の再投与により、更に重篤な症状を伴う無菌性髄膜炎が投与後すぐに再発したとの報告がある。
2.その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。
1).皮膚:(頻度不明)発疹、脱毛。
2).全身症状:(頻度不明)発熱、疲労、疼痛。
3).精神神経系:(頻度不明)傾眠、眩暈、頭痛、不眠、不安・焦燥・興奮、てんかん発作回数増加、易刺激性、運動障害、失調、振戦、幻覚、眼振、攻撃性、平衡障害、チック、錯乱、パーキンソン症状悪化、錐体外路症状、舞踏病アテトーゼ、悪夢。
4).消化器:(頻度不明)胃腸障害(嘔気・嘔吐、下痢等)、食欲不振。
5).肝臓:(頻度不明)肝機能検査値異常。
6).血液:(頻度不明)白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、リンパ節症、低ガンマグロブリン血症。
7).眼:(頻度不明)複視、霧視、結膜炎。
8).筋骨格系:(頻度不明)背部痛、関節痛。
9).その他:(頻度不明)ループス様反応。
本剤の投与により中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、薬剤性過敏症症候群等の全身症状を伴う重篤な皮膚障害が現れることがあり、死亡に至った例も報告されているので、次の事項に注意する。
1.用法・用量を超えて本剤を投与した場合に皮膚障害の発現率が高いことから、本剤の「用法・用量」を遵守する。
1).投与開始時は定められた用法・用量を超えない。バルプロ酸ナトリウム併用時の投与開始2週間までは隔日投与にする(成人のみ)。
2).維持用量までの漸増時も定められた用法・用量を超えない(また、増量時期を早めない)。
2.発疹発現時には早期に皮膚科専門医に相談し、適切な処置を行う。また、発疹に加え次に示す症状が現れた場合には重篤な皮膚障害に至ることがあるので、直ちに本剤の投与を中止する:発疹に加え発熱<38℃以上>、発疹に加え眼充血、発疹に加え口唇糜爛・発疹に加え口腔粘膜糜爛、発疹に加え咽頭痛、発疹に加え全身倦怠感、発疹に加えリンパ節腫脹等。
3.重篤な皮膚障害の発現率は、小児において高いことが示されているので、特に注意する。
4.患者又は家族に対して、発疹や発熱(38℃以上)、眼充血、口唇・口腔粘膜の糜爛、咽頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹等の症状が現れた場合には直ちに受診するよう指導する。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
1.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図が現れることがある]。
2.脳器質的障害又は統合失調症素因のある患者[精神症状を増悪させることがある]。
3.肝機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下し、消失半減期が延長することがある]。
4.腎不全患者[腎クリアランスが低下しているために、主代謝物(グルクロン酸抱合体)の血漿中濃度が健康成人よりも高くなることがある]。
5.他の抗てんかん薬に対しアレルギー歴又は発疹発現の既往歴がある患者[重篤ではない発疹の発現頻度が約3倍になる]。
6.Brugada症候群の患者[Brugada症候群に特徴的な心電図変化が顕在化(右脚ブロック顕在化及び右側胸部誘導<V1〜V3>coved型ST上昇が顕在化)したとの報告がある]。
7.心不全、基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)、刺激伝導障害のある患者[刺激伝導障害を起こす又は悪化させる可能性がある(In vitro試験においてヒト心筋型電位依存性Na+チャネル電流を抑制し、抗不整脈薬クラス1b群に属する薬剤と同様の特性を有することが示された)]。
(重要な基本的注意)
1.本剤の投与による発疹は斑状発疹・丘疹状発疹として現れることが多く、重篤な皮膚障害の発現率は、本剤投与開始から8週間以内に高く、また、バルプロ酸ナトリウムと併用した場合、あるいは小児において高いことが示されているので、本剤の投与にあたっては十分に注意し、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行う。
2.小児において、発疹の初期徴候は感染と誤診されやすいので、本剤投与開始8週間以内に発疹及び発熱等の症状が発現した場合には特に注意する。
3.双極性障害患者を含め、うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図の恐れがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察する。また、新たな自傷、気分変動、アカシジア/精神運動不穏等の情動不安定の発現、もしくは新たな自傷増悪、気分変動増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪等の情動不安定増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行う。
4.自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめる。
5.家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化が現れるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導する。
6.てんかん患者では、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態が現れることがあるので、投与を中止する場合には、発疹の発現等安全性の観点から直ちに投与を中止しなければならない場合を除き、少なくとも2週間以上かけて徐々に減量するなど慎重に行う。
7.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する。
ラモトリギンは主としてグルクロン酸転移酵素(主にUGT1A4)で代謝される。
併用注意:
1.バルプロ酸ナトリウム[ラモトリギン製剤の消失半減期が約2倍延長するとの報告がある(肝におけるグルクロン酸抱合が競合する)]。
2.本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤(フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤)[本剤の血中濃度が低下する(肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される)]。
3.アタザナビル/リトナビル[アタザナビル及びリトナビル両剤とラモトリギン製剤を併用した場合にラモトリギン製剤の血中濃度が低下したとの報告があり、本剤維持用量投与中にアタザナビルとリトナビルを投与開始又は投与中止する場合には、本剤の用量調節を考慮する(肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される)]。
4.カルバマゼピン[ラモトリギン製剤とカルバマゼピンの併用により、眩暈、失調、複視、霧視、嘔気等が発現したという報告があり、通常、これらの症状はカルバマゼピンの減量により回復する(機序不明)]。
5.リスペリドン[ラモトリギン製剤とリスペリドンの併用時には、それぞれの単独投与時に比較して、傾眠の報告が多いとの報告がある(機序不明)]。
6.経口避妊薬(卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤):ラモトリギン製剤とエチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤との併用において、次の報告がある。なお、他の経口避妊薬及び高用量のエストロゲンとの併用は検討されていないが、同様の影響が考えられる。
1).経口避妊薬(卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤)[エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤との併用において、ラモトリギン製剤の血中濃度が減少したとの報告があるので、本剤維持用量投与中に経口避妊薬を投与開始又は投与中止する場合には、本剤の用量調節を考慮する(肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される)]。
2).経口避妊薬(卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤)[エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤との併用において、レボノルゲストレルの血中濃度が減少し、血中卵胞ホルモン<FSH>及び黄体形成ホルモン<LH>が上昇し、エストラジオールが僅かに上昇したとの報告がある(機序不明)]。
(高齢者への投与)
高齢者では、一般に生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、次の報告を考慮し、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
1).海外での複数のプロスペクティブ調査において、妊娠第1三半期にラモトリギン製剤を単独投与された総計2,000例以上の妊婦の情報が収集されている(ラモトリギン製剤使用による大奇形発現リスクの実質的な増加は認められていないが、いくつかの妊娠調査において孤発性口蓋口唇裂奇形発現リスクの増加が報告されている)。ケースコントロール研究においては、他の奇形と比較して、ラモトリギン製剤の使用に伴う口蓋口唇裂の発現リスクが高いとの結果は得られていない。本妊娠調査のデータは、多剤併用療法時の先天異常発現のリスクに対する本剤の影響について評価するのに十分なものではない。
2).動物を用いた生殖発生毒性試験において催奇形性作用は認められなかったが、本剤はジヒドロ葉酸還元酵素に対し弱い阻害作用を有するため、妊娠中に本剤を投与した場合、胎児奇形を誘発する危険性が考えられる。また、ラットでヒト最大用量である400mg/日の0.12倍以上の投与量[体表面積換算(mg/㎡)に基づく]において母動物の一般状態悪化に関連した胎仔体重低値、着床後胚死亡率増加・胎仔死亡率増加及び死産仔数増加、胎仔骨格変異の発現頻度増加、出生仔における神経行動学的異常、出生仔回収率低下(哺育中の巣から出生仔を離し、5分以内に母動物が巣内に出生仔を連れ戻す)又は出生後の生存率低下がみられた。
3).動物(ラット)においてラモトリギン製剤の胎仔への移行が認められたとの報告がある。
2.妊娠により本剤の血中濃度や治療効果に影響がみられる可能性があるため(妊娠中にラモトリギン製剤の血中濃度低下したという報告がある)、妊婦に対し本剤を投与する場合には、患者の状態等に十分注意する。
3.授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせる[ラモトリギン製剤はヒト乳汁中へ移行し、授乳中の乳児における血中濃度は、授乳中の婦人の血中濃度の最大約50%に達したとの報告があり、また、授乳されている新生児、乳児において、無呼吸、傾眠、体重増加不良等を起こすことが報告されている]。
(小児等への投与)
てんかんについて、低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児、及び定型欠神発作以外のてんかんの単剤療法に対する有効性及び安全性は確立していない。また、双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制について、小児及び18歳未満の患者に対する有効性及び安全性は確立していない(使用経験がない)。
1.徴候、症状:過量投与時、QRS延長の発現が報告されている。用量上限の10〜20倍量により眼振、失調、意識障害、大発作痙攣、昏睡等の症状の発現が報告されている。
2.処置:過量投与時、必要に応じて患者を入院させ、輸液等の支持療法を行う(また、必要に応じ、胃洗浄を行う)。
(適用上の注意)
1.薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
2.服用時:本剤は少量の水と共にそのまま服用する、あるいは咀嚼又は少なくとも錠剤が浸る程度の少量の水に溶かして服用するよう指導する。
安定性試験:本品につき加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)を行った結果、本品は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
1.海外で実施されたラモトリギン製剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1,000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6−3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1,000人あたり2.4人多いと計算されている。
2.ラモトリギン製剤はジヒドロ葉酸還元酵素に対し弱い阻害作用を有するため、長期投与により葉酸代謝を阻害する可能性がある。なお、ヒトにおける長期投与の成績において、投与1年目まではヘモグロビン値、平均赤血球容積、血清中及び赤血球中の葉酸濃度に有意な変化は認められず、また、投与5年目まで赤血球中の葉酸濃度に有意な変化は認められなかった。
薬効分類 | トリアジン系抗てんかん薬 |
一般名 | ラモトリギン錠 |
薬価 | 37.4円 |
メーカー | 東和薬品 |
最終更新 | 2022年02月改訂(第7版) |
1.てんかん患者に用いる場合:
1).成人:
(1).単剤療法の場合(部分発作(二次性全般化発作を含む)及び強直間代発作に用いる場合):ラモトリギンとして最初の2週間は1日25mgを1日1回経口投与し、次の2週間は1日50mgを1日1回経口投与し、5週目は1日100mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大100mgずつ漸増する。維持用量は1日100〜200mgとし、1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
(2).バルプロ酸ナトリウムを併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1回25mgを隔日に経口投与し、次の2週間は1日25mgを1日1回経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として25〜50mgずつ漸増する。維持用量は1日100〜200mgとし、1日2回に分割して経口投与する。
(3).バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合*:
①.本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日50mgを1日1回経口投与し、次の2週間は1日100mgを1日2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大100mgずつ漸増する。維持用量は1日200〜400mgとし、1日2回に分割して経口投与する。
②.①以外の薬剤※※を併用する場合:単剤療法の場合に従う。
本剤は主としてグルクロン酸転移酵素で代謝される。
*:本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従う。
※:本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤。
※※:本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤:アリピプラゾール、オランザピン、ゾニサミド、ガバペンチン、シメチジン、トピラマート、プレガバリン、リチウム、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミド。
2).小児:
(1).単剤療法の場合(定型欠神発作に用いる場合):ラモトリギンとして最初の2週間は1日0.3mg/kgを1日1回又は2回に分割して経口投与し、次の2週間は1日0.6mg/kgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大0.6mg/kgずつ漸増する。維持用量は1日1〜10mg/kgとし、1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大0.6mg/kgずつ、1日用量は最大200mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
(2).バルプロ酸ナトリウムを併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日0.15mg/kgを1日1回経口投与し、次の2週間は1日0.3mg/kgを1日1回経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大0.3mg/kgずつ漸増する。維持用量は、バルプロ酸ナトリウムに加えて本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用する場合は1日1〜5mg/kgとし、本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用していない場合は1日1〜3mg/kgとし、1日2回に分割して経口投与する。なお、1日用量は最大200mgまでとする。
(3).バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合*:
①.本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日0.6mg/kgを1日2回に分割して経口投与し、次の2週間は1日1.2mg/kgを1日2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に1日量として最大1.2mg/kgずつ漸増する。維持用量は1日5〜15mg/kgとし、1日2回に分割して経口投与する。なお、1日用量は最大400mgまでとする。
②.①以外の薬剤※※を併用する場合:バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。
本剤は主としてグルクロン酸転移酵素で代謝される。
*:本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従う。
※:本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤。
※※:本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤:アリピプラゾール、オランザピン、ゾニサミド、ガバペンチン、シメチジン、トピラマート、プレガバリン、リチウム、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミド。
2.双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に用いる場合:
1).単剤療法の場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日25mgを1日1回経口投与、次の2週間は1日50mgを1日1回又は2回に分割して経口投与し、5週目は1日100mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。6週目以降は維持用量として1日200mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
2).バルプロ酸ナトリウムを併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1回25mgを隔日に経口投与、次の2週間は1日25mgを1日1回経口投与し、5週目は1日50mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。6週目以降は維持用量として1日100mgを1日1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大50mgずつ、1日用量は最大200mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
3).バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合*:
(1).本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤※を併用する場合:ラモトリギンとして最初の2週間は1日50mgを1日1回経口投与、次の2週間は1日100mgを1日2回に分割して経口投与し、5週目は1日200mgを1日2回に分割して経口投与する。
6週目は1日300mgを1日2回に分割して経口投与し、7週目以降は維持用量として1日300〜400mgを1日2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日量として最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日2回に分割して経口投与する。
(2).(1)以外の薬剤※※を併用する場合:単剤療法の場合に従う。
本剤は主としてグルクロン酸転移酵素で代謝される。
*:本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従う。
※:本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤。
※※:本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤:アリピプラゾール、オランザピン、ゾニサミド、ガバペンチン、シメチジン、トピラマート、プレガバリン、リチウム、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミド。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.発疹等の皮膚障害の発現率は、定められた用法・用量を超えて投与した場合に高いことが示されているので、併用する薬剤の組み合わせに留意して、「用法・用量」を遵守する。なお、体重換算等により調節した用量に一致する錠剤の組み合わせがない場合には、調節した用量に最も近く、かつ超えない用量になるよう錠剤を組み合わせて投与する。
2.併用する薬剤については次のとおり分類されるので留意する。なお、本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤による併用療法では、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従う。
1).本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤。
2).本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤:アリピプラゾール、オランザピン、ゾニサミド、ガバペンチン、シメチジン、トピラマート、プレガバリン、リチウム、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミド。
3.本剤による発疹等の皮膚症状のために投与を中止した場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合以外は再投与しない。再投与にあたっては、いかなる理由で投与を中止した患者においても、維持用量より低い用量から漸増する。なお、投与中止から本剤の消失半減期の5倍の期間を経過(バルプロ酸ナトリウムを併用した時は投与中止から約350時間を経過、バルプロ酸ナトリウムを併用せず本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用した時は投与中止から約65時間を経過(いずれも外国人のデータ)、バルプロ酸ナトリウムも本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤も併用しなかった時は投与中止から約170時間を経過)している場合は、初回用量から「用法・用量」に従って再開することが推奨される。
4.本剤を定型欠神発作以外の小児てんかん患者に用いる場合には、他の抗てんかん薬と併用して使用する[定型欠神発作以外の国内臨床試験において、本剤単独投与での使用経験はない]。
5.小児てんかん患者へ投与する場合に、投与初期(1〜2週)に体重換算した1日用量が1〜2mgの範囲内であった場合は2mg錠を隔日に1錠服用する。体重換算した1日用量が1mg未満の場合は本剤を服用してはならない。小児てんかん患者へ本剤投与中は、体重変化を観察し、必要に応じ適切に用量の変更を行う。なお、2〜6歳の小児てんかんの場合は維持用量の上限付近の用量が必要な場合がある。
6.本剤投与中に、本剤のグルクロン酸抱合を阻害あるいは誘導する薬剤を投与開始又は投与中止する場合には、本剤の用量調節を考慮する。
7.経口避妊薬等の本剤のグルクロン酸抱合に影響を与える薬剤を併用する際には、本剤の用量調節を考慮する。
8.肝機能障害患者では、肝機能障害の程度に応じて、本剤のクリアランスが低下するため、本剤の投与にあたっては減量を考慮する。
1.てんかん患者の次記発作に対する単剤療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、定型欠神発作。
2.他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の次記発作に対する抗てんかん薬との併用療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、Lennox−Gastaut症候群における全般発作。
3.双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
1.定型欠神発作に用いる場合:15歳以上の定型欠神発作患者における有効性及び安全性については確立していないため、15歳未満で本剤の治療を開始した患者において、15歳以降も継続して本剤を使用する場合には、患者の状態を十分観察し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
2.双極性障害に用いる場合:双極性障害の気分エピソードの急性期治療に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用(頻度不明)
1).中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形紅斑:中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形紅斑が現れることがあるので、観察を十分に行い、発熱、眼充血、顔面腫脹、口唇糜爛・口腔粘膜糜爛や陰部糜爛、皮膚水疱や粘膜水疱、紅斑、咽頭痛、そう痒、全身倦怠感等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
2).薬剤性過敏症症候群:薬剤性過敏症症候群の症状として、発疹、発熱等が初期にみられることがあり、更にリンパ節腫脹、顔面浮腫、血液障害(好酸球増多、白血球増加、異型リンパ球出現)及び臓器障害(肝機能障害等)の種々の全身症状が現れることがある(薬剤性過敏症症候群の徴候又は症状は遅発性に発現する)ので、薬剤性過敏症症候群の徴候が認められた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行う(また、ヒトヘルペスウイルス6再活性化(HHV−6再活性化)等のウイルス再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがある)、なお、過敏症の初期症状は、発疹を伴わないこともあるので、発疹以外の症状(発熱又はリンパ節腫脹等)の発現にも注意が必要である。
3).再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症:再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
4).血球貪食症候群:血球貪食症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、発熱、発疹、神経症状、脾腫、リンパ節腫脹、血球減少、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、肝機能障害、血液凝固障害等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
5).肝炎、肝機能障害、黄疸:肝炎、肝機能障害及び黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
6).無菌性髄膜炎:無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐又は意識混濁等の症状を伴う)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。ラモトリギン製剤の再投与により、更に重篤な症状を伴う無菌性髄膜炎が投与後すぐに再発したとの報告がある。
2.その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。
1).皮膚:(頻度不明)発疹、脱毛。
2).全身症状:(頻度不明)発熱、疲労、疼痛。
3).精神神経系:(頻度不明)傾眠、眩暈、頭痛、不眠、不安・焦燥・興奮、てんかん発作回数増加、易刺激性、運動障害、失調、振戦、幻覚、眼振、攻撃性、平衡障害、チック、錯乱、パーキンソン症状悪化、錐体外路症状、舞踏病アテトーゼ、悪夢。
4).消化器:(頻度不明)胃腸障害(嘔気・嘔吐、下痢等)、食欲不振。
5).肝臓:(頻度不明)肝機能検査値異常。
6).血液:(頻度不明)白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、リンパ節症、低ガンマグロブリン血症。
7).眼:(頻度不明)複視、霧視、結膜炎。
8).筋骨格系:(頻度不明)背部痛、関節痛。
9).その他:(頻度不明)ループス様反応。
本剤の投与により中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、薬剤性過敏症症候群等の全身症状を伴う重篤な皮膚障害が現れることがあり、死亡に至った例も報告されているので、次の事項に注意する。
1.用法・用量を超えて本剤を投与した場合に皮膚障害の発現率が高いことから、本剤の「用法・用量」を遵守する。
1).投与開始時は定められた用法・用量を超えない。バルプロ酸ナトリウム併用時の投与開始2週間までは隔日投与にする(成人のみ)。
2).維持用量までの漸増時も定められた用法・用量を超えない(また、増量時期を早めない)。
2.発疹発現時には早期に皮膚科専門医に相談し、適切な処置を行う。また、発疹に加え次に示す症状が現れた場合には重篤な皮膚障害に至ることがあるので、直ちに本剤の投与を中止する:発疹に加え発熱<38℃以上>、発疹に加え眼充血、発疹に加え口唇糜爛・発疹に加え口腔粘膜糜爛、発疹に加え咽頭痛、発疹に加え全身倦怠感、発疹に加えリンパ節腫脹等。
3.重篤な皮膚障害の発現率は、小児において高いことが示されているので、特に注意する。
4.患者又は家族に対して、発疹や発熱(38℃以上)、眼充血、口唇・口腔粘膜の糜爛、咽頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹等の症状が現れた場合には直ちに受診するよう指導する。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
1.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図が現れることがある]。
2.脳器質的障害又は統合失調症素因のある患者[精神症状を増悪させることがある]。
3.肝機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下し、消失半減期が延長することがある]。
4.腎不全患者[腎クリアランスが低下しているために、主代謝物(グルクロン酸抱合体)の血漿中濃度が健康成人よりも高くなることがある]。
5.他の抗てんかん薬に対しアレルギー歴又は発疹発現の既往歴がある患者[重篤ではない発疹の発現頻度が約3倍になる]。
6.Brugada症候群の患者[Brugada症候群に特徴的な心電図変化が顕在化(右脚ブロック顕在化及び右側胸部誘導<V1〜V3>coved型ST上昇が顕在化)したとの報告がある]。
7.心不全、基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)、刺激伝導障害のある患者[刺激伝導障害を起こす又は悪化させる可能性がある(In vitro試験においてヒト心筋型電位依存性Na+チャネル電流を抑制し、抗不整脈薬クラス1b群に属する薬剤と同様の特性を有することが示された)]。
(重要な基本的注意)
1.本剤の投与による発疹は斑状発疹・丘疹状発疹として現れることが多く、重篤な皮膚障害の発現率は、本剤投与開始から8週間以内に高く、また、バルプロ酸ナトリウムと併用した場合、あるいは小児において高いことが示されているので、本剤の投与にあたっては十分に注意し、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行う。
2.小児において、発疹の初期徴候は感染と誤診されやすいので、本剤投与開始8週間以内に発疹及び発熱等の症状が発現した場合には特に注意する。
3.双極性障害患者を含め、うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図の恐れがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察する。また、新たな自傷、気分変動、アカシジア/精神運動不穏等の情動不安定の発現、もしくは新たな自傷増悪、気分変動増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪等の情動不安定増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行う。
4.自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめる。
5.家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化が現れるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導する。
6.てんかん患者では、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態が現れることがあるので、投与を中止する場合には、発疹の発現等安全性の観点から直ちに投与を中止しなければならない場合を除き、少なくとも2週間以上かけて徐々に減量するなど慎重に行う。
7.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する。
ラモトリギンは主としてグルクロン酸転移酵素(主にUGT1A4)で代謝される。
併用注意:
1.バルプロ酸ナトリウム[ラモトリギン製剤の消失半減期が約2倍延長するとの報告がある(肝におけるグルクロン酸抱合が競合する)]。
2.本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤(フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤)[本剤の血中濃度が低下する(肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される)]。
3.アタザナビル/リトナビル[アタザナビル及びリトナビル両剤とラモトリギン製剤を併用した場合にラモトリギン製剤の血中濃度が低下したとの報告があり、本剤維持用量投与中にアタザナビルとリトナビルを投与開始又は投与中止する場合には、本剤の用量調節を考慮する(肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される)]。
4.カルバマゼピン[ラモトリギン製剤とカルバマゼピンの併用により、眩暈、失調、複視、霧視、嘔気等が発現したという報告があり、通常、これらの症状はカルバマゼピンの減量により回復する(機序不明)]。
5.リスペリドン[ラモトリギン製剤とリスペリドンの併用時には、それぞれの単独投与時に比較して、傾眠の報告が多いとの報告がある(機序不明)]。
6.経口避妊薬(卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤):ラモトリギン製剤とエチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤との併用において、次の報告がある。なお、他の経口避妊薬及び高用量のエストロゲンとの併用は検討されていないが、同様の影響が考えられる。
1).経口避妊薬(卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤)[エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤との併用において、ラモトリギン製剤の血中濃度が減少したとの報告があるので、本剤維持用量投与中に経口避妊薬を投与開始又は投与中止する場合には、本剤の用量調節を考慮する(肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される)]。
2).経口避妊薬(卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤)[エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤との併用において、レボノルゲストレルの血中濃度が減少し、血中卵胞ホルモン<FSH>及び黄体形成ホルモン<LH>が上昇し、エストラジオールが僅かに上昇したとの報告がある(機序不明)]。
(高齢者への投与)
高齢者では、一般に生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、次の報告を考慮し、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
1).海外での複数のプロスペクティブ調査において、妊娠第1三半期にラモトリギン製剤を単独投与された総計2,000例以上の妊婦の情報が収集されている(ラモトリギン製剤使用による大奇形発現リスクの実質的な増加は認められていないが、いくつかの妊娠調査において孤発性口蓋口唇裂奇形発現リスクの増加が報告されている)。ケースコントロール研究においては、他の奇形と比較して、ラモトリギン製剤の使用に伴う口蓋口唇裂の発現リスクが高いとの結果は得られていない。本妊娠調査のデータは、多剤併用療法時の先天異常発現のリスクに対する本剤の影響について評価するのに十分なものではない。
2).動物を用いた生殖発生毒性試験において催奇形性作用は認められなかったが、本剤はジヒドロ葉酸還元酵素に対し弱い阻害作用を有するため、妊娠中に本剤を投与した場合、胎児奇形を誘発する危険性が考えられる。また、ラットでヒト最大用量である400mg/日の0.12倍以上の投与量[体表面積換算(mg/㎡)に基づく]において母動物の一般状態悪化に関連した胎仔体重低値、着床後胚死亡率増加・胎仔死亡率増加及び死産仔数増加、胎仔骨格変異の発現頻度増加、出生仔における神経行動学的異常、出生仔回収率低下(哺育中の巣から出生仔を離し、5分以内に母動物が巣内に出生仔を連れ戻す)又は出生後の生存率低下がみられた。
3).動物(ラット)においてラモトリギン製剤の胎仔への移行が認められたとの報告がある。
2.妊娠により本剤の血中濃度や治療効果に影響がみられる可能性があるため(妊娠中にラモトリギン製剤の血中濃度低下したという報告がある)、妊婦に対し本剤を投与する場合には、患者の状態等に十分注意する。
3.授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせる[ラモトリギン製剤はヒト乳汁中へ移行し、授乳中の乳児における血中濃度は、授乳中の婦人の血中濃度の最大約50%に達したとの報告があり、また、授乳されている新生児、乳児において、無呼吸、傾眠、体重増加不良等を起こすことが報告されている]。
(小児等への投与)
てんかんについて、低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児、及び定型欠神発作以外のてんかんの単剤療法に対する有効性及び安全性は確立していない。また、双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制について、小児及び18歳未満の患者に対する有効性及び安全性は確立していない(使用経験がない)。
1.徴候、症状:過量投与時、QRS延長の発現が報告されている。用量上限の10〜20倍量により眼振、失調、意識障害、大発作痙攣、昏睡等の症状の発現が報告されている。
2.処置:過量投与時、必要に応じて患者を入院させ、輸液等の支持療法を行う(また、必要に応じ、胃洗浄を行う)。
(適用上の注意)
1.薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
2.服用時:本剤は少量の水と共にそのまま服用する、あるいは咀嚼又は少なくとも錠剤が浸る程度の少量の水に溶かして服用するよう指導する。
安定性試験:本品につき加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)を行った結果、本品は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
1.海外で実施されたラモトリギン製剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1,000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6−3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1,000人あたり2.4人多いと計算されている。
2.ラモトリギン製剤はジヒドロ葉酸還元酵素に対し弱い阻害作用を有するため、長期投与により葉酸代謝を阻害する可能性がある。なお、ヒトにおける長期投与の成績において、投与1年目まではヘモグロビン値、平均赤血球容積、血清中及び赤血球中の葉酸濃度に有意な変化は認められず、また、投与5年目まで赤血球中の葉酸濃度に有意な変化は認められなかった。
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