薬剤情報
後発品
薬効分類血小板凝集抑制薬
一般名アスピリン100mg腸溶錠
薬価5.7
メーカー日本ジェネリック
最終更新2022年05月改訂(第8版)

用法・用量

1.狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)における血栓・塞栓形成の抑制、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制に使用する場合:アスピリンとして100mgを1日1回経口投与する。なお、症状により1回300mgまで増量できる。

2.川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)に使用する場合:急性期有熱期間は、アスピリンとして1日体重1kgあたり30〜50mgを3回に分けて経口投与する。解熱後の回復期から慢性期は、アスピリンとして1日体重1kgあたり3〜5mgを1回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。

用法・用量(補足)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1.急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療において、抗血小板作用の発現を急ぐ場合には、初回投与時には本剤をすりつぶしたり、噛み砕いて服用する。

2.心筋梗塞患者及び経皮経管冠動脈形成術<PTCA>施行患者の初期治療においては、常用量の数倍を投与することが望ましい。

3.原則として川崎病の診断がつき次第、投与を開始することが望ましい。

4.川崎病では発症後数カ月間、血小板凝集能が亢進しているので、川崎病の回復期において、本剤を発症後2〜3カ月間投与し、その後断層心エコー図等の冠動脈検査で冠動脈障害が認められない場合には、本剤の投与を中止する(冠動脈瘤を形成した症例では、冠動脈瘤の退縮が確認される時期まで投与を継続することが望ましい)。

5.川崎病の治療において、低用量では十分な血小板機能の抑制が認められない場合もあるため、適宜、血小板凝集能の測定等を考慮する。

効能・効果

1.次記疾患における血栓・塞栓形成の抑制:狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)。

2.冠動脈バイパス術<CABG>施行後あるいは経皮経管冠動脈形成術<PTCA>施行後における血栓・塞栓形成の抑制。

3.川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.重大な副作用(頻度不明)

1).ショック、アナフィラキシー:ショックやアナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

2).出血:

(1).脳出血等の頭蓋内出血:脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

(2).肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血等:肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血等が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

3).中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎:中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

4).再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少:再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

5).喘息発作:喘息発作を誘発することがある。

6).肝機能障害、黄疸:著しいAST上昇(著しいGOT上昇)、著しいALT上昇(著しいGPT上昇)、著しいγ−GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。

7).消化性潰瘍、小腸・大腸潰瘍:下血(メレナ)を伴う胃潰瘍・十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍が現れることがあり、また、消化管出血、腸管穿孔、小腸狭窄・小腸閉塞・大腸狭窄・大腸閉塞を伴う小腸潰瘍・大腸潰瘍が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用(頻度不明)

1).消化器:胃腸障害、嘔吐、腹痛、胸やけ、便秘、下痢、食道炎、口唇腫脹、吐血、吐き気、悪心、食欲不振、胃部不快感。

2).過敏症:蕁麻疹、発疹、浮腫[症状が現れた場合には投与を中止する]。

3).血液:貧血、血小板機能低下(出血時間延長)[異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。

4).皮膚:皮膚そう痒、皮疹、膨疹、発汗。

5).精神神経系:眩暈、興奮、頭痛[症状が現れた場合には減量又は投与を中止する]。

6).肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)。

7).腎臓:腎障害。

8).循環器:血圧低下、血管炎、心窩部痛。

9).呼吸器:気管支炎、鼻炎。

10).感覚器:角膜炎、結膜炎、耳鳴、難聴。

11).その他:過呼吸、代謝性アシドーシス、倦怠感、低血糖[減量又は投与を中止する(血中濃度が著しく上昇していることが考えられる)]。

禁忌

1.本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン生合成抑制作用により、胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがある]。

3.出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こることがあるため、出血傾向を助長する恐れがある]。

4.アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重篤なアスピリン喘息発作を誘発させることがある]。

5.出産予定日12週以内の妊婦。

6.低出生体重児、新生児又は乳児。

慎重投与

1.消化性潰瘍の既往歴のある患者[消化性潰瘍を再発させることがある]。

2.血液異常又はその既往歴のある患者[血液の異常を悪化又は再発させる恐れがある]。

3.出血傾向素因のある患者[出血を増強させる恐れがある]。

4.肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させる恐れがある]。

5.腎障害又はその既往歴のある患者[腎障害を悪化又は再発させる恐れがある]。

6.気管支喘息のある患者[気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれており、それらの患者では重篤な喘息発作を誘発させることがある]。

7.アルコール常飲している患者[アルコールと同時に服用すると、消化管出血を誘発又は消化管出血増強することがある]。

8.高齢者。

9.妊婦<出産予定日12週以内の妊婦は禁忌>又は妊娠している可能性のある女性。

10.小児。

11.手術前1週間以内、心臓カテーテル検査前1週間以内又は抜歯前1週間以内の患者[手術、心臓カテーテル検査又は抜歯時の失血量を増加させる恐れがある]。

12.非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者[ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあるので、本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与する]。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤を15歳未満の水痘、15歳未満のインフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する[ライ症候群:小児において極めてまれに水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST(GOT)・ALT(GPT)・LDH・CK(CPK)の急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である]。

2.脳梗塞患者への投与にあたっては、他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに、高血圧が持続する脳梗塞患者への投与は慎重に行い、投与中は十分な血圧のコントロールを行う。

3.川崎病の急性期に対して投与する場合には、適宜、肝機能検査を行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずる。

4.川崎病患者(川崎病による心血管後遺症を含む)に対して長期投与する場合には、定期的に臨床検査(尿検査、血液検査及び肝機能検査等)を行い、また、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずる。

相互作用

併用注意:

1.抗凝固剤:

1).クマリン系抗凝固剤(ワルファリンカリウム)[クマリン系抗凝固剤の作用を増強し出血時間の延長・消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど慎重に投与する(本剤は血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させ、また、本剤は血小板凝集抑制作用、消化管刺激による出血作用を有する)]。

2).血液凝固阻止剤(ヘパリン製剤、ダナパロイドナトリウム、第10a因子阻害剤(リバーロキサバン等)、抗トロンビン剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、トロンボモデュリン アルファ等)[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大する恐れがあるので、観察を十分に行い、注意する(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強される恐れがある)]。

2.血小板凝集抑制作用を有する薬剤(チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール、クロピドグレル硫酸塩、トロンボキサン合成酵素阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤、プロスタグランジンE1誘導体製剤及びプロスタグランジンI2誘導体製剤(ベラプロストナトリウム等)、サルポグレラート塩酸塩、イコサペント酸エチル等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t−PA製剤等)[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大する恐れがあるので、観察を十分に行い、注意する(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強される恐れがある)]。

3.糖尿病用剤(ヒトインスリン、トルブタミド等)[糖尿病用剤の作用を増強し低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与する(本剤(高用量投与時)は血漿蛋白に結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させ、また、本剤は大量で血糖降下作用を有する)]。

4.メトトレキサート[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化器障害等>が増強されることがある(本剤(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したメトトレキサートと置換し、遊離させ、また、本剤はメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている)]。

5.バルプロ酸ナトリウム[バルプロ酸ナトリウムの作用を増強し振戦等を起こすことがある(本剤(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したバルプロ酸ナトリウムと置換し、遊離させる)]。

6.フェニトイン[総フェニトイン濃度を低下させるが非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察する(本剤(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したフェニトインと置換し、遊離させる)]。

7.副腎皮質ホルモン剤(ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等)[本剤(高用量投与時)との併用時に副腎皮質ホルモン剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されており、また、消化管出血を増強させることが考えられる(機序は不明)]。

8.リチウム製剤[リチウム中毒を起こすことが報告されている(本剤(高用量投与時)は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させることが考えられる)]。

9.チアジド系利尿剤(ヒドロクロロチアジド等)、ループ利尿剤(フロセミド)[これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている(本剤は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制して、水、塩類の体内貯留が生じ、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられる)]。

10.β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、ピンドロール等)、ACE阻害剤(エナラプリルマレイン酸塩等)[これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている(本剤は血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの生合成、遊離を抑制し、血圧を上昇させることが考えられる)]。

11.ニトログリセリン製剤[ニトログリセリンの作用を減弱させることがある(本剤はプロスタグランジンの生合成を抑制することにより、冠動脈を収縮させ、ニトログリセリンの作用を減弱させることが考えられる)]。

12.尿酸排泄促進剤(プロベネシド、ベンズブロマロン)[これらの薬剤の作用を減弱させることがある(本剤(高用量投与時)はこれらの薬剤の尿酸排泄に拮抗する)]。

13.非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等)[出血及び腎機能の低下を起こすことがある(機序は不明)]。

14.イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、スルピリン[本剤の血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある(血小板のシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)と本剤の結合を阻害するためと考えられる)]。

15.炭酸脱水酵素阻害剤(アセタゾラミド等)[アセタゾラミドの副作用を増強し嗜眠・錯乱等の中枢神経系症状・代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている(本剤は血漿蛋白に結合したアセタゾラミドと置換し、遊離させる)]。

16.ドネペジル塩酸塩[消化性潰瘍を起こすことがある(コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される)]。

17.タクロリムス水和物、シクロスポリン[腎障害が発現することがある(腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる)]。

18.ザフィルルカスト[ザフィルルカストの血漿中濃度が上昇することがある(機序不明)]。

19.プロスタグランジンD2受容体拮抗剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤(ラマトロバン、セラトロダスト)[ヒト血漿蛋白結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、本剤によりこれらの薬剤の非結合型分率が上昇することがある(これら薬剤が本剤と血漿蛋白結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる)]。

20.選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン等)[皮膚の異常出血<斑状出血・紫斑等>、出血症状<胃腸出血等>が報告されている(SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる)]。

21.アルコール<経口>[消化管出血が増強される恐れがある(アルコールによる胃粘膜障害と本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

一般に高齢者では腎機能、肝機能などの生理機能が低下しているため、副作用が現れやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

1.出産予定日12週以内の妊婦には投与しない[妊娠期間延長、動脈管早期閉鎖、子宮収縮抑制、分娩時出血増加につながる恐れがある。海外での大規模な疫学調査では、妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが、長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後出血、分娩時間延長、難産、死産、新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなる恐れを否定できないとの報告がある。また、ヒトで妊娠末期に投与された患者及びその新生児に出血異常が現れたとの報告があり、更に、妊娠末期のラットに投与した実験で、弱い胎仔動脈管収縮が報告されている]。

2.妊婦<出産予定日12週以内の妊婦は除く>又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。[動物実験(ラット)で催奇形性作用が現れたとの報告があり、妊娠期間延長、過期産につながる恐れがある]。

3.授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせる[母乳中へ移行することが報告されている]。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

1.低出生体重児、新生児又は乳児では、錠剤である本剤の嚥下が不能であることから、投与しない。

2.幼児には本剤の嚥下が可能なことを確認して、慎重に投与する。

3.小児等では、副作用が現れやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

川崎病の治療において肝機能障害の報告があるので、適宜、肝機能検査を行い、注意する。

4.15歳未満の水痘、15歳未満のインフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する。

5.本剤投与中の15歳未満の川崎病の患者が水痘、インフルエンザを発症した場合には、投与を中断することを原則とするが、やむを得ず投与を継続する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する。

過量投与

1.過量投与時の徴候、症状:耳鳴、眩暈、頭痛、嘔吐、難聴、軽度の頻呼吸等の初期症状から血中濃度の上昇に伴い、重度過呼吸、呼吸性アルカローシス、代謝性アシドーシス、痙攣、昏睡、呼吸不全等が認められる。

2.過量投与時の処置:催吐、胃洗浄、活性炭投与(但し、催吐及び胃洗浄後)、輸液注入によるアシドーシス是正、アルカリ尿促進(但し、腎機能が正常の場合)、血液透析、腹膜透析を必要に応じて行う。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

1.服用時:

1).本剤は腸溶錠であるので、急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療に用いる場合以外は、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのまま噛まずに服用させる。

2).本剤は空腹時の服用を避けることが望ましい。

2.薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

1.保存方法:吸湿性が強いので、アルミピロー開封後防湿。

2.安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、アスピリン腸溶錠100mg「JG」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

その他の注意

1.in vitroの試験において、アスピリン等のグルクロン酸抱合により代謝される薬剤が抗ウイルス剤(ジドブジン)のグルクロン酸抱合を阻害したとの報告がある。

2.非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的不妊が認められたとの報告がある。

保管上の注意

気密容器。

アスピリン腸溶錠100mg「JG」
アスピリン腸溶錠100mg「JG」

アスピリン腸溶錠100mg「JG」

血小板凝集抑制薬
2022年05月改訂(第8版)
薬剤情報
後発品
薬効分類血小板凝集抑制薬
一般名アスピリン100mg腸溶錠
薬価5.7
メーカー日本ジェネリック
最終更新2022年05月改訂(第8版)

用法・用量

1.狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)における血栓・塞栓形成の抑制、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制に使用する場合:アスピリンとして100mgを1日1回経口投与する。なお、症状により1回300mgまで増量できる。

2.川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)に使用する場合:急性期有熱期間は、アスピリンとして1日体重1kgあたり30〜50mgを3回に分けて経口投与する。解熱後の回復期から慢性期は、アスピリンとして1日体重1kgあたり3〜5mgを1回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。

用法・用量(補足)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1.急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療において、抗血小板作用の発現を急ぐ場合には、初回投与時には本剤をすりつぶしたり、噛み砕いて服用する。

2.心筋梗塞患者及び経皮経管冠動脈形成術<PTCA>施行患者の初期治療においては、常用量の数倍を投与することが望ましい。

3.原則として川崎病の診断がつき次第、投与を開始することが望ましい。

4.川崎病では発症後数カ月間、血小板凝集能が亢進しているので、川崎病の回復期において、本剤を発症後2〜3カ月間投与し、その後断層心エコー図等の冠動脈検査で冠動脈障害が認められない場合には、本剤の投与を中止する(冠動脈瘤を形成した症例では、冠動脈瘤の退縮が確認される時期まで投与を継続することが望ましい)。

5.川崎病の治療において、低用量では十分な血小板機能の抑制が認められない場合もあるため、適宜、血小板凝集能の測定等を考慮する。

効能・効果

1.次記疾患における血栓・塞栓形成の抑制:狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)。

2.冠動脈バイパス術<CABG>施行後あるいは経皮経管冠動脈形成術<PTCA>施行後における血栓・塞栓形成の抑制。

3.川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.重大な副作用(頻度不明)

1).ショック、アナフィラキシー:ショックやアナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

2).出血:

(1).脳出血等の頭蓋内出血:脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

(2).肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血等:肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血等が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

3).中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎:中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

4).再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少:再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

5).喘息発作:喘息発作を誘発することがある。

6).肝機能障害、黄疸:著しいAST上昇(著しいGOT上昇)、著しいALT上昇(著しいGPT上昇)、著しいγ−GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。

7).消化性潰瘍、小腸・大腸潰瘍:下血(メレナ)を伴う胃潰瘍・十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍が現れることがあり、また、消化管出血、腸管穿孔、小腸狭窄・小腸閉塞・大腸狭窄・大腸閉塞を伴う小腸潰瘍・大腸潰瘍が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用(頻度不明)

1).消化器:胃腸障害、嘔吐、腹痛、胸やけ、便秘、下痢、食道炎、口唇腫脹、吐血、吐き気、悪心、食欲不振、胃部不快感。

2).過敏症:蕁麻疹、発疹、浮腫[症状が現れた場合には投与を中止する]。

3).血液:貧血、血小板機能低下(出血時間延長)[異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。

4).皮膚:皮膚そう痒、皮疹、膨疹、発汗。

5).精神神経系:眩暈、興奮、頭痛[症状が現れた場合には減量又は投与を中止する]。

6).肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)。

7).腎臓:腎障害。

8).循環器:血圧低下、血管炎、心窩部痛。

9).呼吸器:気管支炎、鼻炎。

10).感覚器:角膜炎、結膜炎、耳鳴、難聴。

11).その他:過呼吸、代謝性アシドーシス、倦怠感、低血糖[減量又は投与を中止する(血中濃度が著しく上昇していることが考えられる)]。

禁忌

1.本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン生合成抑制作用により、胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがある]。

3.出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こることがあるため、出血傾向を助長する恐れがある]。

4.アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重篤なアスピリン喘息発作を誘発させることがある]。

5.出産予定日12週以内の妊婦。

6.低出生体重児、新生児又は乳児。

慎重投与

1.消化性潰瘍の既往歴のある患者[消化性潰瘍を再発させることがある]。

2.血液異常又はその既往歴のある患者[血液の異常を悪化又は再発させる恐れがある]。

3.出血傾向素因のある患者[出血を増強させる恐れがある]。

4.肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させる恐れがある]。

5.腎障害又はその既往歴のある患者[腎障害を悪化又は再発させる恐れがある]。

6.気管支喘息のある患者[気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれており、それらの患者では重篤な喘息発作を誘発させることがある]。

7.アルコール常飲している患者[アルコールと同時に服用すると、消化管出血を誘発又は消化管出血増強することがある]。

8.高齢者。

9.妊婦<出産予定日12週以内の妊婦は禁忌>又は妊娠している可能性のある女性。

10.小児。

11.手術前1週間以内、心臓カテーテル検査前1週間以内又は抜歯前1週間以内の患者[手術、心臓カテーテル検査又は抜歯時の失血量を増加させる恐れがある]。

12.非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者[ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあるので、本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与する]。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤を15歳未満の水痘、15歳未満のインフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する[ライ症候群:小児において極めてまれに水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST(GOT)・ALT(GPT)・LDH・CK(CPK)の急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である]。

2.脳梗塞患者への投与にあたっては、他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに、高血圧が持続する脳梗塞患者への投与は慎重に行い、投与中は十分な血圧のコントロールを行う。

3.川崎病の急性期に対して投与する場合には、適宜、肝機能検査を行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずる。

4.川崎病患者(川崎病による心血管後遺症を含む)に対して長期投与する場合には、定期的に臨床検査(尿検査、血液検査及び肝機能検査等)を行い、また、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずる。

相互作用

併用注意:

1.抗凝固剤:

1).クマリン系抗凝固剤(ワルファリンカリウム)[クマリン系抗凝固剤の作用を増強し出血時間の延長・消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど慎重に投与する(本剤は血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させ、また、本剤は血小板凝集抑制作用、消化管刺激による出血作用を有する)]。

2).血液凝固阻止剤(ヘパリン製剤、ダナパロイドナトリウム、第10a因子阻害剤(リバーロキサバン等)、抗トロンビン剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、トロンボモデュリン アルファ等)[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大する恐れがあるので、観察を十分に行い、注意する(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強される恐れがある)]。

2.血小板凝集抑制作用を有する薬剤(チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール、クロピドグレル硫酸塩、トロンボキサン合成酵素阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤、プロスタグランジンE1誘導体製剤及びプロスタグランジンI2誘導体製剤(ベラプロストナトリウム等)、サルポグレラート塩酸塩、イコサペント酸エチル等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t−PA製剤等)[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大する恐れがあるので、観察を十分に行い、注意する(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強される恐れがある)]。

3.糖尿病用剤(ヒトインスリン、トルブタミド等)[糖尿病用剤の作用を増強し低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与する(本剤(高用量投与時)は血漿蛋白に結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させ、また、本剤は大量で血糖降下作用を有する)]。

4.メトトレキサート[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化器障害等>が増強されることがある(本剤(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したメトトレキサートと置換し、遊離させ、また、本剤はメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている)]。

5.バルプロ酸ナトリウム[バルプロ酸ナトリウムの作用を増強し振戦等を起こすことがある(本剤(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したバルプロ酸ナトリウムと置換し、遊離させる)]。

6.フェニトイン[総フェニトイン濃度を低下させるが非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察する(本剤(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したフェニトインと置換し、遊離させる)]。

7.副腎皮質ホルモン剤(ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等)[本剤(高用量投与時)との併用時に副腎皮質ホルモン剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されており、また、消化管出血を増強させることが考えられる(機序は不明)]。

8.リチウム製剤[リチウム中毒を起こすことが報告されている(本剤(高用量投与時)は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させることが考えられる)]。

9.チアジド系利尿剤(ヒドロクロロチアジド等)、ループ利尿剤(フロセミド)[これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている(本剤は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制して、水、塩類の体内貯留が生じ、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられる)]。

10.β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、ピンドロール等)、ACE阻害剤(エナラプリルマレイン酸塩等)[これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている(本剤は血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの生合成、遊離を抑制し、血圧を上昇させることが考えられる)]。

11.ニトログリセリン製剤[ニトログリセリンの作用を減弱させることがある(本剤はプロスタグランジンの生合成を抑制することにより、冠動脈を収縮させ、ニトログリセリンの作用を減弱させることが考えられる)]。

12.尿酸排泄促進剤(プロベネシド、ベンズブロマロン)[これらの薬剤の作用を減弱させることがある(本剤(高用量投与時)はこれらの薬剤の尿酸排泄に拮抗する)]。

13.非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等)[出血及び腎機能の低下を起こすことがある(機序は不明)]。

14.イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、スルピリン[本剤の血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある(血小板のシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)と本剤の結合を阻害するためと考えられる)]。

15.炭酸脱水酵素阻害剤(アセタゾラミド等)[アセタゾラミドの副作用を増強し嗜眠・錯乱等の中枢神経系症状・代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている(本剤は血漿蛋白に結合したアセタゾラミドと置換し、遊離させる)]。

16.ドネペジル塩酸塩[消化性潰瘍を起こすことがある(コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される)]。

17.タクロリムス水和物、シクロスポリン[腎障害が発現することがある(腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる)]。

18.ザフィルルカスト[ザフィルルカストの血漿中濃度が上昇することがある(機序不明)]。

19.プロスタグランジンD2受容体拮抗剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤(ラマトロバン、セラトロダスト)[ヒト血漿蛋白結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、本剤によりこれらの薬剤の非結合型分率が上昇することがある(これら薬剤が本剤と血漿蛋白結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる)]。

20.選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン等)[皮膚の異常出血<斑状出血・紫斑等>、出血症状<胃腸出血等>が報告されている(SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる)]。

21.アルコール<経口>[消化管出血が増強される恐れがある(アルコールによる胃粘膜障害と本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

一般に高齢者では腎機能、肝機能などの生理機能が低下しているため、副作用が現れやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

1.出産予定日12週以内の妊婦には投与しない[妊娠期間延長、動脈管早期閉鎖、子宮収縮抑制、分娩時出血増加につながる恐れがある。海外での大規模な疫学調査では、妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが、長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後出血、分娩時間延長、難産、死産、新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなる恐れを否定できないとの報告がある。また、ヒトで妊娠末期に投与された患者及びその新生児に出血異常が現れたとの報告があり、更に、妊娠末期のラットに投与した実験で、弱い胎仔動脈管収縮が報告されている]。

2.妊婦<出産予定日12週以内の妊婦は除く>又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。[動物実験(ラット)で催奇形性作用が現れたとの報告があり、妊娠期間延長、過期産につながる恐れがある]。

3.授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせる[母乳中へ移行することが報告されている]。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

1.低出生体重児、新生児又は乳児では、錠剤である本剤の嚥下が不能であることから、投与しない。

2.幼児には本剤の嚥下が可能なことを確認して、慎重に投与する。

3.小児等では、副作用が現れやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

川崎病の治療において肝機能障害の報告があるので、適宜、肝機能検査を行い、注意する。

4.15歳未満の水痘、15歳未満のインフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する。

5.本剤投与中の15歳未満の川崎病の患者が水痘、インフルエンザを発症した場合には、投与を中断することを原則とするが、やむを得ず投与を継続する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する。

過量投与

1.過量投与時の徴候、症状:耳鳴、眩暈、頭痛、嘔吐、難聴、軽度の頻呼吸等の初期症状から血中濃度の上昇に伴い、重度過呼吸、呼吸性アルカローシス、代謝性アシドーシス、痙攣、昏睡、呼吸不全等が認められる。

2.過量投与時の処置:催吐、胃洗浄、活性炭投与(但し、催吐及び胃洗浄後)、輸液注入によるアシドーシス是正、アルカリ尿促進(但し、腎機能が正常の場合)、血液透析、腹膜透析を必要に応じて行う。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

1.服用時:

1).本剤は腸溶錠であるので、急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療に用いる場合以外は、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのまま噛まずに服用させる。

2).本剤は空腹時の服用を避けることが望ましい。

2.薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

1.保存方法:吸湿性が強いので、アルミピロー開封後防湿。

2.安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、アスピリン腸溶錠100mg「JG」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

その他の注意

1.in vitroの試験において、アスピリン等のグルクロン酸抱合により代謝される薬剤が抗ウイルス剤(ジドブジン)のグルクロン酸抱合を阻害したとの報告がある。

2.非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的不妊が認められたとの報告がある。

保管上の注意

気密容器。

薬剤情報

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