薬剤情報
後発品
薬効分類三環系抗うつ薬
一般名ノルトリプチリン塩酸塩錠
薬価10.1
メーカー住友ファーマ
最終更新2022年04月改訂(第1版)

用法・用量

はじめ1回量としてノルトリプチリン10〜25mg相当量を1日3回経口投与する。又はその1日量を2回に分けて経口投与する。その後、症状および副作用を観察しつつ、必要ある場合は漸次増量する。通常最大量は1日量としてノルトリプチリン150mg相当量以内であり、これを2〜3回に分けて経口投与する。

効能・効果

精神科領域におけるうつ病およびうつ状態(内因性うつ病、反応性うつ病、退行期うつ病、神経症性うつ状態、脳器質性精神障害のうつ状態)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.1−8.4、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. てんかん発作(頻度不明)〔9.1.5参照〕。

11.1.2. 無顆粒球症(頻度不明):異常(前駆症状として、発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある)が認められた場合には、投与を中止すること〔8.7参照〕。

11.1.3. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満又は腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので、注意すること。

11.1.4. 悪性症候群(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱が認められる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。

11.1.5. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙れん、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が認められる場合は投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。

11.1.6. 心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)〔8.8参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(1%以上※)血圧降下、(1%未満※)血圧上昇、頻脈、(頻度不明)動悸、心電図異常(QT延長等)。

2). 精神神経系:(1%以上※)眠気、不眠、振戦等のパーキンソン症状、焦燥、(1%未満※)不安、耳鳴、知覚異常、(頻度不明)幻覚、せん妄、精神錯乱、運動失調。

3). 抗コリン作用:(1%以上※)口渇(14.8%)、便秘、(1%未満※)排尿困難、視調節障害、鼻閉、(頻度不明)眼圧上昇。

4). 過敏症:(1%未満※)発疹、そう痒感。

5). *血液:(頻度不明)白血球減少。

6). 肝臓:(1%未満※)黄疸、(頻度不明)AST上昇・ALT上昇等の肝障害。

7). 消化器:(1%以上※)食欲不振、(1%未満※)悪心、嘔吐、味覚異常、下痢。

8). 長期投与:(1%未満※)口周部不随意運動等の不随意運動[投与中止後も持続することがある]。

9). その他:(1%以上※)眩暈、頭痛、倦怠感、(1%未満※)ふらつき、発汗。

*)〔8.7参照〕。

※)発現頻度は市販後の調査を含む。

禁忌

2.1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。

2.2. 本剤の成分及び三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者。

2.3. 心筋梗塞の回復初期の患者[循環器系への影響を強く受けるおそれがある]。

2.4. 尿閉(前立腺疾患等)のある患者[本剤の抗コリン作用により、尿閉が助長されるおそれがある]。

2.5. モノアミン酸化酵素阻害剤投与中(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)又はモノアミン酸化酵素阻害剤投与中止後2週間以内の患者〔10.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.4、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。

8.2. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1、8.3、8.4、9.1.6−9.1.9、15.1.1参照〕。

8.3. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1、8.2、8.4、9.1.6−9.1.9、15.1.1参照〕。

8.4. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1−8.3、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。

8.5. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

8.6. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

8.7. 無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと〔11.1.2、11.2参照〕。

8.8. 心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)が報告されているので、定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.6参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 排尿困難のある患者:排尿困難が悪化するおそれがある。

9.1.2. 眼圧上昇のある患者:眼圧上昇が悪化するおそれがある。

9.1.3. 開放隅角緑内障の患者:抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

9.1.4. 心不全・心筋梗塞<回復初期を除く>・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患<心筋梗塞の回復初期を除く>のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者:循環器系に影響を及ぼすことがある。

9.1.5. てんかん等の痙れん性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙れんを起こすことがある〔11.1.1参照〕。

9.1.6. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1−8.4、9.1.9、15.1.1参照〕。

9.1.7. 脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.2、8.3、9.1.8参照〕。

9.1.8. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.2、8.3、9.1.7参照〕。

9.1.9. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1−8.4、9.1.6、15.1.1参照〕。

相互作用

本剤は、主として薬物代謝酵素CYP2D6によって代謝される〔16.4.4参照〕。

10.1. 併用禁忌:

モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.5参照〕[発汗、不穏、全身痙れん、異常高熱、昏睡等があらわれることがあるので、モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切り替えるときには、2〜3日間の間隔をおくことが望ましい(詳細は不明であるが、相加・相乗作用によると考えられる)]。

10.2. 併用注意:

1). 抗コリン作用を有する薬剤(フェノチアジン系薬剤、ブチロフェノン系薬剤等)[口渇、便秘、排尿困難、眼圧上昇等があらわれることがある(併用により抗コリン作用が増強される)]。

2). バルプロ酸ナトリウム[本剤の作用が増強することがある(併用により本剤の血中濃度が上昇する)]。

3). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[眠気、脱力感、倦怠感、ふらつきがあらわれることがある(併用により中枢神経抑制作用が増強される)]。

4). アルコール[本剤の中枢神経抑制作用が増強することがある(併用により中枢神経抑制作用が増強される)]。

5). アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン等)[過度の交感神経興奮、重篤な高血圧、異常高熱等があらわれることがある(三環系抗うつ剤は交感神経終末へのノルアドレナリンの取り込みを抑制し、作用が増強される)]。

6). リファンピシン[本剤の作用が減弱することがある(リファンピシンの肝CYP誘導作用により、本剤の代謝が促進する)]。

7). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[本剤の作用が減弱することがある(機序は不明である)]。

8). キニジン[本剤の血中濃度が上昇することがある(キニジンの肝CYP2D6阻害作用により、本剤の代謝が抑制される)]。

9). クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[クマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長することがある(本剤がワルファリンの肝代謝を抑制するとの報告がある)]。

10). 血糖降下剤(インスリン、経口血糖降下剤)[これらの薬剤の血糖降下作用が増強することがある(機序は不明であるが、本剤がインスリン感受性を増強するなどの報告がある)]。

高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼圧上昇等があらわれやすい)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(三環系抗うつ剤(イミプラミン)では、動物実験(ウサギ)で催奇形性(外形異常)が報告されている)。

(授乳婦)

授乳中の女性に投与する場合には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(授乳中の女性に*125mg経口投与した症例で母乳中への移行が認められている(外国人データ))。

*)本剤の承認された用法及び用量は「通常最大量は1日量としてノルトリプチリン150mg相当量以内であり、これを2〜3回に分けて経口投与」である。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 症状

過量投与時、昏睡、錯乱、不安、激越、異常高熱、筋強剛、反射亢進、痙れん、不整脈、伝導障害を示す心電図異常、うっ血性心不全、ショック、嘔吐等があらわれる。

13.2. 処置

過量投与時、特異的な解毒剤は知られていない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1−8.4、9.1.6、9.1.9参照〕。

15.1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

ノリトレン錠25mg
後発品はありません
ノリトレン錠25mg
ノリトレン錠25mg

ノリトレン錠25mg

三環系抗うつ薬
2022年04月改訂(第1版)
薬剤情報
後発品
薬効分類三環系抗うつ薬
一般名ノルトリプチリン塩酸塩錠
薬価10.1
メーカー住友ファーマ
最終更新2022年04月改訂(第1版)

用法・用量

はじめ1回量としてノルトリプチリン10〜25mg相当量を1日3回経口投与する。又はその1日量を2回に分けて経口投与する。その後、症状および副作用を観察しつつ、必要ある場合は漸次増量する。通常最大量は1日量としてノルトリプチリン150mg相当量以内であり、これを2〜3回に分けて経口投与する。

効能・効果

精神科領域におけるうつ病およびうつ状態(内因性うつ病、反応性うつ病、退行期うつ病、神経症性うつ状態、脳器質性精神障害のうつ状態)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.1−8.4、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. てんかん発作(頻度不明)〔9.1.5参照〕。

11.1.2. 無顆粒球症(頻度不明):異常(前駆症状として、発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある)が認められた場合には、投与を中止すること〔8.7参照〕。

11.1.3. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満又は腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので、注意すること。

11.1.4. 悪性症候群(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱が認められる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。

11.1.5. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙れん、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が認められる場合は投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。

11.1.6. 心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)〔8.8参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(1%以上※)血圧降下、(1%未満※)血圧上昇、頻脈、(頻度不明)動悸、心電図異常(QT延長等)。

2). 精神神経系:(1%以上※)眠気、不眠、振戦等のパーキンソン症状、焦燥、(1%未満※)不安、耳鳴、知覚異常、(頻度不明)幻覚、せん妄、精神錯乱、運動失調。

3). 抗コリン作用:(1%以上※)口渇(14.8%)、便秘、(1%未満※)排尿困難、視調節障害、鼻閉、(頻度不明)眼圧上昇。

4). 過敏症:(1%未満※)発疹、そう痒感。

5). *血液:(頻度不明)白血球減少。

6). 肝臓:(1%未満※)黄疸、(頻度不明)AST上昇・ALT上昇等の肝障害。

7). 消化器:(1%以上※)食欲不振、(1%未満※)悪心、嘔吐、味覚異常、下痢。

8). 長期投与:(1%未満※)口周部不随意運動等の不随意運動[投与中止後も持続することがある]。

9). その他:(1%以上※)眩暈、頭痛、倦怠感、(1%未満※)ふらつき、発汗。

*)〔8.7参照〕。

※)発現頻度は市販後の調査を含む。

禁忌

2.1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。

2.2. 本剤の成分及び三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者。

2.3. 心筋梗塞の回復初期の患者[循環器系への影響を強く受けるおそれがある]。

2.4. 尿閉(前立腺疾患等)のある患者[本剤の抗コリン作用により、尿閉が助長されるおそれがある]。

2.5. モノアミン酸化酵素阻害剤投与中(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)又はモノアミン酸化酵素阻害剤投与中止後2週間以内の患者〔10.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.4、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。

8.2. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1、8.3、8.4、9.1.6−9.1.9、15.1.1参照〕。

8.3. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1、8.2、8.4、9.1.6−9.1.9、15.1.1参照〕。

8.4. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1−8.3、9.1.6、9.1.9、15.1.1参照〕。

8.5. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

8.6. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

8.7. 無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと〔11.1.2、11.2参照〕。

8.8. 心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)が報告されているので、定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.6参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 排尿困難のある患者:排尿困難が悪化するおそれがある。

9.1.2. 眼圧上昇のある患者:眼圧上昇が悪化するおそれがある。

9.1.3. 開放隅角緑内障の患者:抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

9.1.4. 心不全・心筋梗塞<回復初期を除く>・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患<心筋梗塞の回復初期を除く>のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者:循環器系に影響を及ぼすことがある。

9.1.5. てんかん等の痙れん性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙れんを起こすことがある〔11.1.1参照〕。

9.1.6. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1−8.4、9.1.9、15.1.1参照〕。

9.1.7. 脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.2、8.3、9.1.8参照〕。

9.1.8. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.2、8.3、9.1.7参照〕。

9.1.9. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1−8.4、9.1.6、15.1.1参照〕。

相互作用

本剤は、主として薬物代謝酵素CYP2D6によって代謝される〔16.4.4参照〕。

10.1. 併用禁忌:

モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.5参照〕[発汗、不穏、全身痙れん、異常高熱、昏睡等があらわれることがあるので、モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切り替えるときには、2〜3日間の間隔をおくことが望ましい(詳細は不明であるが、相加・相乗作用によると考えられる)]。

10.2. 併用注意:

1). 抗コリン作用を有する薬剤(フェノチアジン系薬剤、ブチロフェノン系薬剤等)[口渇、便秘、排尿困難、眼圧上昇等があらわれることがある(併用により抗コリン作用が増強される)]。

2). バルプロ酸ナトリウム[本剤の作用が増強することがある(併用により本剤の血中濃度が上昇する)]。

3). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[眠気、脱力感、倦怠感、ふらつきがあらわれることがある(併用により中枢神経抑制作用が増強される)]。

4). アルコール[本剤の中枢神経抑制作用が増強することがある(併用により中枢神経抑制作用が増強される)]。

5). アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン等)[過度の交感神経興奮、重篤な高血圧、異常高熱等があらわれることがある(三環系抗うつ剤は交感神経終末へのノルアドレナリンの取り込みを抑制し、作用が増強される)]。

6). リファンピシン[本剤の作用が減弱することがある(リファンピシンの肝CYP誘導作用により、本剤の代謝が促進する)]。

7). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[本剤の作用が減弱することがある(機序は不明である)]。

8). キニジン[本剤の血中濃度が上昇することがある(キニジンの肝CYP2D6阻害作用により、本剤の代謝が抑制される)]。

9). クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[クマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長することがある(本剤がワルファリンの肝代謝を抑制するとの報告がある)]。

10). 血糖降下剤(インスリン、経口血糖降下剤)[これらの薬剤の血糖降下作用が増強することがある(機序は不明であるが、本剤がインスリン感受性を増強するなどの報告がある)]。

高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼圧上昇等があらわれやすい)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(三環系抗うつ剤(イミプラミン)では、動物実験(ウサギ)で催奇形性(外形異常)が報告されている)。

(授乳婦)

授乳中の女性に投与する場合には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(授乳中の女性に*125mg経口投与した症例で母乳中への移行が認められている(外国人データ))。

*)本剤の承認された用法及び用量は「通常最大量は1日量としてノルトリプチリン150mg相当量以内であり、これを2〜3回に分けて経口投与」である。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 症状

過量投与時、昏睡、錯乱、不安、激越、異常高熱、筋強剛、反射亢進、痙れん、不整脈、伝導障害を示す心電図異常、うっ血性心不全、ショック、嘔吐等があらわれる。

13.2. 処置

過量投与時、特異的な解毒剤は知られていない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.1−8.4、9.1.6、9.1.9参照〕。

15.1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
薬剤情報

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