薬剤情報
後発品
薬効分類アミノグリコシド系抗生物質
一般名アルベカシン硫酸塩注射液
薬価2241
メーカー日医工岐阜工場
最終更新2021年12月改訂(第7版)

用法・用量

1.成人への投与:アルベカシン硫酸塩として、1日1回150〜200mg(力価)を30分〜2時間かけて点滴静注する。必要に応じ、1日150〜200mg(力価)を2回に分けて点滴静注することもできる。また、静脈内投与が困難な場合、アルベカシン硫酸塩として、1日150〜200mg(力価)を1回又は2回に分けて筋肉内注射することもできる。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

2.小児への投与:小児にはアルベカシン硫酸塩として、1日1回4〜6mg(力価)/kgを30分かけて点滴静注する。必要に応じ、1日4〜6mg(力価)/kgを2回に分けて点滴静注することもできる。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

用法・用量(補足)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1.本剤の薬効は最高血中濃度と最も相関するとされていることから、1日1回静脈内投与が望ましい。

2.本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる。

3.本剤の使用にあたっては、腎機能異常及び聴力障害等の副作用に留意し、本剤の投与期間は、原則として14日以内とする(患者の状態などから判断して、14日以上にわたって本剤を投与する場合には、その理由を常時明確にし、漫然とした継続投与は行わない)。

効能・効果

敗血症、肺炎。

適応菌種

アルベカシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.重大な副作用(頻度不明)

1).ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。

2).痙攣が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、投与を中止することが望ましいが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与する。

3).眩暈、耳鳴、耳閉感、難聴等の第8脳神経障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、投与を中止することが望ましいが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与する。

4).急性腎不全等の重篤な腎障害が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。

5).汎血球減少が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用(頻度不明)

1).肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al−P上昇、LDH上昇、γ−GTP上昇、黄疸等[観察を十分に行い、異常が認められた場合又は症状が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]。

2).腎臓:腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)[観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する]、蛋白尿、カリウム異常等電解質異常、浮腫、血尿。

3).過敏症:発疹、そう痒、発赤、発熱、蕁麻疹等[症状が現れた場合には、投与を中止する]。

4).血液:貧血、白血球減少、血小板減少、好酸球増多等[定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う]。

5).消化器:下痢、*下血[*:観察を十分に行い、異常が認められた場合又は症状が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]、軟便、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振等。

6).注射部位:注射局所の疼痛又は硬結(筋肉内注射時)。

7).ビタミン欠乏症:ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。

8).その他:頭痛、手指しびれ感、全身倦怠感。

禁忌

本剤の成分並びにアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者。

原則禁忌

1.本人又はその血族がアミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者[難聴が発現又は増悪する恐れがある]。

2.腎障害のある患者[高い血中濃度が持続し、腎障害が悪化する恐れがあり、また、第8脳神経障害等の副作用が強く現れる恐れがある]。

3.肝障害のある患者[肝障害を悪化させる恐れがある]。

慎重投与

1.高齢者。

2.低出生体重児、新生児。

3.経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状が現れることがあるので観察を十分に行う]。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとる。

1).事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。

2).投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておく。

3).投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行い、特に、投与開始直後は注意深く観察する。

2.眩暈、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害が現れることがあるので慎重に投与する(特に腎機能障害患者、小児(特に低出生体重児及び新生児)、高齢者、長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなりやすく、聴力障害の危険性がより大きくなるので、可能な限り聴力検査を実施することが望ましい)、アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は、高周波音に始まり低周波音へと波及するので、障害の早期発見のために、聴力検査の最高周波数である8kHzでの検査が有用である。また、3歳未満の患者においては、ABR(聴性脳幹反応)を用いた聴力検査が有用である。

3.急性腎不全等の重篤な腎障害が現れることがあるので、投与中は腎機能検査を行うなど慎重に投与する(特に高齢者や重篤な基礎疾患・重篤な合併症を有する患者では、投与量の設定等にも十分留意し、患者の状態を観察しながら、慎重に投与する)。

4.神経筋遮断作用による呼吸抑制が現れる恐れがあるので、麻酔剤と併用、筋弛緩剤と併用する場合、あるいは重症筋無力症の患者に投与する場合には、慎重に投与する。

5.本剤を点滴静脈内投与するときには、副作用の発生を防ぐため、必ず30分以上かけて投与し、また、投与後は血中濃度をモニタリングすることが望ましい。小児に投与する場合には、原則として本剤の投与終了直後と次回投与直前に血中濃度を測定し、小児に対しての適切な投与計画をたてる。

6.本剤はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に対してのみ有用性が認められている。なお、MRSAが検出されただけではMRSA感染症とは限らないので、本剤投与にあたっては、次の点に留意する。

1).MRSA感染症の診断が確定した場合にのみ投与することを原則とする。

2).臨床症状及び菌の検出状況からMRSA感染症であることが推定された場合には、個々の患者背景や臨床症状の推移などを考慮のうえ、本剤の投与の可否を判断する。

7.小児に投与する場合には、本剤により症状が改善されない場合は、速やかに他剤に切り替える[小児(特に低出生体重児・新生児)では防御機構が未熟であるため、容易に症状が増悪する恐れがある]。

8.肝機能障害が現れることがあるので、投与中は肝機能検査を行うなど慎重に投与する。

相互作用

併用注意:

1.腎障害を起こす恐れのある血液代用剤(デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン等)[腎障害が発現・悪化することがあるので、併用は避けることが望ましく、腎障害が発生した場合には、投与を中止し、透析療法等適切な処置を行う(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある)]。

2.ループ利尿剤(エタクリン酸、フロセミド、アゾセミド等)[腎障害及び聴器障害が発現・悪化する恐れがあるので、併用は避けることが望ましい(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇、腎への蓄積が起こるという報告がある)]。

3.腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤(バンコマイシン、エンビオマイシン、白金含有抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン)等)[腎障害及び聴器障害が発現・悪化する恐れがあるので、併用は避ける(やむを得ず併用する場合は、減量するなど慎重に投与する)、但し、小児(特に低出生体重児・新生児)では、バンコマイシンは原則併用しない(両薬剤ともに腎毒性、聴器毒性を有するが相互作用の機序は不明)]。

4.(小児に投与する場合)他のアミノグリコシド系抗生物質<注射剤>[腎障害及び聴器障害が発現・悪化する恐れがある(小児(特に低出生体重児・新生児)では腎機能が未発達であるため)]。

5.麻酔剤、筋弛緩剤(ツボクラリン、パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物、トルペリゾン、A型ボツリヌス毒素等)[呼吸抑制が現れる恐れがあるので、呼吸抑制が現れた場合には、必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行う(両薬剤ともに神経筋遮断作用を有しており、併用によりその作用が増強される)]。

6.腎毒性を有する薬剤(シクロスポリン、アムホテリシンB等)[腎障害が発現・悪化する恐れがある(両薬剤ともに腎毒性を有するが、相互作用の機序は不明)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

1.本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続する恐れがあり、第8脳神経障害、腎障害等の副作用が現れやすい。

2.高齢者では、ビタミンK欠乏による出血傾向が現れることがある。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊婦に投与すると新生児に第8脳神経障害が現れる恐れがあり、またラットの筋注による器官形成期投与試験で出生仔の発育遅滞が認められている]。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

1.体の大きい小児に投与するときには、成人の1日最高量200mg(力価)を超えないよう注意する。

2.筋注については、低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。点滴静注については、低出生体重児に対する安全性は確立していない。

3.腎の発達段階にあるため、特に低出生体重児、新生児においては血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続することにより、最低血中濃度2μg/mLを超える恐れがあるので、投与量を減ずるか、投与間隔をあけるなど慎重に投与する。特に低出生体重児においては、正常な新生児と比較しても著しく半減期が延長し、かつ、個体差が大きいことが知られているので、少なくとも次回投与直前に血中濃度を測定し、投与間隔を調整する。

4.小児に投与する場合には、腎毒性の発現を防ぐため、腎機能検査を行い、慎重に投与する。

過量投与

1.過量投与時の徴候・症状:腎障害、聴覚障害、前庭障害、神経筋遮断症状、呼吸麻痺が現れることがある。

2.過量投与時の処置:血液透析、腹膜透析による薬剤の除去を行う。過量投与による神経筋遮断症状、呼吸麻痺に対してはコリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与又は機械的呼吸補助を行う。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

1.調製時:

1).アンプルカット時:アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してから、ヤスリを用いないで、アンプル頭部のマークの反対方向に折る。

2).現在までに、次の注射剤と混合後、配合変化をおこすことが確認されているので、混注しない。

(1).スルバクタム/セフォペラゾン注射剤、セファゾリン注射剤、セフゾナム注射剤、フェノバルビタール注射剤、D−マンニトール注射剤、ブロムヘキシン塩酸塩注射剤、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル注射剤、塩化カルシウム水和物注射剤、ドキソルビシン塩酸塩注射剤と混注すると、白濁・沈殿を生じることがある。

(2).アンピシリン注射剤、アンピシリン/クロキサシリン注射剤、イミペネム/シラスタチン注射剤、セフメタゾール注射剤、ピペラシリン注射剤、フロモキセフ注射剤、ラタモキセフ注射剤と混注すると、両剤の反応によりアミドを形成し本剤の活性低下を来すので、それぞれ別経路で投与する。

3).点滴静注にあたって本剤の希釈には、通常「日局」生理食塩液、「日局」5%ブドウ糖注射液を用いるが、この他に現在までに配合変化がないことが確認されている補液は、アスパラカリウム注10mEq、マルトス輸液10%、ソリタ−T3号輸液、フィジオゾール3号輸液、ポタコールR輸液、KN3号輸液、ラクテックG輸液があり、これらのいずれも用いることができる。

2.溶解後:点滴静注に用いる場合は、希釈後は速やかに使用する。

3.筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため次記の点に注意する。

1).筋肉内注射時同一部位への反復注射はなるべく行わない。また、小児には特に注意する。

2).筋肉内注射時神経走行部位を避けるよう注意する。なお、注射針を刺入したとき、神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。

3).筋肉内注射時、注射器の内筒を軽くひき、血液の逆流がないことを確かめて注射する。

4).筋肉内注射時、硬結を来すことがあるので、筋肉内注射直後は局所を十分にもむ。

安定性試験結果の概要:加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、アルベカシン硫酸塩注射液25mg「NIG」及びアルベカシン硫酸塩注射液200mg「NIG」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

その他の注意

クエン酸水和物で抗凝固処理した血液を大量輸血された患者にアミノグリコシド系抗生物質を投与すると、投与経路にかかわらず、神経筋遮断症状、呼吸麻痺が現れることがある。

アルベカシン硫酸塩注射液25mg「NIG」
アルベカシン硫酸塩注射液25mg「NIG」

アルベカシン硫酸塩注射液25mg「NIG」

アミノグリコシド系抗生物質
2021年12月改訂(第7版)
薬剤情報
後発品
薬効分類アミノグリコシド系抗生物質
一般名アルベカシン硫酸塩注射液
薬価2241
メーカー日医工岐阜工場
最終更新2021年12月改訂(第7版)

用法・用量

1.成人への投与:アルベカシン硫酸塩として、1日1回150〜200mg(力価)を30分〜2時間かけて点滴静注する。必要に応じ、1日150〜200mg(力価)を2回に分けて点滴静注することもできる。また、静脈内投与が困難な場合、アルベカシン硫酸塩として、1日150〜200mg(力価)を1回又は2回に分けて筋肉内注射することもできる。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

2.小児への投与:小児にはアルベカシン硫酸塩として、1日1回4〜6mg(力価)/kgを30分かけて点滴静注する。必要に応じ、1日4〜6mg(力価)/kgを2回に分けて点滴静注することもできる。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

用法・用量(補足)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1.本剤の薬効は最高血中濃度と最も相関するとされていることから、1日1回静脈内投与が望ましい。

2.本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる。

3.本剤の使用にあたっては、腎機能異常及び聴力障害等の副作用に留意し、本剤の投与期間は、原則として14日以内とする(患者の状態などから判断して、14日以上にわたって本剤を投与する場合には、その理由を常時明確にし、漫然とした継続投与は行わない)。

効能・効果

敗血症、肺炎。

適応菌種

アルベカシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.重大な副作用(頻度不明)

1).ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。

2).痙攣が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、投与を中止することが望ましいが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与する。

3).眩暈、耳鳴、耳閉感、難聴等の第8脳神経障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、投与を中止することが望ましいが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与する。

4).急性腎不全等の重篤な腎障害が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。

5).汎血球減少が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用(頻度不明)

1).肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al−P上昇、LDH上昇、γ−GTP上昇、黄疸等[観察を十分に行い、異常が認められた場合又は症状が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]。

2).腎臓:腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)[観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する]、蛋白尿、カリウム異常等電解質異常、浮腫、血尿。

3).過敏症:発疹、そう痒、発赤、発熱、蕁麻疹等[症状が現れた場合には、投与を中止する]。

4).血液:貧血、白血球減少、血小板減少、好酸球増多等[定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う]。

5).消化器:下痢、*下血[*:観察を十分に行い、異常が認められた場合又は症状が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]、軟便、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振等。

6).注射部位:注射局所の疼痛又は硬結(筋肉内注射時)。

7).ビタミン欠乏症:ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。

8).その他:頭痛、手指しびれ感、全身倦怠感。

禁忌

本剤の成分並びにアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者。

原則禁忌

1.本人又はその血族がアミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者[難聴が発現又は増悪する恐れがある]。

2.腎障害のある患者[高い血中濃度が持続し、腎障害が悪化する恐れがあり、また、第8脳神経障害等の副作用が強く現れる恐れがある]。

3.肝障害のある患者[肝障害を悪化させる恐れがある]。

慎重投与

1.高齢者。

2.低出生体重児、新生児。

3.経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状が現れることがあるので観察を十分に行う]。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとる。

1).事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。

2).投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておく。

3).投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行い、特に、投与開始直後は注意深く観察する。

2.眩暈、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害が現れることがあるので慎重に投与する(特に腎機能障害患者、小児(特に低出生体重児及び新生児)、高齢者、長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなりやすく、聴力障害の危険性がより大きくなるので、可能な限り聴力検査を実施することが望ましい)、アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は、高周波音に始まり低周波音へと波及するので、障害の早期発見のために、聴力検査の最高周波数である8kHzでの検査が有用である。また、3歳未満の患者においては、ABR(聴性脳幹反応)を用いた聴力検査が有用である。

3.急性腎不全等の重篤な腎障害が現れることがあるので、投与中は腎機能検査を行うなど慎重に投与する(特に高齢者や重篤な基礎疾患・重篤な合併症を有する患者では、投与量の設定等にも十分留意し、患者の状態を観察しながら、慎重に投与する)。

4.神経筋遮断作用による呼吸抑制が現れる恐れがあるので、麻酔剤と併用、筋弛緩剤と併用する場合、あるいは重症筋無力症の患者に投与する場合には、慎重に投与する。

5.本剤を点滴静脈内投与するときには、副作用の発生を防ぐため、必ず30分以上かけて投与し、また、投与後は血中濃度をモニタリングすることが望ましい。小児に投与する場合には、原則として本剤の投与終了直後と次回投与直前に血中濃度を測定し、小児に対しての適切な投与計画をたてる。

6.本剤はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に対してのみ有用性が認められている。なお、MRSAが検出されただけではMRSA感染症とは限らないので、本剤投与にあたっては、次の点に留意する。

1).MRSA感染症の診断が確定した場合にのみ投与することを原則とする。

2).臨床症状及び菌の検出状況からMRSA感染症であることが推定された場合には、個々の患者背景や臨床症状の推移などを考慮のうえ、本剤の投与の可否を判断する。

7.小児に投与する場合には、本剤により症状が改善されない場合は、速やかに他剤に切り替える[小児(特に低出生体重児・新生児)では防御機構が未熟であるため、容易に症状が増悪する恐れがある]。

8.肝機能障害が現れることがあるので、投与中は肝機能検査を行うなど慎重に投与する。

相互作用

併用注意:

1.腎障害を起こす恐れのある血液代用剤(デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン等)[腎障害が発現・悪化することがあるので、併用は避けることが望ましく、腎障害が発生した場合には、投与を中止し、透析療法等適切な処置を行う(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある)]。

2.ループ利尿剤(エタクリン酸、フロセミド、アゾセミド等)[腎障害及び聴器障害が発現・悪化する恐れがあるので、併用は避けることが望ましい(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇、腎への蓄積が起こるという報告がある)]。

3.腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤(バンコマイシン、エンビオマイシン、白金含有抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン)等)[腎障害及び聴器障害が発現・悪化する恐れがあるので、併用は避ける(やむを得ず併用する場合は、減量するなど慎重に投与する)、但し、小児(特に低出生体重児・新生児)では、バンコマイシンは原則併用しない(両薬剤ともに腎毒性、聴器毒性を有するが相互作用の機序は不明)]。

4.(小児に投与する場合)他のアミノグリコシド系抗生物質<注射剤>[腎障害及び聴器障害が発現・悪化する恐れがある(小児(特に低出生体重児・新生児)では腎機能が未発達であるため)]。

5.麻酔剤、筋弛緩剤(ツボクラリン、パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物、トルペリゾン、A型ボツリヌス毒素等)[呼吸抑制が現れる恐れがあるので、呼吸抑制が現れた場合には、必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行う(両薬剤ともに神経筋遮断作用を有しており、併用によりその作用が増強される)]。

6.腎毒性を有する薬剤(シクロスポリン、アムホテリシンB等)[腎障害が発現・悪化する恐れがある(両薬剤ともに腎毒性を有するが、相互作用の機序は不明)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

1.本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続する恐れがあり、第8脳神経障害、腎障害等の副作用が現れやすい。

2.高齢者では、ビタミンK欠乏による出血傾向が現れることがある。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊婦に投与すると新生児に第8脳神経障害が現れる恐れがあり、またラットの筋注による器官形成期投与試験で出生仔の発育遅滞が認められている]。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

1.体の大きい小児に投与するときには、成人の1日最高量200mg(力価)を超えないよう注意する。

2.筋注については、低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。点滴静注については、低出生体重児に対する安全性は確立していない。

3.腎の発達段階にあるため、特に低出生体重児、新生児においては血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続することにより、最低血中濃度2μg/mLを超える恐れがあるので、投与量を減ずるか、投与間隔をあけるなど慎重に投与する。特に低出生体重児においては、正常な新生児と比較しても著しく半減期が延長し、かつ、個体差が大きいことが知られているので、少なくとも次回投与直前に血中濃度を測定し、投与間隔を調整する。

4.小児に投与する場合には、腎毒性の発現を防ぐため、腎機能検査を行い、慎重に投与する。

過量投与

1.過量投与時の徴候・症状:腎障害、聴覚障害、前庭障害、神経筋遮断症状、呼吸麻痺が現れることがある。

2.過量投与時の処置:血液透析、腹膜透析による薬剤の除去を行う。過量投与による神経筋遮断症状、呼吸麻痺に対してはコリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与又は機械的呼吸補助を行う。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

1.調製時:

1).アンプルカット時:アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してから、ヤスリを用いないで、アンプル頭部のマークの反対方向に折る。

2).現在までに、次の注射剤と混合後、配合変化をおこすことが確認されているので、混注しない。

(1).スルバクタム/セフォペラゾン注射剤、セファゾリン注射剤、セフゾナム注射剤、フェノバルビタール注射剤、D−マンニトール注射剤、ブロムヘキシン塩酸塩注射剤、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル注射剤、塩化カルシウム水和物注射剤、ドキソルビシン塩酸塩注射剤と混注すると、白濁・沈殿を生じることがある。

(2).アンピシリン注射剤、アンピシリン/クロキサシリン注射剤、イミペネム/シラスタチン注射剤、セフメタゾール注射剤、ピペラシリン注射剤、フロモキセフ注射剤、ラタモキセフ注射剤と混注すると、両剤の反応によりアミドを形成し本剤の活性低下を来すので、それぞれ別経路で投与する。

3).点滴静注にあたって本剤の希釈には、通常「日局」生理食塩液、「日局」5%ブドウ糖注射液を用いるが、この他に現在までに配合変化がないことが確認されている補液は、アスパラカリウム注10mEq、マルトス輸液10%、ソリタ−T3号輸液、フィジオゾール3号輸液、ポタコールR輸液、KN3号輸液、ラクテックG輸液があり、これらのいずれも用いることができる。

2.溶解後:点滴静注に用いる場合は、希釈後は速やかに使用する。

3.筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため次記の点に注意する。

1).筋肉内注射時同一部位への反復注射はなるべく行わない。また、小児には特に注意する。

2).筋肉内注射時神経走行部位を避けるよう注意する。なお、注射針を刺入したとき、神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。

3).筋肉内注射時、注射器の内筒を軽くひき、血液の逆流がないことを確かめて注射する。

4).筋肉内注射時、硬結を来すことがあるので、筋肉内注射直後は局所を十分にもむ。

安定性試験結果の概要:加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、アルベカシン硫酸塩注射液25mg「NIG」及びアルベカシン硫酸塩注射液200mg「NIG」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

その他の注意

クエン酸水和物で抗凝固処理した血液を大量輸血された患者にアミノグリコシド系抗生物質を投与すると、投与経路にかかわらず、神経筋遮断症状、呼吸麻痺が現れることがある。

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